アイテム番号: SCP-3340-JP
オブジェクトクラス: Nagi1 (保留)
特別収容プロトコル: SCP-3340-JP実例は、サイト-81██の低脅威度物品ロッカーへと保存され、異常性の復帰方法が模索されています。元の使用者である鴻池氏は財団によって保護されています。
説明: SCP-3340-JPは、徳島県徳島市に在住する鴻池氏の住宅で発見された、異常性を有すると予想される人間型ロボット群です。顔面にスピーカー内蔵の液晶ディスプレイが取り付けられていることは共通していますが、それぞれ固有の名称が印字されており、体部品の一部は家事・育児における業務を行うのに適した形となっています。発見時の状況から、鴻池家ではSCP-3340-JPの異常性が消失するまでSCP-3340-JPを常用していたものと思われています。鴻池家の廃棄した家庭ごみからは、やや乱雑な手描き文字で以下の文言が記されたチラシが見つかっています。
おまかせ!子育てセット
疲れるだけの家事に飽き飽きなあなたに! 子供と楽しい時間だけを過ごしたいあなたに! 私たち運輸の販売するおまかせ!子育てセットは、素敵なロボットの仲間が皆さんの仕事を全て肩代わりいたします! 面倒な子育てから解放された、快適な人生を送りましょう!
運輸
発見時の地域調査では、鴻池氏の住宅にはおおよそ1ヶ月毎に大きな荷物が継続的に送付されていた旨の証言が得られました。これらの荷物がSCP-3340-JPであると推測されますが、配達の瞬間を確認した住民はおらず、送り主は現在も判明していません。チラシ内の「運輸」という文面や、SCP-3340-JPが子供を有する家庭に存在したという事実から、送り主は要注意団体「シュトルヒ運輸2」か、もしくはそれに近い団体・個人であることが予想されています。
以下はSCP-3340-JP実例の印字された名称、他実例と比較した外見状差異、予想される異常性、発見場所です。完全なリストはこちらから閲覧できます。なお、以下の異常性については、鴻池家の子供である鴻池 瑞歩氏(5)からの聞き取りと印字から推察されるものであり、主観的かつ正確性に欠けたものである可能性を留意してください。
| 枝番号/名称 | 外見 | 行動 | 発見場所 |
|---|---|---|---|
| -1/子育てセットはじめてマニュアル | N/A | 他SCP-3340-JPの購入、配送されたSCP-3340-JPの搬入・開封 | 1階玄関 |
| -2/らくらく!せんたくロボット | 関節部のパッキン等耐水性を示す。右腕には、洗剤・柔軟剤の入った液体容器が埋め込まれている。 | 洗濯機の起動、洗濯した衣類の乾燥、折り畳み、収納 | 1階洗濯機置き場 |
| -3/おまかせ!名人バイヤー | エコバッグ様の布袋が腹部に収納されている。 | 屋外への外出、近隣スーパーでの日用品の購入 | 一階キッチン、食料品棚 |
| -4/アツアツ!クッキングマシン | -2の耐水性に加え、全身が耐火性プラスチックで作られている。腹部に食洗機と形状の類似する機関が存在。 | 食事の調理・食器の洗浄 | 1階キッチン |
| -6/簡単!お掃除ヘルパー | 左腕が縦型掃除機に似た構造に置換されている。 右腕に-2と類似する、清掃用洗剤の入った液体容器が存在する。 | 部屋の清掃 | 1階浴室 |
| -7/頼れるお父さんロボット! | 後述する鴻池 三郎氏と体型が類似。 | 他SCP-3340-JPへの作業指示、子供との共食、コミュニケーション、睡眠その他子育て業務全般 | 2階ベッド、瑞歩氏の右側 |
| -8/優しいお母さんロボット! | 後述する鴻池 瑞希氏と体型が類似。 | 同上 | 2階ベッド、瑞歩氏の左側 |
| -9/あんぜん!子供プロテクター | 上腕に小さいロボットアームが2対装着されている。耐荷重は80kg以上と概算される。 | 子供にとって危険・有害とされる物品・人物3の監視・子供への接触の妨害・ロボットアームによる倉庫への隔離 | 1階倉庫、鴻池夫妻の付近 |
補遺: SCP-3340-JPは2024/05/24に発生した夫婦心中事件を発端として財団に発見されました。発見当時夫婦であった鴻池 三郎氏(37)と鴻池 瑞希氏(36)は1階の倉庫で死亡しており、娘であった鴻池 瑞歩氏は2階のベッド中央にてSCP-3340-JPとともに寝かされていました。倉庫周辺の状況から、鴻池夫妻は死亡の数日前からSCP-3340-JPらによって倉庫に隔離され、瑞歩氏との接触が不可能であったと考えられています。
特筆すべきこととして、保護された瑞歩氏は当初、死亡した2人を認識せず、SCP-3340-JPらを親と認識しているような言動を繰り返していました。鴻池家の近隣の人物のSCP-3340-JPへの認識も同様のものであり、逆に鴻池夫妻に対し、「鴻池氏の家に不審な人物が出入りしている」「自らを瑞歩氏の両親と主張する不審者が瑞歩氏に接触しようとしていた」などの認識をしていました。
このため、SCP-3340-JPには上記の異常性に加え、子供に対し一種の刷り込み的心理影響をもたらす異常性も有していたと考えられています。周囲の人物への心理影響はしばしば近所トラブルに発展していたとみられ、上述の瑞歩氏の認識に加えて鴻池夫妻の自殺の原因の一つであったと考えられています。なお、瑞歩氏・周囲の人物のこれらの認識は時間経過によって解消されています。
また、異常性停止以前のディスプレイは、鴻池夫妻の顔を模した画像が表示され、周囲の状況にある程度適応した表情変化および発声を行ったことが瑞歩氏の陳述から予測されていますが、回収されたSCP-3340-JPのすべてのディスプレイはそのような性質を示しませんでした。
財団の回収以降、ディスプレイには、以下の文言のみが表記されています。
日頃から、当社の「おまかせ!子育てセット」をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。フリープランは終了しました。再びご利用をお続けになる場合、プレミアムプランの契約が必要となります。なお、この契約はフリープラン契約時に成人していた利用者様のみ行うことができます。それ以外のお客様が利用される場合、お手数ですが、本来の利用者様をお探しになった上でご検討ください。
TEL: 0120-████-████
文章の内容から、SCP-3340-JP利用者のうち成人が「プレミアムプラン」に契約することでSCP-3340-JPは再起動するものと考えられていますが、現状その条件を満たす存命中の人物は存在せず、またそれ以外の人物による表記された電話番号へのアクセス、逆探知はいずれも成功していません。
補遺2: SCP-3340-JPの更なる調査結果をもとに、SCP-3340-JP収容チームは、SCP-3340-JPの再起動方法として予想されていた「プレミアムプラン」はその実在性自体が疑わしいと結論付けました。以下はそれを支持する調査結果です。
- SCP-3340-JPを分解した結果、いくつかのSCP-3340-JPの中枢部には損傷が見られた。鴻池夫妻がSCP-3340-JPと争った際に付いたとみられる表面の傷4と比べて明らかに損傷の位置・程度が深く、内部から故意に発生した損傷であると考えられる。
- 内部に確認された通信機器はおそらく上記の中枢部と同時期に機能を喪失しており、外部の通信によってSCP-3340-JPが再起動する可能性は低い。
- SCP-3340-JP-1の内蔵データを調査した結果、鴻池家に搬入されてから機能を停止するまでの期間における鴻池夫妻の心拍数や脈拍などのデータが記録されており、その値が両方とも0となった段階において記録が途絶している。
- 上記のことから、異常性喪失およびパネルの内容の変更が、「プレミアムプラン」が契約可能な人物であるとされている、鴻池夫妻双方の自殺をトリガーとして発生した可能性が高い。
- SCP-3340-JPの刷り込み影響から脱した瑞歩氏がSCP-3340-JPに接触した際、モニターの表記が以下のように変化した。
よいこのみんなへ: やあ! ツュ卜ル匕博士の素敵なロボットたちが送るグレイトな日常、楽しかったよね? でも残念ながら、おためし期間はこれでおしまい! おとうさんかおかあさんを家の中からはっけんして、ワクワクいっぱいのプレミアムプランを楽しもうね! おとうさんおかあさんがだいすきだったキミなら、さがしだすのもカンタンさ!
上記の事由から、SCP-3340-JPが再び異常を獲得する可能性は低い、としてオブジェクトクラスをNeutralisedへ変更することが申請されました。しかしながら、認識災害によって隠蔽されている、更なる実例が鴻池氏以外の家庭にも存在している可能性が捨てきれないとして、正式な変更は保留されています。









