アイテム番号: SCP-3314
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3314絵画群は劣化を防ぐために温度・湿度を調節した冷却ボックスに保管します。SCP-3314が関与する試験、実験、その他の利用は、クリアランスレベル2以上の職員ならば行うことができます。

SCP-3314-C
説明: SCP-3314は写実主義芸術家であるアントニオ・ルッソの7枚の油彩画(SCP-3314-AからSCP-3314-Hに指定)の総称です。これらの絵画は“Ricordi Del Mondo Precedente”(訳: “旧世界の思い出”)と題された連作であり、1847年にルッソがアメリカ合衆国ニューヨークに移住した後に描かれました。絵画の年代測定は、1855年から1875年の間に描かれたことを示します。7枚全ての絵画に、アントニオ・ルッソの出生地であるイタリア、ジェノヴァの様々な地域が描かれています。
SCP-3314の異常な影響は、人間が1.5m以内に存在し、積極的に絵画を観察している時に発現します。これらの基準が満たされると、対象者は絵画の主題と相似する幻聴・幻臭を経験し始めます。対象者が絵画を観察する時間が長いほどに、幻覚の強度も増すと報告されています。
観察ログ:
絵画の説明: SCP-3314-Cには様々な植物が売られている市場が描写されている。
設定: D-98019がSCP-3314-Cの正面に配置され、彼の経験を報告するように指示された。
結果: D-98019は、何らかの花の香りと、微かな果物の匂いがすると報告する。D-98019はまた、人々の会話らしきものと、箒で石の上を掃く音が聞こえるとも報告する。
注記: N/A
絵画の説明: SCP-3314-Eには1本の木とその後ろに立つ1軒の家が描かれている。
設定: D-17282がSCP-3314-Eの正面に配置され、彼女の経験を報告するように指示された。
結果: D-17282は、木の葉が擦れ合う音が聞こえ、肥料の匂いがすると報告する。
注記: N/A
絵画の説明: SCP-3314-Hには建物の中の部屋が描かれている。室内には描かれた年代に適切な寝室用の家具がある。
設定: D-64801がSCP-3314-Hの正面に配置され、彼の経験を報告するように指示された。
結果: D-64801は微かにカビの匂いがすると報告する。1分後、D-61801は2人の人間 — 男性と女性 — の会話らしきものが聞こえると報告する。D-61801はイタリア語を話せなかったが、“アントニオ”という名前を繰り返し聞いたと指摘する。
注記: イタリア語を理解できる職員を利用したその後の実験は、男女の会話が二度と聞き取られなかったために失敗している。
補遺3314.1: 1974/5/26、財団はアメリカ、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館の捜索を実施しました。捜索の一環として、財団職員はSCP-3314への言及を含むアントニオ・ルッソの文書を検査しました。これらの文書の中から以下が発見されました(イタリア語から翻訳されています)。
絵を描く時、僕は自分が描いているものを感じる。絵筆を走らせる度に、僕の絵だけではなく、僕自身の新しい欠片が完成に一歩近付く。僕は自分の作品を家族と分かち合えたらと願うことしかできない。よくベッドの中で寝返りを打ち、皆は今頃何をしているだろうと思いを馳せる。寝室の窓から外を見る時、この街の石造りの巨獣たちの代わりに、ジェノヴァのなだらかな丘が見えたならと願うばかりだ。絵を描く時、僕は今まで感じたことのない感情を感じる。自分の絵を見ていると、まるで家にいるように感じる。