SCP-3343-JP
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アイテム番号: SCP-3343-JP

オブジェクトクラス: Euclid Keter

特別収容プロトコル: 収容下のSCP-3343-JPは標準植物管理プロトコルに基づいて管理されます。SCP-3343-JP群落形成実験下以外では適宜剪定を行い群落形成を妨害してください。野生下のSCP-3343-JPはサンプルを回収し残りは現地にて焼却処分してください。

SCP-3343-JP群落は簡易収容室を建造し外部の生態系と隔離します。SCP-3343-JP群落でのSCP-3343-JP開花が確認された場合、機動部隊-う-12("笹舟の錨") を派遣した上でスクラントン現実錨を配備しSCP-3343-JP-1の出現に備えてください。新たにSCP-3343-JP群落が発見された場合は適切なカバーストーリーを流布し民間人の接近を防止してください。追記1を参照してください。

SCP-3343-JP群落は発見次第焼却処分してください。SCP-3343-JP群落の研究は人工生育下においてのみ許可されます。

Kant-NETs1にて高ヒューム実体の監視を行い、野生下のSCP-3343-JP-2を確保してください。野生下のSCP-3343-JP-2は収容困難な場合破壊が許可されています。

説明: SCP-3343-JPは現実改変を引き起こすマダケ(Phyllostachys bambusoides)に類似する植物です。SCP-3343-JPは根系を奇跡論的な位置に配置することによって、根から地上部に向かって現実性を吸引しています。これによってSCP-3343-JPの地上部は環境中において相対的にわずかに高ヒューム2となります。SCP-3343-JPはマダケの特徴である地下茎を介した無性生殖を行い1個体で広範囲に分布するため、この微小なヒューム値の差異を単一の目的のために集中させることで大規模な現実改変が可能になります。これを利用してSCP-3343-JPは気温や天候を操作し自身の生存に役立てていると考えられます。また、SCP-3343-JPの根圏は低ヒュームとなり他の植物に対するアレロパシー効果を獲得しています。


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SCP-3343-JPによる現実改変の機序


SCP-3343-JPの発見地である████は一年を通して気温が20℃前後で一定の領域としてUE-██████-JPに指定されていました。当該領域の詳細な調査によって、SCP-3343-JP生息領域におけるヒューム値の異常な偏り及びSCP-3343-JP根系の奇跡論的な特徴が発見されたことにより、SCP-3343-JPは収容に至りました。

SCP-3343-JPの地下茎および根は現実屈性を持ち、より高ヒュームの領域に伸長する傾向があります。これはSCP-3343-JPの現実性吸引の効率を向上させる目的と、根圏が現実性吸引の影響を受け低ヒュームとなるため、同種同士の生息域の重なりによって生じる極度の低ヒューム環境における現実性流出などの不都合を回避する目的があると考えられています。また、この性質によってSCP-3343-JPは同種との距離を確保しているものと推測されています。

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外部から観測したSCP-3343-JP群落

SCP-3343-JPによって群落が構成された場合、SCP-3343-JPは大幅に現実性吸引能を向上させます。一般にマダケに代表される暖温帯に生息するタケ亜科(Bambusoideae)植物は単軸分岐する地下茎を介して無性生殖を行うため散発的に竹稈を分布させます。これに加えてSCP-3343-JPは現実屈性を持ち密集を避ける傾向があるため通常群落を形成することはありません。しかしSCP-3343-JPが一定以上の密度で生息している場合、SCP-3343-JPの地下茎は奇跡論的な配置3を取るように伸長します。これによって形成されたSCP-3343-JP群落ではSCP-3343-JPによる現実性吸引能が大幅に向上します。4そのためSCP-3343-JP根圏の極端な低ヒューム化により群落の境界に沿って現実断層が発生し領域内外の生物の通過を阻害します。この現実断層によってSCP-3343-JP自身が傷害されない理由は、SCP-3343-JPが緩衝膜を持つためとの仮説が立てられていますが、群落を形成していないSCP-3343-JPでは緩衝膜は観測されておらず、SCP-3343-JP群落内部の詳細な観測が困難なため群落内部でのSCP-3343-JPの緩衝膜の有無は判明していません。後述するSCP-3343-JP群落の実地調査によって緩衝膜の存在が確認されました。地下茎の奇跡論的配置によって獲得されたものと推測されています。

SCP-3343-JP根圏の極端な低ヒューム化は共生関係にある微生物を含めた根圏中の生物をほぼ全滅させます。これによる分解者の不在はSCP-3343-JP群落内の栄養循環を悪化させますが、現実性吸引能の向上によりSCP-3343-JP地上部での現実改変能も向上しているため、現実改変によりこの問題を解決していると推測されています。詳細な機序の解明のため、人工生育下での小規模な群落形成実験及び対現実改変装備を伴っての実地調査計画が進行中です。

補遺1: 2002年5月23日、SCP-3343-JP群落の██%に当たる█箇所において、群落内のSCP-3343-JPが一斉に開花し、1ヶ月をかけて全開花個体の枯死が確認されました。5これにより当該群落の境界に存在した現実断層が破綻し、内部で生存していた異常な能力を持った小型動物群(以下SCP-3343-JP-1と呼称します。)が解放されました。SCP-3343-JP-1はSCP-3343-JP群落内の高ヒューム環境6に長期間曝されたことによって内部ヒュームが約2.0Hmで固定されており軽度の現実改変特性を持ちます。SCP-3343-JP-1はSCP-3343-JPの現実改変による進化の誘導を受けていると推測され、その多くはSCP-3343-JP根圏の極端な低ヒューム化により全滅した分解者の役割を代替しています。補遺2を参照してください。

SCP-3343-JP開花イベントを受け、枯死によるSCP-3343-JP群落の崩壊及び内部の生物群の収容違反を予測していたSCP-3343-JP収容チームによって、SCP-3343-JP-1群は成功裏に収容され各個体はサンプルを残し破壊されました。

 
補遺2: 2011年4月8日、複数の対現実改変装備を用いることによりSCP-3343-JP群落内部の実地調査が成功しました。続く3年間の長期観察により、SCP-3343-JP-1の発生機序の一部が明らかになりました。
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SCP-3343-JPによる進化加速の機序


SCP-3343-JP群落内では「SCP-3343-JPの生存に寄与するか?」が強い選択圧として働きます。SCP-3343-JP群落内にてSCP-3343-JPに不利益をもたらす現象7が起こった際、SCP-3343-JPは現実改変を用いて問題の解決を図りますが、この際群落内の広範囲に現実改変の影響が及びます。この影響範囲内にSCP-3343-JP以外の生物が存在する場合、現実改変の影響を受けSCP-3343-JPの問題解決に寄与する異常な能力を獲得する場合があります。この異常な能力を獲得した生物(以下SCP-3343-JP-1とします。)はSCP-3343-JPから現実性を押し付けられることになるため、わずかに高ヒュームになります。SCP-3343-JP群落の環境ヒューム値は約2.0Hmで固定されていますが、SCP-3343-JP根圏が低ヒュームであるため群落内の生物は地面へ現実性を吸引されることで相対的に低ヒューム8となり、他の生物の意識による現実性の流れに影響されやすくなっています。9そのため捕食や繁殖などの他者との相互作用において他者の無意識の願望を叶える改変を受けやすくなります。SCP-3343-JP-1は環境ヒューム値との差異が少なくなるため、この無意識の願望の影響を受けにくくなりSCP-3343-JP群落内での他者との競争に有利となります。加えてSCP-3343-JP-1はSCP-3343-JPの問題を解決する能力を持つため、SCP-3343-JPが同様の問題を解決しようとするたびに意識の流れによって現実性を供与されて更に高ヒュームとなります。これによりSCP-3343-JPの問題を解決出来る個体ほど相対的に高ヒュームになる正のフィードバックを形成し、更に生存競争に有利となると考えられています。これによってSCP-3343-JP群落内では「SCP-3343-JPの生存に寄与するか?」が強い選択圧になり、極めて特殊な生態系を形成していると考えられています。

例としてササラダニ類から進化したSCP-3343-JP-1-4は、現実改変により糞を地中深くに落下させる異常性を獲得しSCP-3343-JPへ栄養塩を供給する役割を持つことで現実性を供与され、他のダニ類との生存競争に勝利したと推測されます。これは長期観察下において異常性の強い個体が繁殖に有利となり、世代を経るごとに糞の落下位置がSCP-3343-JP根系に接近する観察結果、および非異常ササラダニ類の導入実験における非異常個体の淘汰によって裏付けられています。また前述の開花イベントを引き起こしたSCP-3343-JP群落は形成から最長でも1██年程度と生物進化の時間スケールでは極めて短期間にも関わらず複雑な異常性を進化させた生物が多数確認できる理由は、先述の現実改変による直接的な遺伝子改変の他に、SCP-3343-JP生息領域は気温や天候が安定しており季節を問わず生物の繁殖が可能であるため世代交代の速度が早いこと、昆虫などの世代交代が早い生物が強い選択圧に曝されることで進化を誘導されていることが挙げられます。詳細は「武井浩一. SCP-3343-JP群落における進化加速の機序. 財団生物学ジャーナル, (2013), P75-79.」を参照してください。

追記1: 2015年6月28日、補遺2にて観察中であったSCP-3343-JP群落においてSCP-3343-JP群の急激なヒューム値の低下および詳細不明の超高ヒューム実体群を観測しました。当該実体群は実地調査を監督していた研究員3名を殺害しSCP-3343-JP群落より脱出、簡易収容室を破壊して逃走しました。

SCP-3343-JP群落内の複数箇所においてSCP-3343-JPに奇跡論的なシンボルに類似する穴が空いており、シンボルに向けて現実性の流れが形成されていることが発見されました。当該実体群はSCP-3343-JPを利用して群落内の現実性を吸収し、推定██Hmの超高ヒュームに至ったと推測されます。これまで役割が不明であったSCP-3343-JP-1-7は当該実体への防御のために進化した可能性が指摘され10、他のSCP-3343-JP群落における当該実体の出現を危険視したSCP-3343-JP収容チームの提言により、既知のSCP-3343-JP群落の破壊が承認され、SCP-3343-JP群落の研究は人工生育下のみで行われることとなりました。

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SCP-3343-JP-2

追記2: 2020年10月3日、人工生育下のSCP-3343-JP群落において、竹稈に奇跡論的シンボルに類似する穴の形成が確認され、速やかに当該シンボルの無力化に成功しました。当該シンボルが形成されていた竹稈内部にタケトラカミキリ(Chlorophorus annularis)に似た実体が確認されました。当該実体は12.2Hmの高ヒューム値を持ち、現実改変能力を行使して捕獲を妨害したためやむを得ず破壊されました。

タケトラカミキリは竹稈の裂目や傷跡などに産卵し、孵化した幼虫は竹稈内部を穿孔食害して成長し、成虫となると竹稈を食い破って脱出するという生活史を持ちます。このためタケトラカミキリは卵から蛹に至るまでを竹稈内部で生活します。SCP-3343-JP群落においてSCP-3343-JPの内部ヒュームは1█.0±█.█Hm程度と極めて高ヒュームの環境であり、本来はSCP-3343-JPによる現実改変をダイレクトに受ける非常に危険な領域です。SCP-3343-JP群落内の調査により発見された当該実体の卵は反ミーム性を持つ模様に覆われており、SCP-3343-JPからの発見を防ぐことによって現実改変による攻撃を未然に防いでいると考えられます。この高ヒューム環境中で充分長期間生存することによって当該実体はSCP-3343-JPとほぼ同値までヒューム値を上昇させます。

当該実体は竹稈に奇跡論的シンボルに類似する穴を形成することで、SCP-3343-JPの現実性吸引能力のベクトルを操作し、SCP-3343-JP群に現実性を供与させることでSCP-3343-JP以上の現実改変能力を獲得していると推測されます。既に当該実体群が野生下へ逃走していることを鑑み、当該実体をSCP-3343-JP-2と指定し野生下の個体を捜索しています。未収容の現実改変生物であるSCP-3343-JP-2が多数存在する懸念から、SCP-3343-JPはKeterクラスに再分類されました。

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