SCP-3248-JP

クレジット

タイトル: SCP-3248-JP - 我々の誕生は祝福されるべくして、そこにある
著者: yanyan1
作成年: 2024

アイテム番号: SCP-3248-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3248-JPの発生する建築物は財団が所有し、管理しています。該当する区画には5台の監視カメラを設置し内部の観測を行ってください。異常が発生した場合はサイト管理者へと報告し、該当区画を封鎖してください。

現在、建築物に侵入させる職員はDクラス職員に限定されており、研究員およびエージェントが内部へ侵入する場合はサイト管理者へ申請したうえで実施してください。

SCP-3248-JP-1には定期的なインタビューが実施され、同時にSCP-3248-JPの現状調査も実施されます。

追記2001/8/11: SCP-3248-JPの実験およびSCP-3248-JP-1へのインタビューは制限されており、新規の申請は許可されていません。また、SCP-3248-JPの調査および実験に関与した全職員はSCP-3248-JP-1同様に隔離管理され、経過観察が行われます。

現在、前述した処置と並行して異常性への関与が示唆されているSCP-3248-JP-2の捜索が継続されています。

説明: SCP-3248-JPは██県██市国道███沿いに位置する建築物内の廊下にて発生する異常現象です。該当建築物は19██年から店舗型性風俗特殊営業の4号営業に分類される宿泊施設として登録されており、現在は財団の管理下で運営を制限しています。

SCP-3248-JPは建築物内の4階廊下内にて発生し、この区画を人間が通過した際に「第三者からの視線」「詳細不明の男性の姿」「第三者からの接触を受けた」等の異常を認識します。

上記異常性を経験した異性が該当建築物内で性交渉を行った場合、避妊処理を行っていたとしても人間女性の妊娠が発生します。その後、通常の妊娠周期を経過して出産に至りますが、大半の新生児(以下、SCP-3248-JP-1と表記)が奇形として出生します。

SCP-3248-JP-1は重度の四肢や顔面の変形、内臓の転位等が発生している場合でも生存し続け、様々な傷害を受けたとしても死亡に至りません¹。現状、本来生存が不可能であると想定される身体の変形が起こっていたとしても生存が継続される個体も確認されており、機能不全に至っている臓器があるにも拘らず生命活動を維持しています。

現在、財団は13体のSCP-3248-JP-1を収容しており対話が可能な個体に対しては定期的なインタビューが行われています。、厳重隔離処置を施行した上で収容を維持しています。

+ 実験記録3248-JP

実験記録001 - 日付1998/3/13

対象: D-662(男性)

実施方法: Dクラス職員1名を建築物内に侵入させる。

結果: D-662が「第三者の視線」と「何者かによる接触」を観測。以降、異常は観測されなかった。

分析: 成人男性1名を侵入させた場合も異常の認識が発生した。その後、成人女性1名を侵入させた場合も同様の結果が得られた。今後の実験において、SCP-3248-JPの影響が建築物内での発生に限定されるのか、残留的に発生するのかの検証が必要になると思われる。

実験記録002 - 日付1998/3/15

対象: D-662(男性 異常性暴露済)　D-7222(女性 異常性暴露なし)

実施方法: 該当建築物外にて避妊処理を行った上での性交渉を実施する。

結果: 実験開始から20日が経過した段階でD-7222に妊娠検査を実施した結果、妊娠を確認。その後、SCP-3248-JP-1を出産。

分析: この結果からSCP-3248-JPの影響は暴露した人間に残留的に影響を及ぼす事が判明した。同様の実験を性別を逆転させた場合も同様の結果が得られ、この事から一般社会内にて潜在的なSCP-3248-JPの暴露者が存在する可能性が浮上した。

実験記録003 - 日付1998/4/11

対象: D-662(男性 異常性暴露済)　D‐440(男性 異常性暴露なし)

実施方法: 該当建築物外で同性間で接触を行わせ、後に実験002と同様のプロセスを異常性に暴露していない女性Dクラス職員を起用して実施。

結果: 異常性に暴露していない職員間では妊娠は確認できなかった。

分析: この結果から同性間でSCP-3248-JPの影響は伝播しないことが判明した。

実験記録004 - 日付1998/5/15

対象: Dクラス職員4名(男女2名づつ 異常性暴露なし)

実施方法: 該当建築物内に複数人を侵入させる。なお、この実験は性別間での異常性暴露の選択制の有無を確認するために行われる。

結果: 女性Dクラス職員のみが異常性を認識。

分析: この結果からSCP-3248-JPの影響は人間女性を優先して発生する事が判明した。この事からSCP-3248-JPに暴露した後に発生するSCP-3248-JP-1の出生プロセスには人間女性の妊娠現象に依存する傾向が高いと推測する。

補遺1: SCP-3248-JPは1998/3/12の██県██市内に点在する産婦人科にて複数件の奇形児出産の報告を切っ掛けに発見されました。

当時、該当地域には地域監視担当のエージェントが派遣されており、その際に異常な件数の奇形児出産に関する報告がサイト‐8166へ行われました。後の現地調査や該当人物らに行ったインタビューから、共通して現SCP-3248-JPの発生地点に関する言及を確認しました。これを基に更なる調査を行った結果、該当建築物内にて3名のエージェントが異常性を認識。収容目標の設定が行われました。

現段階において、Dクラス職員を起用した実験では前述した異常は認識されるため、経過観察が継続されています。後述する事案3248-JPの発生によりDクラス職員を起用した実験は全面的に制限されています。また、事案3248-JP発生に伴って発生した財団職員間の連鎖的な心神喪失事案や異常発言を切っ掛けに財団は調査対象をミーム汚染および広域認識災害へと切り替えました。

以下は事案3248-JP以前に行われたSCP-3248-JPの関係者へのインタビュー記録の抜粋です。

+ 宅間氏へのインタビュー

日時: 1998/4/1

対象: 宅間 ██氏(27歳 女性)

インタビュアー: エージェント・リアン

付記: インタビューは宅間氏の自宅内で行われました。なお、宅間氏はSCP-3248-JP-1の出産を経験しており、現在はカウンセリングを受けながらリハビリテーションセンターへと通院しています。

<録音開始>

インタビュアー: 本日はお時間をいただきありがとうございます。

宅間氏: ……いえ……で、あの時の話をすればいいんですよね。

インタビュアー: お辛いとは思いますが、よろしくお願いします。

宅間氏: ……あの子を産んだのは、もう4年も前になります。

インタビュアー: 因みにお相手の事は。

宅間氏: 分かりません。……言っては何ですが、あの男とは私が売りをやっていた時に出会っただけなので。その後の面識もありません。

インタビュアー: なるほど。そこに関しては詳しくは聞きませんが、その際にあのホテルを選んだわけですね。

宅間氏: ……ええ。あそこは頻繁に使ってましたから。……でも、4階の部屋はあまり使わなくて。悪い噂があったので。

インタビュアー: その噂とは。

宅間氏: あのラブホテルの4階、男の幽霊が出るってよく言われてたんです。

インタビュアー: 幽霊、ですか。

宅間氏: 廊下に立ってる男が顔を覗いて来るとか。誰もいないのに顔を撫でられたとか、声が聞こえたとか。よくある怪談噺の延長線上ですけど、正直私も気味が悪かったので。4階は絶対に使いませんでした。……でも、あの日は何故か下の階が全部使われてて、仕方なく……。

インタビュアー: その際、先程おっしゃった心霊現象は起こったのですか？

宅間氏: ……はい。あの日、あの男が……。

[2秒間の沈黙]

インタビュアー: 宅間さん？

宅間氏: [声が震える]す、すいません。

インタビュアー: いえ、ゆっくりで構いませんので。

宅間氏: は、はい……あの日、私は駅で待ち合わせてた男と一緒にホテルに行きました。それで、さっきも言った様に下の階が満室だったので、正直嫌でしたけど4階の部屋を使いました。……そ、その時に、男が廊下で項垂れる様に立ってたんです。

インタビュアー: 同行者の方もそれを見ていたんですか？

宅間氏: いえ、全く……。その時は見えてすらいない様子でした。

インタビュアー: その男の風貌などは。

宅間氏: ……顔は分からなかったんですが、とても身長が高い男で……白衣を着てました。

インタビュアー: 白衣ですか。それで、その男は貴女に何か……。

宅間氏: 特には。何かぶつぶつ喋っている様子でしたけど、その時は何も。でも……。

インタビュアー: ……どうか、されましたか？

[コップが割れる音]

宅間氏: ご、ごめんなさい。わ、私……！

インタビュアー: いえ、お気になさらず。

宅間氏: と、時々、こんな発作が起こるんです……。今もあの男に見られている気がして……ず、ずっと後ろに、いる様で……。ごめんなさい。続けます。あ、あの日、あの男が立っていて、目の前を通り過ぎたんです。それで、少し気になって、ちょっとだけ振り返ったんですが……。そしたら、姿が、消えてて……。けど、次の瞬間に……天井から……。

インタビュアー: その時、何か危害などは。

宅間氏: よ、よく覚えていないんですが……。顔を触られて、その時に、何かが……。入ってきたような感覚があって……。

インタビュアー: 入ってきた？

宅間氏: お、おかしいですよね。こんな事。でも、そうとしか言えない感覚に襲われて……それっきりです。

インタビュアー: その後の事などは、覚えていませんか。

宅間氏: ……気が付いたら部屋の中にいました。その間の記憶はありません……。それからは、病院での騒動に至ります。……ごめんなさい、ちょっと気分が……。

インタビュアー: 申し訳ありません、無理をさせてしまい……。

宅間氏: いえ。あと……最後に、聞いた言葉なんですが。……それだけは伝えます。

インタビュアー: ……例の男の言葉ですか？

宅間氏: はい……「おめでとうございます」。そう言ってました。

<録音終了>

終了報告書: 宅間氏へのインタビュー後、Dクラス職員を起用した実験においても宅間氏の証言で確認された発話を認識したDクラス職員が複数確認されました。なお、これを観測できる職員の選択基準は未だ明らかとなっていません。

+ 大田氏へのインタビュー記録

日時: 1998/4/5

対象: 大田 ██氏

インタビュアー: エージェント・リアン

付記: インタビューは大田氏の自宅で行われました。なお、大田氏は該当建築物の元管理者であり、現在は財団の管理下での生活が保証されています。

<録音開始>

インタビュアー: あのホテルで幽霊の噂が出始めたのは何時の事ですか。

大田氏: 幽霊ねえ。まあ、幽霊と言えば幽霊だけど……。

インタビュアー: それは、一体どういう意味ですか？

大田氏: いやねえ、あの噂が広まりだしたのが丁度5年程前でねえ。でも、うちで誰かが亡くなったとか、怪我したって事件も何も無いんだよねえ。なのに急にあんな話が広がり始めて。何がなんやら。

インタビュアー: それらしい兆候なども何もなかったのですか？

大田氏: そうだねえ。……ま。……いや、あれは……違うか。

インタビュアー: 何ですか。

大田氏: いやね？ あの噂が広まりだすちょっと前にね、近くで隕石騒動があったのよ。

インタビュアー: 隕石……？

大田氏: まあ、ほんのちょっとした事件程度でそこまで騒がれなかったんだけどさ。その時期からかなあ、うちで変な噂が出始めたのは。あれが直接関わってるとは思わないけど、タイミングが合い過ぎてる気もするんだよね。気のせいならいいけど。

インタビュアー: なるほど。ありがとうございます。その事件の概要などはご存じですか？

大田氏: そうだねえ。地方紙の内容そのままだけど、 夜中に爆発音が鳴ってね。近所の人とかはそれで飛び起きて、消防や警察の通報もされてさ。んで、山ての方が赤く光ってたもんで、当時は山火事かなんかだって少し騒ぎになったのよ。でも、実際はそこまでの被害もなく事が済んでね。消火活動とかもつつがなく終わって、俺もその日は普通に布団に戻ったぐらいでさ。

インタビュアー: その後の報道などではどの様な事が報じられたのですか？

大田氏: まあ、調べれば直ぐに分かる事だろうけど、近所の山で隕石と思われる落下物がありましたってそれ位よ。でも、気になる事って言えば、隕石そのものは既に無かったってこと位かな。

インタビュアー: それは、対象物が消えていたという事ですか？

大田氏: どうなんだろうねえ。詳しい事は俺もさっぱりだけど、聞いた話じゃ周辺の木が薙ぎ倒されていてね。確実に何かが落ちてきたんだろうなって事は分かるんだけど、肝心の実物が何処にも見当たらなかったって話でさ。なんか学者先生も現場に来てたって話だけど何も出なかったんだとさ。……その、4日後位かなあ。うちで変な噂が出始めたのは。

インタビュアー: なるほど。分かりました。こちらでも調べてみます。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

大田氏: いやいや。……最後にだけどさ、1ついいかな。

インタビュアー: はい、何でしょう。

大田氏: さっきからさ、あんたの後ろに居る人、誰？

インタビュアー: ……え？

<録音終了>

終了報告書: 大田氏の発言を基に落下地点の確認が行われましたが、落下物の発見には至りませんでした。なお、インタビュー中で言及された実体に関する証言に関しての詳細は未だ判明していません。

+ SCP-3248-JP-1インタビュー記録003

日時: 2000/5/23

対象: SCP-3248-JP-1‐003

インタビュアー: エージェント・リアン

付記: インタビューはサイト‐8122内の専用保護区画内で行われました。なお、SCP-3248-JP-1‐003はダウン症と類似する頭部の変形と腕部、脚部の表皮の一部が癒着している変形が見られます。

<録音開始>

インタビュアー: どうも、初めまして。ここでの生活は慣れましたか？

SCP-3248-JP-1‐003(以下、003): あ、あい……。

インタビュアー: 貴女に訊きたいのは、貴女方があのホテルの事を知っているかどうかです。

003: ほ、ホテル……？

インタビュアー: ええ。端的に言えば、貴女が生まれた場所とでも言いましょうか。どうですか。何か、思い出せることとかは。

003: ……お、おめでとう？

[2秒間の沈黙]

インタビュアー: ……それは、どういう意味ですか？

003: お、おめでとう。おめでとう。成功。成功、しました。おめでとう。

インタビュアー: それは、誰かから言われたんですか？

003: [不明瞭なうめき声]せ、成功です……！ わ、我々は、成功です……！

[3秒間、同様の内容を繰り返す]

インタビュアー: お願いします。その言葉の真意は何なのか、教えてください。

[2秒間、同様の内容を繰り返す]

インタビュアー: ……本日はここまでにしましょう。

[1秒間の沈黙]

003: やめろ。

インタビュアー: ……え？

003: お前は汚された。

インタビュアー: それは、どういう意味ですか。

003: プロセスに支障はない。適合率も完璧だ。プログラムが足りない。装置が足りない。欠落している。エラーだ。お前は汚された。セキュリティが機能していない。やめろ。不正なアクセスだ。やめろ。やめろ。

[2秒間、やめろと言う発言を繰り返す]

インタビュアー: 一体、これは……。

[何かが割れる音]

インタビュアー: 誰だ。

<録音終了>

終了報告書: 現在、SCP-3248-JP-1‐003の発言内容を検証が行われています。

補遺2: 以下は事案3248-JPの概要です。

事案3248-JP
概要: 事案3248-JPはD-7724(女性 異常性暴露なし)とD-8266(男性 異常性暴露なし)を起用したSCP-3248-JPの実験中に発生した死亡事案です。

2001/8/10に実施されたSCP-3248-JPの実験の際にD-7724が突如、複数の生体組織を体内から発生させながら死亡しました。この際、実験に参加していたD-7724とD-8266は事案発生の直前に何者かと会話をしている様な行動を見せ、その直後にD-7724が拒絶と思われる言動を行った後に前述した現象が発生しました。現在、生存したD-8266は専用隔離室へと連行し経過観察を目的に監視が継続されています。

+ インタビュー記録D-8266

日時: 2001/8/11

対象: D-8266

インタビュアー: エージェント・リアン

<録音開始>

インタビュアー: D-8266。あの日、一体何が起きたのです。

D-8266: お、男がいた……。お、男達だ……。

インタビュアー: 複数人ですか？

D-8266: は、白衣の男達に……。囲まれてた……。

インタビュアー: それは、貴方方だけに見えていた実体だったという事ですか？

D-8266: ち、違う……。あ、頭の中に、入って来たんだ……。

インタビュアー: 実験の最中、貴方方はその存在と会話をしていましたが、主にどの様な会話を行ったのですか？

D-8266: わ、訳わかんない事を……延々と、流し込まれた……。じょ、情報が、頭の中に流れ込んできて、それで……。

インタビュアー: 大体の内容で構いません。教えてください。

D-8266: ぷ、プロセスの滞留……。シーケンスの未処理数、125件……。

インタビュアー: プロセス……。

D-8266: こ、言葉じゃないんだ……！ 音でも無い……！ ただ、その意味だけが、頭の中に流れ込んで来て……！ 未処理、未処理、強制実行……！ 実験の継続……！ い、今も頭の中に……！

[D-8266の叫び声]

[D-8266が倒れる音]

インタビュアー: D-8266！……まずいな。セキュリティー！ 直ぐに彼を医務室に！

D-8266: 実行未完了件数、残り2067件。エラー。エラー。未処理数増大。導入プロセス未実行。新規生体の導入を申請。申請エラー。再度実行。エラー。エラー。現行生体の組織劣化を検知。新規生体の導入を申請。申請エラー。エラー。

[1秒間の沈黙]

インタビュアー: ……誰だ。

[高音域のノイズ音]

インタビュアー: そこに居るのは誰だ！ 何が目的だ！

[何かが割れる音]

インタビュアー: あ、頭に……！ 入って……！

[3秒間の沈黙]

D-8266: 帰して。

<録音終了>

終了報告書: このインタビューの後にエージェント・リアンおよびSCP-3248-JPの調査に関わった関係者にて同様の言動を伴った自傷事案が発生しました。なお、事案収束後にエージェント・リアンおよびD-8266への脳検査、精神鑑定を行いましたが一切の異常は検知されませんでした。しかし、一種の精神汚染に類似する症状が確認された事から精神への影響を伴う異常性の発現が示唆されました。現在、該当する職員計14名に関しては心神喪失状態であると診断されており、サイト内の医療区画にて治療を受けています。

追記: 以下はエージェント・リアンの個人PC内に残されていたインタビューログです。なお、このデータはエージェント・リアンによってロックが施された状態で保存されており、現在これを行ったエージェントの意向等を含め調査が継続されています。

+ インタビューログ

日時: 1999/4/8

対象: 球磨田 太郎氏(以下、SCP-3248-JP-2)

インタビュアー: エージェント・リアン

付記: 本インタビューは██県立██大学にて行われました。なお、SCP-3248-JP‐2は██県██市にて発生した隕石落下事案の現地調査を行っていた大学教授であり、落下物の発見に関与した人物であると記録されています。

<録音開始>

インタビュアー: 初めまして、球磨田教授。お忙しい中お時間を作っていただきありがとうございます。

SCP-3248-JP‐2: いえ、こちらこそ。あの事件の話をと伺った際は私も耳を疑いました。どうぞ、そちらにお掛けになってください。

インタビュアー: 失礼します。単刀直入に伺いますが、あの場所で貴方は何を見たのですか？ 世間一般では隕石の落下と報じられていますが。

SCP-3248-JP‐2: ええ、それに関してなんですが……。まずはこれを見てください。

インタビュアー: ……これは、画像ですか？ 写っているのは……まさか。

SCP-3248-JP‐2: はい。あの日、あの山に飛来した物体です。

インタビュアー: これは、人……ですか？ 隕石とはまるで違う……。

SCP-3248-JP‐2: ええ。サイズだけで言及すれば成人1人分。肩甲骨部分からは鳥類の翼部分と類似した骨格が伸び、大気圏突入の影響かあったであろう羽も燃え尽き、全身の表皮が焼けただれていました。

インタビュアー: 見た所、腹部が膨らんでいる様ですが……。

SCP-3248-JP‐2: はい。その形状からも、一種の母体なんじゃないかと予想しました。当時、私は事故現場の検証を目的にあの山を訪れました。道中は割愛しますが、あの日、私は予想していた物とは全く別の物に遭遇しました。

インタビュアー: それが、この死体ですか。

SCP-3248-JP‐2: ええ。細部を調べた所、明らかに生体組織で構成された物でした。特筆する点としては周囲の樹木や地面等は高温に晒された状態を維持しているのに、この死体だけは冷却されていた事です。その状況もあってか、私を含む関係者全員がその物体への接触を図りました。その時、膨らんでいた腹部が突如膨張し破裂したんです。

インタビュアー: 破裂、ですか？

SCP-3248-JP-2: はい。そして、次の瞬間強烈なイメージが我々の脳を襲いました。

インタビュアー: それは、一体どのような。

SCP-3248-JP‐2: 端的に表現すれば胎児です。ですが、人間のそれとは発生過程が全く違う。言ってしまえば、地球外生命体の発生途中ともいえる生体のイメージが、強制的に想起させられたんです。

インタビュアー: なるほど。それ以降、何か起きたりとかは？

SCP-3248-JP‐2: はい。急なイメージの発生に皆が混乱したのは勿論なのですが、全職員がおかしなことを喋り出したんです。

インタビュアー: 具体的にはどの様に。

SCP-3248-JP‐2: 皆が口々に何者かの声が聞こえると言い始めました。男の声と言っていました。実験を開始するとかなんとか。

インタビュアー: 内容などは覚えていますか？

SCP-3248-JP‐2: 一応、彼らの発言をメモしてまして、これを。

インタビュアー: ……なるほど。生体発育プロセスの実行を承認、母胎検索を開始、該当箇所にて接続プロセスを実行、検証結果適合率99.76％、着床プロセスに移行。……どこか、機械音声にも似たニュアンスの内容ですね。

SCP-3248-JP‐2: ええ。その点に関しては私も気になっていまして……。ですが、今となっては……。

インタビュアー: 報告では落下物は見つけられなかったとありますが、現物は今どこにあるのですか。

SCP-3248-JP‐2: 何処にも。消えたんです。

インタビュアー: 消えた？

SCP-3248-JP‐2: ええ。次の瞬間、目の前から消失したんです。正に瞬きの間でした。跡形もなく、一切の痕跡も残さずに。一体何が起きたのやら……。その直後、他の職員たちの様子も元に戻りました。恐ろしい位に、何事も無かったかのようで。声を聴いていた時の記憶も全く無いと言っていました。何が何やら。正直、不気味で……。

インタビュアー: なるほど……。

SCP-3248-JP‐2: すいません。私も、正直あれが夢だったようにしか思えなくて。大した話も出来ずに、申し訳ない。

インタビュアー: いえいえ、そんな事は。大変参考になりました。……ですが、1つだけよろしいでしょうか。

SCP-3248-JP‐2: ええ。どうぞ。

インタビュアー: 何故貴方は、何の影響も受けていないのですか？

[2秒間の沈黙]

インタビュアー: 教授は詳細なメモも残してくださいました。ですが、先程の貴方の証言からは貴方という人間の存在がある意味欠落している。貴方は、あの日一体どういう理由で、異常な状態から脱したのですか？

[1秒間の沈黙]

インタビュアー: 教授。応えてください。

[1秒間の沈黙]

インタビュアー: 教授！

SCP-3248-JP‐2: 渡さんぞ。

[何かが割れる音]

SCP-3248-JP‐2: ある程度は誤魔化せると思ったんだがな。最初からおかしいと思っていたんだ。あれの話を率先してしてくる輩などそうそういない。あんたも、あの赤ん坊共の影響を相当に受けたんだろう。関係者と手当たり次第に話でもしたか。だからこそ、君達の意識下にまで奴らの影響が出ている。結果、ここまで誘導されたわけだ。

インタビュアー: [未知の言語]

SCP-3248-JP‐2: いいや、断る。お前たちの母星へと通じるこの通信概念は、既に私の中にある共通無意識下へと浸透させてある。あの日、あの母体の大脳を取り込んだのは正解だった。

インタビュアー: か、えせ。

SCP-3248-JP-2: お前たちの存在も、人間の深層心理内への仮想空間の設定が可能な高次元の存在だって事は既に分かっている。この通信概念を利用して、母星から転送される新たな生体を無意識化に根付かせる計画だったんだろう。全部知っている。この転送装置としての通信概念から、全ての情報が流れ込んでくるからだ。私は宇宙の真理と共にある。そんな代物、返すわけがない。これは私の物だ。私だけの英知だ。

インタビュアー: [未知の言語]

SCP-3248-JP‐2: その男を差し向けた所までは良かったが、残念だったな。お前たちの活動限界も近い筈だ。新たな個体の転送も行えず、既存の生体のみで生まれ直しを繰り返すしかない。その内、新たな母体への寄生や人間としての発生も時間の問題だ。常に不完全が生まれ続けている。そのまま、無限に広がる無意識の世界で無様に腐敗し続けていくがいい。

[2秒間の沈黙]

SCP-3248-JP‐2: この男にも私の方で細工をしといてやる。じゃあな。

<録音終了>

終了報告書: [エージェント間で用いられる簡略化暗号が記入されている。以下は翻訳した文章である]この記録は消させはしない。 ‐エージェント・リアン

現在、SCP-3248-JP‐2の行方を捜索していますが未だ発見には至っていません。なお、本インタビューの言及からSCP-3248-JPの異常性の原因に人間の無意識下および精神的仮想空間に寄生する異常実体の存在が示唆されました。これらの調査と並行してSCP-3248-JPへの接触の制限が行われています。

脚注

1. この際に確認される自然治癒力に関しては通常の人間の有する能力と相違ありません。