SCP-3373-JP
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Musical_Jolly_Chimp

SCP-3373-JP

アイテム番号: SCP-3373-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-3373-JPはサイト-8119の音声処理部門で保管されます。

説明: SCP-3373-JPは両手にシンバルを持ったチンパンジーを模した玩具です。外見は市販品と変わりませんが、電源部が取り去られています。

SCP-3373-JPは映像を再生している記録機器に接近した際に活性化します。活性化距離は半径0.5mです。活性化すると、SCP-3373-JPと同一の外見を有した実体(SCP-3373-JP-1に指定)が再生中の映像に出現します。出現場所は活性の度に異なりますが、棚の上や机の端などの場所に出現する傾向があります。出現後、SCP-3373-JP-1は毎秒一回の頻度でシンバルを叩き始めます。出現直後のシンバル音の音圧レベルは40dB程度ですが、時間経過に伴い約10dB/分の速度で増加します。音圧の上限を特定する試みは全て測定機器の故障という結果に終わっています。以上のプロセスを通して、SCP-3373-JP-1の音波による映像内の物品や人物の言動への影響は見られません。

一連のプロセスは認識災害を有し、SCP-3373-JPの影響下にある映像を閲覧する人物(以下「閲覧者」)はSCP-3373-JP-1やシンバル音への違和感を認識出来ません。この認識災害により、映像の進行に伴い閲覧者は身体と認識との不和を覚えるようになり、数分経過した時点でシンバル音による無自覚な身体負荷を理由に視聴を辞めます。視聴を終了した閲覧者は、終了から数分経過した際に「シンバルが叩かれているような」と形容される幻聴を自覚し始めます。その後、数週間掛けて幻聴の音圧は増大していき、最終的には聴覚の機能不全を伴う重篤な精神疾患を誘発します。終末期に移行した閲覧者の大多数は精神的疲労を理由に自死を選択します。

SCP-3373-JPは埼玉県██市の一軒家で発見されました。住人は消息不明であり、居間に残されていたビデオカメラの映像により、SCP-3373-JPの影響下に陥った結果失踪に至ったものと考えられています。

収容後の実験により、活性化時のSCP-3373-JPにヒューム値の低下が確認されるとともに、SCP-3373-JPの出現プロセスが判明しました。SCP-3373-JPは活性時、撮影場所にSCP-3373-JP-1が存在する並行時間軸を作成し、映像を当時間軸で撮影されたものに置換します。当時間軸はSCP-3373-JP-1の有無を除いて規定時間軸と同一であり、撮影場所の空間構造も複製されています。また、SCP-3373-JP-1は該当時間軸上では撮影場所に実在するため、シンバルの音圧が十分に増大した環境下では、周辺環境による反響音も記録されます。置換前後においてSCP-3373-JP-1が撮影場所の周辺環境に一切の影響を与えていないことに留意すると、映像に記録された反響音を解析することにより、撮影場所の構造を従来のエコー探知の手法により解析可能であることが確認されました。

この発見に伴い、注目に値する映像群に対してSCP-3373-JPを用いたエコー探知を行い、撮影場所の構造分析を行うプロジェクト"MJ-C"が発足されました。以下に解析のワークフローを掲載します。

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プロジェクト"MJ-C"によって解析された施設の機械室の構造

  1. SCP-3373-JPを解析映像(複製)の保存された記録媒体に接近させ、活性化させる。
  2. 映像内のSCP-3373-JPの出現場所を記録し、SCP-3373-JPの寸法からカメラに対する相対位置を推定する。
  3. 映像の音声と元音声の比較によりシンバル音のみを抽出する。
  4. 視認可能領域に対する反響音の到達時間から気温や空調等の室内環境を同定する。また、この際に撮影機材の音響的特性の解析も行われる。
  5. 更に複数のシンバル反響の音声によって画角外領域の構造を解析する。

プロジェクト"MJ-C"は主に機動隊による突入任務おける敵対勢力の施設内情報の作成を担っており、88箇所の完全解析および57箇所の制圧に貢献してきました。これらの貢献により、交渉1の手段として映像の貼付が現在でも主流な超常社会において、非常に強力な手法であると評価されています。

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