SCP-3226-JP
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アイテム番号: SCP-3226-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 青波市立 羽雲高等学校にエージェントを潜入させ、SCP-3226-JPを監視してください。

羽雲高等学校への新規入学および転入、編入を阻止する目的で学級充溢状態が維持されています。在学する生徒数を可能な限り維持するよう内外から働きかけてください。生徒の保護者が死亡する、または就労継続が困難となるなどして通学や学費納入が不可能となった場合、生活面、資金面を含む援助を行ってください。

倫理的に許容可能な手段で生徒の処遇を誘導する研究が収容業務に並行して行われています。

説明: SCP-3226-JPは青波市立 羽雲高等学校で開催される文化祭(通称:翼青祭)です。SCP-3226-JPは前日2日間の準備・設営期間を経て金曜日から日曜日の3日間開催されます。これは日曜日の夜間に開催される後夜祭を除いて一般に公開されます。月曜日に撤収作業が行われ、火曜日は振り替え休日となります。

SCP-3226-JPの異常性はこれが毎週開催される点にあります。羽雲高等学校の校規に対し官僚災害1をもたらすものと見られており、教員、生徒、近隣住民や教育委員会などを含む関係者はSCP-3226-JPの開催日程にさしたる疑問を抱いていません。財団の介入による日程是正の試みは成功していません。また、羽雲高等学校に対し、生徒の転校、校則の改定、廃校や統廃合などを誘導する試みも不明な理由で不成功に終わっています。

資材の撤収と設営を反復する極めて非効率的な開催日程にもかかわらず、SCP-3226-JPは問題なく開催・運営されます。SCP-3226-JPの運営は高度に洗練されてはいるものの、観察上非異常の範囲を逸脱しません。これは頻繁に開催されるSCP-3226-JPに生徒が順応した結果であるものと評価されています。

SCP-3226-JPの運営予算は主に模擬店の売り上げから拠出されています。収支報告に不審な点は見られず、一般的な高校文化祭の収支を逸脱しません。模擬店は生徒の希望によって編成され、SCP-3226-JPの開催毎に異なりますが、フランクフルト、かき氷、ベビーカステラ、綿飴など、見込まれる利益率の高い店舗の運営希望者が不在の場合、文化祭実行委員会によって運営が継続されることがあります。

SCP-3226-JP開催中も、次回以降の開催に関する運営会議が並行して行われます。うち一部(模擬店出店位置の抽選会、企画会議、文化祭テーマの公募など)はステージイベントとしても公開されています。以下はSCP-3226-JPに特徴的なイベント、展示についての覚え書きです。

¥翼青祭の虎

文化祭実行委員会主催の公開企画会議イベント。

志願者が会計委員に対して主催したいイベント、模擬店のコンセプト、運営計画についてのプレゼンテーションを行い出資の可否を決定する。

日本テレビ系列のリアリティ番組、「¥マネーの虎」(2001-2004)に準じた構成で行われる。「マネー成立」となった場合は実際にイベント、模擬店の開催が許可される。

模擬店の運営が落ち着く16時以降に開催されることが多いにも関わらず、プレゼンテーションの話題性の高さや実際の企画会議を公開するリアリティから評価が高く、名物企画となっている。

羽雲学園 ダーツのたび

模擬店出店の抽選会を兼ねたイベント。次期開催の模擬店の代表者が出場し、ルーレットによって出店位置の抽選を行う。

最初期の1回のみ、校舎地図にダーツを投げて当たった位置での出店を決定するという形式2で行われたが、あまりに非効率的な店舗配置3となったことから次回以降は出店候補位置を示したルーレットにダーツを投げる形式となった。以後、ダーツ投擲時に観客が「パジェロ4!、パジェロ!」と掛け声をかけることが恒例となった。

第1274回翼青祭において投げられたダーツが観客席の方向に飛ぶインシデントが発生したことをきっかけに、ダーツの投擲は禁止となり、ルーレットのみの抽選となったが、イベント名および「パジェロ」のコールは文化として残存している。

防災避難訓練

学校保健安全法に基づき実施される。当初は一般公開日となる金〜日曜日を避けて実施されていたが、第852回、2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災を機に、開催期間中の避難訓練の必要性が議論された。第900回での試験的な実施以降、不定期に開催期間中の訓練が実施されている。

当該イベントは一般参加者の避難誘導を含む訓練として実施される。一般社会における有事避難誘導のモデルケースとして財団の研究対象となっており、教職員として潜入するエージェントらによって指導、監督、記録研究がなされている。

SCP-3226-JPは羽雲高等学校に教職員として潜伏するエージェントによって調査・記録されています。以下は第1482回現地調査記録からの抜粋です。

第1482回 翼青祭 現地調査記録(1日目抜粋)

9:00 一般入場開始。この時点での入場希望者は約220名。食品販売16店舗の開店準備が並行して進む。屋外気温は25℃前後だが、模擬店が設営される敷地内通路周辺は鉄板の加熱により平均29℃を示した。

11:06 体育館ステージで合唱部がEminemの「Rap god」を斉唱する。部員17名による斉唱であったにもかかわらずラップパートまで明瞭に聞き取り可能であった。合唱部顧問として潜伏するエージェント・蓮見は合唱部の練習時の音声記録を財団に提出し、当該イベントが異常事象ではなく“部員の練習の成果”であると報告している。

13:42 模擬店 「暗黒たこ焼き舞踏会」にて、通常のたこ焼きが完売。同店舗で販売されていた種々の変わり種たこ焼きのうち、「ちくわ」「トマト」「梅干し」「マシュマロ」「つぶあん」が過剰在庫となる見込み。複数種のたこ焼きを混在させたメニューである「ランダム」を2皿100円に値下げしての販売が開始される。

15:17 2年C組クラス模擬店、「正装喫茶“To see”」において、主担任として潜伏するエージェント・田代を模したダンボール製の胸像5の頭部が偶発的に破損、脱落する。2年C組山下俊文氏が平面状に切り開いた頭部パーツを黒板に掲示したところ、居合わせた戸塚史彦教員(非財団職員)より強く叱責を受ける。エージェント・田代の介入により仲裁される。

16:20 体育館ステージイベント、「ミス羽雲 女装部門」で1年B組 高柳俊哉氏が優勝し、50連覇を達成。女装部門において同氏の殿堂入りが宣言される。

17:00 一般公開終了。2日目に向けた準備および撤収が滞りなく進行し、18:00には資材の保全作業が完了。校門が閉扉される。

SCP-3226-JPは経済的にはほぼ自立して運営されています。この要因には文化祭実行委員会の習熟に加え、校内開催のため家賃支出が不要であること、SCP-3226-JPにおける経済活動に関しては非課税となっていることが挙げられます。これは表面的には一般的な高校文化祭と同様6ですが、SCP-3226-JPはその開催頻度から収益事業として認定される可能性が高いものと見られます。この点が国税局の指摘を免れている背景にオブジェクトの官僚災害的振る舞いが関与しているかは不明です。

補遺: SCP-3226-JPの影響により、羽雲高等学校に所属する生徒は卒業に必要な授業単位を取得できていません。異常性が初めて確認された1995年度以降、全ての生徒が原級留置7を反復していますが、これは当人の責に帰さない事由によるもののため退学処分の対象になりません8。当該の原級留置によって学級あたりの生徒数が充溢状態となりました。文部科学省に定める高等学校の学級編成基準に抵触するとして、1996年度以降、新入生の入学は停止されています。

2025年現在、羽雲高等学校に在籍する生徒の平均年齢はおよそ47歳です。

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