アイテム番号: SCP-3278-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 日本国内の病院においてSCP-3278-JPによる転移現象が確認された場合、速やかに出現した人物を保護し、関係各所に適切な記憶処理を施し事態を隠蔽して下さい。この時出現した人物にはカバーストーリー「迷子」を適用し、機動部隊し-13 ("頼れる地元警官")が迷子を保護した警官を装い適宜出現した人物の自宅へ送迎すると共に、無力化したSCP-3278-JPを回収します。
説明: SCP-3278-JPは特定の条件を満たした人物(以下対象)の元に出現する茶封筒です。以下にその条件を記述します。
- 日本国内に在住している
- 6歳から12歳程の年齢である
- 過去24時間以内に両親の内いずれかが入院しており、かつその事実を認知していない
SCP-3278-JP表面には例外なく以下のような文章が記述されています。
(対象の氏名)さん、大変です!
あなたの大切なお父さま/お母さまは今病院にいます。
今すぐようすを見にいきましょう。わたしの中に手を入れるとすぐに病室へ移動します。
対象はSCP-3278-JP表面に記述された文章を事実であると認識し、多くの場合SCP-3278-JPを開封し内部に手を入れようと試みます。対象がSCP-3278-JP内部に手を入れた際、対象は瞬時に対象の親が位置する病室に転移します。対象が転移した時点で、SCP-3278-JPは一切の異常性を喪失します。財団がこの転移現象を経験した対象数十名に当オブジェクトに関するアンケート調査を実施したところ、概ね親の無事を確認出来て安堵したという旨の肯定的な反応が寄せられました。
補遺: 2025年█月█日、東京都に位置する████病院にて当時植物状態で3日程前から入院していた鶴見康平氏1の病室に計62名の対象がごく短時間の内に相次いで出現しました。この時対象の出現地点が病室内の特定の一角に集中していたため、次々に出現した対象は団子状に折り重なっていき、病室内という閉鎖空間も相まって最終的に8名が死亡2、12名が頭蓋骨骨折や脊椎損傷による重傷、他30名が打撲等による軽傷を負い、事態が完全に終息した後も計15名以上の人物に何らかの後遺症3が残る結果となりました。
後に行われた精神鑑定の結果、この時出現した対象の大多数に鬱病の傾向が認められました。この理由として、多くの対象は当事案による心的外傷以外に「父親は長期出張中・既に死んだと聞かされていた」「あの人物(鶴見氏)が親であることを知らなかった」ためと証言し、総じて保護者への強い不信感を露わにしました。当事案はカバーストーリー「大規模な群衆事故」が流布され処理されました。
その後の調査により、鶴見氏はSNSや複数の個人運営の精子提供サイトを通じて自身の精子を第三者に提供しており、当事案において出現した対象は全てそれによって出生した子供であることが判明しました。また、当事案の発生した病室の窓際から以下のような文章が記述されたメモ書きが回収されました。
移動がおそくなってしまいごめんなさい。
みなさんご兄弟がたくさんいらっしゃって、とてもすてきなご家族ですね。がんばってタイミングを合わせたので、どうぞみなさんで家族水入らずの時を楽しんでくださいね。