SCP-3243
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SCP-3243が頻繁に訪れるフロリダ・エバーグレーズの一角。

アイテム番号: SCP-3243

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: フロリダ・エバーグレーズ国立野生動物保護区の一角は、民間の慈善運動家が出資した保全活動を装い、財団によって買収されています。SCP-3243が最も頻繁に訪れる領域に研究用のキャビンが設置され、現在は無脊椎動物の生理学を扱った経験がある研究員3名と収容スペシャリスト1名が駐在しています。このキャビンは最寄りの財団サイトから毎月物資の割当を受け取ります。

研究員は保全活動を支援するため、水質と空気質に関する様々な実験を実施すると共に、植物の個体数と健康に関する指標を編纂します。これらの実験報告は、野生動物保護区内で財団職員と偶然遭遇し、私的な活動が行われていることに関心を表明した地元の調査員たちにも閲覧できる状態にします。財団が所有する土地への侵入者は、当該領域の繊細な自然生態系と科学的状態を維持するためという偽装の下に追い返します。

研究員1は毎週2回SCP-3243と面会し、あらゆる交流を入念に記録に残します。SCP-3243の居場所を監視するため、野外カメラが近くの樹木に設置されています。肥料、植物の種、苗木、読書教育のためのカリキュラムといった、SCP-3243の収容に役立つ追加資料は毎週申請できます。

不注意でSCP-3243-1個体を踏み付けないように注意してください。

説明: SCP-3243は体長3m、幅1mの、遺伝的に特異なLimax maximus(マダラコウラナメクジ)の一個体です。SCP-3243は、先端に2本の指と対向性母指を備えた長さ1mの前腕のような付属肢を2本有しており、初歩的な手話で意思疎通が可能です。SCP-3243の眼柄には2つの黒い目があり、どちらも直径5cmです。SCP-3243の体色は外見上の同種と似通った灰色で、腹部には迷彩を可能とする褐色およびクリーム色の斑点があります。

SCP-3243は現在、フロリダ州エバーグレーズを流れるシャーク川の近隣に居住しています。SCP-3243は天然成分を使用した薬品製造の広範な知識を持っており、荒野でのサバイバルに関する様々な側面に精通していることを実証しています — これは財団の介入以前に発生したSCP-3243と民間人(多くの場合、ボートや水泳の事故に巻き込まれた人々)の交流で観察されています。SCP-3243は概して穏やかに振舞い、人間に対して好奇心を抱いているらしく、しばしば水面に浮かんで、通りかかった科学調査組織や環境保護団体の船を遠距離から追跡します。恐らくはその物理形状のために、SCP-3243が普段の休息地点から30m以上移動することは滅多にありません。

SCP-3243の背中の皮膚は、コケや緑色の植物で形成された厚さ6cmの層でほぼ完全に覆われています。SCP-3243の身体の上には複雑な小型植物を中心とする生態系が存在すると考えられており、サンプルからは様々な種の草、シダ、アシが確認されています2。沼地のデトリタスを消費するのに加えて、SCP-3243は背中の光合成植物が排出する新陳代謝の産物からも栄養を得ていると考えられます。

SCP-3243の背中には分解者も存在することが知られています。枯れた植物質が蓄積すると、様々な種のキノコが出現します。これが発生すると、腐敗しつつある植物質は時折動き出し、自律性を有する単純なヒト型の姿を形成して、SCP-3243の世話役や従僕の役目を果たします。SCP-3243-1に指定されるこの小型異常実体には、多様な植物ベースの組成以外に識別要素となる特徴がありません。各SCP-3243-1個体は頭部にキノコの傘を被っていることが注目されています。

SCP-3243-1の寿命は限られているようであり、SCP-3243の粘液を別な部位に再配置する、目を掃除する、SCP-3243の背中の植物を世話する、雑草その他の害となる種を除去するといった作業に取り組みます。SCP-3243-1個体は原始的な“監視”にも従事しており、暫くSCP-3243の下を離れてから帰還すると、パントマイムやSCP-3243が独自に考案したと思われる手話の一種でSCP-3243に報告を行います。[注記: SCP-3243は各実体に特有の手話を割り当てることで、活動状態のSCP-3243-1個体それぞれに命名するという行為を実証しています。さらにSCP-3243は、一部のSCP-3243-1個体に特定の任務のみを与える傾向を示しています。]

背景情報と事案報告:

記録上最初のSCP-3243の目撃は1994年7月23日に発生しました。関与した地元民は、エバーグレーズの“デカくて泳いでる庭”がワニを払いのけ、幼い子供が安全地帯へ逃げるのを助けたと語りました。最初の目撃から数週間で、当該事案に感謝の念を抱いていた子供の家族と好奇心を抱いた知人たちにより、SCP-3243は地元の伝説と見做されるようになりました。民間人が繰り返し実施したSCP-3243発見の試みは決定的な結果を得るに至らず、最終的にその存在は固く守られた秘密となりました。地元コミュニティでは想像上の“モンスター”に対する尊敬がごく平凡な常態と化しました。

この間、財団はSCP-3243が実在する可能性に気付いてはいたものの、SCP-3243が民間人と直接交流した2009年8月4日の事案まで監視や回収試行を行っていませんでした。当該事案中、ベアフット水上スキーを行っていた地元民2名がボートのエンジン故障に見舞われました。水上スキーヤーだった████ ██████(19)は加速のあまりボートを追い越し、むち打ちによって腕を脱臼し、浅瀬との接触時に左脛骨を骨折しました。その後、彼は同伴者の██████ █████████(56)が発見できないほど遠距離へ飛ばされました。

数分後、報告によるとSCP-3243が████ ██████と接触し、無意識の彼を背中に乗せて同伴者のボートに運びました。██████ █████████は治療を求めて速やかに彼を本土に連れ戻し3、地元法執行機関に自身が目撃したものを報告したため、財団の更なる調査が促されました。3ヶ月間の偵察の後、財団工作員はSCP-3243を発見し、収容確立の準備を開始しました。

補遺SCP-3243-1: SCP-3243との接触が最初に確立された際、ハンター・マイルズ博士(2010/04/09に本ケースに割当)は近場に集まっているSCP-3243-1個体群をプロペラ船で追跡し、SCP-3243への接近を試みました。SCP-3243は水上スキーヤーが用いる一般的な手信号を熟知している様子を見せ、はい/いいえ形式の質問に付属肢を使って“大丈夫” “止まれ”のサインを示しました。続く会話の中で、マイルズ博士はSCP-3243が高度な知性と理解力を持っており、人間と近年エバーグレーズ全域で行われている環境保全の努力を関連付けているらしいと断定できました。

マイルズ博士が日報の準備をするためにキャビンに帰還する前に、SCP-3243はプロペラ船の近くへ泳いで移動し、マイルズ博士のIDバッジ、ボート側面の文字、自身を連続して指差しました。更なる会話の後、マイルズ博士はこれを識字教育の要求であると解釈し、SCP-3243に再度訪れることを約束しました。

補遺SCP-3243-2: 2013/12/26現在、SCP-3243の識字能力は著しく急速に発達しており、マイルズ博士に筆記具を要求し始めました。以来、財団は環境に優しい筆記パッドとタッチペンをSCP-3243に提供しており、SCP-3243はこれを背中に保管しています。

最近のSCP-3243との面会で、マイルズ博士は救命胴衣に似たアシ織りの衣服を贈呈されました。アイテムの目的を訊ねられたSCP-3243は身振りでマイルズ博士のIDバッジを指し、筆記パッドに“守る”と記しました。

衣服の分析で、アシの織り模様に組み込まれた異常効果が確認されました(衣服の天然素材自体は非異常のようです)。更なる実験の結果、この胴衣は腐敗に耐性があり、水中で浮力を得られるほど軽量で、恐らく防弾性があると示されています。織り模様と、これを財団で利用するために複製できるか否かの調査が開始されています。

特筆すべき点として、マイルズ博士が“友だちを守る”ために胴衣の作り方を学ぶことに興味を示した時、SCP-3243は即座に興奮を示しました。SCP-3243はその後、SCP-3243-1個体群に指示して背中からアシを抜かせ、予備的な織り模様の構築を実演しました。

サイト管理官シェンベルガーは、SCP-3243を今後訪問するにあたって、誠意と尊敬を表すために常に胴衣を着用したいというマイルズ博士の要請を承認しました。

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