SCP-3424-JP
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アイテム番号: SCP-3424-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 税務署内に潜入したエージェントによって、不正に大金を入手したと推測されている人物がリストアップされます。SCP-3424-JP研究チームは当該リスト内の人物の身辺調査を行い、SCP-3424-JPと接触したと推測される人物を特定します。当該人物に対してはインタビューの後に記憶処理を行い、人物が消失していた場合にはカバーストーリー「行方不明」及び「事故死」を適用し、周辺記録の改竄を行ってください。

SCP-3424-JP及びクライアントと言及される対象に対しての追跡調査がSCP-3424-JP研究チームによって行われます。

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SCP-3424-JP

説明: SCP-3424-JPはコーカソイド系のヒト(Homo sapiens)に外見的特徴が酷似している実体です。SCP-3424-JPはヒトと同程度の空間記憶能力、論理的思考能力、言語処理能力を持つと見受けられ、英語を用いて発話を行うことが可能です。現在財団が確認している全ての事例で、SCP-3424-JPはスーツ姿で革靴を身に着けています。

不定周期でSCP-3424-JPは任意のヒト1人(以下、対象)の周囲に出現します。出現は瞬間的なものだと推測されていますが、SCP-3424-JPは対象以外にヒトが周囲に存在していないかつ、映像機器によって記録されていない地点に出現することから、正確な出現方法は判明していません。

出現したSCP-3424-JPは対象に対して会話を試みます。多くの場合、SCP-3424-JPは対象の趣味等についての専門的な知識を伴った会話を行います。当初、対象はSCP-3424-JPに対して困惑や恐怖といった感情を抱きますが、次第に好意的なものへと変化する傾向が確認されています。このような変化がSCP-3424-JPの異常性によるものなのか、非異常性の反応であるのかについては判明していません。

対象がSCP-3424-JPに好意的な印象を抱いた時点で、SCP-3424-JPは対象に対して提案を行います。提案の内容は一貫しており、対象の所有する物体を金銭と交換することを要求します。提案される物品に一貫性は見られず、生物や非生物、高価や廉価、対象にとって重要か瑣末か等は様々です。この際、SCP-3424-JPは小規模の現実改変を行使し、紙幣や硬貨等を対象の前に出現させ、交渉を行います。当該紙幣は記番号より実際に国立印刷局によって作成され流通していたことが判明しており、位置不明の場所から転移してきたという仮説が立てられています。

対象がSCP-3424-JPとの会話を拒否する、任意の人物によってSCP-3424-JPに危害が及ぶ状況が作成される、SCP-3424-JP及び出現した貨幣にGPSの設置を試みる、対象以外の人物によって直接視認される、交渉が決裂するなどするとSCP-3424-JPは出現させた貨幣と共に消失します。しかしながら、SCP-3424-JPは以降も継続的に対象の周辺に出現し提案を行います。その際に提示する金額は徐々に増加していきます。

財団の確認している全ての事例で、最終的に対象は提案を受け入れます。提案を承諾後、SCP-3424-JPは出現させた貨幣等を残し、要求した物体と共に消失します。物体にGPS等の機器を取り付けて追跡する試みは、消失の際に当該機器を残して物体が消失するという結果に終わっています。対象が全ての事例で提案を承諾している事実について、SCP-3424-JPによって何らかの強制力が働いている、SCP-3424-JPは未来知覚が可能であり提案を承諾するヒトの周囲にのみ出現している、不明な人物につきまとわれたことによる心理的疲労を要因としている等の推測が行われています。

補遺: 20██/██/██、サイト-8133の人事管理官である鷹山博士のオフィスにてSCP-3424-JPが出現しました。鷹山博士はSCP-3424-JP研究チームに報告を行い、SCP-3424-JP研究チームはインタビューを行うことを指示しました。以下はオフィス内にて録画されたインタビュー記録の書き起こしです。

<ログ開始>

[重要度の低い部分を省略]

SCP-3424-JP: では、本題に移らせていだだきますね。羽鳥 修吾、あなた方はD-13424と呼んでいる男を譲っていただけませんか?勿論、対価はお支払いしましょう。あなたが望むのであればいくらでも。

鷹山博士: 私達のことをよく知ってるみたいだな。

SCP-3424-JP: ええ、交渉を行うお相手のことはしっかりと調べますので。

鷹山博士: いくつか質問をしてもいいか?

SCP-3424-JP: 勿論、良いですよ。それがあなた達の仕事なのも知ってます。答えられる範囲であれば喜んで答えましょう。

鷹山博士: そりゃあ結構。こちらとしてもやりやすくて助かる。早速だが、あんたの素性について教えてくれ。

SCP-3424-JP: 申し訳ないのですが、私の素性については明かせないのです。

鷹山博士: 名乗るのはビジネスマンの常識じゃないのか。

SCP-3424-JP: いいえ、このような取引において、それはあまり重要ではありません。

鷹山博士: ほう、じゃあ何が重要なんだ?

SCP-3424-JP: お金です。お金を積めば、大抵のことは叶いますから。

鷹山博士: じゃあ、そのお金とやらは何処から出てるんだ?我々が調査した分でも既に随分な金額が使われてるみたいじゃないか。

SCP-3424-JP: 勿論、クライアントからです。おっと、クライアントについては答えませんよ。クライアントはお金を沢山持っていて、欲しいものが出来たら私に交渉に行かせる。答えられるのはそれだけです。

鷹山博士: いや、クライアントってのがいると分かってただけでも十分だ。

SCP-3424-JP: それなら良かったです。他に質問はありますか?

鷹山博士: いや……今日のところはもう大丈夫そうだ。

SCP-3424-JP: そうですか。では、本題に戻りましょう。D-13424をお譲りいただけるのであれば……

[SCP-3424-JPが手を叩く。鷹山博士の前に紙幣の束が出現する]

SCP-3424-JP: ざっとこれくらい差し上げましょう。10億円くらいでしょうか。懐に納めるのも良し、組織の運営に使うのも良しですよ。

鷹山博士: 残念ながら難しいな……我々を知っているのであればそれぐらい分かるだろう?

SCP-3424-JP: そうですね。あなた方は私のような存在の要求に、はいそうですか、だなんて答えないでしょう。

鷹山博士: 重要な情報でも貰えれば考え直すかもしれないな。

SCP-3424-JP: いいえ、その必要はありません。先程も言ったでしょう、お金さえ積めば何でも出来ると。では、また明日。

[SCP-3424-JPが手を叩く。SCP-3424-JPと紙幣が消失する]

<ログ終了>

翌日、再度SCP-3424-JPは鷹山博士のオフィスに監視カメラの死角より出現しました。以下はその際に撮影された映像記録の書き起こしです。

<ログ開始>

[重要度の低い部分を省略]

SCP-3424-JP: では、昨日の条件では納得出来ないということですね。

鷹山博士: じゃあ、まず質問なんだが……

[SCP-3424-JPが手を叩く]

SCP-3424-JP: これで御満足いただけるでしょうか。

鷹山博士: どこに札束があるんだ?

SCP-3424-JP: 窓の外をご覧ください。

[窓を通して、50m程離れた場所に柱が建っているのが見える。柱は直径1m程、高さ100m程で金色。後の調査で金の延べ棒によって構成されていることが判明した]

SCP-3424-JP: そういえば、ここはある会社の研究施設ということになってるようですね。街からも近くて、通勤もしやすそうですね。

鷹山博士: ……何が言いたい。

SCP-3424-JP: 私以上にあなたはあなた達自身を知ってるのですから、分かるでしょう?……そうですね、一般人であれば会社の敷地に金色の柱があれば違和感を持つでしょう1。勿論、幕なんかで隠しても違和感は消せません。普通の人が気づかずとも、あなた方の競合相手は気づくでしょうね。相手方はあなた方をいつも血眼で探していますからね、何が起きるかは明白でしょう。

鷹山博士: ちょっと……考えさせてくれ。

SCP-3424-JP: ええ、お構いなく。ただ、私はその気になればもっとお金を積めることを忘れないでくださいね。

<ログ終了>

終了報告書: その後、サイト管理官を含めた職員間の協議によって、SCP-3424-JPの提案を承諾する事が決定しました。鷹山博士によって、提案を承諾する事及び金については受け取らない事がSCP-3424-JPに伝達され、SCP-3424-JP、金の延べ棒及びD-13424は消失しました。

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