クレジット
タイトル: SCP-3222-JP - 金玉蹴撃
著者: iti119
作成年: 2023
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SCP-3222-JP
金玉蹴撃
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プロローグ
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/00 |
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場所: サイト-19 人事局オフィス 日時: 19██/██/██ 参加者:
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«転写開始» |
<ブライト局長が執務机で作業している。出入り口のすりガラスの向こう側に人影が現れ、ドアをやや乱暴にノックする。ブライト博士が顔を上げ返答する。> ブライト局長: 入ってくれ。 <D-1411が入室する。> ブライト局長: "志願者"かな? D-1411: ああ、そうだ。キックバック・プログラム.全職員が参加可能な、報酬制の休暇システム。の。長めの力仕事からやっと解放されたから、しばらくゆったり過ごkick backしたいんだ。 ブライト局長: ふむ、よろしい。では — この申請書にサインを。 <D-1411は渡された書類にサインを書き込み、ブライト局長に返す。> ブライト局長: フーン。<間> 意外とちょろいもんだな。 D-1411: は? ブライト局長: 君、申請書をきちんと読んだかい? D-1411: いや、<言葉に詰まる。> ブライト局長: これね、KICCBACKの契約書だよ? ケー・アイ・シー・シーで「キック」だ。 D-1411: <録音上の沈黙。> 待て、何だって? 俺をハメやがったのか!? ブライト局長: 人聞きが悪いなあ。4文字目がKのほうのキックバックほどじゃあないが、君の望む通り肉体労働をする必要はないぞ。 D-1411: いや、そういうことじゃ — クソ、取り消しだ。取り消し! ブライト局長: 却下。さて、君ひとりでは流石に負担が大きいだろうが — <ブライト局長がD-1411越しに入口のドアを見る。D-1411はブライト局長をにらみつけている。> ブライト局長: — ちょうどいいな。<声を大きくして> そこで聞いている君、君も来たまえ。 <入口からD-2566が入室する。同時に、室内のロッカーからD-3153が現れる。> ブライト局長: <D-3153を見る。> は? なんだ君。 D-3153: いや、その。 D-2566: えっと? ブライト局長: サボりというわけか。ここがどこだか知ってのことかね? D-3153: <応答なし。> ブライト局長: というか、どうやって入ったんだ? 鍵は閉めてあったはずだが。 D-3153: え? 普通に空いてましたけど。 ブライト局長: <間> クソ。まあいい。<D-2566を見る。> で、君も「キックバック」だな? さあ、ここに名前を。 D-2566: そうだけど — D-1411: おい — <沈黙> ブライト局長: まあまあ。それで — <D-3153を鋭く見つめる。> — 君は最初から聞いていただろうが、君のためを思って言わせてもらえば、キックバックに参加するといい。どうかね? D-3153: <間> ええ。<間> ぜひ。 <D-1411は依然として無言で、ブライト局長をにらんでいる。D-2566が前に出、D-3153がぎこちなく続く。2名が用紙に名前を書き込む。> D-3153: それで、僕らはいったい何をさせられるんでしょう? D-1411: <舌打ち> D-2566: なんだ? ただの休暇だろ? ブライト局長: KICCBACK — 「頭尾方向の体軸への蹴りによって失神を引き起こす (Kicking In Cranio-Caudal Body Axis Cause Knockout)」— 新しく発見された異常現象の調査をしてもらう。 D-1411: <間> あー? ブライト局長: 金玉蹴り上げてトぼうってことさ。 D-2566: は? |
«転写終了» |
後文: ブライト博士が提出した契約書は、人事部門によって正式に認可されました。 |
配属サイト | 配属部門 |
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サイト-19 | 余剰次元異常、概念工学、心理工学、医療 |
研究管理 | 研究責任者 |
KICCBACKプログラム | ジャック・ブライト博士 |
特別収容プロトコル: SCP-3222-JPの直接の収容は不可能ですが、その非能動的な性質や、遭遇率・危険性が低いと見積もられていることにより、喫緊の収容危機は存在しないと見做されています。現在の収容活動は、遭遇者 (存在する場合) の記憶処理を主とする情報工作に焦点が置かれます。さらなる収容プロトコルの策定は、SCP-3222-JPの詳細な性質が明らかになるまで保留されます。
説明: SCP-3222-JPは、EE-3222の発見と同時に存在が明らかになった超意識空間です。SCP-3222-JPの詳細な性質は未解明であるものの、EE-3222によって体外離脱した意識体のみがアクセス可能であることが現時点で判明しています。
EE-3222は、人体の頭尾軸に沿って下方から強い衝撃が加えられた際に、対象の意識が意識体として肉体から分離される現象です。分離された意識体は非三次元的方向へシフトし、前述の通りSCP-3222-JPへ到達します。SCP-3222-JP内での体験は非常に抽象的に解釈されるため、また、SCP-3222-JP体験者の母数が圧倒的に不足しているため、本稿執筆時点でSCP-3222-JPを具体的に説明可能だった対象は存在しません。イベント終了時、対象の意識体は通常の体外離脱と同様にYücelの魂魄法則に従ってもとの肉体へと帰還します。
EE-3222が発見されたのは[編集済: 内部調停部門クリアランスが不足しています]。当該職員は異常現象に遭遇したことを回復後に報告し、問題の現象は簡易的な検証ののちに超常現象として正式に記録されました。
EE-3222は非侵襲的な、もしくは軽微な侵襲のみを伴う体外離脱手順としての利用可能性を有することで、主に心理工学の観点から多大な研究価値が認められています。このため、研究部門はKICCBACKプログラムを設立し、研究資金およびその他の資産の使用を許可しました。当該プログラムの主目的はSCP-3222-JPの調査及び収容評価であり、副次的にEE-3222の研究および応用開発を兼務します。
実験ログ
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/01/A-1 |
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場所: サイト-19 実験室K 日時: 19██/██/██ 参加者:
前文: 実験に参加したD-1411, D-2566, D-3153には、SCP-3222-JPを観測するにあたって、有知性霊魂インタフェース構造が導入されました.有知性霊魂インターフェース構造Intelligent Soul Interface Construct: ISIC - ISICは本質的にはミームであり、ノウアスフィアを介して意識と融合することによって、データを物理世界に中継できます。。 |
«転写開始» |
<ブライト博士が機器を移動させ操作しながら、他の参加者に話しかける。> ブライト博士: さて、とりあえず準備をしつつ話すから聞いて欲しい。まず、金玉キックなんて悍ましいことを言いはしたが、実際にそんなことをするつもりはない。説明した通り、睾丸である必要も蹴りである必要も実際にはないんだからな。もちろん、睾丸を蹴ること自体が目的なわけでもないし。要するに、股間に真下から強い打撃を与えることが条件なんだ。今回の私たちの目的は、股間を刺激し — 笑うな、おかしな意味じゃないぞ。そして意識体となってSCP-3222-JPを観察するんだ。そういうわけで — ほら、機械の準備ができたぞ。 <ブライト博士が台座の直下に小型の機械をスライドさせる。> ブライト博士: 簡単な代物だ。この台が君たちを直立したまま固定し、射出機が真下から棒を素早く伸ばす。この拘束具は別に悪趣味なものじゃなくて、君たちが下手に身じろぎして狙いが外れたり、失神したあとに倒れて怪我したりするのを防ぐためにあるんだ。<録音上の沈黙。> さあ、質問がなければ、早速始めよう。 <D-1411, D-2566, D-3153がそれぞれ目配せし合う。> ブライト博士: どうした? 忘れ物でもしたか? 私のほうは万全だぞ、君らのISICだって確認済みだ。心の準備なら私が手伝ってやろう。 D-2566: な、なあ博士、本当に俺らがやらなきゃダメか? ブライト博士: いまさら怖くなったか? D-2566: 怖えよ、怖えだろ! あんただって俺たちの気持ちになってみろよ。何が面白くて玉を突かれたりなんか — クソ。 D-1411: そうだぜ、別に俺らじゃなくたって、女のDクラスにでもやらせりゃいいじゃ — ブライト博士: 女だと!? 君は変態かミソジニストか? わざわざ女性を呼びつけて股間を棒で叩くなんてのはな、コンプラだとか何だとかが許さないんだよ。そんなんだからこんなところで働かされ — <咳払い>とにかく、つべこべ言うな。私は先着で決めただけなんだ。 <録音上の沈黙。> ブライト博士: 安心しろ、さっきも言ったが、玉を狙うわけじゃない。大人しくしてればちょうど間を通るかもしれないだろう? ほら、誰からやる? 名乗り出ないなら — 君からだ、D-1411。 D-1411: <舌打ち> ブライト博士: そう気を悪くするな、順番が早いか遅いかの違いだ。取り掛かろう、君たちは補佐を。 <ブライト博士がD-2566, D-3153に指示を出しつつ、D-1411に器具を取り付ける。> ブライト博士: さあ、完全に準備完了だ。器具のほうはどうだい? D-1411: 大丈夫そうだ。 ブライト博士: よろしい。うん、始めるぞ。 D-1411: なるべく痛くないように — <呻き声> ブライト博士: どうだ? D-1411: <叫ぶ。> ブライト博士: おい、大丈夫か? D-1411: <えずく。> 大丈夫だ。たぶん玉は。おい待て、触るな! 確認しなくていい。 ブライト博士: 続けられるか? D-1411: ああ、平気だ。でももう失敗しないでくれ。かなり鋭く痛む。 ブライト博士: 善処するよ。さて、もう一度行こうか。 D-1411: マジで頼むから — <呻き声> |
«転写中断» |
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/01/A-2 |
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以下はD-1411のISICから送信されたSCP-3222-JP内における疑似視聴覚的体験の転写です。 |
«転写開始» |
<D-1411の周囲には何もない。> D-1411: なに — なんだ。何も見えない。 <D-1411は周囲を確認しようとするが、実際には身体は存在しないため失敗する。> D-1411: 玉は無事なのか? <D-1411は睾丸を確認しようとするが、実際には身体は存在しないため失敗する。> D-1411: 気味が悪いな。へんな感覚だ — 感覚? <D-1411は感覚を意識する。> D-1411: ゆっくりと真上に引っ張り上げられている感じがする。 <D-1411は数秒間もがき、上昇に抵抗しようとするが、実際には身体は存在しないため失敗する。> D-1411: 体がないみたいな — ないのか。 <D-1411は身体を意識しようとするが、成功しない。数十秒間の試みののち、D-1411は実際には存在しない目を開く。> D-1411: しめた! 光だ。何かが光ってる。大きくなって — <D-1411の視界で格子状の模様がぼやけて見えている。> D-1411: なんだ、あれ。窓? 天井? <D-1411が景色に近づこうと試みる。> D-1411: いま、上を向いている感じがする。浮いて — 落ちる。 <D-1411の視界の景色が消失し、D-1411が覚醒する。> |
«転写終了» |
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/01/A-1 |
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以下は転写ログ01/A-1の再開です。 |
«転写再開» |
D-1411: <呻き声> ブライト博士: さて、上手くいったかな? D-1411: 博士? ブライト博士: これは — 失敗だったみたいだ。 D-1411: ま、待て! 見たんだ、たしかに見た。何か、白い何かを — ブライト博士: <間> いったん確認してみよう。 <ブライト博士がD-1411の拘束を解除し、デバイスを操作してISICの送信ログを確認する。その間、D-1411は着用しているカバーオールのチャックを慌てた様子で下ろし、下着のなかを探る。> D-1411: ああ — よかった。 <ブライト博士が確認したログには、実際の経過時間と明らかに矛盾する長さの体験的描写が記録されている。> ブライト博士: なんと — でかしたぞ、D-1411。 D-1411: <チャックを上げながら、鼻を鳴らす。> <ブライト博士はさらなる記録のため、D-2566, D-3153にも同様の実験を行う。> <簡潔のため省略。> |
後文: 対象は打撃ののち、0.036秒間のみEE-3222を経験していたことが意識レベルチェックのデータから判明した。このことは実際の経過時間と相違しないと判断された。ISICは2分2秒にわたる体験的描写を記録していた。 |
«転写終了» |
実験ログB |
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被験者: D-2566 |
得られた視覚データ: |
結果: 対象は打撃ののち、およそ3分間失神した。このうち、SCP-3222-JPとの相互作用は最初の0.012秒間のみに発生していたが、ISICは45秒間の体験的描写を記録していた。実験ログAで観察されたSCP-3222-JPの視覚的描写とは明らかに異なる外観が観察された。 |
備考: N/A |
実験ログC |
被験者: D-3153 |
得られた視覚データ: |
結果: 対象は打撃ののち、0.052秒間のみSCP-3222-JPと相互作用した。ISICは2分4秒にわたる体験的描写を記録していた。実験ログA・Bで観察されたSCP-3222-JPの視覚的描写のどちらとも異なる外観が観察された。 |
備考: SCP-3222-JPの外観について、観測ごとの変化や被験者による変化などの要因を考慮しつつ実験を継続するべきである。 実験の最中、極度の緊張による挙睾筋反射に起因すると思われる睾丸の移動により、D-3153の左睾丸が射出棒とわずかに接触した。D-3153は苦痛を訴えたが、医療班によって異常なしと診断されたのちに実験は続行された。睾丸の拘束を検討中。 |
[9件のエントリを省略] |
後文: SCP-3222-JPの外観は、観察ごとに多少の差異が見受けられたものの、被験者に依拠して変化することが判明した。それぞれ計4回ずつの結果から、D-3153の観察による視覚的データが最も鮮明にSCP-3222-JPを記録している可能性が高いと判断された。 SCP-3222-JPは依然として能動的な性質を見せず、収容クラスはEuclid相当であると見積もられている。さらなる実験ののちに、分類委員会が正式な評価を決定する予定である。 D-1411の右睾丸は実験中に損傷した。実験の進行に支障はないと判断されたため、D-1411の実験への参加は継続される。 今後の実験は、より一般的な体外離脱への応用を目標として実施される予定である。 |
補遺終了
インシデントレポート
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/13 |
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前文: 以下は、19██/██/██に発生したカオス・インサージェンシーによる大規模襲撃の際に記録された映像資料のうち、SCP-3222-JP研究に関連するログの主要な部分の転写です。結果的に、KICCBACKプログラムの研究部は襲撃の鎮圧に多大な貢献をもたらしたと判断されています。 |
場所: サイト-19 実験セクション 通路 [14:02] カメラには実験室へ向かう研究部一行 (ブライト博士, D-1411, D-2566, D-3153) が映っている。サイト内警報が発令され、一行は最寄りの実験室を目指して走り出す。 [14:03] 一行がインサージェンシーの部隊と遭遇する。一行は進路を変更して走る。 |
場所: サイト-19 実験セクション 通路 [14:03] 襲撃部隊はDクラス職員たちを無視してブライト博士に対し発砲を繰り返すが、命中しない。ブライト博士が拳銃で応戦しつつ、実験室に近づく。D-3153が実験室の扉で銃弾を防御し、他のメンバーを誘導する。一行は実験室に駆け込む。しかしながら、背後から接近してきた別の襲撃部隊の発砲が扉に跳弾し、ブライト博士とD-3153が被弾する。ブライト博士は即死し、D-3153は腹部を負傷する。 [14:04] D-3153がブライト博士の死体を押し込みつつ実験室に飛び込み、扉を閉じる。 |
場所: サイト-19 実験セクション 実験室C <D-1411がD-3153を受け止め、D-2566が施錠する。D-3153は壁にもたれて座り込む。> D-3153: <息切れ> いてえ。<呻く。> <D-1411とD-2566が室内の設備や器具を用いてバリケードを設置する。室外から襲撃部隊がドアを叩いている。> D-1411: マズいな。 <D-1411が室内を見渡し、ブライト博士の死体を見下ろす。> D-1411: 何かないか? <ブライト博士の懐を探る。> D-2566: 出血の具合はどうだ? D-3153: 酷くはないけど、放置したらまずそうかもな。 D-1411: おい、コレ — <D-1411が布でくるまれたSCP-963を発見する。> D-2566: どうするんだ? <録音上の沈黙。> D-3153: 僕にくれ。博士を復活させよう。 D-2566: お前、でも — D-3153: 全員死ぬよりマシだ。僕のことはいい。怪我だってしてる。 D-1411: 本気だな。 D-3153: 当然。 D-1411: <間> ありがとう。 <目をつぶる。> <D-1411がD-3153にSCP-963を押し付ける。> D-1411: <間> 畜生。 D-3153 (ブライト博士): おい、何があった!? <録音上の沈黙。> ああ、そうか。クソ。 D-1411: 博士、俺たちにはあんただけが頼りだ。俺たちは何でもするから、どうにかする方法を考えてきてくれ。 <レーザートーチによってドアが切断され始める。> <D-1411がD-2566に目配せする。D-2566が頷き、D-3153 (ブライト博士) の背後に立って肩と脚を押さえる。> D-3153 (ブライト博士): 何する気だ!? よせ、このボディは怪我してるんだぞ! D-1411: 気張りな! (Take it easy!) <D-1411がブライト博士の股間を蹴る。> D-3153 (ブライト博士): <痛みによる絶叫> D-1411: <蹴り続けながら> それと! おまけに! 俺の! 金玉の! 復讐 (revenge) だ! D-3153 (ブライト博士): <痛みによる絶叫> |
場所: SCP-3222-JP ブライト博士: <絶叫> あぁ!? これは — なんだ、金玉だらけだ! <ISICからの記録には何も映っていない。> ブライト博士: いや、球状の — 何なんだ? <データなし> ブライト博士: まさか — <データなし> ブライト博士: 外側にいるのか? <データなし> ブライト博士: おいおい、これはまさに考えに来たというわけだ! 考えるどころじゃないぞ! |
場所: サイト-19 実験セクション 通路 [14:07] 実験室Cの扉を切断している襲撃部隊の工作員が頭部を押さえて苦しみ始める。直後、工作員は頭部のさまざまな開口部から激しく出血して死亡する。ほぼ同時に周囲の工作員たちも同様に死亡する。 |
場所: SCP-3222-JP ブライト博士: ハハハ! でたらめだ、無茶苦茶だ! |
場所: サイト-19 全体 [14:07] 全ての襲撃部隊が上記と同様にして死亡する。 |
場所: サイト-19 実験セクション 実験室C D-3153 (ブライト博士): 待て! <D-1411は制止を無視してさらに一度蹴る。> D-3153 (ブライト博士): <叫ぶ。> 待て! もういい! D-2566: アッ!? <D-2566がトーチが空けた扉の穴の反対側の異変に気付き、D-1411を制止する。> D-1411: 博士、どうだ!? D-3153 (ブライト博士): <えずく> 終わったよ、たぶんな。 D-1411: 何をすれば — なんだって? <D-3153 (ブライト博士) は着用しているカバーオールのチャックをやや手間取りながら慌てて下ろし、下着のなかを探る。> D-3153 (ブライト博士): <絶叫> D-1411: 大丈夫か? |
後文: カオス・インサージェンシーによる襲撃はわずか8分で鎮圧され、死者2名、負傷者12名、被害総額は9千ドルに留められました。 以下はミーム的再構築によって復号されたブライト博士によるSCP-3222-JPの観察です。 |
補遺終了
エピローグ
音声映像転写ログ KICCBACK/3222JP/E |
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場所: サイト-19 人事局オフィス 日時: 19██/██/██ 参加者:
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«転写開始» |
<ブライト博士が執務机で作業している。出入り口のすりガラスの向こう側に人影が現れ、ドアをノックする。ブライト博士が顔を上げ返答する。> ブライト博士: 入ってくれ。 <████博士が入室する。> ████博士: ブライト、3222についてだが — ブライト博士: ああ、今回のことだね。正式に説明する前に、少し付き合ってくれるかい。 <████博士は首肯する。> ブライト博士: 手短に説明するなら、あれはまさに思考そのものだったと思うよ。あの空間には無数の思考が詰まっていて — イメージとしてはノウアスフィアに近いが、それほど完全ではない。私も含めたここら一帯の大勢の思考の集合体を、私は自分の思考から飛び出して俯瞰することができていた。 ████博士: つまり、当時のサイト-19の職員や襲撃部隊らということか? ブライト博士: その通りだ。私はやつらの思考に潜り込んで、内側から破壊することができた。結果があのザマといったところだろう。 ████博士: 実験のときにはなぜそのようなことは起こらなかったんだ? ブライト博士: <間> これはただの推測だが、私のように異常な精神の増強を施されていない者にとっては、あそこは取るに足らない不鮮明な世界だったと思う。Dクラスたちもそうだが、ISICもあの空間をきちんと認識することはできていなかったのがそう考える理由だ。 ████博士: では、潜在的な危険性を考慮しても、安全であるといえるだろうか。 ブライト博士: 調べようがないとも思うが、あれにアクセスすること自体が難しい — 狙って起こそうとしてもうまくいくことのほうがよっぽど少なかったからな。そこで自由にして回るのはさらに、と考えれば、まあ、安全だろう。私の判断ではな。 ████博士: わかった。まあ、私だけでなく、委員会にもそう伝えてやってくれ。それと、今日はいくつか知らせがあってきたんだ。 ブライト博士: ふむ。 ████博士: いい知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい? ブライト博士: <間> いい知らせから。 ████博士: よし。まず、検査の結果、君の新しいボディの睾丸は無事だったとわかったよ。 ブライト博士: <歓喜の声を上げ、ガッツポーズをする。> で、悪い知らせというのは? ████博士: 無事なのは片方だけだ。 ブライト博士: [罵倒] |
«転写終了» |
SCP-3222-JP
WRITTEN BY iti119