クレジット
記録データ情報
ファイル名: Foundation-IIC_29271014.ptx
回収日時 2942/05/11
回収者: Terra Verde - 外郭調査部隊-N36
復元状況: 復元済
2927年10月14日
SCP財団北米本部
初動調査委員会
インシデント"Re:BREAK"被害状況報告
1. 被害状況
〇電子化されたあらゆる公共サービス、及びXANETを基幹システムとした主要インフラの麻痺。電子化が進んだ地域ほど被害規模は大きく、特に経済中心都市、政治中枢都市は、交通、産業、水道、電気、通信など基本インフラの壊滅、建材に利用されているインクリニティウムの制御システムの失陥による建造物崩壊、住民情報の無秩序な流出、決済情報全般の消失、義体の暴走による集団自殺や暴動などにより、多数の犠牲者、多額の損害を被った。
2. 物理的被害
〇義体の暴走の直接的原因として、ニューロバンク.補足情報: ヒトの意識や思考、記憶などをデータ化して抽出した『ニューロデータ』を保管・管理するための施設。全世界に5施設存在していた。における原因不明の不具合の頻発が挙げられると考えられる。
- ニューロバンク『ユグドラシル』『アムブロシア』『アカシック』はXANETを利用した管理技術が採用されていたことから特に被害は甚大である。同時に管理のほぼすべてを自動化していたことによる現状把握が間に合っていないこともあり、復旧および実態調査には多大な時間を要すると思われる。『トツカ』『アニュラス』はXANETを利用しないシステムであったため、目立った被害はみられなかった.補足情報: いずれのニューロバンクも正常性維持機関がそれぞれ保有するものであったことに由来する。『トツカ』については過去に表層領域を始めとしたヒューム値漏出影響問題が発生していたが、2200年代のニューロアーク技術の成立・普及に伴い、より簡易的かつ安全に人類の精神情報を保管することが可能となったため、ヴェール条約撤廃以後は財団職員以外の民間人にも設備が開放された。。
- 北米連邦.補足情報: 北アメリカ民主共和国連邦。その名の通り、かつて北米大陸の先進諸国を中心として周辺国を含んで構成されていた連邦制国家影響圏。ではニューヨークのマンハッタン橋が瓦礫に埋没しており、大量のインクリニティウムが海洋へ流出している様子が確認できた。金属による海洋汚染が懸念される。
- EUL.補足情報: European Unification League、欧州統一連盟。最西端はポルトガル、最東端はアフガンの欧州全域を構成員としていた国家影響圏。領ロンドンでは暴走した地上車両による事故に伴う火災の痕跡が散見された。次元位相ポータルハブ.補足情報: FE-クラス: "黒鋼の地球"シナリオ以前は一般的に普及・利用されていた瞬間輸送技術、およびその出入口。は使用していた次元位相ごと崩落し、移動中の民間人や輸送機ごと位相空間に幽閉されていると思われる。施設そのものもインクリニティウム製だったため瓦礫の山と化しており、内部の様子はみられなかった。次元位相航法利用に関するリスクも同時に表面化したことから、指定建材の改定及び他建材の使用の奨励の必要性が示唆された。
- アジア経済連合.補足情報: 東アジアの先進諸国を主体として存在していた国家影響圏。は他地域と比較すると、全体的に被害規模は軽微であった。しかしながらXANETシステムの依存度は他地域と同程度であることから、被害に関する詳細な調査が求められる。
3. 電子サービスの被害
〇電子決済システムのデータ消失は特に世界を動揺させた。現在各行政と中央銀行がシステムを復旧させているが、全人口の復旧までには3か月はかかるだろう。その間の支援を財団、国際連絡機関.補足情報: 3大国家影響圏が互いに連絡を取り合い、緊密に社会秩序を維持することを目的に運用されていた国際機関。国際連合の後継としての流れを汲んでいる。などが積極的に行う必要がある。最悪の場合、世界的な債務不履行(デフォルト)の発生が予見される。
〇電子サービスの沈黙は、これまで進んでいた公共事業も含め管理状態が削除処理されていたため、事実上、行政は無力化されている。XANET暴走時に際する仮設システムがアトラスタ財閥から配布される予定だが、その間の空白期間をどうカバーするかについては各国行政に委ねられる。
- 特記事項として治安維持や防衛は世界単位で失陥しているが、これを財団及び各国行政は露見しないようにしなければならない。特記事項として、財団及び各国行政による治安維持に関する失陥の露見防止が挙げられる。隠蔽の持続には限界があるため、即刻の復旧が第一要請である。
4. 経済的損失
〇当該大規模文明災害は未だ全容が把握されておらず、その被害規模は全世界の国家予算の合計に匹敵する、あるいはその10分の1にも満たないなど、複数の試算が行われている。しかしながら、このような不確実情報の流布が経済の信用を損なうことは確実である。
5. 所感
〇文明災害の規模は非常に大きく、そしてかつてないほど多義に渡る類型不能の災害である。被害がまだ詳しく明らかになっていない以上、我々のみでできることは限られる。こういった時こそ財団は各関係機関と連携し、世界を安定した状態へ導かねばならない。
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