SCP-327
評価: +8+x

アイテム番号: SCP-327

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-327はサイト██の40mx40mx10mの海水水槽に収容します。水槽の清掃は基本的に週毎ですが、藻類の繁殖が見られた場合は即座に行います。水槽の壁には防音の物を用います。SCP-327との交流をはかる、あるいは収容容器内に入る職員は、SCP-327との直接の対話を防ぐために、全員ノイズキャンセリングヘッドホンを着用します。SCP-327の特性による苦痛を訴えた職員は、セラピストによって治療されるまで職務から外されます。

SCP-327には毎日15kgのレタスと各種葉菜類を、適当な栄養補助剤とともに与えます。

アンバリー博士とワトソン博士による、SCP-327への英語教育が承認されています。このために一日二時間が割り当てられています。

説明: SCP-327は海牛目の、特にTrichechus manatus(西インドマナティ)に似た、哺乳動物のメス個体です。おおよそ体長2.8m、体重450kg、25~30歳であると推測されます。特異な身体的特徴として、ヒレにはっきりと分離した指と対向に付いた機能する親指を持ち、頭蓋と顔の形状が人間に似ています。頭部と背中に残る大きな傷跡と、重い頭部外傷から見ると、SCP-327は回収される5~10年前にボートのスクリューと衝突しています。

SCP-327は賢く、簡単な英文を話せるだけの能力がありますが、発音と概念の理解という二点により、実行するのは困難です。

SCP-327の特異な能力は、クジラ目の歌に似た原始的な発声に起因します。その発声は極めて不快なものであると考えられ、人間には6~12時間続くひどい頭痛と幻視、幻聴を引き起こします。これらの影響はしばしば閉所恐怖症、水と水棲動物に対する嫌悪感、時に溺死に似た感覚であると報告されます。他の哺乳類も同じ影響を受けるようです。

発声の間、SCP-327からおよそ1km圏内に存在する藻類とプランクトンが非常に速い速度で増殖します。藻類の大繁殖によりこの範囲内では著しい酸素濃度の低下と神経毒素レベルの上昇がおこり、結果として局地的な魚類や軟体動物の大量死が発生します。藻類自体には異常な性質はなく、SCP-327は発声に起因する全ての効果に耐性を持ちます。

SCP-327個体が情報を正確に表現する能力に欠けるため、対話ではその起源に関する詳細はほとんど得られませんでした。SCP-327はメキシコ湾とカリブ海に同種の別個体の存在を示唆しました。しかし、前述の能力に類似した異変の報告はありません。

補遺-01: 復元ログ: SCP-327は2008年八月、フロリダ州[編集済]の住人の間で不可解な精神病が流行し、正体不明の騒音の報告が成された後に収容されました。そのエリアは熱帯性低気圧「フェイ」によって“突然変異した”マナティが海岸に打ち上げられたという報告までの2週間、財団の監視下となりました。財団のエージェントの調査の後、地域住民には記憶消去薬が配布され、SCP-327個体は滞りなく収容されました。

補遺-02: 20██/██/██の対話の抜粋

判読性を高めるため、この抜粋でのSCP-327の口調は修正されています。

アンバリー博士: こんにちは、327。

SCP-327: こんにちわ、アンバリー博士。3の、20の、7は、また質問に答える準備ができてるわ。

アンバリー博士: たいへん結構。昨日は歌について話したね、もっと教えてくれるかい?

SCP-327: わかった。歌は魚と動物のために。歌は草木のために。歌は人のために。歌はおうちのために。歌はいい。歌はこういうのじゃない[SCP-327が3秒間ハミング]。歌は言葉じゃない。歌は歌。歌は物をよくする。今、歌はよくない。

アンバリー博士: 歌に何が起こったのかな?

SCP-327: [モーターを真似て低い音を出す]がだめにした。

アンバリー博士: ボートだね。

SCP-327: そう。けどそれはいいの。ここでは悪い歌で動物が傷つかないから。あなたとワトソンさんが3の、20の、7のいい歌をとりもどしてくれるし。

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