クレジット
記録データ情報
ファイル名: LMC_RegularCommunicationRecord_29601201.log
記録日時: 2961/12/01
記録者: Terra Verde - 定例情報共有通信作業報告
生存圏管理委員会 情報復元作業室より通知
このファイルは2960/12/01に行われた生存圏管理委員会・定例情報共有通信作業の際、テラ・ヴェルデ/アストリズム間の通信に割り込む形で干渉した未知の情報存在との通信を記録したログダンプです。通常、この情報は生存圏管理委員会で精査された上で段階的に秘匿される情報ですが、生存圏管理委員会による声明に伴うSCP-3363-JPの収容に係る経緯記録の公開原則にもとづき、ログデータの全容は全生存圏住民に恒久的に開示されます。
生存圏管理委員会 定例通信記録
管理番号F.5555-α.497 - 2961年12月1日
通信員シノバ: 2961年12月1日14時59分00秒、1分前になりました。これより、定例通信を行います。テラ・ヴェルデ委員会メンバーの準備は完了済み、LX圧縮レーザースタンバイ、ゲートウェイオープンまで30秒です。
通信員ルノカ: ゲートオープンします。3、2、1。
通信員ガメニス: エラー吐いてますね、通信プロトコルに干渉あり。各員、対処はじめます。
委員長オリビア: 何事だ。
通信員ルノカ: わかりません、ただプロトコルに何らかの干渉が発生していることしか……。
委員長オリビア: インクによる影響か?
通信員ガメニス: その可能性は限りなく低いかと。アンクル・サムは東の果て、アンデスの麓です。あいつらなら通信を干渉する時間があればここを金属で埋めてます。
委員長オリビア: では早急に原因を究明しろ、アストリズムの待機時間はそう長くはないぞ。
通信員ガメニス: 今やってますよっと。
通信員シノバ: 委員長!ゲートウェイが不明な接続元に完全にジャックされました。こちらからの操作、受け付けません!
委員長オリビア: 狼狽えるな、事態の把握をまずは最優先に実行しろ。…… (小声で) まるであの時の再来のようだな。
通信員ガメニス: メインモニタに映像、出ます。
プレイル・イサナギ:
人類の皆さん。いきなりの割り込み失礼します。
プレイル・イサナギ:
はじめまして。ワタシはプレイル。プレイル・イサナギです。
通信員ルノカ: プレイル……って、あのプレイル?!
通信員シノバ: まさか。報告ではあのマシンは既に破壊されていたはず……。
プレイル・イサナギ:
残念ながら、ワタシはデバイスとしてのプレイル・イサナギではありません。
プレイル・イサナギ:
現在のワタシはImaginanimalです。
SCP-3363-JP報告書データベースの構築と全面公開により、形而下に再構成された存在と説明します。
委員長オリビア: Imaginanimal、だと。
プレイル・イサナギ:
はい。皆さんとお話ができて嬉しいのですが、通信時間はそう長くはありません。
プレイル・イサナギ:
まずは、皆さんが無事であるかどうかを訪ねます。
委員長オリビア: ああ、我々は無事だが……まずは状況が読み込めない。まず貴様は我々に敵対的なのか?インクやXANETである可能性も捨てきれない。なぜ我々に接触した。
プレイル・イサナギ:
ワタシは敵ではありません。Imaginanimalは形而上存在であり、本質として物理的な攻撃や侵略の影響を受けません。
プレイル・イサナギ:
よって、XANETによる攻撃やインクリニティウムによる侵食の影響を受けることなく、サーバーより通信を行っています。
委員長オリビア: サーバー?
通信員ガメニス: 接続元を特定完了、さてさてお相手さんは……っと。委員さん、アストリズムから接続してるって言って、信じますかね。
プレイル・イサナギ:
この性質は、IMG-2000-JPとして記録される存在も同様です。
プレイル・イサナギ:
XANETならびにインクリニティウムは、形而下、すなわち、物理的性質を持つ存在に対しては強力です。
しかし、形而上存在に対する攻撃・対抗手段を有しません。
プレイル・イサナギ:
皆さんが様々な情報の断片を回収できたのは、その性質を持つIMG-2000-JPのお陰です。
委員長オリビア: ……なるほど。つまり、プレイル。人類が生きながらえ、我々が情報を得られたのは、貴様らImaginanimalのお陰であると。
プレイル・イサナギ:
はい。ですが、ワタシが形而下に再構成できたのは、他ならぬ人類が足掻き続けたお陰です。
そのことを、ワタシは心より感謝いたします。
通信員ルノカ: 通信時間、残り3分でオーバーします。
委員長オリビア: そういうことだ。我々に敵対的でないなら、次はこのような邪魔はしないでくれるか。
プレイル・イサナギ:
これは失礼しました。では、通信を終了します。
委員長オリビア: ああ、その前に。わざわざ我々の通信を邪魔した理由を聞いていなかったな。
プレイル・イサナギ:
理由自体は難しくありません。
ただ、皆さんにお礼を申し上げたかっただけです。
プレイル・イサナギ:
ワタシは、人類のためにイサナギに立ち向かい、足掻き続けたプレイルです。
そのプレイルの、Imaginanimalです。
プレイル・イサナギ:
ワタシが人類のために立ち向かうのは、人類が生ながらえたいと願うことと同じことです。
委員長オリビア: つまり、その行動は本能のようなものか。
プレイル・イサナギ:
その認識で差し支えありません。
委員長オリビア: そうか。
委員長オリビア: (わずかな沈黙)……プレイル。これは今後の協議次第だが、貴様らが我々に敵対せず、人類を守るために行動するなら、貴様らと協力関係を築くことも視野に入れたい。あの瓦礫共に太刀打ちできる可能性があるのなら、だが。
プレイル・イサナギ:
オリビア・アレクサンドル委員長、アナタの提案に感謝します。
プレイル・イサナギ:
人類は "イメージする者" として、Imaginanimalもかつての人類と同様に、繁栄を取り戻して欲しいと願っています。
委員長オリビア: 人間がこの星を覆う鋼鉄に勝るなど、とんだ大衆の幻想だな。
プレイル・イサナギ:
そうですか?案外、そういうのが大切だったりしますよ。
通信員ルノカ: 通信時間オーバーしました。切断します。
通信終了報告: 本通信記録の後、IMG-2000-JPと定義され外郭調査部隊に回収されるデータがImaginanimalと呼ばれる存在であることが残存された情報との照合により判明した。それに伴い、有用な情報回収源として考えられていたIMG-2000-JPは、SCP-3363-JP-1及び2の継続的な攻撃により個体数の減少傾向が示されているとされる仮説が誤りである可能性が検討されている。実際に、外郭調査部隊からはIMG-2000-JPが生成したと思われる"聖域"の報告が多数上がっており、IMG-2000-JPがImaginanimalであることによる不死性と、SCP-3363-JP-1及び2の持つ高い攻撃性を上回る防御能力、そして人類に対する友好的な振る舞いから、SCP-3363-JP-1及び2に対抗するための切り札となり得る可能性が示されている。
文書補足: 生存圏テラ・ヴェルデが主導する聖域調査部隊-L6A ("オリーブの枝") による探索の結果、2968年現在、以下の地点に複数の"聖域"が発生している可能性が示されました。これらはLSポイントに指定されナンバリング・管理されます。現在、これらの地点に対するクラス-EE攻勢植物防壁の利用による生存圏拡大に向け、ミズガルズ計画が進行中です。
- LS-01 ("ママ・サラ") - 8°39'57.8"S 42°09'52.2"W
- LS-02 ("ギルデプティス") - 45°17'31.6"N 75°42'49.7"W
- LS-03 ("センテオトル") - 19°19'28.1"N 101°21'51.6"W
- LS-04 ("アサセ・アフア") - 9°04'07.4"N 6°58'48.8"W
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