SCP-3358
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SCP-3358へと続く道

アイテム番号: SCP-3358

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-3358の近辺一帯には金網フェンスが設置されています。加えて、一般市民がSCP-3358に進入する可能性を減らすため、この一帯が絶滅危惧種の植物の保護区であると示す標識をSCP-3358の半径1 km圏内に設置しています。非財団職員がSCP-3358に進入した場合、その侵入者を直ちに拘束し、クラス-B記憶処理を実施した上で最寄りの人口密集地に解放してください。

SCP-3358は低〜中危険度のアノマリーの収容に重きを置いた財団保有サイトとして取り扱われ、O5評議会が定める全ての規則とプロトコルに従うものとします。SCP-3358はサイト-316と呼称しても構いません。

SCP-3358-1からSCP-3358-10はサイト-316の標準ヒト型実体収容チャンバーに収容します。

説明: SCP-3358はワシントン州████████近郊に所在する旧アパートです。SCP-3358の周囲約33300平方メートルを包括しており、その一帯にある物は全て、外部からは視認できず、音も聞こえず、それ以外の方法でも検出できません。しかし、SCP-3358は質量を持つため、直に接触することは可能です。また、SCP-3358は可視スペクトルの波長を除く電磁放射線を反射するため、赤外線を介せば視認できます。

SCP-3358に近接すると、人間が有する異常効果が無力化します。無力化は瞬時に起こるのではなく、完全に無力化するまでの時間はアノマリーによって異なります1。しかし、SCP-3358を離れると、無力化前に有していた異常性が、保有者の見なす "通常時" よりも激化した状態で再発します。

SCP-3358は隠蔽が比較的容易であり、異常な人型実体を一時的に無力化できるため、サイト-316として改装されています。本稿執筆現在、サイト-316はSCP-3358-1からSCP-3358-10を含む、計139体の中〜高危険度ヒト型アノマリーを収容しています。

サイト-316管理官A. ダグラスからの通達

留意事項として、サイト-316への移送は絶対的な最終手段としてのみ行使するべきです。サイト-316に収容されたアノマリーは移転がほぼ不可能になります。収容ユニットを増設するという選択肢はあり得ません。増設するとセキュリティ上の危険性が高まるからです。もし移送を受け入れ続ければ、瞬く間に壊滅的な過密問題に直面することでしょう。サイト管理官の皆さんには、サイト-316へのアノマリーの移送を検討する前に、例えばエリア-13で収容するなど、他の選択肢を十分に検討していただくようお願いします。

— A.D.

SCP-3358-1からSCP-3358-16は、発見当時のSCP-3358に元々居住していた16人を指します。以下はそれぞれの指定と異常性を記載した表です。

指定 異常性 説明
SCP-3358-1 クラスIV現実改変 50/女性
SCP-3358-2 爬虫類の身体的特性 21/男性
SCP-3358-3 認識災害性の声音 30/女性
SCP-3358-4 クラスII現実改変 16/女性
SCP-3358-5 くしゃみ時の自己複製 44/女性
SCP-3358-6 クラスII現実改変 75/男性
SCP-3358-7 エンパス 29/男性
SCP-3358-8 瞬間移動 51/男性
SCP-3358-9 軽度のテレパス 23/男性
SCP-3358-10 鳥類の身体的特性 33/女性
SCP-3358-11 自己燃焼 (死亡) 21/男性
SCP-3358-12 クラスI現実改変 (死亡) 80/女性
SCP-3358-13 無し/SCP-3358-7の配偶者 (死亡) 32/男性
SCP-3358-14 磁性 (死亡) 17/男性
SCP-3358-15 無し/SCP-3358-14の姉 (死亡) 20/女性
SCP-3358-16 幽体離脱 (状態不明) 65/男性

SCP-3358-1は50歳前後の女性であり、自身がSCP-3358の製作者であると認めています。

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SCP-3358-7 (左) とSCP-3358-1 (右)。写真はSCP-3358-1が撮影。

補遺-3358-1: 19██/██/██、SCP-3358-11からSCP-3358-15は、SCP-3358の居住者を回収する目的で送り込まれた財団エージェントに攻撃したと当時見なされたために殺害されました。財団は当初、居住者を非異常な一般市民と考えていたため、機動部隊カッパ-6 ("レイト・チェックイン") による救出作戦が実行されました。
 
SCP-3358-112からSCP-3358-16は機動部隊カッパ-6の進入地点に最も近く、SCP-3358の境界線を真っ先に越えました。異常抑制場から出た直後、SCP-3358-11は突如として炎に包まれ、エージェント・ラッセルに重度の火傷を負わせました。SCP-3358-11を始め、その場にいた異常性保有者らは次第に恐怖を抱き、残った機動部隊エージェントから逃走を試みました。
 
対象群は原野へと逃走を試み、立ち止まるよう指示されても従いませんでした。エージェントらは対象に発砲して動きを封じるよう指示されましたが、それによってSCP-3358-11とSCP-3358-14から敵意を向けられました。ハート司令官は致死性武器の使用を許可し、境界線を越えた瞬間に消失したSCP-3358-16を除いて、その場にいた対象群は全員殺害されました。

SCP-3358-4はハート司令官に敵意を向け、司令官を [データ削除済] しようとしました。エージェントらはSCP-3358-4に向けて発砲するよう指示を受けました。SCP-3358-1はこれに反応して戦線の前に移動し、眼球に深刻な損傷を受けました。SCP-3358-1はSCP-3358-2からSCP-3358-10に向けて、財団職員に服従するよう要請しました。エージェントらは発砲を中止する指示を受け、対象群の収容を開始しました。対象群は従順になり、何事もなく拘束されました。SCP-3358-1はのちに治療を受けました。

インタビュー-3358-34

回答者: SCP-3358-1

質問者: ウィンチェスター主席研究員

前書: 以下は精神鑑定から6か月後に実施された、SCP-3358-1への最初のインタビューである。それまでのインタビューの試みではほとんど情報が得られなかったため、本文書からは省略されている。

<ログ開始>

ウィンチェスター: ご自身の異常性の起源はご存知ありませんか?

SCP-3358-1: いいや、あんまり。現実ってのはこう、時に何の理由もなく壊れるもんだよ。そして壊れたらヒビができる。あたしはそんなヒビの一つだ。そんでもって、あたしはもっとヒビを入れられる。

ウィンチェスター: SCP-3358を作成した動機は?

SCP-3358-1: あたしは物心ついた頃には既にホームレスでね、他数人の、ホームレスのヒビたちと一緒に暮らしてた。あたしたちは何とか目立たないでいようとしたさ。けどね、トカゲ男のような見た目をしてたり、くしゃみする度に増えたりするようだったら、それは言うほど簡単なことじゃなくてね。

ウィンチェスター: SCP-3358-2とSCP-3358-5のことでしょうか?

SCP-3358-1: そうさ、あー…… 確か████と█████って名前だったかな。ああ、会わなくなってもう随分経つねえ。

ウィンチェスター: SCP-3358を作成した理由の続きをお願いします。

SCP-3358-1: アパートのことかい? ああ、それからあたしたちは町を離れて、アパートを建てるのにいい場所を見つけた。アノマリーアパートってあたしたちは呼んでたね。あたしと███████の2人で、半年以上かけて作り上げた。

ウィンチェスター: SCP-3358を端から見えないようにし、内部に持ち込まれた人型アノマリーを無力化するようにした目的は?

SCP-3358-1: 見えなくしたのは目立たなくさせるためさ。無力化については、あたしたちは皆、ただ普通の人生を送りたかったから。あたしたちの誰もアノマリーになることなんて望んでない、だから、これがあたしたちにできた最善なんだ。

ウィンチェスター: なぜ銃弾からSCP-3358-4を庇ったのですか?

SCP-3358-1: ███████とあたしは…… 娘と母親みたいなものでね。あたしはできる限りあの娘の面倒を見てきたけど、正直な話、自分の子が基本的に生きた神と変わりないってなったら、それは簡単なことじゃないさ。でもね、博士さん、あんたにも子供がいるだろ? というか、孫でもいるのかね? あんただって自分の子から銃弾を庇うはずだ、そうだろ? 二度とあの娘の綺麗な顔が見れなくなっても、あの娘は私のおかげで生きていけるって、そう思えるんだ。

SCP-3358-1が泣き出す。

ウィンチェスター: 一度時間を取りますか?

SCP-3358-1: いや、いい、平気さ。話せる、大丈夫。

SCP-3358-1が46秒間沈黙する。

SCP-3358-1: あんたたちを責める気はないし、事情があったのも分かってる。それでも、どうしてあの子たちを殺した?

ウィンチェスター: その質問への回答は許可されていません。

SCP-3358-1とウィンチェスター研究員が21秒間沈黙する。

ウィンチェスター: SCP-3358に財団が関与していることについて、どうお考えですか?

SCP-3358-1: なんだか…… 妙ではあるね、控えめに言っても。あんたたちはよくやってるよ、それは分かってる。あたしが守れなかったときにみんなの安全を守ってるし、あたしのような人に住処を与えてる。けど意図が違う。ここはかつては家だった、今はもう研究所だ。

SCP-3358-1とウィンチェスター研究員が13秒間沈黙する。

ウィンチェスター: インタビューを受けていただきありがとうございました、SCP-3358-1。

SCP-3358-1: 待った、1つお願いしても?

ウィンチェスター: 何でしょう?

SCP-3358-1: あたしの旧友たちにもう一度会わせてほしい。それがダメなら、せめて娘だけでも。

ウィンチェスター: 要望が聞き入れられるよう取り計らいましょう。

SCP-3358-1: 本当にありがとう、博士さん。

<ログ終了>

後書: SCP-3358-2、SCP-3358-4、SCP-3358-7、SCP-3358-10も同様の要望を出したものの、全て倫理委員会によって却下された。今後の要望も同様に却下するものとする。

補遺-3358-2: SCP-507といった、他の手段では収容できないアノマリーの収容にSCP-3358の効果を利用する提案は現在承認待ちです。

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