アイテム番号: SCP-3362
オブジェクトクラス: Audiovisual
収容クラス: Euclid
特別収容プロトコル: 収容プロトコルは2018/07/25現在停止しています
定例実験時以外では、SCP-3362は標準物品ロッカーに収容されます。アクセスをレベル3監督者もしくは許可を受けた取扱者のみに制限するために、生物学的・ミーム的対抗措置が実施されます。
週に1度、Dクラス職員1名がSCP-3362の視聴者に選出されます。この選出過程には、対象者がいかなる要注意団体、犯罪組織、その他権限のある地位を有することができたであろう団体とも関係を持たないことを確定させるための身辺調査が含まれます。対象者に対しては、SCP-3362の視聴は実験であると偽装して伝えられます。この名目の維持を容易とするため、対象者には非異常な「素晴らしき哉、人生!」のコピーを視聴させ、このコピーとSCP-3362の差異を記録するように指示します。
監視人員がSCP-3362を表示している画面をどのような方式でも視認できないようにするために、この実験の監視は適切な位置に設置された監視室で行われます。予防措置として、以下の条件を満たす研究助手のみが実験の監視を許可されます。
- クリアランスレベルがレベル1以下である。
- 年間の給与が65,000ドル1未満である。
- SCP-3362-1の直属の部下とされるエヴァレッズ研究員の部下である。
エータ・インシデントの影響を軽減するために、指揮系統の冗長化部分が維持されます。SCP-3362のHMCL監督者(現在はジャック・シンプソン博士)はSCP-3362-1の上司であると見做されます。冗長化部分である「HMCL管理官」はシンプソン博士の上司であると見做され、さらに「資料管理官」はHMCL管理官の上司、プロジェクト主任/3362は資料管理官の上司であると見做されます。エータ・インシデントが発生した後は、HMCL管理官がHMCL監督者に、資料管理官がHMCL管理官に降格され、新規の財団職員1名が資料管理官の地位に選出されます。
現在のSCP-3362-1個体はローレル・シェパード博士であり、常時視聴者を見つめながら標準的な“OK”シグナルを示し続けます。行動に大きな逸脱があった場合、HMCL監督者に報告されます。
説明: SCP-3362は1946年の映画「素晴らしき哉、人生!」のVHSテープです。テープの非異常なコピーとの物理的な区別は不可能です。
SCP-3362の第一の異常性は視聴時に発露します。SCP-3362-1はSCP-3362の映像内に登場する人物です。SCP-3362-1は場面との相互作用が可能ですが、劇中の対話やプロットに逸脱は報告されていません。SCP-3362-1には意識があり、自身の現状を完全に認識していることが確認されています。
SCP-3362の第二の異常効果は人間の対象者1名が視聴した際に発動します。対象者がSCP-3362-1よりも高い経済的、社会的、あるいは政治的地位に属する場合、対象者はSCP-3362を視聴した5-10時間後に前兆なく消失します。次の視聴の際には、消失した対象者がSCP-3362-1に置き換わる形で登場します。この消失の2-4時間後、新規のSCP-3362-1個体が存在していた場所の近傍に以前のSCP-3362-1個体が再出現します。
SCP-3362の第三の異常効果は1ヶ月間どのような人間の対象者にも視聴されなかった場合に発動します。この時点で、エータ・インシデントが発生します。SCP-3362は異常性を喪失し、エータ・インシデント発生時のSCP-3362-1の上司が消失します。この上司がこの時点で所有している視覚媒体のうち1つは新規のSCP-3362実例となり、上司はSCP-3362-1個体としてこれに登場します。エータ・インシデント発生後は、以前のSCP-3362-1個体は再出現しない点に注意してください。
エータ・インシデントの発生後、SCP-3362は1980年以前に制作されたクリスマス映画に転移する傾向があると推測されています。
補遺: 歴史と発見
SCP-3362は当初、株式会社アダクロンに勤める会社員であるシェラムズ氏の失踪後に回収されました。彼の失踪後、ウィリアムズ巡査は「スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル」のVHSテープであったと思われる本来のSCP-3362実例を取得し、その後それを1人で視聴したことで次のSCP-3362-1個体に変化しました。これらの失踪には関連性があるとの推測が立てられ、ラスベガス市警察はこの現象に関する捜査に着手しました。
捜査開始の約1ヶ月後、シェリル刑事が発見されていない手掛かりの捜査中に失踪したことが報告されました。これは一連の失踪を引き起こした組織による計画的行動であると解釈され、シェリルの資産は証拠品として押収されました。
財団はラスベガス市警の警察長が捜査の一環としてSCP-33622を視聴し、その第二の異常効果の対象者となって前兆なく消失した際にSCP-3362の存在を感知しました。機動部隊ガンマ-53 (“燻製ニシンの虚偽”)が適切な民間人と警察官に対して記憶処理薬を投与し、イベントの監視カメラ映像を押収しました。
さらなる実験によってSCP-3362の異常性が解明されました。しかし、実験中の不適切な取扱いが原因でレドモンド博士がSCP-3362-1対象者となりました。
補遺: インシデント 3362-8
2008/09/05に発生した壊滅的収容違反により、サイト-45は数週間アクセス不能となりました。この期間中SCP-3362にエータ・インシデントが発生し、複数のSCPオブジェクトの実験監督を務めるレベル2監督官・キャリオン博士の消失、SCP-3362の「フロスティ・ザ・スノーマン〜温かい雪だるま」のVHSテープへの転移を引き起こしました。以降、SCP-3362は収容違反の可能性が低いSafeクラスサイト-49に移送されています。
補遺: インシデント 3362-9
SCP-3362の定例視聴セッションが行われた後、D-4578が前兆なく消失しました。D-5572を用いた実験ではD-4578が次のSCP-3362-1個体となったことが確認されています。
その後のD-4578に対する身辺調査の結果、彼がアメリカマフィアとの関係を持っており、グループに所属していた期間中は相当の影響力と海外資産を蓄積していたことが判明しました。
SCP-3362の収容にあたってアメリカマフィアの協力が得られなかったことから、実験目的でエータ・インシデントの発生が容認されました。しかし、次のSCP-3362-1個体は世界オカルト連合のクララズ管理官でした。同氏は後にアメリカマフィアとの関係があったことが判明しています。
世界オカルト連合はその後SCP-3362を発見し、破壊を試みました。しかし、これは即座にエータ・インシデントを発生させ、GOCの物理PHYSICS部門管理官・グレイソン博士の消失を招くこととなりました。財団はその後、「素晴らしき哉、人生!」のVHSテープに変化したSCP-3362をGOCから500,000米ドルで購入しました。
特別補遺3362.1: インシデント 3362-オメガ