SCP-3303-JP
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アイテム番号: SCP-3303-JP

オブジェクトクラス: Euclid

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SCP-3303-JP-A

特別収容プロトコル: SCP-3303-JP-Aには領域全域を占めるすり鉢状のユニットが建設され、SCP-3303-JPはユニット内部の温室へと回収されます。回収されたSCP-3303-JPは温室内で指定の融雪剤を散布後、Dクラス職員によって融解されます。融解したSCP-3303-JPは排水へと放流されます。

SCP-3303-JPの処理に使用したDクラス職員は強固な自殺防止対策およびメンタルケアを実施します。現在、自殺を試みたDクラス職員が月あたり平均10人を超えており、補充への影響が避けられないことから、より強靭なメンタルケア手法の開発が検討されています。

説明: SCP-3303-JPは北海道██山中の半径約16mの円領域 (以降SCP-3303-JP-A) 内に降る、異常性を有する雪です。SCP-3303-JP-A内では季節を問わず常にSCP-3303-JPが降雪しています。降雪量は1日あたり10~30 cmです。組成や比熱は通常の雪と同成分であるにも関わらず、後述する方法以外では融解しません。融解されたSCP-3303-JPは以降異常性を喪失し、通常の水となります。再度凝固させても異常性は復元しません。

SCP-3303-JPは正常な意識のある人間が踏むことによってのみ融解します。融雪剤の使用や加熱を行うことにより、融解速度を上げることは可能ですが、人間が踏まない限り融解は開始しません。加熱によりSCP-3303-JPの温度は上昇しますが、融解はせず固体のまま相転移はしません。アルコールや薬物などにより正常な意識を喪失している人間や高次脳機能障害を持つ人間などではSCP-3303-JPを融解させることができません。

SCP-3303-JPを融解させるために接触した対象は幻聴を聞きます。幻聴は対象を罵倒し、具体的な過去の失敗や心残りであったエピソードに対して揶揄する内容が主なものとなっています。このエピソードは対象本人の認知から構成されるものであり、対象が知り得ない情報は含まれていません。幻聴はSCP-3303-JPを踏んでいる間連続的に発生しており、同エピソードへの雑言を何度も繰り返し対象に聞かせる場合があります。幻聴を継続的に聞き続けた対象は過去の自身の行動への後悔や無力感を覚え、2週間以内に90%以上が抑うつ、睡眠障害、食欲障害、希死念慮などの大うつ病性障害を発症します。SCP-3303-JPによる現象の具体的な内容については別紙に記録されていますが、閲覧者は財団式ストレス診断で問題のない者に限定されます。閲覧中体調の不良を感じた場合は即座に閲覧を終了してください。

SCP-3303-JP-A内には山小屋として建てられた木製の無人の小屋が1軒存在します。現在居住者はいませんが、2016年から2020年の間、当時14歳から18歳であった斎藤 賢氏が居住していたことが明らかとなっています。



補遺3303-JP.1: 発見経緯

SCP-3303-JPは2022年10月、一般の登山者により発見されました。発見当時SCP-3303-JPーA内部には高さ約10 mほどのSCP-3303-JPが堆積しており、SCP-3303-JP-A外の周囲500 mまでSCP-3303-JPが溢れていました。その後形式部門により融解方法が特定され、現在の特別収容プロトコルが制定されました。SCP-3303-JP-Aの土地の所有者である田中 茂雄氏によるインタビューから、SCP-3303-JPは2016年から2018年の間に発生したことが示唆されていますが、発生原因は不明です。

SCP-3303-JPの積雪量から概算すると、発見当時堆積していたSCP-3303-JPは斎藤 賢氏がSCP-3303-JP-Aから転出した2021年以降に降雪したものであり、それ以前に降雪したSCP-3303-JPは全て処理されていたこととなります。田中 茂雄氏などの証言から、SCP-3303-JP発生から2021年頃までにSCP-3303-JP-A内に立ち入った人物はほぼ斎藤 賢氏のみに絞られており、そのためSCP-3303-JPと斎藤 賢氏に強い関係性があることが示唆されました。



補遺3303-JP.2: 斎藤 賢氏に関する調査 (2022/11/21更新)

斎藤 賢氏は2022年時点で20歳の男性です。以下は氏の関係者からの証言を元に氏の来歴とSCP-3303-JPに関与するとみられる事項をまとめたものです。

斎藤 賢氏は2015年平間町立田辺槻中学校に入学しました。中学1年生時の担任評価では「内向的」「短絡的」「心配性」という人物評価をされています。成績は国語のみ5段階中4と優れていたものの、その他の科目は2か3であり優秀とは言い難いものでした。このころ氏の両親の仲が悪化していたという証言が報告されており、理不尽な理由で叱責や暴力を受けたと氏が知人に相談していたことも明らかとなっています。

2016年5月、斎藤 賢氏の両親は交通事故で死亡しました。事故発生直前に口論する両親の姿が目撃されていましたが、これが事故原因に関連するかは明らかとなっていません。斎藤 賢氏は母方の遠縁の親戚である田中 茂雄氏に身を寄せました。以降斎藤 賢氏はSCP-3303-JP-A内の小屋に転居しています。斎藤 賢氏と田中 茂雄氏との関係とは良好とは言えず、田中 茂雄氏は斎藤 賢氏との接触を避けるためにSCP-3303-JP-A内の小屋に居住させたと証言しています。居住地が変わったことで斎藤 賢氏は富野村立富野中学校へと転校しましたが、環境の変化により2016年中は不登校となっていました。

2017年の1月ころから斎藤 賢氏は次第に登校するようになりました。当初は不登校の影響で成績が良好ではありませんでしたが、徐々に改善され中学3年生の1学期の成績は4か5と中学1年生の時と比べ飛躍的な向上を見せました。氏は精神面でも変容を見せており、担任評価では「失敗にくよくよしない」「復習に熱心」「慎重」との人物評価を受けています。

以降高校でも斎藤 賢氏は優秀な成績を維持していました。「初見の問題に対しては応用力を欠くこともあったが、過去に出した問題と類似の問題についてはまず間違えることはなかった」と氏を担当した数学教師は証言していました。またこの時期特筆すべき点として、冬季にしばしば氏は風邪により高校を欠席しています。風邪の理由としては「自宅の雪かきで体が冷えた」と氏の報告が記録されています。この時期にはSCP-3303-JPがすでに発生していたとみられるため、SCP-3303-JPの融解を氏が行っていたと考えられます。しかし氏が精神的な不調をきたした証言や記録は見つかっていません。

斎藤 賢氏が高校2年生の際、担任の教師が生徒に対する暴言により処分されました。教師の暴言が担任するクラスの生徒から恐怖心を抱かれていましたが、斎藤 賢氏はその暴言に対して全く意に介していなかったと知人は証言しています。

以上から斎藤 賢氏は日常的にSCP-3303-JPの融解を行い罵倒される幻聴を受けていましたが、暴言や罵倒に対して耐性があったものと推測されます。また、SCP-3303-JPの暴露開始付近で斎藤 賢氏の性格の変化や成績の向上が発生しています。現在まで財団が施行したSCP-3303-JPとの接触者で斎藤 賢氏ほど長期間SCP-3303-JPに暴露し精神的に問題を起こさなかった者は存在しなかったため、これがSCP-3303-JPの異常性によるものか、非異常性の氏の内面の変化によるものなのか、あるいはその両方なのかは定かではありません。

2021年4月、斎藤 賢氏は東京大学へと進学しました。氏は東京へと居住地を移したためSCP-3303-JPの処理がなされず、財団に発見されるまでSCP-3303-JP-A内にSCP-3303-JPが堆積したと考えられます。現在上京後の氏の来歴と、接触に向けた身辺調査を行っています。



補遺3303-JP.3: 斎藤 賢氏に関する調査2 (2022/11/25更新)

2022/11/23、斎藤 賢氏は運転中別の車に追突され、死亡しました。この交通事故については非異常性であり偶発的な事故であることが確認されています。斎藤 賢氏の車に設置されていたドライブレコーダーには、衝突後斎藤 賢氏の「文句言うなよ、いつも通り次はうまくやるから」という音声が最期に残されていました。

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