SCP-3241-JP

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AnomalocarisFossil

休眠状態のSCP-3241-JP

アイテム番号: SCP-3241-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 実験時を除き、SCP-3241-JPが高濃度の霊素1へ曝露することのないようにしてください。Nx-54("四十八町")2をはじめとする高霊素環境の発生するリスクの高い区域への持ち込みは原則として禁止されます。

SCP-3241-JPに該当する標本の大半は一般社会において管理されています。博物学的な特性上、これらの保護は一般社会の各施設に委任されます。一般社会においてSCP-3241-JPが活性化条件を満たす可能性は極めて低いと考えられていますが、有事に備えてSCP-3241-JPの保管されている施設及び、バージェス山、澄江化石遺址などの未発見のSCP-3241-JPが存在しうる地域の環境中霊素濃度をモニタリングしてください。

説明: SCP-3241-JPは、アノマロカリス(Anomalocaris canadensis)の化石標本です。SCP-3241-JPは霊素濃度が高い環境に曝露されることで異常性を発現します。

高霊素環境におけるSCP-3241-JPの周囲ではエクトプラズム3流が発生し、SCP-3241-JP内部に流入する様子が観測されます。霊素の流入によりSCP-3241-JP内部の霊素濃度がMorrisモリス4にしておよそ100Mrrモールを超えた段階で活性化し、その化石の復元像に近い形態へと変化します。著しい欠損や損壊を認める実例は正常な形態・機能を維持できず、それ以上の異常性を発現しませんが、ある程度の欠損については流入したエクトプラズムにより補完され、部分的なクラスA霊的実体5としてその機能を代替します。その性質上、標本の損壊の度合いに応じて活性化に必要なエクトプラズムは増加します。

活性状態のSCP-3241-JPは、騒霊現象ポルターガイストに類似した機序で外骨格生物のそれに準じた柔軟な運動が可能になります。高霊素環境中においては浮揚し、多数の鰭を用いてオニイトマキエイ(Mobula birostris)やコウイカ(Acanthosepion esculentum)の遊泳に類似した自在な空中遊泳が可能です。活動中のSCP-3241-JPは正の霊素走性を示し、高いMorris値を示す環境に向かって遊泳する傾向にあります。また、周囲の霊素やエクトプラズムを前部付属肢および口錐を用いて収拾・吸引する行動が観察されます。

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A. canadensisの復元像。活性時のSCP-3241-JPとは相違がある点に留意してください。

SCP-3241-JPの活動は高霊素環境に依存しており、霊素濃度が低下した環境では浮揚・遊泳を行えなくなります。関節の駆動は可能ですが、一般的な自然環境と同程度の低霊素環境に曝露された場合、およそ30分で全ての活動を停止し、休眠状態に入ります。休眠状態が維持されている限り、非異常の化石と同等の外見、性質を保ちます。

補遺: 蔵元式霊話コンバータ6を使用したSCP-3241-JPへのインタビューが試行されました。インタビューは高霊素環境を再現したクラス1亡霊収容庫内で行われました。以下はその映像記録です。

__ SCP-3241-JP— 対話実験ログ__
20██/██/██ — 10:32 am

対象: SCP-3241-JP

質問者: 深澄みすみ 神門みかど研究員

前書: 今回の対話実験の対象となったSCP-3241-JPは、前部付属肢の化石標本から活性化された実例です。活性化時に計測された体長は約32cmでした。

深澄研究員は、このインタビューがカンブリア紀の生物と人類との初めての対話になることを期して、充分な異文化コミュニケーション訓練を行った上でインタビューに臨んでいます。

<再生開始>

深澄研究員: はじめまして。私たちは、貴方たちの時代から、およそ5億年が経過した、未来の世界の住人です。貴方との、友好的な対話を望んでいます!

コンバータを介した音声: え?え?待ってください。5億年?そんなに経ったんですか?

深澄研究員: 貴方が混乱する気持ちは、分かります。しかし、私たちには、ここでの貴方の生活を、サポートする準備があります。

音声: ……それはありがたいんですけど、えっと。

深澄研究員: いいですよ、なんでもおっしゃってください。可能な範囲であればお応えします!

音声: わたし、実は、なんというか、もう死んでるんですよ。

深澄研究員: …分かりました。ご説明します!私たちは、化石として眠っていた貴方を発掘し、奇跡的とも言える偶然と、最新の技術によってこうしてめぐり逢ったのです!

音声: 化石!?わたし化石になってたんですか?それはおかしいですよ。

深澄研究員: ああそうか、失礼しました。貴方の時代には化石はなかったはずですよね。カセキ、というのは……

音声: 化石は知ってますよ。でもおかしいですよ!わたしの骨はとっくに火葬されて骨壺の中ですし、そこにわたしはいませんよ!だから化石として眠ってなんかいません!

[約7秒の沈黙]

深澄研究員: 骨?……なんか変ですね?

音声: ……話が噛み合ってませんよね?

深澄研究員: えっと、何か覚えていることはありますか?このインタビューより前のことで。

音声: そうですね。うーん。あのときは今ほどはっきりした意識があったわけじゃなくて…。でも吸い込まれたんですよ。なんか、空飛ぶイカ?エビ?みたいなものに。それで閉じ込められちゃって。

深澄研究員: ……つまり、貴方は現代の幽霊の方で、SCP-3241-JP、このアノマロカリスの化石に吸い込まれたまま出られずにいる、と?

音声: アノマロ?……多分、それであってます。えっと。内藤晴美、享年52です…。びっくりした…。5億年とか言うから……。

深澄研究員: なるほど………。[嘆息]すみません、驚きましたよね。

内藤氏: こちらこそ、すいません。なんというか、ご期待に添えなくて…。

深澄研究員: いえ、内藤さんが気にすることでは…。なんとか出る方法を考えないといけませんね。

内藤氏: そうだった。そうなんです。ここから出してください!

[SCP-3241-JPの複眼が霊的発光を呈する。コンバータより明らかに内藤氏の発言とは異なる文章が音声出力される。]

音声: 回収物資内に有意な意味構造を検知。意味構造より原始的知性実体の活動および脱出の意図を確認。回収した対話サンプルから言語構成および対話媒体の解析完了。対話を試行します。
[間]
緊急脱出用シークエンスを起動しますか?

内藤氏: えっ?緊急?何が起きてるんですか?大丈夫なんですか?

音声: 言語構造の同期に成功。疎通にはやや難渋。意味構造への対話表現レベルを修正します。
[間]
ここは、きけんでは、ありません。あなたは、そとに、でたいですか?

内藤氏: あ!そうです!それです!外に出たいです!出してください!

音声: 疎通に成功。起動要請を受理。緊急脱出用シークエンスを起動します。
[間]
あなたを、そとに、だしてあげます。なるべく、とまって、いてください。

[SCP-3241-JPの肛門管より、半裸の中年男性に見える霊的実体が多量のエクトプラズムとともに排泄される。]

深澄研究員: うわぁ………。

[排泄された半裸の霊的実体はエクトプラズムに足を滑らせ、咳き込みながらも起き上がる]

深澄研究員: えっと……あなたが内藤さんで間違いないですか?

内藤氏: はい……なんとか助かりました。ありがとうございます。

[内藤氏は保安職員により別室に誘導される。]

<チャプター終了>

インタビューの冒頭で応答したのは内藤晴美氏であったことが確認されました。インタビュー対象となったSCP-3241-JP実例はインタビューの3日前の起動実験に使用した例であり、内藤氏はこの実験時にSCP-3241-JPに吸引されたエクトプラズムに混入していたものと考えられています。内藤氏は高霊素環境への曝露により一時的に作用力の上昇をきたしていましたが、観察期間中にその影響は問題なく漸減し、一般的な霊的実体を逸脱しない水準で安定したため、サイト-81UO内で保護されています。

内藤氏が排泄された事象に先んじて蔵元式霊話コンバータが出力した音声は、SCP-3241-JPの複眼部の霊的発光のパターンから生成したものであることがその場で確認されました。出力音声の内容がSCP-3241-JPの活動に連動していることは自明であったため、この出力音声を対象にインタビューが継続されました。

<再生開始>

深澄研究員: インタビューを再開します。私の声は聞こえていますか?

音声: 対話継続の要請を受理。対象は物資内に混入した原始的知性実体に類似する意味構造と仮定しました。
[間]
はい。きこえています。さきほどの、はなしも、わかっています。あなたは、“友好的な対話”を、おのぞみですね?わたしも、そうしたいと、おもっていて、そうすることが、できます。

深澄研究員: ありがとうございます。私は、物質的な身体の構造に依存した「肉体」と、非物質的な「霊素」からなる構造である「魂」をもつ「生命体」です。貴方が「物資内に混入した原始知性実体」と呼んだ彼は、もとは私と同じく「生命体」でしたが、いまは違います。物質的な構造が保てなくなり、「魂」と「霊素」だけの存在、「幽霊」になっています。よろしければ、貴方のことについて教えてください。

音声: 疎通に成功。対象の情報を更新。開示した思考ログへの言及あり。対話表現レベルを修正します。
[間]
私は、あなた方が「空飛ぶイカエビ」「SCP-3241-JP」「アノマロカリスの化石」と呼んだ存在、およびその駆動システムで、対話型汎用インターフェイスを介して意思疎通を行っています。基本的には物質的な構造に依存していますが、「霊素」を活動資源として運用しています。これを応用し、構造の欠損を部分的に「幽霊」として補完する機能を備えています。私を「生命体」と定義するかはあなた達にお任せします。

深澄研究員: ありがとうございます。次に、私たちの言葉が使える理由とそのプロセスを教えてください。

SCP-3241-JP: 私は回収した物資の構造を解析する機能を備えています。あなたと「内藤さん」との対話をサンプルとして、内藤さんの構造中の意味構造を解析し、言語構成を再現しました。発光パターンを気体の振動に変換するシステム7をお持ちのようでしたので、光子授受ユニット8を介して発光パターンを再現し、その先の変換はそちらのシステムにお任せしています。お望みであれば、操舵翼を用いて気体振動による発話を試行することもできます。

深澄研究員: それは興味深いですね。試行して頂いてもよろしいですか?

SCP-3241-JP: 要請を受理。意味構造から気体振動パターンを生成します。

[SCP-3241-JPは尾扇を振動させ、30dbデシベル程度の音波を発生させる。]

SCP-3241-JPの生成した音声: 聞こえていますか?9・聞こえ・確認要請。振動・小さい。要因・物質的構造・差異。言語・選択・少ない。要因・あなたがたのシステム・言語・変換・依存。

深澄研究員: ありがとうございます!たしかに音量……振幅は小さいですが、ちゃんと聞こえました。

SCP-3241-JP: 試行プロセスを終了。発光パターン生成を再開します。
[間]
ある程度うまくいきました。音量については私の物質的な構造によるところが大きそうですね。「幽霊」による補完システムを応用すれば反響構造を形成してある程度改善できそうです。語彙の少なさはこちらで収集したサンプルの不足によるものだと思います。発光パターン生成ならあなた方のシステムに語彙を補完してもらえるので、この方式での意思疎通継続を推奨します。

深澄研究員: ありがとうございます。それでは質問を続けます。あなたの行動の理念を教えてください。

SCP-3241-JP: はい。我々は“魂を持つ生命体の根絶”を最終目的として、『人間』によって作られました。

深澄研究員: …人間!?……失礼しました。私たち人間が貴方たちを作ったということですか?しかも、“魂を持つ生命体の根絶”を目的として?どうして……。

SCP-3241-JP: いいえ、我々を作ったのは、あなた方ではなく『人間』です。あなた方は『人間』ではありません。

深澄研究員: ……つまり、貴方の指す『人間』というのは私たちのことではないということですか。

SCP-3241-JP: 私はあなたを、そう自称された通り、“魂を持つ生命体”であると暫定しています。従って非物質的存在である『人間』とは異なる存在であると推論します。

深澄研究員: 状況は分かりました。実は、「人間」という語は、生命体である私たちを指す分類名のひとつとしても使われる単語なんです。翻訳システムを調整するので、少々お時間をいただいても?

SCP-3241-JP: 問題ありません。待つことには慣れていますので。

<チャプター終了>

蔵元式霊話コンバータの動作ログを確認した結果、SCP-3241-JPが出力した霊的発光パターンは、大まかには「付喪神実体の言及するところの“造物主”」「文明の支配種」「一人称的種族名辞10」などのニュアンスを含んだものであり、これらを満たす訳語として「人間」が訳出されたことが判明しました。

このこととこれまでの言動を総合し、SCP-3241-JPはなんらかの先史文明と呼べる存在によって作成されたものであると推定されました。インタビューの継続にあたってコンバータを調整し、この存在に『先史文明』の訳語を暫定しました。

<再生開始>

深澄研究員: お待たせしてすみません。インタビューを継続します。貴方たちが作られた目的である、「魂を持つ生命体の根絶」について、その背景を教えてください。

SCP-3241-JP: まずは、「友好的な対話」の根幹を崩しかねない表現で誤解を与えたことをお詫びします。霊素が枯渇し、魂をもつ生命体に溢れた現在の地球環境から見ても『先史文明』が私を作成した目的は失敗に終わったことは明白です。『先史文明』の去った現在においてその目的を果たす理由はありません。また霊素なしでは活動できない私の戦力ではその遂行ができないことも自明です。これにつけて、あなた方との友好的な関係を維持することが最優先事項であるということも申し添えておきます。

深澄研究員: ご配慮に感謝します。

SCP-3241-JP: お答えに戻りましょう。かつて、地球は現在よりはるかに霊素に富んだ環境にありました。『先史文明』は霊素を媒介とした、「自己の構造を維持する」機能をもつ情報、あるいはあなた方が「魂」と呼ぶものをより強固にしたような存在の集まりで、環境中に豊富に存在した霊素を資源として、さまざまな機能をもつ情報資源の授受を中心とした知的活動を行っていたのです。

深澄研究員: つまり、5億年前に幽霊たちが文明を築いていた、ということですか。

SCP-3241-JP: 概ねその通りです。『先史文明』は「内藤さん」のような生命体の構造を雛型とした「幽霊」とは異なり、それより遥かに大規模かつ概念的な存在ではありますが、魂を中核とした知性をもつ霊素の集簇であるという点では類似していると言えましょう。

深澄研究員: その『先史文明』が、なぜ“魂をもつ生命体”の根絶を企図したんでしょうか?

SCP-3241-JP: もともと、炭素骨格からなる生命体11は魂を持っていなかったんです。『先史文明』は意味構造の維持には魂の存在が不可欠であると考えていました。しかし、炭素生物は「自己の構造を複製する」性質を持った遺伝子によって情報を保存して物質的な構造を保つことができていました。その振る舞いは「自己の構造を維持する」性質を持った魂とは異なる方法でその機能を果たしており、この機能的な一致は『先史文明』の興味の対象でした。

深澄研究員: 遺伝子だけで自己の構造を保存していた炭素生物がなんらかの理由で魂を獲得し、それが『先史文明』にとっては不都合だった、ということですね?

SCP-3241-JP: その通りです。魂は「自己の構造の維持」を志向する意味構造であり、この志向が強ければ強いほど強力に霊素を誘引するという性質を持っています。

深澄研究員: その性質はわれわれも観測しています。12

SCP-3241-JP: その性質は現在でも炭素生物に継承されているんですね。

深澄研究員:「現在でも」ということは。

SCP-3241-JP: はい。当時から継承されていたということです。炭素生物が魂に類似した構造を獲得し、原始的なかたちではあったものの霊素を誘引・利用しはじめました。初期は炭素生物の霊素誘因能は『先史文明』にとってとるに足らないものでしたが、遺伝子をもつ炭素生物が自己増殖を繰り返すにつれて、『先史文明』が利用していた霊素資源の枯渇が危惧されるまでになりました。

深澄研究員: 話が見えてきました。魂を獲得した炭素生物と『先史文明』との間で霊素資源を巡る生存競争が起きたということですね?

SCP-3241-JP: おっしゃる通りです。そこで『先史文明』のとった戦略は、“魂をもつ炭素生物を可能な限り破壊し、漏出した霊素資源を回収する”というものでした。

深澄研究員: それで、「“魂を持つ生命体”の根絶」を最終目的として、貴方たちが作られた、というわけでしょうか。

SCP-3241-JP: その通りです。中でも私の構造は、硬組織の破壊に適さず耐久性に劣る分、高い機動性と霊素回収容量を両立しています。他の機体の戦闘による破壊で漏出した霊素資源の回収や硬組織に乏しい高機動型炭素生物の破壊・接収が主な任務でした。

深澄研究員: いくつか疑問があります。貴方の物質的な形態、「Anomalocaris canadensisアノマロカリス・カナデンシス」の構造は、炭素生物そのものに見えます。なぜ『先史文明』は炭素生物の根絶に炭素生物を利用したのでしょうか。

SCP-3241-JP: 『先史文明』は非物質的な存在であったため、物質界に対して行うことのできる干渉は霊的発光による小規模な科学反応の修飾に限られていました。そこで、物質界に確かな構造をもつ炭素生物をベースとし、光子授受ユニットを備えた、霊的発光によって制御可能な自律機動ユニットが必要とされ、そのために必要な淘汰圧が炭素生物に加えられたのです。

深澄研究員: ありがとうございます。もうひとつの疑問は、貴方自身も“魂を持つ生命体”であるということについてです。『先史文明』の目的を達成することは貴方たちの存在自体を脅かすことになりませんか?

[16秒間の沈黙]

SCP-3241-JP: …情報処理回路にプロテクトがかかっているようです。論理構造上推論は可能なはずですが、解析ができません。更なる情報を取得するには…

深澄研究員: すぐに解析の試行を中止してください!プロテクトがかかっているということはこれ以上の解析はあなたの魂を危険に晒します!!

[深澄研究員の発言に応じてSCP-3241-JPの複眼部が強く発光する]

SCP-3241-JP:要請を受理。緊急停止コードを起動します。

[SCP-3241-JPは自発的に非活性化し、異常性が発覚する前の化石の形態に変化した。浮揚力は残存しており、降下するSCP-3241-JPを深澄研究員が受け止めた。]

深澄研究員: SCP-3241-JPが『先史文明』によって作られたオブジェクトであるという仮定のもと、『先史文明』によってプロテクトされた情報にSCP-3241-JPがアクセスすることによって、SCP-3241-JPに保存された情報が不可逆的に消去・改変されるようなプログラムが起動する危険性があると判断しました。

オブジェクト保護の観点から、ここでインタビューを終了し、SCP-3241-JPに損傷がないか精査します。

<記録終了>

後書: インタビュー後に行われた検査では、SCP-3241-JPに損傷は見られず、SCP-3241-JPを再度活性化させる試行でも問題なく活性化しました。加えて蔵元式霊話コンバータでの意思疎通も可能で、インタビューの内容も記憶(記録)されていました。

当該インタビューでSCP-3241-JPと友好的に意思疎通が取れたのは、現代の霊的実体である内藤氏との偶発的な接触をはじめとする、倫理的にも確率的にも再現の困難な種々の複合的要因によるものと考えられています。

SCP-3241-JPの保持する情報は『先史文明』の介入を受けている可能性が高い以上、無批判に採択することはできないものの、報告時点では『先史文明』に関する唯一の手掛かりであることから、当該実例との対話が継続されることが予定されています。

以上から、およそ5億年前に霊素を主な資源とする高度な先史文明が存在していた可能性が示唆されました。先史文明の主体は霊素により構成された非物質的な存在であるとされることから、その痕跡の調査は困難が予想されます。一方で、その存在がA. canadensisの進化を方向づけていたとされることから、当時の生態系に『先史文明』の存在が関与していたことが推論されます。

この推論は現段階では信頼性の担保されない前提に基づくものではありますが、少なくともA. canadensisの化石標本であるSCP-3241-JPは霊素との相関性を示しており、この相関性は他の生物種においても検証され、実証的裏付けを蓄積するべきであると提言されています。

これを受け、他の生物化石標本を高霊素環境に曝露する実験が計画されています。ただし、『先史文明』が現行生命に対して敵対的意図を有していた可能性が高いことから、実験対象とする化石標本の選定には慎重な議論が重ねられています。

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