アイテム番号: SCP-3223-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3223-JPは非異常のヒト死体と同等の振る舞いを呈します。ヒト死体としての標準サンプルをアーカイブしたのちに通常の方法で処分可能です。
SCP-3223-JPの出現事象は一般社会において非異常の死体遺棄事件と同等に扱われています。ヴェール維持のため捜査機関および報道機関に適宜介入してください。SCP-3223-JPの隠匿・遺棄に関与した人物については、必要に応じて適切なカバーストーリーを適用の上保護し、その身辺を調査してください。
説明: SCP-3223-JPは性行為の最中に出現する、頸部で切断されたヒト(Homo sapiens)の頭部です。現在までに当事者を特定できた事例が3件、遺棄されたと思われるオブジェクトを確保した実例が16件確認されています。
当事者は出現時の様相について、行為中にSCP-3223-JPを抱えていることに気がついたと証言しています。出現した直後のSCP-3223-JPには生命の徴候があり、瞬目や嘔吐反射様の痙攣があったものの、声帯や呼吸器は機能せず、発声を行うことはありません。したがって出現時には生理的機能を備えているものと考えられますが、意識の有無は不明です。出現後程なくして頸部断面からの出血および髄液の流出のため死亡しています。病理解剖による死因は出血に伴う循環血液量減少性ショック及び著しい脳圧の低下に伴う脳挫傷と診断されています。
SCP-3223-JPは双方の当事者と面識のある人物に一致する容貌を呈します。容貌の一致する人物に対する調査がなされましたが影響は認められず、SCP-3223-JPとの間に容貌を除く関連はないものと結論づけられています。髪型やピアスなどの装飾品は一致している一方で、歯の治療痕はなく、DNAについては全てのSCP-3223-JP実例が同一の塩基配列を示します。なお、これによる身元の特定には成功していません。
SCP-3223-JPはそれ自体に異常な特性を示さず、非異常のヒト頭部と同等の振る舞いを見せるのみです。条件を揃えたヒト頭部を対照群とした二重盲検式ミーム曝露試験でも群間に優位差は見られませんでした。当事者は共謀してSCP-3223-JPを隠匿または遺棄していますが、これは性行為中のヒト頭部の出現というイベントに対する反応として正常性を逸脱したものではないと推測されています。以下はSCP-3223-JP発生事例記録の抜粋です。
当事者: 江口 真也(24歳男性)、中島 あやか(23歳女性)
回収: 発生当時中島氏が居住していた集合住宅の居室。異臭を感じた近隣住民からの通報により発見、回収された。カバーストーリー:“放置された飼い猫の死骸”を適用した。
備考: 居室に生活の痕跡はなく、オブジェクトは床下収納のスペースにタオルで包まれた状態で放置されていた。事象の発生を機に中島氏は現場である自宅での生活に不安を感じ、江口氏の居宅で生活するようになっていた。
当事者: 根本 康平 (37歳男性)、保坂 由香里(34歳女性)
回収: 両名が利用した宿泊施設の職員が浴室に放棄されているオブジェクトを発見、警察に通報された。事象の完全な隠匿には及ばなかったため、法的手続きに介入する形で収束を図った。
備考:オブジェクトの容貌は根本氏の妻である根本 聡美に一致していた。財団の介入により嫌疑不十分として不起訴となったものの、その過程で両名の不貞関係が明らかとなり、のちに根本夫妻は離婚した。
当事者: 鈴木 啓太(20歳男性)、榎本 依奈(20歳女性)
回収場所: ██市の山中に遺棄されていた。偶発的にオブジェクトを発見した近隣住民の通報により回収された。
備考: オブジェクトは防水性の手提げ鞄に入れた状態で遺棄されていた。この鞄は事例発生の4日前に榎本氏が購入したものであることが明らかになっている。なお、榎本氏は鞄を購入したことは記憶しているものの、購入した理由については説明ができなかった。
榎本氏は事象の発生前に遺棄を準備していたかのような行動をとっており、SCP-3223-JPの出現を予見していた可能性が示唆されます。一方で、財団の取り得た手段による調査では榎本氏はSCP-3223-JPの出現に関する情報を一切保持していないものと結論づけられました。これについて未知の異常性の関与が疑われ、同氏への追加調査が行われています。詳細は補遺を参照してください。
補遺: SCP-3223-JPの隠匿に関与した人物である榎本 依奈のスマートフォンから、“Entertainment & Enterprise社”のものと見られるWebサイトへのアクセス履歴が確認されました。なお、榎本氏は当該のWebサイトおよびサービスについての記憶も保持していませんでした。以下はそのWeb広告の書き起こしです。
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上記の広告にリンクされたページにもアクセス履歴が確認されています。当該のページにはサービスの利用に伴ってSCP-3223-JPが出現する旨とともに、これを処理して死体遺棄の共犯関係を作ることにより、“禁断の関係”を構築できるとして、種々の効用が謳われていました。
“選択的健忘システム”については、SCP-3223-JPについての記憶を消去することで刑事訴追などのリスクを低減しつつ、死体遺棄に必要な記憶は保たれるよう調整していると説明されています。加えてシステムの影響下でオブジェクトを秘密裏に遺棄するための方法論についても紹介されていました。
以上を受け、SCP-3223-JP出現事例の当事者の追加調査及び再捜索が計画されています。









