アイテム番号: SCP-3206
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ケニアのトゥルカナ群での電話は監視下に置かれる必要があります。SCP-3206の影響を受けたことが確認された人物は、医師と獣医師両方の支援の元、必要な外科手術を受け、記憶処理を受けた後解放されます。行動調査のため、最大50人の影響を受けた人物が、3ヶ月を超えない範囲でSCP-3206の影響下に留まることが許可されています。
+254 █████████ という番号に関する全ての電話は記録され、その電話に関係した人物は最低5時間拘留されます。SCP-3206が発生した場合、これらの人々は前述の収容プロトコルに従う必要があります。
要注意人物(PoI)-3206-1~8は、映像と電話による監視下に置かれます。異常な行動が観察された場合、PoIはサイト-52に収容されます。
更新(2013.04.12): PoI-3206-3は現在収容されていません(電話記録 BN0358参照)。その他のPoIは、追加の連絡があるまでサイト-52の標準ヒト型収容房に収容される必要があります。SCP-3206-Aとの直接的な接触は暫定的に禁止されています。
説明: SCP-3206は、人間が完全に機能する鋤鼻器(VNO)を得る現象です。その解剖学的、また遺伝的な性質はEquus ferus caballus(ウマ)のものと一致します。この現象には、VNOを持つ有蹄類やネコ科動物特有の行動、特にフレーメン反応が伴います。
影響を受けた人の約76%が病院で診察を受けるか、SCP-3206の影響に関する不安を表明しており、そのため収容プロトコルの開始以来この多数派は減少しています。少数派のケースではSCP-3206を様々な方法で、衝動的に、もしくは都合よく用いていており、主に興味を持った人間を追いかけたり、衛生状態の悪い公衆トイレに集まったりしていました。
現在までに確認されたSCP-3206の大部分はケニアのトゥルカナ群の農村部で発生しています。SCP-3206は2005年11月に初めて記録されました。
補遺 3206-01: SCP-3206の発生は、電話番号+254 █████████からの電話を受ける、もしくは電話をかけることに関連しています。いずれの場合も複数の実体(総称としてSCP-3206-Aと呼称する)の内のいずれか1体の声が聞こえますが、出所不明の馬の鳴き声に時折妨げられ、認識が阻害されます。SCP-3206-Aは、相手にVNOを販売しようとしていますが、電話による詐欺で一般的に用いられる手法を使いこなすことはできません。相手が提案を断った場合、電話は何事も無く終了します。
提案が受諾された場合、実体は声を発しなくなり、コミュニケーションをとることは不可能になります。代わりに、くぐもったうめき声が不定期に伴った、重いドスッという音が一定のリズムで聞こえるようになります。時間が経つにつれてその音の頻度と強度は徐々に増加し、最終的には湿った叩くような音と、苦しむ仔馬を想起させる声になります。この時点で、電話は終了します。SCP-3206は通話の終了3~4時間後に電話をした人間に発生します。
電話の発信者を追跡する試みは失敗に終わっています。
補遺 3206-05: 音声認識ソフトを用いることで、SCP-3206-Aと8人の人物(PoI-3206-1~8)との間に有意な一致が確認されました。全ての人物は現在生存しており、トゥルカナ地域の牧畜業者ですが、それ以外の共通点は見つかっていません。また、SCP-3206に関与しているという証拠も見つかっていません。
SCP-3206 記録 BN0358
序: この電話はSCP-3206-A実体の正体を探るため、接触を図る目的でH.オウマ工作員によって開始されました。
<ログ開始>
オウマ: もしもし?お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?
3206-A: こんにちは。お電話ありがとうございます(いななきが聞こえる)。あなたとご連絡を取るためにお手紙、メール、寝室のドアをノックさえしたんですよ。期間限定、一生に一回のご案内の準備は出来てますか?最高級のVNOをたった0ボブでご案内します。
オウマ: レイチェル・ギスルさんですか?
3206-Aは約30秒間返事をしない。明らかに混乱していてやや苦しそうな男性の声が話し始める。
3206-A1: こ、こんにちは。お電話ありがとうございます。あなたとご連絡を取るためにお手紙、メール、寝室のドアをノックさえしたんですよ。期間限定、一生に一回のご案内の準備はで、出来てますか?最高級のVNOをたった0ボブでご案内します。
オウマ: あなたは誰です?レイチェル・ギスルさんはどこですか?
3206-A1: ご提案です。素晴らしいですよ(高いいななきが聞こえる)。あなたが欲しいだけのVNO、一生分が、無料なんです。いかがでしょう、お客様?
オウマ: レイチェル・ギスルさんはどこ?
3206-A1: ああ、わたしの同僚のことですか?彼女…彼女はいなくなりました。仕事を上手くやれなかったんです、ざ、残念ながら。上司は彼女を解雇せざるを得ませんでした。でも私は十分すぎるくらいの代役ですよ、約束します。お願いです。契約はどうしますか?いくつVNOをお付けすればいいんですか?嫌とは言いませんよね。
オウマ: ごめんなさい、でもVNOはいりません。あなたが私の質問に答えてくれるまでは。
高いいななきが聞こえる、それと同時に正体不明の声がささやき続ける。
3206-A1: はい、はい。私のな、名前はジョン・オチェングです。ど、どこにいるのかはわかりません。気づいたら携帯を持って席に座ってたんです。何かが、いるんです、あなたに電話するように告げる何かが。それを言うようにと。で、でも今はいないと思います。
オウマ: OK、ジョン。周りにあるものを説明してください。もしかしたらあなたがどこにいるか分かるようなものがあるかもしれませんから。
3206-A1: ま、真っ暗です。分かりませんが…大きな建物の中にいるんだと思います。何かに囲まれてます…とても乾燥した何かに、た、たぶん乾草だと思います。周りには乾草しかありません。まって、なんでこれこんなにべたべたしてるんだ?
オウマ: ジョン、どうやってそこにたどり着いたのか覚えてますか?
3206-A1: いいえ、ソファで寝てて、起きたらここにいたことしか思い出せません……。私の妻とこ、子供は、無事でしょうか?お願いです、家族に何もないようにしてください。
オウマ: 分かりました。私たちが……あなたの家族はどこに住んでるんです?彼らを安全な場所に送……
3206-A1: 聞いてください。どうか……ご提案を受けてください。何かが……戻ってきたんです。ただどうか、う、受けてください。嫌なんです、お願いします……。
オウマ: 実体から逃げてみてください、できるだけ遠くに行って。
3206-A1: ど、どうか、お客さま。無料でVNOを手に入れてください。こ、この小さな貧しい会社を持ちこたえさせてください。可愛い私の……私の子供がいるんです。あの子たちに道を踏み外して欲しくは無いんです……。1回だけでいいんです、無料なんです。
オウマ: 私は……いいわ、ジョン。提案を受けます。
3206-A1: ああ、あ、ありがとうございます(低いいななきが聞こえる)。ご、ご購入ありがとうございます、この番号をあなた……あなたのご家族とお友達にも伝えてくださいね。
<ログ終了>
終了報告: オウマ工作員には電話の終了4時間後にSCP-3206の症状が現れました。この電話に関係したほかの事件は観測されていません。未確認のSCP-3206-A(SCP-3206-A1としてサブ指定する)と生存している個人との間に一致は見られませんでした。SCP-3206-A1との相関性のため、トゥルカナ郡における行方不明者資料が現在捜査されています。
通話中にPoI-3206-3への監視が自然に途絶えました。現在PoI-3206-3への監視の回復を試みています。
補遺 3206-11: SCP-3206-A1が初めて現れて以来、さらに26回の電話でその出現が記録されています。それぞれの電話でSCP-3206-A1の行動に一貫性がないことから、通話 BN0358を通して実体から得られた情報の信憑性には疑問の余地があります。