アイテム番号: SCP-3397
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3397は毎年同じ場所と期間に発生するため、年間の大半は収容プロトコルを実行する必要がありません。8月22日から25日までSCP-3397の発現する場所へ民間人が進入することを阻止してください。その際、カバーストーリー「遺跡発掘現場の復元および保存」が適用されます。呼吸器官が機能することを必要とする知覚生物が、SCP-3397-1から22の個体と身体的接触を持つことは、決して許可されません。SCP-3397で発生する物体に金属製の物質を近づけないでください。
説明: SCP-3397は、1965年に初めて観測されて以降1年に1度発生している事象です。SCP-3397では、ローマ帝国の自然哲学者・大プリニウスが死亡する原因となった状況が再現されているものとみられています。SCP-3397は選択的物理実体1を持つ実体群(SCP-3397-1から22と呼称)によって実行されます。この実体群は、大プリニウスが逝去するまでの数時間のうちに彼とやり取りをした人々に似ています。SCP-3397は、現地時間の8月24日13:00から25日8:00の間に発生します。SCP-3397はイタリア・ナポリ湾の、とりわけミゼノ岬およびスタビアエ2の遺跡周辺で局地的に発生します。SCP-3397発生中に繰り広げられる光景は、小プリニウス3 が歴史学者のタキトゥスへ送った手紙に記述されたものと非常に似ています。
SCP-3397が継続している間中、小プリニウスの手紙に記述された多数の物体および人影が視界の外側から出現し、先述の手紙に記述された出来事を再現します。SCP-3397は現地時間の13:00に、大プリニウス、小プリニウス、プリニア・マルセラ4 (以下、それぞれSCP-3397-1、SCP-3397-2、SCP-3397-3と呼称)がミゼノ岬に現れ「奇妙な雲」について話し合う場面から始まります。SCP-3397は現地時間の8:00に、SCP-3397-1がスタビアエの海岸に倒れ、2人の奴隷(SCP-3397-10、SCP-3397-11と呼称)が彼を治療しようとするものの、生き返らせることができない場面で終了します。
SCP-3397の終わりに、現象の間に発生した全ての実体は、SCP-3397の冒頭付近で出現したガレー船(SCP-3397-23と呼称)に乗船します。SCP-3397-2から22までがSCP-3397-23に乗船した後、SCP-3397-1は立ち上がり、未知の観測者にラテン語で語りかけます。語りの内容は「神聖なるカエサルの命により、我らはエリュシオンの地を臨むことが決してできない運命だ。この永遠の隷属は我らの不信心の結果だ。我らの苦しみを見よ、定命の者達よ。そして悔い改めよ、同じ運命を辿ることのないように。」というものです。話し終わると、SCP-3397-1は自らSCP-3397-23に乗り込みます。その後、SCP-3397-23は南西へ出航し、視界から外れると消失します。
SCP-3397の2つ目の異常性は、SCP-3397現象の最中に、SCP-3397の出現実体に誰かが身体的接触を行った際に発生します。これが発生すると、接触した者は100%の確率で致命的な窒息を起こします。先述の方法で殺された人間の検死の結果、肺が灰で満たされたことが窒息の原因であることが判明しました。灰が肺に入るメカニズムはわかっていません。
SCP-3397-1から22の実体が知能を持った存在かは現在もわかっていません。
実験記録 3397:
実験 I - 1968/08/24
実験方法: ラテン語に精通しているため選ばれたD-1047にSCP-3397-1を追うように指示しました。D-1047には、SCP-3397-1についていき大プリニウスの著作である『博物誌』を声に出して読むように指示しました。これはSCP-3397-1の注意を引くことを意図しています。
結果: D-1047は13:01にSCP-3397-1を発見し、『博物誌』を音読し始めました。これは1時間以上にわたり継続されました。SCP-3397-1も他のいかなる出現実体もD-1047の行動に気づく兆候を一切示しませんでした。14:23にD-1047は、財団の研究員の忠告に反して音読をやめ、SCP-3397-1がミゼノ岬でガレー船に乗り込んでいる最中にSCP-3397-1へ物理的接触を試みました。D-1047は接触後地面に倒れ、医療スタッフが彼の手当てができるようになる前に窒息死しました。SCP-3397-1は物理的接触の試みに反応を示しませんでした。
注: D-1047の肺に灰が充満していることがその後判明しました。今後SCP-3397-1、ともすれば、SCP-3397発生時に出現したSCP-3397-1を含む全ての実体へ物理的な接触をしないよう全職員に指示するべきです。
実験 II - 1968/08/30
実験方法: D-1047の肺の中から発見された灰の構成化合物を測定するため、化学的な分析および放射性炭素年代測定を行いました。
結果: 灰には粉末状の岩、火山性のガラス、鉱物が含まれていることが判明しました。また灰は、異常性を持たない火山灰と区別がつかないもので、放射性炭素年代測定によると、西暦90年代周辺で生じたものであると明らかになっています。
実験 III - 1976/08/25
実験方法: ガレー船(SCP-3397-23)が現地時間8:00に海岸から出発した後、海洋レーダーシステムを積載した改良型ポイント級カッター・SCPSランサーでSCP-3397-23を500m距離を置いて追跡するように指示しました。
結果: SCPSランサーは、2時間SCP-3397-23を追跡しました。その間、SCP-3397-23はおよそ南西200度へ向かって航行していました。現地時間の10:10に、これまでの観測で確認されなかった厚い霧でできた雲が突然周囲一帯を包みました。その時点で、SCP-3397-23を視覚でとらえることができなくなりました。加えて、SCP-3397-23が、SCPSランサーのレーダーに表示されませんでした。
実験 IV - 1982/08/25
実験方法: SCP-3397での出現実体と非生物との間での接触を目的として、機械式のアームとビデオカメラを積載した無線操縦無人機で、SCP-3397-1と物理的接触を行うように指示しました。
結果: 無人操縦機は現地時間の2:00に、眠っているように見えるSCP-3397-1へ接近し、腕部を用いて実体に触れることに成功しました。腕はSCP-3397-1の体を押し込み、体へ沈み込みました。SCP-3397-1の体はまるでゼリー状の固形物でできているようでした。この後すぐに、腕の金属が目に見えて錆び始め、ビデオからの送信が突然途絶えました。後に無人操縦機が戻ってきた時、金属部の大規模な腐食によって使用不能になっていることが分かりました。
注: この発見を受けて、収容プロトコルの改訂が行われました。SCP-3397実体へ金属を引き合わせることのないよう勧告されました。
実験 V - 1986/08/25
実験方法: D-5119にヘッドセットを与え、現地時間の8:00にSCP-3397-23へ乗船を試み、成功した場合は乗船した実体の行動を報告するように指示しました。SCPSランサーには、SCP-3397-23を500m距離を置いて追跡するように指示しました。
結果: D-5119は、SCP-3397-1から22が乗船した後、問題なくSCP-3397-23へ乗船し、甲板の下まで着いていきました。そこでは、各実体がオールの背後に座り、舟をこぎ始めた所が観測されました。D-5119は最初の1時間はほとんど興味なく報告し、しばしば退屈な感情を露わにし、SCP-3397の出現実体との会話に交ざろうとしました。実体との言語でのやり取りをする試みは全て失敗しました。
実験 IIIと同様、10:10に厚い霧でできた雲が漂い、SCPSランサーはSCP-3397-23を見失いました。D-5119は、今まで無感情だった実体が苦悶の表情を浮かべ、今までより熱烈に船をこぎ始めたと報告しました。10:15にSCP-3397-1がラテン語で、D-5119に向かって叫ぶ様子が確認されました。5D-5119はすぐにパニックになり、外へ出ることを要求しました。研究員は、D-5119を落ち着かせてさらなる情報を収集させようとしましたが、D-5119はなお以てパニックになったため失敗しました。ラテン語での詠唱は徐々に音量が上がり、「新たにカエサルへ請い願う者よ。異教徒としての人生を悔い改めよ。」と唱えているのが背後で聞こえるようになりました。10:18にD-5119は無秩序に叫び始めました。5秒後に、音声は完全に途切れました。
注: 1987/08/25に、SCP-3397現象内でD-5119と似た出現実体(SCP-3397-24と呼称)が観測されました。SCP-3397-24はSCP-3397-1の奴隷の役を演じていました。人間を使用したSCP-3397の実験は、さらなる通知があるまで凍結してください。