アイテム番号: SCP-334
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-334は耐熱処理された標準的な大きさの封じ込め房内に収容されます。磁気領域発生装置を壁面と天井・床の表面から少なくとも15cm離れた位置に重複して領域が展開されるように配置し、各発電機は十分な予備機材と複数の電源を用意する必要があります。これには最大出力で磁場を30分間維持できる緊急用蓄電池を含みます。耐熱被覆の保守管理は毎週の日程に組み込まれ、必要に応じてより広範な修理を行うために予備収容室へ対象を移送してください。毎日3匹のマウスを、対象が類型を学び脱出を試みる可能性を減らすために無作為な時間に封じ込め房内に投入してください。SCP-334の狩猟と巣穴掘りの本能のため、封じ込め房の床はより強力な耐熱処理を施すか摂氏██度以上の融点を持つ物質で構成すると共に、磁気領域を他の面の1.5倍の強度にする必要があります。対象はキツネ特有の構え――強力な鉤爪を用いたとびかかり――で狩りをおこないます。そしてこれは封じ込め領域を僅かながら貫通できることが判明しました。これは現在までに█回の封じ込め違反に繋がっています。
説明: SCP-334はアカギツネ(vulpes vulpes)にとてもよく似た超高温の小さなプラズマ雲であること以外はごく普通のアカギツネです。その体はまるで蒸気や陽炎のように揺らめき、フィラメントの裂け目を覗けばそれを通して反対側が見えます。フィラメントは赤から橙の連続範囲の蛍光色を発し、"瞳"は青色の連続範囲で瞬いています。対象の質量は無視できる程度しかありません。また、核となる物体もおよそ存在しません。SCP-334はアカギツネと基本的に同一であるように思われ、また実際にいくつかのキツネらしい行動を見せます。たとえば獲物を狩猟しようとする行動や実験334F-03での[編集済み]です。対象がキツネを模した実体であるのか、あるいはキツネが何らかの要因でこのような存在に変異したものであるのかは不明であり現在調査中です。
対象が高温のイオン化ガスで構成されているため、SCP-334の効果的な収容は封じ込め用磁気領域を使用せずには不可能であり、またこの領域を用いた場合でもとても困難なものとなっています。対象はその能力を用いて高温と熱量の影響を体表の周囲約7cmに展開することができ、これにより物理的な障害は瞬時に昇華します。この時の表面温度は摂氏████度を超過していますが、これは熱力学の法則が示すそれよりはるかに速い速度で距離に応じて急速に冷却され、10cm以内で摂氏██度程度まで低下します。SCP-334はこの時の熱出力を自由に制御できることが判明しています。対象は約10秒に亘って、160km/hの速度のγ線決壊を起こすことが可能です。これほどの速度の決壊は、対象の質量を分散させると同時に『へとへとに疲れる』ため、体調を整えるために『休息』を必要とします。
対象は物質をプラズマ化させ、それを吸収することで『養分』を得ます。大気中に僅かに存在するイオン化したガスからも少量の熱量を正常に取り出すことが可能ですが、これだけは不十分であり給餌が必要です。
対象は歩く際に地面へ触れることが無く、また地球の重力の影響を受けているようには見えないにもかかわらず、歩いて移動できる範囲に満足しているようで、現在までに実際に『飛行』している姿は観測されていません。対象が飛行できるということを知らないのか、はたまた単純に飛行しないことを選択したのかは現時点では不明です。
回収記録: SCP-334が回収された地点は[編集済み]から██km、ある流星落下地点から█kmの位置でした。この流星落下が起源であるかは現在も調査中です。対象は財団が行う日常的な緊急通報の監視を通じて、公的な正当性はありませんが[データ削除済]と一致するような異常な焼け焦げや痕、そして[編集済み]を付近の森の中で目撃したという報告が為されたことで存在が捕捉されました。完全装備の財団戦闘小隊は予測されていた[編集済み]を発見することはできず、代わりに遙かに小さな脅威であるSCP-334を発見しました。磁気応用収容瓶と2匹の活マウスを利用することで、許容範囲の死傷者数で回収に成功しました。
補遺: SCP-334は脱出に関する一定の才覚を有しています。最初の収容以来、█回もの収容違反を発生させており、合わせて[編集済み]ドルの金銭的被害、サイト-██への構造的被害、そして██人の人的被害を引き起こしています。SCP-334は人間を警戒しており可能な限り人間との接触を避け、また小さな障害物や小さな空間の多い執務室、宿舎やその他財団施設に隠れることを好みます。繰り返される収容違反の回数にもかかわらず、SCP-334はサイト-██を立ち去る傾向を示しませんでした。また現時点でSCP-334は直接的な脅威と見做されておりませんが、収容違反の際に引き起こされた構造的損害はSCP-███の収容違反につながる可能性がありました。SCP-███とSCP-███を█へと移送することを優先的に考慮するべきです。
部分的な実験記録: 仮説と一致した結果は除去済みです。必要な職員は請求してください。
実験記録 334T-01から-48
日付: 2010/██/██
被験者: マウスから中型ウサギまでの様々な餌動物の模索
結果: 対象は毎回異なる時間被験者を追い回しており、明らかにとびかかる頃合いを見計らっているようである。それぞれの実験で対象はプラズマへと昇華させ、そして夢中でその『口』を通して食事をするような仕草を見せた。
実験記録 334F-01
日付: 2010/██/██
被験者: 雄のアカギツネ
結果: 被験者は高水準の不安を示し大きな声をあげ吠え唸った。SCP-334は興味を示さなかった。それ以外の変化が無いまま██分が経過した時点で実験を終了した。
実験記録 334F-02
日付: 2010/██/██
被験者: 雌のアカギツネ
結果: 334F-01に同じ。
実験記録 334F-03
日付: 2010/██/██
被験者: 発情期の雌のアカギツネ
結果: SCP-334はしばらく臭いを嗅ぐような仕草を見せ、被験者は前の実験2つと同様の反応を見せつつ、そして[データ削除済]。
研究者注: あんなものはもう二度と見たくありません。
実験記録 334-01
日付: 2010/██/██
被験者: SCP-334
注: SCP-334の封じ込め房に、それと同一組成のイオン化ガスを充填しました。
結果: SCP-334は最初好奇心を示し、セル内のイオン化ガスの圧が上昇し始めると攪拌を開始しました。5分の後、対象は白熱を始め[データ削除済]。収容は再確立されました。見たところ対象は疲労困憊しているようです。
実験記録 334-02
日付: 2010/██/██
被験者: SCP-334
注: この実験では収束磁界"刃"を用いてSCP-334の質量の一部を切断する試みが行われました。
結果: [データ削除済]。
注: これ以降『エネルギー投入』及び『切断』を伴う実験は、厚く保護された遠隔実験施設以外では禁止されます。
実験記録 334D-01
日付: 2010/██/██
被験者: D-13487-334、標準飼育ケージ内に入れた3匹の生きたマウス
注: SCP-334への給餌を1日断った後、Dクラス職員に封じ込め房への入室を指示しました。
結果: SCP-334は瞬時に容器へ跳躍しその内部を焼却、D-13487-334の腕と胴体の大部分も同様に焼却されました。D-13487-334は即死しましたが、SCP-334はそれには目もくれずに変換したマウスと容器に注意を向けました。
研究者注: まあ、それは確かにキツネだ。しかしあまりにも身近にいるがために、どうやらそれが人を殺すことができるということに気付いていなかった、あるいは注意を払っていなかったようだ。
実験記録 334E-02から-██
日付: 2010/██/██
被験者: SCP-334
注: この実験はSCP-334の適応環境を調査する目的で行われました。
結果: 気密セル内で内部を真空状態にした。対象の行動様式に変化は見られない。内部を摂氏500度以上に加熱した。対象の行動様式に変化は見られない。内部を摂氏-100度まで冷却したが、やはり対象の行動様式に変化は見られない。内部へ徐々に様々な組み合わせで大気を送り込み、最大3気圧とした。大気が供給された後に対象の動作は活発になり、翌日までの給餌を必要としませんでした。
研究者注: つまりSCP-334は真空中や金星の表面でさえ生き残ることができる。同時に高圧化では食餌を必要としないことが判明した。これらと他の記録は、[データ削除済]を示唆している。