SCP-3399-JP
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アイテム番号: SCP-3399-JP

オブジェクトクラス: Euclid(暫定) Ogiel1

特別収容プロトコル: SCP-3399-JPが存在する廃ビルの周囲及び建物内には監視機器が設置され、侵入者があった場合常駐部隊への自動信号が送信されます。

[2010/11/6更新版]
SCP-3399-JPは一般の公共施設である塚本美術館に寄贈されました。美術館の動向は監視下に置かれますが、以降財団はSCP-3399-JPに対し一切の関知を行いません。

現在までSCP-3399-JPが展示物として公開されたことは無いものの、これに財団の工作は関与していません。SCP-3399-JPは量産品の軍刀であり摩耗も見られた為、単に展示に相当しない物品と見做されたものと思われます。

説明: SCP-3399-JPは千葉県木更津市山間部に存在する廃ビル2の2階にて、リノリウム材の床に刀身の半分程が突き刺さる形で存在する日本刀です。財団が収容した2009年6月以前における来歴は、SCP-3399-JPがいつから存在したかも含め不明です。

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SCP-3399-JPが存在する廃ビル

SCP-3399-JPは自身の移動を妨げる広範かつ不規則な異常性を有します。以下は行われた試行とその結果です。

SCP-3399-JPの抜去 SCP-3399-JPと床が固着
床の破壊による掘り出し 切削機械の動作部が故障
床の破壊による掘り出し リノリウム材の著しい硬化
異常性を説明していないDクラスによる抜去 SCP-3399-JPと床が固着
SCP-3399-JPに帆を括り付け大型送風機で移動を促す ビルの脆弱性から、大型機械の設置による事故が懸念され立案段階で却下
台風19号の直撃に合わせ、SCP-3399-JPに帆を括り付け、窓を開放した上で自然風での移動を促す 屋外の風速が26m/sを超えたにもかかわらず、SCP-3399-JP周囲では2m/s以下を記録し続けた。なお、強風でビルが倒壊しなかったことへの異常性の関与については判断を保留
非破壊検査によりSCP-3399-JPの組成を分析、これに共鳴する音叉を作成し振動させる 共鳴による振動は起きず
精密温度計により熱振動を計測 計器は計測下限を記録した3
SCP-3399-JPを囲うように床に奇跡論的図形を描画、SCP-3399-JPの浮遊を試みる 描画が終わると同時にSCP-3399-JP表面が発光、インクが床から剥離する形で図形が抹消された
「あなたは地球の自転により常に動き続けています」という語り掛け 無反応

SCP-3399-JPが自身の移動を阻害する手法には一貫性が無く、上記を単一の異常法則で説明することは困難です。類似した広範な異常性を持つ既存オブジェクトを参考に、知性を有する可能性、現実改変の関与など様々な検討が行われたものの、現時点で全ての仮説が否定されています。現在、SCP-3399-JPの性質は単なる移動不能性ではなく、標準的な異常体系へ矛盾したモデルとして研究対象となっています。

SCP-3399-JPについての提言

2009/10/19
形式部門 遠賀

現在多くの部門がSCP-3399-JPの「異常な」異常性に注目し、競って実験を行っています。

しかし私達は、今後のいかなる実験もこれまでと同様の無為な結果―「〇〇によってはSCP-3399-JPは動かせなかった」―に終始すると考えています。私達は初めからこの結論に至っていた訳ではありませんが、これまで重ねられた数多くの結果は既に、「移動を阻む手法の多彩さはSCP-3399-JP異常性の本質ではない」ということを示唆するに十分です。

では本質とは何か? 私達の見解は以下です:

  • 移動試行がSCP-3399-JP異常性のトリガーであることは明白である。
  • これは現状唯一、異常性について明白な点である。
  • 故に我々は「異常性のトリガー」を土台に研究すべきであって、個別の事例はその付属物と見做すべきである

この提言には多くの反論が有り得るでしょう。しかし現に各部門はSCP-3399-JPについてなんら統一した見解を提出できておらず、4度目の追加予算申請は却下されました。

我々はやり尽くしました。それならば、「SCP-3399-JPは動かそうとすると動かない刀である」という定義へと立ち返るほかありません。

補遺1: 2009/11/4深夜、廃ビルに侵入した2名の男性により、SCP-3399-JPは抜去されました。調査の結果、男性らはインターネット上の怪談コミュニティ「南関東奇譚会」のメンバーであったことが判明しています。また当該コミュニティでは事案に先立ち下記の投稿が行われていました。

2009/11/3 3:14
前に豆腐さんと探検した廃屋、さっきGoogleマップで見たらなんか周りがキレイになってた あんなとこ整備するかなあ ふしぎ― ¥凸

2009/11/3 3:40
なんというか…そんなこともあるんじゃない? ビミョーなハナシ持ってくるねえ。再工事とかならもっとプレハブとか建つだろうし、近所の人が気まぐれで草刈りしただけでは。
あとサラッと印象操作してるな。ロビーだけ見てすごすご引き返したのは探検と言いますか?― ThoughT0fu

2009/11/3 3:44
ロビーだけ!? 1階は割と回ったじゃん! 階段がボロすぎて崩れそうだから止めとこうって、言い出したのは、確か、、、― ¥凸

2009/11/3 3:47
おっとケンカかあ!? おれは凸氏を支持するぜ! きな臭ぇ匂いがするし〜〜 ― ペデストリア

2009/11/3 4:08
横からすみません、木更津のとこですよね? 2階より上見てないって言ってたから気になってて、ちょうど一昨日行ってきたんです。ロビーは掃除されてるみたいでだいぶキレイでした。ただ、入ってすぐに後ろから警備員みたいなヒト来て帰されちゃいました……。― 光の猫飼い

2009/11/3 4:11
有益情報来たね どうだ豆腐氏!やっぱなんかやってんじゃん!― ¥凸

2009/11/3 4:23
君の手柄じゃない(ツッコミ待ちやめてね)。まあそれだと確かに不思議だね。工事もしてないのに掃除して警備雇ってるってことだし。― ThoughT0fu

2009/11/3 12:03
あそこはビルの裏まで地下通路があったはずだから、そっち経由なら猫飼い氏もイケてたかもね〜 ― ペデストリア

2009/11/3 12:08
地下通路…!! これはリベンジ行くでしょ! 今度こそ完全制覇目標で! ― ¥凸

2009/11/3 12:10
私も行けます。近いので。 ― 光の猫飼い

2009/11/3 12:12
僕もいいよ。― ThoughT0fu

2009/11/3 12:15
(豆腐さん、毎回誘ったら謎に二つ返事なんだよな 嬉しいけど) 深夜でもいいです? おれの生活リズム的に、、、― ¥凸

2009/11/3 12:17
まあ……雰囲気出るしいいけど。ねこさんは? ― ThoughT0fu

2009/11/3 12:18
3時くらいだと諸々イケそう感〜〜 ― ペデストリア

2009/11/3 12:25
寝落ちしないよう頑張ります❗―光の猫飼い

2009/11/3 12:27
じゃあ3時で…………… ―¥凸

2009/11/3 13:34
健闘を祈るぜ〜〜 ― ペデストリア

以下は監視カメラによる抜去時の記録です。

記録日時: 2009/11/4, 2:47 〜


[廃ビル直近の公道に設置された監視カメラ映像4]

[2:47] 灰色の自動車が路肩に停車する。乗車している小太りの男性(以降 男性1)は時折腕時計を見つつその場に留まる。

[3:13] 黄色の自動車が停車し、10代後半の痩せた男性(以降 男性2)が降車する。男性1は運転席の窓を開け、男性2と談笑する。男性2は徒歩で廃ビルへ向かおうとするが、男性1に引き止められる。 以降、2名は時折会話しつつその場で待機する。

[3:40] 数度のやり取りの後、男性2が廃ビルへ向かう。男性1は降車して後を追う。

[廃ビル2階の監視カメラ映像]

[3:43] 男性1、男性2が2階の窓から現れる。外壁に梯子を立て掛け直接2階へ侵入したものと思われる。この時点で常駐部隊及び研究チームへの自動信号が送信された5

[3:44] 2名がSCP-3399-JPの存在する部屋の扉を開け、SCP-3399-JPを発見し駆け寄る。数度のやり取りの後、男性2が片手でSCP-3399-JPの柄を握り、軽く引っぱる動作を行う。

[3:45] SCP-3399-JPが抜去される。男性らは慌てた様子である。常駐部隊が到着し声を掛けると、男性2は驚いてSCP-3399-JPを取り落とす。

[3:46] 常駐部隊は扉の前で動かない6

上記以降の経緯については、常駐部隊による映像記録が残されています。

記録日時: 2009/11/4, 3:46 〜


[研究チームが部隊の内線通信に参加、SCP-3399-JPの回収を指示する。隊員の1人は男性らにSCP-3399-JPを渡すよう指示すると共に室内に踏み入るが、SCP-3399-JPから約1mの地点で突如足元の床が消失、一階へ落下する]

男性2: は? [沈黙] えーっと……皆さん、ここの管理してる方? これ、大事なものですよね……? ごめんなさい、わざとじゃなくて、ちょっと引っ張ってみたっていうか……いやまあその、器物損壊とかになりますかね?

男性1: ……これを渡せば良いんですか?

[男性1がSCP-3399-JPを拾おうと屈むが、触れる直前で動きを止め当惑した素振りを見せる]

男性1: あれ? え……おい、触れない!見えない壁?みたいな……[男性2にSCP-3399-JPに近付くよう促す]

男性2: ……おわあ! 壁ってか、なんだ、低反発枕? ええ、すごーい!

[研究チームは男性らの制止を指示するが、部隊はその場を動かない。代わりに、隊員は男性らに現在の状況を教えるよう促す]

男性2: あー……。ほんと、ふざけてなくて。いや、分かるんですけど……ごめんなさい、ほんとに。

[隊員は男性らに改めてSCP-3399-JPの受け渡しを指示。また、部屋の入口まで来るよう伝える]

[男性らは狼狽した様子で動かない。隊員も動かず、以降膠着状態が続く]

[中略]

[4:28、女性が入室する7 ]

女性: すんません、めっちゃ寝てました! ……えっと、思ったより多いんですね?

[女性が抜去されたSCP-3399-JPに気付き、近付く]

女性: は? なんすかこれ……[SCP-3399-JPを拾い上げる] え、本物? ちょっと、どういうことですかホントに。

男性1: ……マジか。猫さん。それ、どうしよう?

女性: え。いや、通報でしょ普通に。

[女性が携帯を取り出し、警察に通報する8]

[研究チームが撤退を指示。部隊はこれに従い近隣のセーフハウスへ撤退した]

<記録終了>


補足: 記録後、訪れた警察により男性らと女性は連行され、SCP-3399-JPも回収されました。警察内のエージェントが男性らと女性に対し記憶処理を行いましたが、SCP-3399-JPの再回収には失敗しました。

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抜去されたSCP-3399-JP(千葉県警による撮影)

当事案は形式部門が提示した「異常性のトリガー」が単なる移動試行ではない可能性を示唆します。事案初期において男性らは「トリガー」を満たしていなかった為に抜去を行えたものの、常駐部隊の到着に前後し異常性の影響下となったと思われます。その後の数十分に渡る膠着は男性らと隊員の行動全てが「SCP-3399-JPの移送」を目的としていたが故の現象と考えられています。SCP-3399-JP再収容のため、形式部門を主導として当事案の検証が行われます。

SCP-3399-JPの収容について

2009/11/7
一般部門 花村

当オブジェクトに関し、一般部門はこれまで関与していません。唐突な横入りに違和感をお持ちの方もいらっしゃるでしょうが、まずはSCP-3399-JPに係る一般的な結論と事実を述べさせて頂きます。

初めに結論。SCP-3399-JPを財団が収容することは不可能です。

次に事実。SCP-3399-JPは現在千葉県警が保有しています。そして程なくして、近隣の博物館か美術館へと寄贈されるでしょう。

上記を確認の上、私達の提言は以下です:

  • SCP-3399-JPをオブジェクトクラスOgielに指定し、公共施設での保管とその監視を以て収容に代える。
  • 全部門に渡ってSCP-3399-JP異常性の研究を打ち切る。

なお、私達が当オブジェクトに関する質問に答えることはありません。ご容赦下さい。

一般部門の提言は当初重視されませんでしたが、SCP-3399-JPを巡る状況は上記に述べられた「事実」の通りに推移しました。議論は紛糾したものの9、提言は研究チームの過半数の賛成を以て受理され、現状のオブジェクトクラス及び特別収容プロトコルの制定に至りました。


13 Jul 2025 05:01 追記

塚本美術館の保有するSCP-3399-JPの刀身が破断しました。これは自然劣化によるものと見られています。財団は破断したSCP-3399-JPの回収に成功しました。所定の検証実験の後、SCP-3399-JPは適切なオブジェクトクラスに再割り当てされます。



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