アイテム番号: SCP-3420
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在SCP-3420が収容されている建造物は様々なダミー会社を介して購入され、有害な量のアスベストによる健康被害を引き起こし得るという警告が設けられています。この構造物を暫定サイト-531と見做し、ホスピスケアの訓練を受けた3名以上の人物が駐在します。暫定サイト-531に入場した全ての民間人はクラスC記憶処理を施して解放します。
SCP-3420-1個体群は栄養を必要としていません。全ての努力はSCP-3420-1個体群の快適な環境を維持し、SCP-3420を去ることを試みないことを確実にするために行われます。1時間当たり200mcgのフェンタニル投与(鼻腔への噴霧による)はSCP-3420-1個体群の治療に効果的であることが示されています。終了を求めるSCP-3420-1個体には、クラスC記憶処理、またはフェンタニルの投与量引き上げで対処します。
説明: SCP-3420は、かつてオハイオ州クリーヴランドのツインオーク・アパート420号室だった場所に位置する空間異常です。ドアを通る以外の手段で420号室に入る全ての試みは失敗します。窓からは、PoI-6870の居住空間が散らかった状態になっている様子と思われるものが見えます。室内の全ての物品は動かず、予想される劣化を示していません。
SCP-3420は14ヶ所の相互接続された部屋で構成されており、室内レイアウトは7時間37分おきに変化します。2つ以上の部屋の“間”に位置している物体は、このレイアウトの変化中に切断されます。各部屋ごとに1体のSCP-3420-1個体が存在します。
SCP-3420の各部屋は、一般的イメージにおけるスペイン異端審問時代のカトリック教会に属するような“拷問部屋”に類似します。SCP-3420の室内には、“苦悩の梨”などの歴史的に一度も使われなかった器具も含めて、様々な拷問具が用意されています。SCP-3420内にある全ての道具は部屋の境を越えて持ち出すと消失し、室内に再出現します。
SCP-3420-1は、連続的放電状態にある静電気の塊が大雑把に人間の形を取ったような姿のヒト型実体であり、恒久的に炎に包み込まれています。SCP-3420-1は固体であり、外見上の組成から予想される効果を一切示さないため、これは見た目だけの錯覚と考えられています。SCP-3420-1は、SCP-3420内に存在する器具類を自分自身に対して使用したいという限定的な強制衝動に駆られています — この強制力は説得で打ち消すことができます。SCP-3420-1実体群は発声することが可能であり、燃焼または感電に似た痛みを受け続けていることを伝えようとします。
事案3420-3: 16/5/5、SCP-3420-1-Gが自らの終了を要請しました。規定に従い、要求は無視されました。これはSCP-3420-1-Gに基準となる不快レベルを超えた激しい苦悩をもたらしました。フェンタニルによる苦痛緩和は有効であることに鑑み、当該実体をより収容が容易な状態にする試みとしてクラスC記憶処理が承認されました。この治療は有効的であり、同様のケースにクラスC記憶処理を用いる措置が承認されました。
回収ログ:
これは、最初にSCP-3420の存在が財団の注意を引くきっかけとなった911通報の転写である。通話主はPoI-6870(ジュード・クライヨット)であると考えられている。通話は15/3/3の4:34 AM、ツインオーク・アパートの外にある公衆電話から掛けられていた。
オペレーター: こちら、911緊急回線です。
PoI-6870: ヤバいことが起きてる。沢山の奴らが苦しんでるんだ。ホントにマジですまなかった。
オペレーター: どのような緊急事態ですか?
PoI-6870: あー、そうだな。これからちょっとアンタのほうで電話を切りたくなるような事を幾らか言うだろうけど、少しだけ我慢してもらえるか?
オペレーター: 分かりました。
PoI-6870: 世界的に、えー、有名な作家のスティーヴン・キングがかつて車に撥ねられたことは知ってたか? 俺の名前はジュード・クライヨット。頼む、切らないでくれ。警察がこの手のアレコレで助けになるか分からねぇんだ。 [30秒間の笑い声。] たぶん、畜生、たぶん誰だろうと助けにはならないだろうよ。
オペレーター: 貴方がいるのはどちらですか? お話が要領を得ていません。車に撥ねられたのですか?
PoI-6870: その方が良かったよ。俺たちはクールだったろAre we cool yet? ああ、クソが。用務員ども。あいつらがこれを暗号指定してるわけないな。クソ。畜生め。ミスターズ・アゲインスト・ウィード。ミスター・文字通りのシリアルキラーはデッドネイミングについてのジョークだったのさ、マジで楽しかった。
オペレーター: すみません、お話がよく分から— [ここからオペレータとの通信が遮断され、通話は財団AIのATLS-12によって引き継がれる。]
PoI-6870: 切るなっつってんだろ。もし俺が死にかけてたらどうする気だ?
[通話内容は正確と判定され、PoI-6870を鎮圧するために聴覚認識災害が回線上で再生される。これは財団エージェントの到着前に彼が現場を逃走するのを防ぐ試みだった。]
PoI-6870: 記憶処理が効かないのに、なんでそっちは効くと思った? ナメんなよ。 [咳き込む音、続けて電話の近くでライターを擦る音。] ある奴らがマジで苦しんでる夢を見てたんだ。悪夢を見てたって方が正確かな。夜驚とか言うやつ。俺は奴らに死んでもらいたくない。用務員さんよ、アンタたちはこういうのを殺したりしないだろ?
[40秒間の沈黙。]
PoI-6870: 俺も同じように言えたら良かったんだがな。鎮痛剤が効くはずだ。十分に人間らしく作り上げちまったから。 [咳き込む音] マジですまなかった。あれがホントにただの火災だったら良かったんだが。
[受信機の近くでライターを擦る音。咳き込む音。]
PoI-6870: 当時あれをやったのはな、俺なんだ。アンタたちはあれを火災だって言った。コスタス・ギャラリーでの展示会。倉庫での火災。当時そういう風に吹聴したのはアンタたちだろ? 14人。何処からともなくかかってきた電話。でもアンタたちには分かってた。
[致死的な音声認識災害が回線上に再生される。]
PoI-6870: 止めろ。俺が話してる時にそういうのは止めてくれ。彫刻師スカルプターが彫って、俺は燃やした。たまに、アンタたちがなんで俺みたいな連中を閉じ込めたがってるのか分かるよ。マジで分かっちまうんだ。
[PoI-6870が電話を切る。]
ページリビジョン: 4, 最終更新: 10 Jan 2021 16:57