SCP-3384-JP
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アイテム番号: SA-3384-JP1 SCP-3384-JP

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SCP-3384-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: サイト外で発見されたSCP-3384-JPは任意の容器に密閉された後、生物実験設備の付随する近隣の財団施設へ移送されます。移送されたSCP-3384-JPまたはサイト内に出現したSCP-3384-JPは財団昆虫学部門あるいは寄生虫学部門の監督の下保管されます。

現時点で財団はSCP-3384-JPの飼育管理に成功していません。確保されたSCP-3384-JP個体は4%ホルマリンによる液浸標本あるいはエタノールによる固定を経た樹脂封入標本として保管されます。標本作成は前述の2部門のいずれかに所属する職員が担当します。なお標本作成に際し、任意の部位からの核DNAおよびミトコンドリアDNAの抽出、当該ゲノム配列のデジタル保存が義務付けられています。



説明: SCP-3384-JPはバッタ目キリギリス亜目コロギス上科に属する、体長2.7 - 3.5cmに達する内部寄生虫の未記載種です。SCP-3384-JPはヒト(Homo sapiens)をはじめとする複数種の脊椎動物を宿主とし、致死的な寄生虫感染症を誘発します。虫卵と幼虫体が確認されておらず、生活環は不明です。

SCP-3384-JPは2007年に発見されました。SCP-3384-JPのアノマリー指定に関する根拠は以下の3項目です。本生物は特徴1および2を根拠として2010年にサスペクテッド・アノマリー、特徴3を加味して2019年にSCPオブジェクトに再分類されました。

  1. 患者・患畜間に有意な接触・交流が認められず、感染経路が不明なこと。
  2. 幼虫体・虫卵が未発見であり、有性生殖を行う生物の系統の存続にあたって次世代の形成が認められないこと。
  3. 感染者数、同時に死者数が指数関数的な急速な増大を示すこと(2018年の全世界年間死者数が5000人を超過)。


形態: SCP-3384-JPのボディプランは丸みを帯びた頭部と膨大した腹部がコロギス上科と共通しており、特殊化した複眼・触角・付属肢はオーストラリア・クイーンズランド州南東部に生息するクールーラー科と酷似します。以下、SCP-3384-JPの共有派生形質・固有派生形質を列挙します。

  • 8個の体節に短縮した触角: 体組織に充填された宿主体内への適応2
  • 消失した単眼と小型の複眼: 宿主体内の低照度環境への適応。
  • 刃状の小顎と長大な大顎: コロギス科やクロギリス科と同様の強い動物食傾向を示唆。
  • 顎に配列する発達した歯牙: 宿主の軟組織の切開や自身の固定に寄与。
  • 短くかつ太い付属肢: 強靭な筋肉の収納。開掘脚として機能。
  • 熊手状の付属肢先端部: 宿主体内の開裂・掘削に寄与。
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宿主体の開裂に寄与する最後側付属肢先端部

生態: SCP-3384-JPは一切の虫卵・幼虫体が発見されておらず、個体発生の初期段階は不明です。患者・患畜の体内に認められる虫体はいずれも成虫であり、前述の前脚・後脚と顎により宿主体内を穿孔します。軟組織の削剥を伴う移動に際して唾腺から鎮痛作用を持つモルヒネ様アルカロイドが分泌されるため、宿主は一切の痛覚を感知しません。これと別にSCP-3384-JPは血液凝固第Xa因子インヒビターにより血液凝固を阻害し、効率的に宿主体内の軟組織や体液を消費すると考えられます。

SCP-3384-JPは宿主体内で幼虫移行症に類似する行動を示します。皮膚・腹腔・胸腔・中枢神経をはじめ様々な部位へ無分別に移動するSCP-3384-JPは、その過程で虫体自体による直接的な体内器官の破壊、また排泄物の散布による体内環境の重篤的汚染を誘発します。鎮痛成分により宿主の痛覚は強く抑制されますが、確認された患者は体内器官の物理的破壊あるいは敗血症をはじめとする合併症により全員死亡しており、致死率はヒトや小型の患畜で100%、大型の患畜で90%超と推定されます。

2019年現在、外科的に摘出されたSCP-3384-JPの全個体は交尾以前に宿主体内で斃死しており、存命個体の確保には成功していません。ウシ(Bos taurus)をはじめ生存した宿主体内でもSCP-3384-JPが死滅していることから、現生の脊椎動物は非好適宿主の可能性が高く見積もられます。次世代の胚発生に至らないSCP-3384-JPが種として存続可能な理由は不明です。

分布: SCP-3384-JPの最初の症例は2007年8月21日に復旦大学付属医院に緊急搬送された上海市在住の44歳・会社員男性でした。当該人物は全身の消化管が一連の穿孔に貫通され、類例の無い重度の消化管出血が確認されました。男性はまもなく死亡し、同じく死亡した虫体は同院に保管されました。同年12月4日にはブエノスアイレス在住の13歳・女学生に同様の症状が見られ、財団は同月中に当該寄生生物を認識しました。

2008年以降、ウシやニワトリをはじめとする家畜・家禽でも感染例が認められ、財団は当該寄生虫感染症をその感染経路の不透明性からサスペクテッド・アノマリーと判断しました。2019年現在、SCP-3384-JPは南極大陸を除く地球上の全大陸で症例が確認されており、自然分布域およびその変遷は不明です。分子系統解析では以下の結果が得られています。

  • ミトコンドリアCOI - SCP-3384-JPの塩基の差異と距離・緯度・地形との相関が示唆されない。亜種レベルの分布傾向が検出されない。
  • ミトコンドリア18S, 28S, 16SrRNA - SCP-3384-JPはクールーラー科との姉妹群に置かれる。これは形態形質の示唆と調和する。

SCP-3384-JPの行動生態に係る会合議事録

日時: 2019/██/██

場所: サイト-8102 小会議室

出席者: 昆虫学部門 神辺倫人動物生態学部門 織戸修功分子生物学部門 正留莉愛古生物学部門 出本人志哺乳類学部門 石済公暁寄生虫学部門 二条平一地質学部門 三城樹


<抜粋開始>

神辺座長: この度はSCP-3384-JPに関し、形態形質や行動生態といった観点を纏めておくのが良いだろうと考え、意見交換を行いたく思います。報告書にも記載があります通り、SCP-3384-JPは卵および幼虫がこれまで一切確認されていません。1年間に2000件を数える寄生事例があり、家畜や民草から累計2万を超す犠牲が出ているのにも関わらず、です。ただの1匹の幼虫、1個の卵さえも特定できておりません。有性生殖を行う生物として、子世代の出現がなければ彼らは種としての存続が不可能です。始まりが無いにも関わらず、成虫だけが確認されている。これについてご意見のある方はいらっしゃいますか。

織戸研究員: 類例は芽殖孤虫でしょうか。その生活環や成虫体は未だ明らかにされていなかったように記憶しております。人獣共通感染症とされていますけれども、これまでいかなる動物からも成虫が確認されていない点は本件と類似するかと思われます。いかがでしょうか。

正留研究員: 芽殖孤虫と本件との間には大きなギャップがあります。芽殖孤虫は症例と彼らの全ゲノム配列から見て、一生を幼虫の段階で過ごす、あるいはその可能性の高い生物です。成虫への個体発生を放棄し、出芽による増殖、すなわち無性生殖によって個体数を増すわけですね。しかし、SCP-3384-JPにおいて未だ明らかにされていないものは、卵および幼虫の段階です。ある幼生の特徴を残したまま生殖を行うことはあっても、幼虫を経ず成虫として出現することには因果に破綻があります。SCP-3384-JPと芽殖孤虫との生活環の不明点が似て非なるものであることは、ご認識いただきたく思います。

出本研究員: 突如として成虫が出現する異常性という線はいかがですか。

正留研究員: あなたはそれを頑健たる論理としてここに提示するおつもりですか。

出本研究員: 単に思弁的な提案です。しかし我々はアノマリーを追求する者として、放恣な妄言として受け取られかねない線も検討する必要があるかと存じます。

正留研究員: まず前提として、我々はSCP-3384-JPの胚発生に要されるであろうことが他の昆虫類との比較から明らかであろう遺伝子を多数検出しています。例えば、Hox遺伝子群は形態形成を司るスイッチであり、動物の前後軸に沿って並ぶ全ての体節の性質を恒久的に確定する、極めて重要なものです。先ほど例に挙がった扁形動物の芽殖孤虫はこの遺伝子群が左右相称動物の中で最少であり、成虫の段階を放棄したことに説得力を与えています。しかし、SCP-3384-JPの発生に関与する遺伝子の数と内訳は他のバッタ目昆虫と比較して特筆性がありません。器官形成は正常に進行するものと推測されます。

正留研究員: そしてバッタ目に属するSCP-3384-JPは不完全変態昆虫としての生活環が推測されますが、蛹の時期を経ずに行う変態について、これに関する遺伝子も見出しております。幼虫形質の維持と成虫形質の抑制に寄与するKr-h1遺伝子と、成虫形質の形成に寄与するE93遺伝子は、既知のバッタ目の種と比較して有意な差異がありません。これは幼虫から成虫へSCP-3384-JPが成長する機能を持つ証を提示しています。

三城研究員: 生殖能力に関してはどんな形ですか。

正留研究員: 問題ありません。broad遺伝子は成虫の翅と産卵管の発達を制御することが知られていますが、SCP-3384-JPにおいても確認されています。少なくとも彼らは性成熟に向けた適応があります。

織戸研究員: エピジェネティクスのご検討は。遺伝子があったとして、それだけで生物の活動が決定されるわけではありませんので。我々の想定していない未知の因子が遺伝子の発現を阻害し、成熟や生殖を阻害した可能性を除去できないように思いますが。

二条研究員: その点は外部形態の観察で十分な対応が可能でしょう。斃死した検体を解剖した結果、雌には発達した卵巣が認められています。生殖器のスケッチをご覧ください。肥えた卵巣は太ましい側輸卵管で産室に接続されています。彼らが既に生殖の準備を完了していることはゆうに読み取れます。

石済研究員: 雄個体はどうですか。

二条研究員: 雄も同様です。精巣は体重の約9%を占め、この比率は既知の昆虫類でも上位に位置します。雌との連結に適した刺々しい交尾器の形状を見ても、雄個体も生殖可能な個体が大多数を占めると言えるでしょう。

石済研究員: やはり寄生生物たるもの、生殖器官の卓越は認められるわけですね。しかし、一切の虫卵が不明。寄生に成功したはずの成虫が1匹たりとも生殖していないとは。

二条研究員: そうですね。昆虫の雌は交尾を行って雄の精子を受精嚢に貯蔵しますが、SCP-3384-JPは確認された雌個体のいずれも精子の蓄えがありませんし、受精卵も未検出です。交尾行動には至っていないと見て調和的です。寄生の後、宿主体を脱出して交尾を行い、既知のバッタ目昆虫と同様に卵を残して1つの世代が死に絶えるのかもしれません。

織戸研究員: ヒトが彼らにとっての好適宿主でないとすれば、頷けます。おそらく彼らは産卵管を宿主の体のどこかに刺して卵を植え付けるものかと思います。そもそもヒトの肉体が致死的環境であるならば、そうした環境に産卵するわけにはいきませんし、それ以前に母親が耐えられません。

石済研究員: ヒトに寄生したSCP-3384-JPの全個体が死亡した状態で発見されているのも事実ですからね。ヒトに寄生こそすれ、継代した例が無い。全滅です。現在確認されている患畜も含め、好適宿主と見るのは厳しいでしょう。それに、SCP-3384-JPは次世代を残すまでに多くの場合で宿主を殺してしまっているわけですが、これはSCP-3384-JP本来の生存戦略にそぐわない不利益な行動でしょう。

三城研究員: では奴らの好適宿主は一体。

織戸研究員: 宿主の絞り込みは必要な課題ですね。幼虫と成虫はそれぞれ何に寄生していたのか。生活環の再現には中間と最終、それぞれの好適宿主の特定が不可欠です。

二条研究員: いえ、お待ちください。織戸研究員は、幼虫も寄生者であったとお考えですか。

織戸研究員: はい。彼らはバッタ目ですので、蛹を介さない不完全変態昆虫です。成虫と幼虫の形態が個体発生を通じて劇的な変化を遂げないとなると、概ね同様の生態を仮定して良いかと存じますが。

二条研究員: 成虫の形態の面から疑義があります。皆さん、資料10-4をご覧ください。

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二条研究員: オブジェクトはキリギリス亜目の昆虫、とりわけ基盤的分類群のコロギス上科に属するものと思われます。棘の生えた付属肢はケラを彷彿とさせるものですが、本種はケラ科に属しません。腹部は11の体節からなり、そのうち最後側の体節は生殖器や産卵管に分化しています。外から見て明らかな産卵管がある点で、ケラ科の昆虫とは異なることが分かります。全体も丸みを帯び、全長に占める腹部の比率からもケラ科との違いを見て取ることが可能です。

二条研究員: しかし、発達した生殖器官や鎮痛成分の分泌といった寄生への適応が見られる反面、本種は完全には寄生に特化したと思えない形態を示すことも事実です。それぞれの付属肢をご覧ください。先ほどケラを彷彿とさせると申しましたが、ケラは地中棲の自由生活者なわけですので、寄生者がそれに匹敵する運動器官を持つ必要はありません。宿主体内で安静にしておけば良いのです。

三城研究員: 標的臓器への到達を実現する移動能力は必要ではないでしょうか。

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寄生性に特化したヒゲブトウオノエ属(Ceratothoa)。全身が柔軟で、付属肢も発達しない。

二条研究員: 昆虫ではありませんが、内部寄生に特化した節足動物にウオノエ類が居ます。彼らは魚類のエラや口腔・腹腔など容易に接触可能な部位に侵入・付着し、SCP-3384-JPと同様に血液を摂取しますが、彼らの付属肢は特徴的です。胸肢は強く湾曲し、固着器に変形して萎縮しています。内部寄生虫たる彼らは、宿主を体内からしっかりと掴み、宿主の陥没孔へ体を固定する必要があるのです。ダンゴムシやグソクムシのように重力に抗ったり地面を蹴り込んだりする必要はありません。

三城研究員: なるほど。内部寄生生物に複雑な付属肢は不要ということですね。

出本研究員: 幼虫移行症に類似した症例は確認していますが、確かに、本来の好適宿主を対象とするならここまでの運動能力は不要でしょうね。もし完全な寄生者として適応を遂げたのであれば、宿主の表皮・口腔・肛門、あるいは消化管内に付着する方が合理的です。

二条研究員: 他にも、本種はキチン質の外骨格が発達しています。節足動物で広く見られる構造ではありますが、やはりウオノエのような寄生者であれば天敵から身を守る必要が無く、ここまで硬いクチクラは不要です。確かに腹部は白く柔らかい構造を示しますが、胸部と頭部、そして付属肢は装甲に被覆されています。運動能力の担保と共に、捕食者に対する対抗策が取られているわけです。

二条研究員: 加えて、本種は活発な音声コミュニケーションが可能と思われます。宿主体内で一生を過ごすのならば、音を介した他個体とのコミュニケーションは困難でしょう。ですが、本種の前脛節には鼓膜が発達し、小型の前翅には発音鏡が存在しています。彼らはおそらくケラ科の昆虫のように空気中か土中で音を介した意思疎通を行ったはずです。

三城研究員: 能動的な運動機能、捕食者への適応、そして聴覚・発音機能が、宿主体外での生活様式を反映しているということでしょうか。

二条研究員: 少なくとも一時的に宿主体外に居たことになります。産卵場所が宿主内であれ、あるいは地面や植物体内であれ、孵化した幼虫はある程度の期間地中で自由生活を送ったと私は考えます。

石済研究員: SCP-3384-JPは成虫が寄生行動を取ったというわけですか。生活環のうちで一時的に内部寄生を行う昆虫としてはハエや寄生バチを挙げることができますが、幼虫が寄生を行う彼らとは異なることになりますね。

二条研究員: 実際、カクレウオの仲間が幼魚の頃に自由生活を行い、成魚になってナマコに寄生することを踏まえると、幼虫が自由生活者であっても生態学的適応として頷けないことはありません。寄生は十分な卵形成のための栄養分確保を目的とするものと見るのが良いでしょうかね。もう数十万年の猶予があれば、本種は完全な寄生生物として成立したのかもしれません。

織戸研究員: つまり卵や幼虫について、我々は探す場所を間違えていると。

二条研究員: そうかもしれない、ということです。もう少し視野を広げる必要がありそうです。

<抜粋終了>


終了報告書: SCP-3384-JPはその生活環の中に自由生活の生態を持つ段階が存在することが示唆されました。今後のSCP-3384-JPの調査に関し、成虫を対象とする好適宿主の探索と別に、幼虫に自由生活性を仮定した新たな視座での探索が採用されました。




追記1: 石済研究員が主導する有袋類の剖検と正留研究員が主導する環境調査が実施されました。前者は近縁属 Cooloola が生息するオーストラリア連邦・クイーンズランド州を中心とし、全国で毎年100万頭が同国政府による個体数管理の一環として捕殺されるカンガルーをはじめ成虫の好適宿主を探索するものでした。後者は同国内の土壌・水圏・植生を対象とする踏査と環境DNA調査でした。概要を以下に示します。

  • 人為的捕殺個体にSCP-3384-JPの寄生は確認されず、また野生下の斃死個体の一部にSCP-3384-JPが検出される。このことから、現生有袋類に対しSCP-3384-JPが致死性を示しており、またカンガルーとの間に好適な宿主-寄生虫関係が成立していないことが考えられる。
  • サンプリング地点からSCP-3384-JPのDNAと一致する環境DNAは確認されていない。追記時点においてSCP-3384-JPの好適宿主および宿主体外における生息環境は依然不明である。
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後期白亜紀カンパニアン期の北アメリカ。ララミディア大陸は現代の北米大陸の西部を占める。

追記2: 調査会が個体発生的アプローチを展開する中、別件の文献調査・直接観察を実施していた財団古生物学部門・地質学部門は、北アメリカ大陸に分布する上部白亜系ヘルクリーク層中のケラトプス科角竜およびハドロサウルス科鳥脚類の一部がSCP-3384-JPを伴って産出すること、すなわち共産関係にあることを報告しました。同層のいずれの化石産地においても虫卵・幼虫体に相当すると思われる化石は確認されませんでしたが、植物食恐竜に寄生したと推測される成虫体が確認されました。

当該地域は当時ララミディア大陸として北半球に位置しており、南半球のオーストラリア大陸との間に大きな地理的障壁が存在します。そのため、当該地域から産出する成虫体はオーストラリアでの種分化を予想した系統推定と整合しません。

このことから、既存の系統推定に問題がある可能性が浮上しました。先述の分子系統推定における進化モデルの選択の妥当性、また分布域の変遷を示す直接的証拠の欠如に関する課題の解消を目的とし、系統発生に着目する究極的アプローチに着手した調査会は既存の化石試料・文献の網羅的再検討を実施しました。

再検討の結果として、以下の2点の事実が確認されました。

  • 成虫体の化石は古生代石炭紀以降の陸成層において脊椎動物化石と汎世界的に共産する。これはオーストラリアからの産出および後期白亜紀での種分化を予想した形態分類・分子系統推定と整合しない。
  • 産出したSCP-3384-JPの化石には種レベルの形態的差異が認められず、また現生の個体と形態的特徴が一致する。すなわち、全ての化石個体と現生個体がほぼ同一の形態を示す。

SCP-3384-JPの化石記録に係る会合議事録

日時: 2021/██/██

場所: サイト-8102 大会議室

出席者: 昆虫学部門 神辺倫人動物生態学部門 織戸修功分子生物学部門 正留莉愛古生物学部門 出本人志哺乳類学部門 石済公暁寄生虫学部門 二条平一地質学部門 三城樹


<抜粋開始>

出本研究員: まずは小さな結論から申し上げます。豪州に限らず、SCP-3384-JPの化石を、文献調査や直接的なプレパレーションを通して20例ほど確認しております。また一部の患者患畜に見られる骨の病変についても、同様の形状を示す化石が認められています。ただし、いずれも脊椎動物化石と共産する成虫のものです。卵化石、および幼虫の化石は発見されておりません。

二条研究員: 幼虫は自由生活を送っていた可能性がありますから、単独の化石、琥珀なりノジュールなりを探すべきですが、単独の化石も無いということになりますか。

出本研究員: はい。やはり化石証拠においても、SCP-3384-JPの生活環の特定には至っておりません。少なくとも、我々が現状観測可能な範囲内において現生に観察される結果と化石記録との間には大きな矛盾を確認できない、と言えましょう。

二条研究員: 端的には、幼虫体と卵について化石記録から見ても現状白紙という議論になりますか。現生哺乳類を対象とした論旨と一致する形ですね。

出本研究員: ここまでの議論では、そうです。もう一つのトピックの方に移らせていただきます。

出本研究員: 資料にお目通しいただいた方は既にお分かりのことかと存じますが、この度SCP-3384-JPとの共産が見られた脊椎動物遺骸は、時空間インターバルが非常に大きいのです。彼らの共産化石は新生代に留まりません。我々は最終氷期の大型哺乳類動物相はおろか、白亜紀のハドロサウルス類、前期ペルム紀のカセアにまでSCP-3384-JPの記録を見出しています。あたかも遥か2, 3億年におよぶ地質時代の各所に遍在し、同一の種族が久遠の中で命脈を保っていたかのように見えるわけです。

正留研究員: リボソームRNAから示唆されるクールーラー科との分岐年代の範囲は、進化モデルの組み合わせにどのような手を加えてもカンパニアン期に収まります。後期白亜紀の後半です。彼らは北アメリカから隔離された南半球で出現したと考えるのが分子時計から妥当だと思われますが。

出本研究員: この化石記録は分岐年代の観点だけでなく、過去に蓄積された研究努力から見てもまさしく奇妙なものです。キリギリス亜目自体は約3億年という長い歴史を持つわけですが、最初からコロギス上科の1種1種の形態が完成していたわけではありません。彼らの科の大多数は中生代に分化を遂げ、多くはジュラ紀から白亜紀にかけて成立しています。しかし今回の結果に基づけば、SCP-3384-JPはそれよりも1億年も早く出現している。既知の範囲内から大きく逸脱した時代レンジを持つことになります。

三城研究員: まるでオーパーツですね。

出本研究員: そうですね。SCP-3384-JPはそこに繋がる一切の始まりを持たずして、地球の歴史上に突然現れているわけですから。

三城研究員: そもそも化石周辺の基質部分について年代測定を誤った可能性はありませんか。

出本研究員: 異地性の母岩とするならば、脊椎動物の進化史が根底から覆るものになりますね。もしSCP-3384-JPの年代を任意の時代に設定してしまえば、オオツノジカとハドロサウルスが同じ時代に居たことになります。基盤的単弓類と恐竜が、幾度もの大絶滅を乗り越え、氷河期の大型哺乳類動物相と共存したはずがありません。我々はノアの方舟を頭上に浮かべなくてはならないでしょう。ここから導かれる結論は一つ、SCP-3384-JPが実際にペルム紀から現代にいたるまで地上に出現し、そして寄生を行っているということです。

二条研究員: しかしそれはやはり、形態分類学と矛盾するものではないですか。SCP-3384-JPには複数の関節を挟んだ6本の肢があり、体節のいくつかは融合して頭・胸・腹としての機能を持ち、特に頭部には複眼と触角に代表される複雑な感覚器官が搭載されています。気管は全身に細かく枝分かれしながら張り巡らされ、全身の組織にくまなく酸素を送り届けるネットワークを構築します。咀嚼に長けた口器と鋭利な産卵管も祖先から受け継がれたものであるはずです。SCP-3384-JPは、3億5000万年前に遡る初期のバッタ目昆虫に端を発する、一瞬の寸断無く続く血縁関係の中に確かに位置付けることができるのです。

織戸研究員: 私からも1つ。古生物学部門は各時代の地層から産出したSCP-3384-JPを同定なさったわけですが、その際に固有派生形質をお調べになったはずです。少なくとも別種の昆虫との差異をお確かめになったはずです。違いますか。

出本研究員: 間違いありません。

織戸研究員: では本種は種レベルで同一の形質状態を持つ個体が、あらゆる地質時代から産出したということになります。単に3億年に亘ってその系統が存在したというだけではなく、1つの種が、特定の形を保って存在し続けたということです。ペルム紀のパンゲアは南北に割れ、その後もいくつもの大陸に分裂しました。山脈の形成、海岸線の延長、そしてそれに伴う気温と降水量の変動、植生の変化があったはずです。シンプルな地理的隔離も効いてくることでしょう。隔離された個体群は各々で新たな性質を強化します。仮にSCP-3384-JPが石炭紀に出現した種であったとしてもですよ。それらの影響を全て超越して、1つの種が停滞したまま存続するというのは、きっと濁流に落とした粘土が形を保ったまま浜辺で発見されることよりも難しいことでしょう。

石済研究員: 同感です。とりわけ寄生生物は宿主との間に密接な相互作用があり、共進化の関係にあります。宿主と寄生者は単に空間とエネルギーを分かち合うだけでなく、複合的で熾烈な相互的選択圧の応酬に晒され続けてもいるわけです。加えて何年何十年と生きる宿主よりも寿命が短く、世代交代も早い。何千何万の可能性を矢継ぎ早に要求される数億年という時間スケールの中で寸分違わぬ姿を保守し続けるというのは、数学者ならば決して0でないと論じるでしょうが、現実的にはまず起こりえない現象です。

出本研究員: ええ、ええ。たった今、皆さんから物凄い剣幕でご確認いただいたように、勿論それらは考え難いことです。とはいえ、二条研究員。あなたは遥か以前の議論の場で、SCP-3384-JPの形態を事細かに羅列し、視野を広げる必要があると仰いませんでしたか。

二条研究員: はい。それが、何か。

出本研究員: 私の主張も同じです。比較解剖学、系統学、進化学における基本的な原理原則を改めて確認していただきましたが、やはりそうした観点から石炭紀にSCP-3384-JPが出現した可能性は限りなく低いわけです。激動の最中にある地球環境において、1つの種が3億年も姿形を保ち続けるのはどだい無理な話。高く見積もってもその可能性は天文学的に小さいものでしょう。生きた化石と謳われるワニやゴキブリでも、我々の把握する現生種とは骨格形態も呼吸器官も異なる無数の化石種が栄枯盛衰を繰り広げてきたのですから。

出本研究員: しかし我々は異なる時代の個体群を目撃し、同一の種と認めています。3億年に亘る生命史の中でほんの少しもボディプランを変えることなく続いた命脈という、一見あり得ない存在を我々は目撃しているわけです。この未解決問題を説明するには1つ。視野を広げ、前提を崩してしまえば良いのです。

正留研究員: 前提とは。

出本研究員: 我々の確認したSCP-3384-JPが悉く祖先-子孫関係にあるという暗黙の了解です。SCP-3384-JPは遺伝子の垂直伝播を介さない出現を経た。雌雄のつがいが交配して子孫を残したのではなく、それぞれの時代で独立してSCP-3384-JPが出現した可能性に目を向けるべきであると、私は考えます。

石済研究員: 別の大陸で、異なる時代で、同じ進化を遂げた昆虫の子孫だとでも。

出本研究員: いいえ。1つの究極生物に到達する定向進化などはまさしく空想のものであります。自然放射線や活性酸素をはじめ、突然変異を誘発する要因は無数にあり、進化とは偶然の積み重ねです。全体として走行適応や大型化といった傾向や収斂があることを否定はしませんが、我々は鯨類と魚類との、ズワイガニとタラバガニとの明白な差異を見出せます。緻密な外殻や内部組織の細部に至るまで、たった1つに定まる「神」を目指すことは起こらないのです。

織戸研究員: 遺伝子の水平伝播を考えていらっしゃいますか。

出本研究員: いいえ。昆虫においても水平伝播の事例は確認されていますが、これは体内の共生生物やあるいは摂食した植物に起因するものであり、その生物さながらに変異することを意味しません。部分的な塩基配列が受け継がれ、一部の機能が移植されるに過ぎません。昆虫同士の遺伝的フローがSCP-3384-JPに帰着することも、収斂と同様にあり得ないことでしょう。

正留研究員: では、SCP-3384-JPを説明する理屈とは一体何なのですか。

出本研究員: 私は背後に時空間異常の存在を仮定しています。

織戸研究員: 何と。

二条研究員: 別の時空からやってきた生物とでも。

出本研究員: その通りです。SCP-3384-JPに時空移動を仮定してしまえば、我々が観測した1個体1個体に遺伝的な繋がりを求める必要はそもそも失われます。時空連続体を経て、現代で1匹1匹が離散的に出現しただけなのですから。ハプロタイプネットワークが無造作な図形を描くことも、対蹠点で症例が認められたことも、化石記録の出現パターンも簡単に説明が付きます。

二条研究員: 物的証拠の無い時空間異常を空想するのは危険なのではないかと。確かに、それに頼れば説明は可能ですよ。しかしそのような、我々のあずかり知る領域にない摂理や誘因に解決を託すとは、幻影に惑わされた、ある種の思考停止とも取ることのできる態度ではありませんか。

出本研究員: お気持ちは分かります。太古の生物が今の人類を脅かすという構図は、時にはエイリアンの侵略と比べても突拍子の無いことだと評価する人間も居ます。超越的でファンタジックな絵空事と判断されても私は理解を示します。

出本研究員: ですが我々は、既知の実例としてそうした時空間異常を数多観測しているではありませんか。コンゴ盆地タラナキ山には先史時代の生物収容サイトが広がっています。アメリカでは、消失したモンタナ州の町をヘルクリークで再発見しています。隣り合うはずのない2つの時空が交錯する様を観察し、記録し、研究し、蓄積しているわけです。我々が把握しているだけでも有史以前との接続が掃いて捨てるほど存在する、その現実があります。この推論は甘い幻惑に囚われた進歩の終わりではなく、今後に繋がる発展性を孕むものであると私は判断します。

三城研究員: 他の例に漏れず、最低でも万の個体を擁する寄生虫が現代に入り込んでいると。

織戸研究員: 発展性があるならば、話を進めましょう。どの時代ですか。彼らの起源は一体どこに。

出本研究員: 彼らのボディプランは非未来生物として納得できる程度のものであり、系統樹を信頼するならば候補がいくつかあります。ご覧ください。

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三城研究員: 三畳紀かジュラ紀の大陸配置図ですね。

出本研究員: パンゲア超大陸は南北半球の二大大陸に開裂しました。このうち南半球のゴンドワナ大陸を形成していてオーストラリアとの地理的障壁が比較的小さく、また陸上動物相の大規模絶滅が推測される地域は、地球上に2つあります。1つは氷床に覆われた南極大陸。この場合、南極大陸にはかつて熱帯雨林が広がっていたわけですから、新第三紀鮮新世に発生した急激かつ甚大な氷床形成に関連した可能性が考えられます。

織戸研究員: もう1つは。

出本研究員: ジーランディアです。今もなお動物相の発達した残存島弧たるニュージーランド列島では、厚い氷床に占められた南極と違い、生物的な証拠を容易に得ることができます。ジャイアント・ウェタのような巨大なコロギス上科の固有種が現存している点で、SCP-3384-JPの存在を類推することは難しくありません。

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ジャイアント・ウェタの1種 Deinacrida rugosa

三城研究員: なるほど。つい最近存在が確認されたこの大陸は、そもそも非異常の地質学的な調査も道半ばであった以上、目の前の明らかなアノマリーを差し置いて財団の管轄下に置く理由もありませんでした。これまで候補に上がらなかったのも道理です。

出本研究員: はい。ですが今や、状況証拠は十分と私は考えます。

石済研究員: しかしニュージーランドとなると今でこそ多くの外来生物が犇めいていますが、人為的移入を経験するまで現地の哺乳類は少数のコウモリしか存在しませんでした。哺乳類のうち最も繁栄を遂げた齧歯類までもが存在しなかったわけです。SCP-3384-JPの宿主が実在しえないのでは。

出本研究員: 逆です。南極・オーストラリア両大陸から分離したジーランディアの地塊は、当時の動植物相を積載したまま北上を続けたわけです。暁新世から始新世にかけての哺乳類も地理的隔離を受け、遺伝的な分化を遂げながらジーランディアに生息していたはずです。

三城研究員: 現に2006年には中新統から顎化石が報告されましたからね。かつて哺乳類相もかの大陸には広がっていたと見るわけですか。

出本研究員: ええ。海底に沈んだ第七大陸がSCP-3384-JPの故郷、そして残されたレフュジアであったかもしれません。

<抜粋終了>

追記3: 会合の後、SCP-3384-JPの体表・生殖器官に由来する微生物の検出と同定結果が共有されました。虫体に由来する微生物は患者・患畜に致死的な敗血症を誘発するものとして知られていましたが、従来実施されたSCP-3384-JPの研究は虫体自身に焦点を当てており、長らく注目されませんでした。会合後に正留研究員が財団微生物学部門に連絡を取り、微生物に主眼を当てた調査が開始されました。

結果として、SCP-3384-JPの虫体に由来する微生物群の大多数は未記載の科あるいは目に属するグラム陰性菌であることが確認されました。化学分析によると、細胞壁の構成成分や全菌体の脂肪酸・脂質は既知の分類群と一致しませんでした。加えて検出されたDNAの塩基配列はデータベースに登録が無く、最も共通する分類群との間で約4500万年の分岐年代が得られました。

これらの結果から、SCP-3384-JPに付着する細菌類が現存しないステムグループに属する可能性が高く見積もられました。これは出本研究員が提唱した時空間移動仮説の傍証と解釈されます。



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IODPに伴う掘削地点とジーランディアの図

追記4: 財団は国際深海科学掘削計画(IODP)の一環としてジーランディアの海洋底掘削調査を実施したアメリカ国立科学財団(NSF)に注目しました。2017年、NSFの研究チームは深海掘削船JOIDES・レゾリューション号を運用してニュージーランド北西海域へ遠征し、7地点で大陸地殻の円柱状コア試料を採取しました。その成果は公表とともに財団にも共有されていましたが、異常事物を主たる対象とする財団の注意を惹くことはありませんでした。2022年、SCP-3384-JPの推定分布域の候補としてジーランディアが浮上したことを受け、財団はNSFに介入しコア試料の精査を実施しました。

コア試料は主として花崗岩質の大陸地殻からなり、地層の成立は認められず、著明な断層を伴う混在相が確認されました。これらは岩石の鱗片状劈開に沿う変形や劈開面と無関係な角礫岩を伴い、またガラス質の岩石も確認されました。これらはジーランディア沈降に際して生じた地殻変動を反映すると考えられますが、その厳密な解釈は一部保留されています。

コア試料のコンクリーションには多数の生物化石が保存されています。温帯雨林を代表する植物群の胞子・花粉のほか、SCP-3384-JPに類似する昆虫類化石、また未同定の昆虫卵化石が確認されました。加えて、SCP-3384-JP様昆虫は幼虫から成虫に至る一連の個体発生シーケンスが可視化されました。このことから、幼虫は過去のジーランディア大陸の地中で自由生活を送り、成虫は有袋類を好適宿主としたことが推測されます。

ゴンドワナ大陸東部は約9500万年前から約5200万年前にかけて分裂し、大陸間に複数の海が出現しました。SCP-3384-JPの祖先は北上するオーストラリア大陸およびジーランディアへ進出し、共存する陸上脊椎動物との相互作用を遂げたと推測されます。約2300万年前までにジーランディアの地塊はほぼ完全に水没し、陸上哺乳類相が一掃され、SCP-3384-JPも大部分の宿主を喪失したと推測されます。

補遺: SCP-3384-JPの出現が現代に集中し、また指数関数的増大を示すことは、同一時空連続体中における宇宙移動三大基礎性質を反映したものであると推測されます。一般的な時空間移動は地心と赤道面で原点とxy平面を定義する地球固定座標上に成立しますが、こうした時空移動が深海底やマグマオーシャンをはじめとする極限環境と基底時間を接続することは稀であり、ある種の宇宙移動三大基礎性質が働くものと推測されます。内部寄生生物であるSCP-3384-JPは自由生活性生物と比較して生息可能環境に制約があり、温度・圧力・化学物質といった変数の定義域が制限される結果、上記基礎性質に従って脊椎動物体内に移動するものと考えられます。第四紀完新世は人為的活動により陸上脊椎動物バイオマスが急増しており、従来の地球の生物資源では維持不可能な個体数の人類・家畜動物が生息しています。SCP-3384-JPは過去4億年間で類を見ない莫大な生物資源の誘引を受け現代に出現しているものと推測されます。

今後の被害予測とその対応を目的とし、現代に侵入しうるSCP-3384-JPの個体数の絞り込みが急務とされます。化石証拠と古気候モデリングによる古環境復元および時空連続体モデリングによる動線解析を通し、ジーランディアに生息した生物相とその内訳の推定、さらに同地域に分布したSCP-3384-JPの個体数推定が行われる予定です。侵入可能個体数が250万匹を超過する場合、SCP-3384-JPによる死者数は既知の全ての寄生虫感染症を上回り、人類文明に対し莫大な経済的損失が強いられるものと推測されます。



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