現地時間21:22、MTFイプシロン-11("九尾の狐")がサイト-104のCゲートに到着した。MTFメンバーはE11-1(分隊長)、E11-2(サブリーダー)、E11-3(有機体スペシャリスト)、E11-4(サイオニック工作員)、E11-5からE11-9(分隊員)だった。サイト内の電力供給は散発的であり、司令部はサイトの地下施設のためイプシロン-11との通信を行うことができなかった。以下の音声と映像は全てMTFの個人記録デバイスから回収された。
E11-1 (SL): こちら分隊長、作戦を開始する。何か質問は?
E11-6 (Sq): 命令は影響されたスタッフとの交戦ですか?
E11-1: 敵対行為を取られるまでは交戦するな。誰かが銃を抜いたなら、発砲していい。
<MTFイプシロン-11はチェックポイントCを過ぎ、サイト-104のエントランスゾーンに入る。地上のステージングエリア全体に他の人間はいない。>
E11-5 (Sq): 見える限りこのエリアは —
<後にハーベイ博士と特定された人物がチェックポイントCから現れ、IEDを分隊に投げる。彼はE11-3に即座に終了されるが、IEDは爆発し、E11-4の脚と胴体に軽い裂傷を追わせる。>
E11-8 (Sq): クソ!
E11-2 (SiC): T███!、大丈夫か?
E11-4: 大丈夫、大丈夫。切り傷を数箇所負っただけ。
E11-5: 目を上げろ!主指揮所に動きが見えたぞ、チェックポイントを奪取する!
<E11-5、E11-2、E11-9はチェックポイントCへなだれ込み、敵を排除する。彼らはD-3416と遭遇し、D-3416はE11-2をナイフで攻撃する。D-3416は容易に3人に制圧され、壁に押し当てられる。>
E11-2: D-3416!この施設に何が起きた?
D-3416: <意味不明な発声>
E11-2: D-3416、何が起きたか言え!スタッフに何が起きた?サイト-104に何が起きた?
D-3416: <不明な発話を繰り返す。これまでに遭遇していないウラル祖語の方言と判明する。E11-5に話し続ける。>
E11-5: 撃て。こいつからは何も得られん。
D-3416: (現代英語で)生きている!私は生きている!……イアエル、私はお前なのか?私は6人の天使を見た。彼らは美しかった。アラガッダ!吊られた王が私を見ている。私の目は燃えている、頼む!これ以上金属は、鉄はいらない!私は神になる、常に神に!つねにつねにかみであったかみになるなろう。
E11-1: 何も意味がわからん。D-クラスを終了しろ。ここのサイオニックアノマリーを放置するわけにはいかん。
E11-2: 了解。
D-3416: 私はいつだ?時はなぜ留ま —
<D-3416は銃撃により終了される。>
E11-2: 他のチェックポイントはクリアされたか?
E11-9 (Sq): ああ、衛兵の死体を見つけた。俺たちに警告を伝えようとしていたようだ。可愛そうな奴だ。
E11-1: そうだな。オーライ、ここは終わった。移動するぞ、気をつけていけ。
<MTFイプシロン-11はチェックポイントCを過ぎ、サイト-104の地上構造へ進行する。この間、死体も含め、それ以上職員とは出会わない。E11-1はサイト-104のメインの入り口に近づき、ブラストドアを開けようとする。彼の資格カードは受け付けられたが、入り口は閉まったままだ。>
E11-1: 入れないぞ。ドアがピクリとも動かん。分隊員、爆薬を用意しろ。突破するぞ。
<E11-9とE11-8はテルミットを用意し、ドアの中央に設置する。E11-1の合図で点火される。大量の煙が生成され、視界が非常に悪くなる。>
E11-1: 煙を晴らせ。突入する。
<イプシロン-11はサイト-104に進入する。エントランスロビーは増殖した有機的な結合組織で埋まっており、メインゲート付近の広い範囲は焼かれている。その構造物には小孔があり、大量の蒸気を継続的に噴き出しており、危険な量の熱を発生している。>
E11-7: この場所は胸が悪くなる。この……肉っぽいクソは何だ?
E11-3: 上皮組織に似ているわ。胃にあるような。
E11-4: グロいわね。スタッフはどこにいるの?この階には感知できないわ。
E11-1: 何が起きたかわからん。このホールを見る限り、よくはなさそうだな。さらなる敵に気をつけろ。-4、サイオニックシグネイチャーの痕跡をさぐれ。何かあったら言え。
<イプシロン-11は施設を捜索し続ける。エントランスの向こうはサイト-104のロビーだが、先程記録された物質と同じもので完全に埋まっている。数個の鮮やかに赤い膿疱が室内にある。>
E11-4: クリア。何も感じない。誰もいないし、私の頭にアノマリーが干渉してきてもいない。
E11-1: 了解した。-3、この塊が何かわかるか?
E11-3: 今見てる。
<E11-3が装着したカメラは壁の膿疱を近くから撮影している。半形成された人間が内部におり、概ねP████ ██████の特徴に合致している。彼女の頭部は数箇所の皮膚が欠損しており、下顎の大部分もない。彼女は意識がないように見える。>
E11-3: 何これ?来て、内部に人がいる!
E11-9: うわ、これはただ……気持ち悪い。中にいるのはサイト管理者か?
E11-1: 切り開け。気をつけてな。もしまだ生きているなら、何か聞き出せるかもしれん。
E11-5: やってみる。
<チームは安全な距離を取り、E11-5が非接触型レーザーカッターを使い組織を吹き飛ばす。数秒後、増殖組織は拡大して破裂し、チームに膿をはねかける。内部の人物が出現し、イプシロン-11が膿疱を調べた際には明らかにならなかった延長された奇形の四肢、変形した顔面、全高およそ250センチメートルといったいくつかの奇形が明らかになる。それはE11-8に向き飛びかかり、彼女の腹部を破壊する。E11-8のライフサインはおそらく致命的な臓器破裂により消失する。>
E11-2: 敵対存在だ、撃て。
<イプシロン-11はアノマリー(T-1)を射撃し、無力化する。E11-9とE11-3は即座に前進し、実例を制圧する。左腕を失い、下顎は不完全であり、腹部に激しいダメージを負っている(脊髄の下部も切断されている)にもかかわらず、それは抵抗と発声を続ける。>
サイト管理者P████ (T-1): やめろ!やめろ!殺す気か!撃つな!
E11-4: ジーザス・クライスト!E████を殺したわね!
E11-1: 少し静かにしろ。-3、腕を抑えろ。(T-1に話しかける)お前は誰だ?
T-1: 我々だ。サイト-104収容スタッフ。アディトゥムの眠れる神、イアヘルの信徒。我々は生きている。生きていた。常に生きてきた。お前はまだ喋るのか?
E11-1: ああ、お前が生きているのはわかるよ。では、サイト-104スタッフの精神がお前の中にあるってことか?
T-1: ジョージア・ラメント、カレイ・メイヤーズ、ステファン・ゴールド、トラビス・メーソン(実体はサイト-104スタッフ52名の人名および不明な人物17名の人名と思われるもの、"カルキスト・イアヘル"を列挙し、激しい言語知覚災害を続ける)
E11-2: イアヘル?お前を作ったものの名前か?そいつがまだそこにいるのか?
T-1: 彼も私も我々の中で生きている。我々、彼、が話していた。わた、お前?違う、イプシロンの半分だけ、行く。走れ!お前たち、行け、行け!
E11-4: どういう意味だった — オーケー、気にしないで、サイオニックシグネチャーは1人分しか感じない。そんな多くの精神を内包しているはずはない。
T-1: 我らは一つ、精神は一致して考える。育つ、巣となる。上昇して一つへ。一つの。偉大なる一人の男。一つは力となり、一つの日は一つの明日!
E11-1: 1つの精神ね。構成してる奴らから1人出してくれないか?誰か1人と話すことはできるか?
T-1: だめ、だめだ、一人じゃない、分離はできない、我々は一人であり一つとなるだろう。学校へ行く時間よ!さよならロバート、次回はうまくいくといいな!
E11-3: 意味がないな。撃て。次へ進もう。
T-1: 今じゃない!いつ殺すな!SCP-3991を殺すなつもりじゃない!お前たちは我々を殺すために来た、お前たちは我々を殺すために来た、なぜ私を救わないの?畜生何が起きているんだ?!助けて、助けて、たす —
<E11-2はT-1の頭部を合計7回射撃する。頭蓋に重度のダメージを負ったにもかかわらず、6発目が撃ち込まれるまで実体は意識を保ち、生存していた。>
E11-2: 丈夫なクソだ。
E11-6: こんなものに対処できる装備は持ってきてるのか?最大限差っ引いても、これはもう別のオブジェクトと言っていい。すでに1人を失った。9人全員がそうなるまでこのままってのはないだろう。
E11-1: 進行するぞ。我々はこれが何か確かめなきゃならん。そして我々がこれを止められるのかどうかも。これ以上感染が広がるリスクは犯せん。もっと大きなMTFがこんな風になることは絶対に避けねばならん。デキモノを全部吹き飛ばせ。こいつらに後でケツを噛まれるのはごめんだ。
<イプシロン-11は残った膿疱を撃ち、内部の実体を終了する。全17体が発見され、続いて速やかに終了された。いくつかの実例はすでに終了されたスタッフに似ている、あるいは同じ"元の"人物を共有している。>
E11-2: これでここは終わりか……
<機動部隊は施設内の探索を再開する。敵対的なスタッフは通常2から4人のグループで現れ、意味の取れない言明をイプシロン-11に対し発する。総計17人が出現し、続いて制圧される。特筆すべき事に、何人かのスタッフは確実に終了されたにもかかわらず複数回出現する。MTFはエレベーターシャフトF-2に進行し、収容階に降下する準備をする。>
E11-9: ジーザス。この場所は気が滅入る。あいつらみんな、何かのクソアノマリーにモンスターに変えられちまった。
E11-6: それに喋り方もおかしい。あの無茶苦茶な水膨れみたいにな。
E11-4: 彼らは皆混乱しているわ。見たものに怯える子供みたいな感じがする。私たちを攻撃してるとすら思っていないと思う。
E11-2: 同情している場合じゃないぞ。こいつは俺達の仲間を使って俺たちを殺そうとしている。分隊長、止まってますか?
E11-1: エレベーターは通電しているが、封鎖を行ったようだな。動かない。-5、爆薬を用意しろ、シャフトをラペリングで降るぞ。
E11-5: ブリーチングチャージを設置する。
<E11-5が爆薬のパッケージをエレベーターの床に設置する。>
E11-5: クリア!
<爆薬が爆発し、エレベーターの箱の床を打ち抜く。イプシロン-11はエレベーターのケーブルをラペリング降下し、SCP-3391のチャンバーが設置されていた主要収容階に降り立つ。>
E11-3: ウォウ、この階も完全にヤラれているわ。
E11-4: 肉だらけで向こうの壁も見えない。
E11-5: ヘイ、ここに生存者はいると思うか?
E11-6: この長さを生き残れるとは思えんな。今までに50人は殺している。これを避けれる方法があったとは思えん。
E11-1: 調べるのが我々の任務であり義務だ。行くぞ、サイト全部を焼かずに脅威を再収容できる可能性もある。
E11-4: ヘイ、待って。聞こえた?
E11-2: いや、何だ?
E11-4: 向こうに人がいるわ。この……多分この同じ階にいる。他の奴らとは違う、取り憑かれても操られてもいない。心理抵抗値が高いスタッフに違いないわ。-1、あなたの言った通り、彼らを連れ出すのが義務であり任務だわ。
E11-1: そうだな。-2、-9を連れて-4を補助しろ。残りは俺と来い。もっと調べるために施設の深部へ行くぞ。セキュリティの詳細はシェルターにあるはずだ。皆それぞれやることがある。行くぞ。
<E11-2、 -4、-9がシャフトから出て、廊下へ進行する。彼らは-4を先頭にし、サイトのメインセーフティーバンカーへ向かう。一方、E11-1、-3、-5、-6、-7は収容ウイングへと移動する。この時点で、イプシロン-1はE11-2をリーダーにした-4のグループ、E11-1をリーダーにしたグループに分かれる。>
<E11-2は脱出シェルターに到着し、セーフティーバンカーへアクセスを試みる。彼の資格情報はサイトのロックダウンプロトコルのために拒否される。彼らはドアをノックする。>
E11-2: ハロー?誰かいるか?
不明1: <よく聞こえない>
E11-4: 彼には聞こえていないわ。中に3人いる。でも良い形ではないわ。ドアを切断するしかないかもしれない。
E11-9: バンカーに入るぞ、オーケー?落ち着いていてくれよ。
<E11-9は熱カッターを使用して数分かけてドアを開ける。一方、E11-1のチームはサイトの探索を続ける。>
E11-3: サイトの図面からは、セキュリティールームはこのすぐ左にあるはずね。セキュリティカメラの録画を手に入れたいわね。
E11-1: 了解した。データを回収しよう。
<分隊はセキュリティルームのドアを開ける。大型の節足動物状の実体がおり、その特徴と異常な特性はSCP-████に似ている。実体はイプシロン-11を攻撃し、E11-5を掴み消費する。>
E11-5: おい、おいおい、待っ — (映像によるとE11-5はこの時点で死亡する)
E11-7: ホーリーシット!撃て、撃て!
E11-3: だめ、逃げて!このスキップは模倣者コピーキャットだわ!勝てない!
<E11-1、-3、-6、-7は振り返り廊下を逃げるが、E11-8とE11-5に似た外見の3人に遮られる。>
E11-1: 一体こいつは何だ?B██?
E11-8の偽物: 悪いわねM██████、でもこうしなくちゃならないの。私は-3を殺さなくちゃいけなくて、そしてその後、あなたは私を殺さなくちゃいけない。
E11-5の偽物(1): SCP-3391は……説明し難い。そいつは頭に入ってくる。そしてそいつは俺たちが何をしようとしているかをすでに知っている。だからこうなる。
<影響されたMTFのメンバーはイプシロン-11に射撃する。彼らの外見はMTFのアーマーと装備を真似ているが、彼らの服装と武器は彼らの肉体と結合しており、柔らかいキチン質でできていることが判明する。E11-3が骨の破片で貫かれる。彼女の体は急速に膨張し、膨大な癌組織の増大に飲み込まれる。節足動物状の実体は停止して腐食性の物質を腫瘍に吐きかけ、生成した溶解物を消費する。>
E11-7: 畜生、-3!食ってやがる!
E11-1: 時間がない、撃て!
E11-5の偽物(2): 恐れるな。私のすることを見れば、全てがどのように終わるか理解できるだろう。
<E11-1とE11-7はMTFの偽物を終了する。節足動物状の実体は素早くE11-3の残りを飲み干すと膨張し、質量と異常な能力を増大させる。素早く接近してE11-6を掴む。彼は持ち上げられ、内臓を抜かれ、実体は出血を吸う。-6は意識を保ち、身につけた爆薬をいくつか起動する。>
E11-6: もっと欲しいか?来いよ、ひょろ長のクソ野郎。
<実体と-6は火球に包まれ、両者とも燃え尽きる。-1と-7は爆風を避け、セキュリティールームからの撤退を続ける。>
E11-2: 何が起こった?爆発音が聞こえたぞ、大丈夫か?
E11-1: -5、-6、-3を失った。すまんが喋っている時間がない。
E11-7: -8と-5のコピーにも会った。また頭を撃たなくちゃならなかった。
E11-4: そいつはサイト全体を包んでいる。中の人間を操り人形ににして、私たちを攻撃させているの?
E11-1: そしてどんどん賢くなっていると思う。今までに6人見つけたが……あいつは俺に話しかけてきたが、ほとんど人間みたいだった。そして……-3を殺さなくちゃならないと言った。それから俺が彼を殺さなくちゃならないと。
E11-9: そいつは意味が通らないな。
E11-4: どっちにしても、そいつはどんどんまともになってきている。賢くね。そいつはスタッフを取り込んで、それを弄り回したバージョンを作っている。-5と-8も取り込んで、そいつの軍隊を作り始めてる。
E11-7: そして2体のSCPを起こしたってわけか。
E11-2: 考えるのは後だ。バンカーを切っていたがそろそろ開くぞ。ヘイ!入るぞ!
<E11-7とE11-1が通信を切ると、E11-2、-4、-9がバンカーに入る。それには外部にあったような組織は見えない。サイト-104のスタッフが3人内部にいる。2名がチャンバーの反対側におり、そのうち1名が拳銃で武装している。もう1名がこちら側におり、荒い息をしている。>
管理スタッフ・リマー: 止まれ!それ以上近付くな!撃つぞ!
E11-2: 銃を下げろ!こちらはイプシロン-11だ、君たちを連れ出しに来たぞ。
客員研究員エスター: また偽物が来たわ、ジョン!こいつらを追い払って!
E11-4: 落ち着いて、もしあなた達が協力しないなら、ここへ置いていくことになるわ。これが外に出る唯一のチャンスよ。
<数秒後、リマーはエスターを見て銃を下ろし、数歩前へ踏み出す。>
リマー: いいだろう。では案内してもらおうか。
E11-9: ヘイ、あー、そこの君は大丈夫か?(3人目のスタッフにジェスチャーする)
保安員タムリー: ああ、ああ。行きましょうか。あなたのすぐ後ろにつくわ。
エスター: どうやって出るつもり?収容階はロックされているわ。
E11-4: 私達があなた達をエレベーターに案内するわ。そこにラペリング装備を設置してある。-2、どれくらいかかる?
E11-2: 俺の見積もりだと徒歩で10分だな。さあ行こうか。
タムリー: そうね。行きましょう。
<救助チームは3人のスタッフ全員を集め、エレベーターへ護衛し始める。その頃、E11-1と-9は収容階のセキュリティ区画で静かに会話している。節足動物状の実体を避けているように見える。>
E11-9: これからどうする?
E11-1: ミッションはもうダメだ。あとできる最善は他の奴らを地上に無事に帰すことだ、できたら俺たちもな。だが今何が起きているかはっきりわからん。
<E11-1はこの時点でE11-2に通信を開始する。>
E11-1: ヘイ、スタッフは安全に連れ出したか?
E11-2: ああ、今はエレベーターに進んでいる。そっちの状況は?
E11-1: 俺たちはでかい未確認生物に追いかけられてセキュリティ区画に閉じ込められている。あいつを倒す方法はない。そいつが廊下を塞いでる以上出る方法もない。
E11-2: 助けが必要か?
E11-1: いや、お前たちが安全か確かめたかっただけだ。進んでくれ。
E11-2: 細かな指示は要らないぞ。もう少し自分が生き残ることを考えたほうがいい。
E11-1: 俺と-7が脱出できる可能性は全く無い。職員を安全に届けてくれ。いいな?
E11-2: 了解、サー。
E11-7: クソ、何か来るのが聞こえるぞ。伏せろ!
<E11-7が資材箱の後ろに隠れる前に、E11-1はこの時点で通信を終了する。不明な数の人型実体が部屋に入ってきて、直ちに2人のエージェントを攻撃し始め、長い銃撃戦となる。その頃、E11-2のチームは施設を横断する。>
E11-9: デブリーフィングで話すべきかも知れないが、ここで何が起きたんだ?増殖する組織で完全に覆われている。
タムリー: わ — わからない。神よ。半分くらいのスタッフが胸を掴んで、医療班を呼び始めた。次に思い出せるのは、その人達に襲われて、こっちのほうが数が少なくて、それで……訓練は受けていたはずだけど、ただ怖かった。
E11-2: 怖がるのは当然だ。こんなことに対応できるとは誰も思っていないだろう。今は戻ることだけを考えよう。気に病むな。
リマー: 他には誰も来ないのか?他のチームとか何か。
E11-2: 来ないな。俺たちが初期対応チームだ。命令権は上の方にある。俺たちに何かあれば、生物の専門チームが燻しに来るだろう。
エスター: 通信はできないの?
E11-9: できない。この施設は無線には深すぎる。なんで聞くんだ?
タムリー: わかっているだろう。お前について知るためだ。
<エスターとタムリーは異常な膂力を発揮し、E11-4を攻撃し抑え込む。リマーはE11-2と-9を攻撃する。タムリーは-4のヘルメットを砕き、彼女の顔に手を当てる。彼女の体は瞬時に石灰化する。その後すぐ、タムリーは彼女を消費し始める。>
E11-9: 何だと?K███はこいつらは正常だと言ったぞ!
<E11-9は明らかに影響されていたスタッフに燃焼装置を投げつけ、リマー、エスターを燃やす。タムリーはしかし、E11-9へ跳躍し、そのヘルメットを曲げ始める。しかし-9を殺害する前に、後方から頭部を撃たれて終了される。>
E11-2: ああ、彼女はそう言っていた。彼女が間違えるはずはない。彼女は — 彼女は今まで間違えたことなどなかった。
E11-9: このクソどもは心理シグネイチャーもコピーできるってのか?装備も?施設にいたクソscipも?何も信じられねぇ、俺は地表に出るぞ。俺たちはここから出るぞ!
<E11-2とE11-9はエレベーターに向けて施設を走る。しかしそこに到達すると、心組織に完全に覆われているのがわかる。>
E11-9: クソ、クソ、クソ!
<E11-9は壁にもたれ崩れ落ちる。>
E11-9: 俺たちはここで死ぬんだ!もうおしまいだ畜生!
E11-2: あいつは賢すぎる。あいつは俺達のすべてを知っている。あいつは俺達を罠へ誘い込み、俺達から情報を引き出したんだ。訳のわからないお喋り、スタッフ、そしてオブジェクト……あいつは俺達でずっと遊んでいたってわけだ。
E11-9: だからどうした!?もう知られちまった。そんなことはもうどうだっていい!コマンドに信号すら送れねぇ!もうインポのファックみたいにここで座って待つしかねぇ!
E11-2: 黙れ!まだここから出れるチャンスはある。-1と-7に合流するぞ。次に何が起こるかわかるだろう。
E11-9: それからどうするんだ?あいつらが生きてたとしても、何ができるっていうんだ?
E11-2: ここを吹き飛ばせる。サイトの核を起動する。それが最後の手段だ。
<E11-9は-1と無線を繋ぐ。>
E11-9: 分隊長!そちらはどうだ?
E11-1: ハマっちまった!スタッフが何ダースも、うちのチームのコピーもだ。
E11-2: 了解した。出口は塞がれている。そちらへ向かう、生きててくれ。
<E11-1とE11-7はMTFの兵士の集団が部屋に入ってくるのに気づく。彼らの顔の特徴はバイザーに隠され見えない。>
E11-7: また来やがった!クソ!
<-1と-7は実体群と交戦するがあまり効果がない。-7は胸部を撃たれ、口から大量の血と肉を吐き出す。彼は急速な失血のために崩れ落ちる。-1は敵性MTFとの交戦をやめ、資材箱の後ろに這っていく。>
E11-1: O█████がやられた。すまない、だが俺も死ぬ。
<数体の異常な人型実体が壁から現れる。顔の特徴や、人物が特定できる特色はない。彼らはE11-1には構わず、ただそこに立っている。MTFのコピーも全員動きを止め、-1には近づかない。>
E11-1: (囁く)奴らが止まった。何か起きているぞ。
<施設内の異常な人型実体全てが突然E11-4の姿を、アーマーと装備を含めて取り始める。E11-4実例が全員話し始めるが、依然としてE11-1には気づかない。>
E11-4: ハロー?誰かいないの?
E11-9: 何だこりゃ?分隊長、-4がそちらにいますか?
E11-4: とても暗いわ……誰かいないの?私の名前はK███、助けに来たわ。
E11-1: クソ、こんなのはありえないぞ……-4、お前も死んだのか?
E11-4: ハロー?私は — W███、そこにいるの?M██████?誰か答えて!待って……誰 — あなたは誰?
E11-2: 彼女には俺達の声が聞こえない。彼女はゲシュタルトに話しかけているんだと思う。サイオニックトレーニングを積んできたから、集合意識の中で自我を保てるんだ。
E11-4: でも……なぜ?彼らはあなたの邪魔をしていない。彼らを殺す必要なんてない、私たちを傷つける必要なんてない!
<E11-4の表象が大きく崩れ、彼女は数秒間意識を失う。再び話し始めると、彼女の声は遅く、引き伸ばされれている。>
E11-4: 黙りなさい!私は — 待って、M██████?あなたなの?なぜここにいるの?何をしているの?!
<-4の話し方は更に崩れ、ほとんど意味が通らなくなる。>
E11-1: クソ、彼女が消えちまう。だめだ、だめだ消えるなK███、耐えるんだ!
E11-4: 違うわ、あなたは彼から離れるのよ!心のない怪物、あなたはこれ以上誰も殺せない!私の頭の中を見なさい!この世界のために私は戦っている。もう1人も殺させない。聞いているの!?わからせてあげるわ。
<E11-2は全体通信を止める。全ての異常な人型実体は崩壊し、ライフサインは消える。E11-2と-9が分隊長の場所に到達する。>
E11-1: クソ、彼女は消えちまった。すまない……彼女、みんな死んじまった。俺の判断が間違っていた。
E11-2: あなたのミスじゃない。誰もこんなことは予想できない。もう一度会えてよかった、サー。
E11-9: 湿っぽい話より次にどうするかだ。これからどうする?ここから出れる方法はない。それだけは確かだ。
E11-1: この忌々しいものをここから出すわけにはいかん。核を使うぞ。こいつがどれほど広がっていようが、20キロトンの爆発からは逃れられん。まだ出たいならば、すぐに行け。引き止めはしないぞ。
E11-9: ハハッ、もうこんな地獄からは出れないってわかってるだろうに。司令部が漏れ出た奴らも掃除してくれると信じるしかねえ。
E11-1: 行くぞ。核の部屋はここから遠くない。
<イプシロン-11の残りは施設を横断する。彼らは何体かの異常な生物と出会うが、全て一応は攻撃的だが、僅かな射撃で逃げていく。何体かはチームに完全に気づかない。E11-1、-2、-9はサイト-104のセキュリティコントロール室の前で止まる。イプシロン-11はこの時点で再合流する。>
E11-1: よし、終わらせよう。
<E11-1、-2、-9はセキュリティ室のエレベーターに入り、弾頭が安置されたチャンバーに降下する。>
E11-1: 着いたぞ。ここがそれだ。俺達の死ぬ日だ。
<MTFイプシロン-11はチャンバーの後壁へと歩き、サイトの核ターミナルを起動する。>
E11-2: 遠隔放送ビーコンはまだ作動するぞ。リンクを確立してみる。
<イプシロン-11はサイト-104の非常ビーコンを介して地上の司令部と接続する。>
E11-1: コマンド、聞こえるか?こちらMTFイプシロン-11、サイト-104コントロール室から報告している。
司令部: 聞こえるぞ。
E11-1: コマンド、こちら分隊長。我々はサイト-104を、Keter収容違反の疑いで破棄する。現時点をもってアルファ弾頭を起爆する。これが唯一の確実な方法だ。
E11-9: 入隊した日から、我々は信念を本能にまで叩き込まれてきた。そして今、俺は世界の誰よりも、この怪物が死ぬべきだと確信している。
司令部: 了解した。続行を許可する、イプシロン。
<E11-1は核の起爆を30秒にセットする。>
E11-2: 我々のデータをアップロードしている。転送中だ。
E11-9: 家族に愛していると伝えてくれよ。
司令部: 約束する。各員の奮闘に感謝する。
E11-2: ここへは誰も送ってこないでくれ。フェンスで囲み、地には塩をまき、ここをコントロールするためには何でも利用してくれ。こいつを絶対に地表に出させるな。
E11-9: たとえ核がこのクソを殺せなかったとしても、俺達はできるだけのことをしたんだ。
E11-1: 5秒、皆、光栄だった。
<サイト-104の核弾頭が起爆し、建造物を全て破壊する。アノマリーを含み、地下と地上の施設は瞬時に蒸発する。サイトは続いて封鎖され、放射線および生物災害立ち入り禁止区域に指定された。極めて強力なアキヴァ放射及びサイオニックエネルギーがSCP-3391-3の死の直前に放射されたが、その効果は現在も不明である。>