SCP-3264-JP
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アイテム番号: SCP-3264-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 国内の児童福祉施設や学校教育内で児童からSCP-3264-JPに起因するとみられる発言が確認された場合、機動部隊ま-5("児童相談所")が対象の居住地へと出動し、児童相談所職員を装いSCP-3264-JP-Bを一時保護所へと移送した後、SCP-3264-JP-AによるSCP-3264-JPの無力化を試みます。

現在、機動部隊ま-5("児童相談所")は年間平均8件のSCP-3264-JP無力化事案を対処していますが、財団が発見に至る以前に発生したSCP-3264-JP無力化事例の存在からSCP-3264-JPの出現件数はこの値を大きく上回る物と推測されています。

SCP-3264-JP-Primeは現在、サイト-8164の中型オブジェクト収容室内に収容されています。

説明: SCP-3264-JPは中身の詰まった3つのゴミ袋が連なって構成された、生命活動様の挙動を示すアノマリー群です。これまでに収集された発見情報は、SCP-3264-JPが以下の環境要因を元に発生する傾向を示しています。

  • 住宅内に成人女性1名(以下、SCP-3264-JP-Aと記載)と、その子供にあたる人物(以下、SCP-3264-JP-Bと記載)が居住している。
  • 室内で中身の詰まったゴミ袋が室内に慢性的に放置されている。
  • 食材の不適切な管理(賞味期限切れ、保管方法の不備)が慢性的に継続している。
  • 2名のうち、SCP-3264-JP-Bのみが極度の栄養失調に陥っている。

SCP-3264-JPは夜間になると室内の他のゴミ袋の内部へと潜り込み、自身の内容物と残飯とを積極的に交換します。SCP-3264-JPの内部に置かれた残飯はそれ以上の腐敗の兆候を示しません。


観察により、SCP-3264-JPは出現から概ね下記のプロセスを経て個体として成長する事が明らかとなっています。

第1フェーズ

発生直後のSCP-3264-JPは単に中身の入ったゴミ袋が3つ連なった外見であり、普段は他のゴミ袋や室内に散乱した物品群の下部に潜み、目立った活動は取りません。注意深く観察しない限り通常のゴミ袋との識別は困難な段階であるこの状態SCP-3264-JPを第1フェーズと呼称します。

第2フェーズ

発生から約1週間が経過したSCP-3264-JPは自身の体内でプラスチック容器を変形させ、1本の管を生成し、自身の内容物からの中から残飯のみをその内部へと隔離します。外見的特徴が顕在化したこの状態のSCP-3264-JPは第2フェーズと呼称します。

この頃からSCP-3264-JPはSCP-3264-JP-Bの前で自律的な活動を見せ始めます。SCP-3264-JP-Bとなる人物はSCP-3264-JPが発生し得る環境から自暴自棄に由来する危機管理能力の欠如が見られ、活動中のSCP-3264-JPに対して特に反応を示さない場合が多数を占めています。SCP-3264-JPは数日かけてSCP-3264-JP-Bの反応を確認した後、天井の特定部分に自身の定住区域を確立します。以降、SCP-3264-JPは天井にぶら下がり、自身の内容物を循環させる様子を見せます。

第3フェーズ

発生から3週間〜1ヶ月が経過したSCP-3264-JPはプラスチック製の管の上部を変形させた擬似的な声帯を獲得し、SCP-3264-JP-Aと類似した発声が可能となります。また管の下部は残飯の隔離場所として確立され、残飯は独自の発酵の過程を経て白濁した液体を精製します。この液体は発酵を経て栄養状態を維持したまま、人間が摂取する際に適した状態へと変化しています。これらを用いてSCP-3264-JP-Bとの交流を試み始める状態を第3フェーズと呼称します。

SCP-3264-JPはSCP-3264-JP-Bとの交流方法を確立した後、身体の管状器官をSCP-3264-JP-Bの口腔から食道中間地点へと挿入し、液体の経口摂取を促します。当該プロセスは一時的にSCP-3264-JP-Bによる拒否反応を引き起こしますが、液体の摂取によって空腹感や倦怠感の解消、体温の増加などの身体的改善が確認されることにより、結果としてSCP-3264-JPへの依存的関係性を形成する結果に至ります。

第4フェーズ

発生から数ヶ月が経過したSCP-3264-JPは簡単な単語の発声方法を習得します。確認されたケースにおいて、SCP-3264-JP-Bを賞賛する内容の語彙が最も多く確認されます。この状態まで発達したSCP-3264-JPを第4フェーズと呼称します。また第4フェーズに到達したSCP-3264-JPの発声はSCP-3264-JP-Bが自主的に家事を行った時や学校の宿題を終えた時にのみ発せられている事から、SCP-3264-JPはその発達段階に応じて知性を獲得する可能性が示唆されています。

第4フェーズまで発達したSCP-3264-JPと交流を行っているSCP-3264-JP-Bは周囲にSCP-3264-JPの存在を吹聴する傾向が顕著に見られます。

SCP-3264-JPは第三者によって視認された場合では一般的なゴミ袋に擬態してやり過ごす様子が見られるものの、一方でSCP-3264-JP-Aによって直接的に認識された場合にのみ、即座に3つの非異常的なゴミ袋へと変化します。この変化は一過性であり、発生理由は不明です。

補遺: 20██/██/██、大阪府の███アパート301号室内で第4フェーズに到達していたSCP-3264-JP個体が桃木 彩花氏(死亡当時8歳)を殺害した後、遺体を部位毎に解体し自身の体内へと取り込んだ状態で発見されました。発見者であり桃木 彩花氏の母親である桃木 咲良氏には記憶処理が施され、SCP-3264-JP-Primeに指定された当個体は付近のサイト-8164へと移送されました。SCP-3264-JP-Primeは発見以降、桃木 彩花氏と桃木 咲良氏の両名の声が重複した音声を用いた支離滅裂な絶叫を継続しています。

SCP-3264-JP-PrimeはSCP-3264-JP-Aにあたる人物から認識された場合に変化が見られなかった現状唯一の個体です。当個体の発生により正常性への潜在的な脅威へと発展する危険性が示された事から、現在SCP-3264-JPは積極的な駆除対象に指定されています。

更なる調査の結果、SCP-3264-JP-Primeを取り巻く環境について以下の事実が確認されています。

  • 桃木 咲良氏は普段から1人分の食料品しか購入しておらず、桃木 彩花氏に対して十分な食事を用意していなかった。1
  • 桃木 彩花氏の死亡時、アパート内の住民からは「桃木 咲良氏の叫び声が聞こえた」との証言が確認されている2

SCP-3264-JP-Prime内部に取り込まれた桃木 彩花氏の遺体は収容から█年が経過しているにも関わらず、腐敗の兆候を示していません。収容室内のSCP-3264-JP-Primeは常に体内を流動させ生物的な活動を再現しているかのように観察されますが、これまでに実施されたいかなる検査においても、桃木 彩花氏の遺体から生命徴候は確認されていません。

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