以下はインドリッド・アルド メンタルウェルネスセンターで発生したSCP-3255-1、SCP-3255-2、SCP-3255-3の作成に至るイベントのタイムラインであり、回収された監視映像と個人ログから再構成されています。このログは施設の管理官であるファビアン・ケリエ (家族が著名な第五教会メンバーであったために起用されたと推定される疑似科学者) によって記されました。その他5名の研究員がウェルネスセンターでのイベントのほとんどで見られました。
2017/2/14にウェルネスセンターに初めて到着したケリエ博士は以下のログを残しました。
施設に到着した。環境は良い — ネズミがいることを除けば。侵入に関して何かしないといけないな。スタッフは友好的なようで一緒に働きやすい。早く仕事に取り掛かりたい。
このログ後、最初の研究が始まりました。この研究では星座図と『モナ・リザ』や『星月夜』のような有名な芸術作品との比較に焦点を当てていたと思われます。この目的は現状不明です。研究を実施していない時の職員は会話やレクリエーション活動に従事していました。
2017/02/27、ケリエは以下のログを残しました。
昨夜デニスに無理やり映画を見せられた。アベンジャーズの2作目だから良い映画でもなかったな。それでも楽しかった。研究をしていると時たま社交性を保つのが難しくなるから、スタッフと知り合う機会を与えてくれたことに感謝している。しかしあの映画はもう二度と見たくない — 不愉快だ!
研究は2017/03/03まで継続し、当時のケリエは以下を記しました。
研究は捗っていない。夢の中で私に降りかかったこのアイデアは絶対に実を結ぶと確信したのだが。ひょっとして思い違いか。スタッフは不安になっている。彼らのせいではない — もしかするとこれでは何にもならないのかもしれない。悪いのは私だ。
このログのほぼ直後、ケリエは以下を記しました。
ひらめいたぞ! 何かとても素晴らしいアイデアである気がする。星は三の中で死ぬが、五の中で生まれもする。この世界のあらゆる物にはシグナルがあり、それはその物が歩むその物自身の形をした線だ。読んだ覚えがある。シグナルを作れれば物を作れる、と。リソースを要請しなければ。同士に知らせよう。
星の中には死んだものもあるが、我々はまだそれを見ることができる。星の中にはここで生まれたものもあり、それはまだ見てはいけない。
以降6か月にわたり、3125人が少数のグループに分かれて一度にウェルネスセンターを訪れました。映像の解析により、これらの人物は第五教会メンバーと地元の浮浪者から成ると判明しています。各事例において、訪問者はウェルネスセンターの主室へと案内され、以下のようなイベントが発生したと推定されています。
インドリッド・アルド メンタルウェルネスセンターから回収された監視映像であり、SCP 3255-1の作成過程の一部を描写している。
<映像開始>
(4人がウェルネスセンターの主室へと歩く。このうち3人は無名の第五教会メンバーであると特定された一方で、4人目は地元の浮浪者であるように見受けられる。部屋の中央に黒い煙で構成された球体が存在する。全員が中央へと歩き始めるものの、浮浪者は心配そうに見渡している。)
浮浪者: ここは何だ?
第五主義者1: 耐えるんだ。少し待っていてくれ。事が終われば金が手に入るぞ。
(浮浪者はうなずくが、気乗りしないように見受けられる。間もなく、その場の全員の顔が上がって口から黒い煙を吐き出し始め、既に存在する球体に加える。これは煙の発生が止まるまで3分続く。全員が顔を下げて部屋を退出する。)
<映像終了>
2017/09/03、成長する球体への3125人の寄与が観測された後、以下のイベントが発生しました。
<映像開始>
(22人の無名の第五教会メンバーが、成長する球体の前に立つ。顔が上を向いて口から黒い煙を吐き出し、球体に加える。これは煙の発生が止まるまで7分続く。この直後、球体が青い閃光を発する。光が収まると、球体はSCP-3255-1と化している。)
(沈黙。)
(その場の全員が喝采を送り始める。)
<映像終了>
このイベント後、ケリエは以下のログを残しました。
完成した。ビッグ・ブルーの誕生だ。3125は良い数字だ。大量の五は我々を終わりへと近づけてくれる。ここから彼の歌声が聞こえる — とても強いシグナルだ。実を言うとピンクを期待していたのだが、まあ青も申し分ない周波数だ。
タスクが完了して嬉しく思う。激務であったし、スタッフ間の緊張も高まっている。一刻も早く休息を取りたい! 今は上からの指示待ちだ。もう既にここが第五世界であるように感じる!
ウェルネスセンターから回収された通信ログにより、著名な第五主義者からの指示は1つも受けていないと推定されています。この理由は不明です。
2017/09/13、ウェルネスセンターでのイベントが初期状態に戻りました。星座図と芸術作品に関する "研究" が進められており、スタッフは主にSCP-3255-1を避けていました。
2017/09/26、ケリエがSCP-3255-1の存在のためにスタッフに広がる不快感を報告しました。
少しばかり問題がある。ビッグ・ブルーが自身に近づいた者を病気にさせているんだ。これに第五世界がどう関わっているのかは分からない。病気は拘束であって自由ではない。私は勘違いをしているのだろうか?
スタッフはそわそわしているように見える。私も同じだ。なぜ連絡が来ない? もっと重要な事柄でもあるのか? ブルーが歌をやめることはないだろう。
2017/09/29、以下のイベントが発生しました。
ウェルネスセンターの主室で撮影された映像。
<映像開始>
(部屋に5人入室する。画像解析により、ケリエ博士に配属された研究スタッフであることが確認される。全員がリラックスした姿勢を取っている。)
研究員1: 心の準備はいい?
研究員3: いつでも。愛してるよ。
(全員がSCP-3255-1に向かって移動し、その側に立つ。その後、全員がSCP-3255-1に頭部を挿入する。くぐもった音や呻き声が聞こえる。これが3分間続く。)
(全員がSCP-3255-1から離れる。頭部は既に小型の星に類似した構造物に置換されている。SCP-3255-2の作成が確認される。)
<映像終了>
このイベント直後にケリエが以下を記しました。
今の状況は良くない。むしろ悪い。スタッフがビッグ・ブルーに入ってしまった。いつかはそうなると思ってはいたが、まだ先だと思っていた。今のここは静かだ。彼らは座って過ごしたりうろついたり壁にぶつかったりしている。会話はしない。会話をした部位は今やビッグ・ブルーの中で会話をしている。無念だ。無念だ。
監視映像によると、ケリエは続く数週間のほとんどを、施設内を歩き回ったり、星座図を用いて最初の研究を続けようと試みたり、テレビで映画を観たりして過ごしていました。当期間中のこの振る舞いは、孤立とSCP-3255-1への曝露が重なった結果による精神状態の悪化が原因であると思われます。
2017/12/22、ケリエは以下のログ・エントリーを連続して残しました。
何か恐ろ
何か素晴らしいことが私に起こっている。
アベンジャーズが恋しい。会話が恋しい。太陽が恋しい。月が恋しい。五が恋しい。爪が恋しい。クララが恋しい。パースが恋しい。アランが恋しい。マコトが恋しい。デニスが恋しい。皆どこに行ってしまったんだ。私がいなくても楽しく過ごしているのか
やあ
きょうワイヤーをかじっているネズミをみた。そのりょうめをみた。けむりがなかった — あのほしにはいったにちがいない。なんびきのネズミがそこにいってわれわれわ [原文ママ] きづかなかったのだろうか? 3125じゃない。そこに五はない。五はまったくない。われわれはなにをうみだしたんだ
TVは何もやっていない
君たちを愛している。
ケリエはこの後にSCP-3255-1へと向かい、以下の映像に記録されました。
<映像開始>
(ケリエが主室に入室し、SCP-3255-1を見る。)
ケリエ: やあ。
(沈黙。)
ケリエ: ここは本当に寂しいよ。私も入っていいかい?
(沈黙。)
ケリエ: 分かった。愛してるよ。
(ケリエがSCP-3255-1に向かって助走をつけて跳躍し、視界から消失する。数秒後、SCP-3255-1からSCP-3255-3が放出される。)
<映像終了>
これ以降の活動は、財団がSCP-3255に気づく要因となった都市探索まで記録されていません。