SCP-3203
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宛先: pcs.noitadnuof|rellete#pcs.noitadnuof|rellete
差出人: pcs.noitadnuof|lenidregn#pcs.noitadnuof|lenidregn
日付: 2017年7月8日

こんにちは、テラー博士。

数週間前に、財政問題について私にお話しされたことを覚えていますか? サイト-19のお偉い方にはいつも十分な資金があるようなのに、我々17は端金でやりくりしているのはどういうわけなのか? と。いえ、きっと覚えてはいないのでしょう。何しろ、隔週で同じ会話を繰り返しているのですから。

ですが、博士のお話で考えさせられました。我々の資金は、一体何処から出ているのだろうと。利益を生まず、政府機関でもない組織に、かなりの資金がつぎ込まれているわけですよね? 実際その通りです。そこで私は、いかにも新米探偵じみたことをやりました。金の流れを追ったのです。いくらか調べ上げたり、少しばかり恩返しを求めたりするうちに (ええ、サイト-17経理担当のエドに頼んだだけです)、ある財団の銀行口座がふと目に付きました。この口座は明らかに財団の他多数の資金源と繋がっていました。幸いにも銀行員の説得に成功し、先月分の取引明細を見せてもらいました。いえ、この "説得" の詳細はここで述べるつもりはありません。

予想通り、送金元はどれも財団がフロントとして設立したに違いない偽の企業でした。"Allison and Banks Investing" といった、誰も見向きしないであろう当たり障りのない企業名でしたよ。しかし興味深いのは、これら企業の "顧客" が何者であるのかということです。確かに、政府からどんと数百万ドル振り込まれたものもありましたが、これらフロントの収益の80%以上は、たった一つのスイス銀行口座からもたらされていました。

当時の私がどれほど困惑したかは想像に難くないでしょう。数え切れないほどの著名人だとか、地下組織だとか、そういうのを予想していました。もしかすると、GOCから密かに資金提供を受けている可能性もあるのではないかと。ですが実際は全く違いました。この口座は財団が管理しているに違いありません。それに、いいですか? この口座は異常なのです。1か月ほど監視してきましたが、いくら出金されても、口座の金が4万ドルを下回ることはありませんでした。ふざけたことに4万ドルを上回ることも。常に4万ドルのまま。先週に財団が200万ドルを引き出したときでさえも、この口座の金は減りませんでした。

私はこの銀行口座にSCP分類を与えるよう正式に申請しようと思います。以下の文書を作成いたしましたので、承認と、必要であれば校閲もお願いします。

どうでしょう、これを上司に見せれば、もっと資金を援助してもらうよう頼めるかもしれませんよ。

-ゲルディネル


文書作成者: ニクロ・ゲルディネル次席研究員
日付: 2017/07/08


アイテム番号: SCP-3203

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: レベル4クリアランス、もしくは財団資金へのアクセス権限を有する職員のみが、SCP-3203関連の情報にアクセスできるものとします。それ以外の職員は、財団の資金源に関する誤情報作戦の対象となります。

SCP-3203は必要と見なされるたびにアクセスされます。ただし、引き出す金額が疑惑を起こしうる量である場合は、SCP-3203に注目が集まらないよう複数回に分けて出金する必要があります。

説明: SCP-3203はスイス銀行口座 (#011623852957) です。SCP-3203には正確に4万ドル (USD) が常時預けられています。この口座に預金された記録はありません。出金してもこの口座の金額は変化しません。4万ドルを超える出金も可能であり、要求した金額が引き出されます。これまでに記録された最大出金額は200万ドルです。

この口座が開設された時期は不明ですが、現在は "ルカ・エルスボーン" という名前のもとで運用されています。スイスの出生記録および入国者記録にルカ・エルスボーンという名の人物は存在しません。しかし、他の国では計3名のルカ・エルスボーンが発見されています。SCP-3203との関連性は現在調査中です。


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