対象者: アンセルマン研究員
パラメータ: SCP-3424はロッカーから動かされていない。アンセルマン研究員は指を弾いて瞬きする。SCP-3424-01の出現が報告される。
<記録開始>
アンセルマン研究員: あなたは前回のインタビューで家に帰りたいと言いましたね。家は何処ですか?
SCP-3424-01: 助かった! 聞いてよ、ねぇ、僕を外に—
アンセルマン研究員: 家は何処ですか?
SCP-3424-01: コルドバ! テキサス州のコルドバだ! 家に連れ戻してくれ、これは憲法違反だ! 僕には権利がある!
アンセルマン研究員: あなたのお兄さんについてですが—
SCP-3424-01: あんな奴知るか! アンタだって知るか! この箱から出せ!
アンセルマン研究員: いいでしょう。明日改めて—
SCP-3424-01: やめて、待って!
[アンセルマン研究員は無意識に瞬きしたため、再び指を弾いて瞬きする。]
SCP-3424-01: 行かないでくれ、頼む。兄ちゃんは芸術家だ。政治系のアートを手掛けてる。ラウル・H██████?
アンセルマン研究員: 私は聞いたことが無いですね。
SCP-3424-01: 胡散臭い奴らと付き合いがある。兄ちゃんは—
[アンセルマン研究員は無意識に瞬きしたため、再び指を弾いて瞬きする。]
SCP-3424-01: それ止めてくれよ!
アンセルマン研究員: 失礼しました、その—
SCP-3424-01: あのさ、お願いだから! 瞬きしないでくれ! [沈黙。SCP-3424-01は20秒間重苦しく息をしている。] そいつらはラウル兄ちゃんに、本気で声明を出したいならもっと目立つアートの作り方を教えてやるけど、それには人間が1人要るって話したんだ。兄ちゃんは、僕ならそういうデカい違いを作り出せるって言った。
アンセルマン研究員: それで、あなたは承諾したのですか?
SCP-3424-01: 勿論だよ、当たり前じゃないか。兄ちゃんだぞ。僕らがこのメッセージを出せば、兄ちゃんにとっても、僕にとっても、この国に住む全てのメキシカーノにとっても助けになるって話だった。
アンセルマン研究員: あなたのアートが伝えるメッセージというのは?
SCP-3424-01: 僕の家族は合衆国のあちこちで果物摘みをしてる。叔母さんも、伯父さんも、従兄弟も、兄弟も、暫く前から。僕らはそこを抜け出した。運が良かったんだ、父ちゃんはあまり訛りが無いし、ラウル兄ちゃんも大作を幾つか売った。でもそれは兄ちゃんを怒らせるばかりだった。兄ちゃんは茶色い肌の人種が果物を摘むのしか見たことが無かった。
アンセルマン研究員: すると、彼は—
SCP-3424-01: — もし僕らがただ果物摘みをするだけの奴らなら、人々に僕らを果物としてみせてやろう、って訳。
アンセルマン研究員: では、指を弾くのは?
SCP-3424-01: 他にどうやって召使いの注意を引く? [アンセルマン研究員は無意識に瞬きしたため、再び指を弾いて瞬きする。再出現したSCP-3424-01は顕著に悲し気な表情である。] 僕はさ、その、ゲリラアートになるはずだったんだよ。あいつらは… 財団には連れていかれるなよ、って僕らに忠告した。直接会えれば僕を元通りに戻せるけど、アンタたちに捕まったら辿り着きようがないからって。
アンセルマン研究員: 彼らは所属組織の名前を明かしましたか?
SCP-3424-01: 財団はもう知ってるはずだって言ってた。 [沈黙] 箱、ありがと。光があると気持ちいい。
アンセルマン研究員: どういたしまして。
SCP-3424-01: 家族に伝言を頼んでもいい?
アンセルマン研究員: 残念ですが、私にはその権限がありません。申し訳ない。
SCP-3424-01: オーケイ。大丈夫。箱も問題ない。 [沈黙] 誰も理解してくれなかった。メッセージ。アート。僕はもう10回も説明しなきゃいけなかった。じゃあ何の意味がある?
[アンセルマン研究員が瞬きする。彼は再度手順を実行しない。]
<記録終了>