アイテム番号: SCP-3289-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在のところSCP-3289-JPによるデータの送信元を特定する試みは成功しておらず、収容活動は一般社会に対するSCP-3289-JPに関わるデータの秘匿に重きが置かれています。
財団のwebスクリーニングbotは常時主要なSNSを巡回し、SCP-3289-JPに関連すると考えられる情報を収集し、SCP-3289-JPに接触した人物を特定します。接触者の特定に成功した場合、推定される指定期限を経過した後にSCP-3289-JPによるメッセージのログを端末から回収します。接触者に対してはインタビューを実施した後にAクラス記憶処理を施して解放してください。課題を達成出来なかった場合に発生した被害は、適切なカバーストーリー等を用いて非異常性の事故として処理されます。
(2020/09/05追記)
SCP-3289-JPは「事案: SCP-3289-JP」以降、暫定的な自己収容状態にあると見られています。担当チームは五十嵐氏の両親と連携し、五十嵐氏がボランティアを含めた何らかの職務へ就労するためのあらゆる活動を妨害してください。
説明: SCP-3289-JPはLINE株式会社が運営するSNS「LINE」上に存在する、「ともだち」というユーザー名を使用する所有者不明のアカウントです。同社のサーバー上に当該アカウントに関するデータは存在せず、SCP-3289-JPが自立して稼働できている理由は現在のところ不明です。
SCP-3289-JPは不定期に、大型連休を迎えようとしている個人が所有するアカウント1つに対してメッセージを送信します(以下、アカウントの所有者を「接触者」と呼称)。大型連休の基準はその個人の予定に依存すると見られており、土日祝日等を含めて最短で4連休での出現が確認されています。
メッセージの内容は概ね簡素な前置きに始まり、そのアカウントの所有者に対して次回出勤・登校等を行う日の前日(以下、「指定期限」と呼称)までにメッセージに記された課題を達成するように指示するものです。このメッセージに返信する、スタンプを送信する、SCP-3289-JPのアカウントプロフィールを確認するなどの行為は、原因不明のエラーによるアプリケーションの強制終了という結果に終わります。
その後の反応は接触者が指定期限までに課題を達成出来たか否かによって変動します。課題を達成出来た場合、接触者を賞賛するメッセージを残し、以降は一切の挙動を示さなくなります。課題を達成出来なかった場合には接触者を激しく罵倒するメッセージを残して同様に一切の挙動を示さなくなりますが、その上で、その後1日以内に接触者は異常な原因による事故に遭遇します。その被害の大きさは概ねメッセージ送信日時から指定期限までの長さに比例します。
また、メッセージの文面には接触者の個人情報や当人にしか知り得ない内心に関する情報が含まれていることがあり、これらの情報をSCP-3289-JPがどうやって入手しているかも明らかになっていません。
以下は財団が捕捉したSCP-3289-JPによる接触事例の抜粋です。
接触者-1
エージェント・青木概要: 接触日1は2014年4月3日で、発見日2は2014年4月6日。弟の結婚式に伴う帰省のため、4日間の休暇を取得していた。
接触時のメッセージ
お久しぶりです、あなたのともだちです。お元気ですか?お仕事本当にお疲れさまです。不規則な生活にならざるを得ない職場で、毎日大変かと思います。しかしながら長生きの秘訣は第一に早寝早起きです。今一度、自分の生活を見つめ直してみませんか?
あなたへの課題は、休暇中いずれかの日に早起きして日の出を見ることとします。日の出の景色と早朝の澄んだ空気を全身で感じて健康な心身を目指しましょう。期限は休暇の最終日までとします。結果: 成功。帰宅後にメッセージに気付き、メッセージの内容とアプリの動作を不審に思ったエージェント・青木からの報告により当該オブジェクトの発見に至った。
指定期限到来時のメッセージ
自分に出来ることからコツコツと始めようという意識の高さ、素晴らしいです!そして4日間のうち2日も取り組んだことにも、目標に満足することなく成果を出そうという向上心が見て取れます。
この先の人生で立ちはだかる数々の試練も、あなたならきっと乗り越えられるでしょう。これからも頑張ってください!
接触者-11
鈴木芳則氏概要: 接触日は2018年11月8日で、発見日は2018年11月20日。同年9月8日に入籍していた。
接触時のメッセージ
お久しぶりです、あなたのともだちです。お元気ですか?去る9月8日にご結婚されたとのことで、誠におめでとうございます。今は幸せの絶頂にいることでしょう。しかしながらお二人の前には、これから様々な艱難辛苦が立ちはだかるに違いありません。何十年もの人生を共に歩む奥様との絆は、今のうちに強固なものにしておくべきでしょう。
あなたへの課題は、期限の終了まで毎日10回以上、奥様とキスをすることとします。奥様の沙弥子さんへの愛を形にする勇気を、是非とも見せてください。期限はリフレッシュ休暇最終日までとします。結果: 失敗。11月19日14時42分、鈴木氏が運転する社用車の右前輪のタイヤが消失し、中央分離帯に激突する事故が発生。現場検証でタイヤ消失の原因が一切特定できなかったことから異常存在の関連が疑われ、接触が発覚した。この事故により鈴木氏は頭蓋骨の一部と右肩に全治2ヶ月の骨折を負った。
指定期限到来時のメッセージ
開いた口が塞がりません。あなたはキス程度のことが出来ない人間を生涯のパートナーに選んだのですか?奥様がどんな思いで普段あなたに尽くしているのかをまるで理解していないようですね。
結婚とは人生で最大のターニングポイントでありその相手を人生を懸けて幸せにすることはあなたの責務と言えます。その程度の愛情表現すら拒むということは即ちあなたが奥様への愛想を尽かしていることを意味するのだと認識すべきです。自ら誓ったはずの永遠の愛すら守ろうとしない人間の言葉など何一つ向き合うに値しない空虚なものに映るでしょう。
もし少しでも自分の行いを省みるつもりがあるというのならばかつての自らの思いと真摯に向き合いプロポーズを捧げた意味を今一度考え直してください。そうでなければ二人に明るい未来など待ってはいませんし斯様な人間に人生を捧げる覚悟を決めた奥様が不憫で不幸であると言わざるを得ません。
接触者-15
稲川絵梨華氏概要: 接触日は2019年11月4日で、発見日は2020年3月9日。当時26歳の女性であり、都内の医療機器メーカーに営業職として勤務。中等症のうつ病による休職中であった。
接触時のメッセージ
お久しぶりです、あなたのともだちです。お元気ですか?社会人になって4年でしょうか。毎日辛いことがたくさんあると思います。自分の姿に疑問を感じている今ここでいっそ、今までの自分を抜け出して小さい頃に抱いていた夢を追いかける旅をしてみませんか?
あなたへの課題は、今の仕事を辞めて世界5ヶ国を旅することとします。憧れだったアマルフィ海岸やマチュピチュ遺跡の景色と共に、ゆっくりと自分の人生を見つめ直してみてください。期限は復職日の前日までとします。結果: 失敗。3月9日午前1時頃、稲川氏の自宅のタンスが不明な原因で転倒し、就寝中の稲川氏に直撃。その騒音と叫び声を聞いた近隣住民の通報により財団の発見に至った。この事故により稲川氏は脊椎損傷、下半身不随の重傷を負った。
指定期限到来時のメッセージ
あなたにはほとほとがっかりしました。いったいいつから自分の幼少期の夢すら蔑ろにするようなつまらない人間になってしまったのでしょうか?自分がやりたいことすら真面目に取り組もうとしない怠惰な人間になってしまったのでしょうか?
人生は一度しかありません。そこで色々なことにチャレンジすることが人生を豊かにするのだと理解できないことが不思議でなりません。あなたは社会に出てからというもの日々自己研鑽に励む心意気を忘れてしまったのかもしれません。忙しいことも他にやるべきことが多いのも承知の上ですがあなた以外の人はその合間を縫って勉強を行っていたはずです。そうやって普段からやるべきことをこなしていけば自然と心の余裕が生まれ人生の大きな決断を行う踏ん切りだってついたはずです。
その程度のことすらもままならないようでは何も為さぬままただただ無為に時間を経過させていくだけの人生を送ることになるのでしょう。しかしそれは全てあなたが招いた事態であり誰かを恨んで解決することではありません。今回の一件で思い直したのであれば少しずつでも何かに取り組んでいくべきなのではないでしょうか。
接触者-18
五十嵐宏希氏概要: 接触日は2020年8月8日で、発見日は2020年8月25日。最新リビジョン時点でSCP-3289-JPによる最後の接触であり、当該接触は「事案: SCP-3289-JP」に指定されている。詳細は補遺を参照。
補遺: 2020年8月25日、webスクリーニングbotは18例目となる接触者の特定に成功しました。当項目執筆時点でこれ以降接触者は確認されておらず、SCP-3289-JPは現在新たな接触を行っていないと考えられています。このため当該接触を「事案: SCP-3289-JP」と指定して重点調査対象とすることが決定されました。
また特筆事項として、当該接触者はGoI-093("PAMWAC")の構成員と見られる五十嵐宏希氏であることが発覚しています。以下はDiscordにおいて同じくGoI-093構成員である松嵜玲児氏との間で交わされたチャットのログです。
事案: SCP-3289-JPを受けた調査の結果、この事態は「SCP-3289-JPによって課題が出されて以降、五十嵐氏の次回出勤日、即ち指定期限が未だ到来していないと見なされている」ことが原因だと結論付けられました。これにより、五十嵐氏をあらゆる職務へ従事させないことが具体的な方策として特別収容プロトコルに組み込まれました。
なお、「五十嵐氏はSCP-3289-JPの収容業務に従事している」と見なされた場合に現状が維持できなくなる可能性が考えられるため、あくまで五十嵐氏が自発的に不就労の選択を採るように仕向ける必要がある点には十分留意してください。
補遺2: 事案: SCP-3289-JPを受けた特別収容プロトコルの策定により、現在に至るまでSCP-3289-JPが新たな人物に接触したとの報告はなされていません。これにより、現在のSCP-3289-JPは暫定的に自己収容状態に陥っていると認定され、当面はこの状態を維持する方針が正式に決定されました。
しかしながら現在、下記のやりとりから五十嵐氏がSCP-3289-JPの収容に際して財団が関与していることを何らかの手段で感知している可能性も僅かながら存在するため、担当職員は五十嵐氏の動向に細心の注意を払いながら収容活動を実施してください。









