アイテム番号: SCP-3427-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-3427-JPは焼却されました。
説明: SCP-3427-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。真桑氏は生前サイト-81██にてCクラス職員として勤務していました。
生前の真桑氏は自殺した同名の人物の異常性を持つ死体が複数発見された事象のため、財団による観察対象となっていました。なお、氏の職務への忠実さが評価されたことと、氏と当該事象との関連性が立証されていないことから、この件を根拠とする配置転換は行われず、自殺予防措置も業務に支障が出ない範囲まで緩和されていました。
真桑氏は自殺直前、SCiPNET上のSCP-3427-JPのスロットに「緊急 死ねなくなる前に死ね」と言う内容の文書を記録し、氏のクリアランスで伝達可能な全ての職員に同様の内容の通知を送信していたことが明らかになっています。その直後、氏の端末からミーム殺害エージェントへのアクセス及び自己増殖性の付与、その自動展開コードを含むメールの一斉送信およびインターネットを介した全世界への散布が試みられたため、クリアランスが緊急凍結されました。GPSにより割り出された現場に機動部隊が急行したところ、真桑氏の死体が発見されました。
死因は口腔から脳幹に達する銃創であると推定されています。手には財団支給の拳銃が握られ、現場からは空の薬莢が回収されました。銃創は盲端となっており貫通していませんでしたが、解剖では弾丸は発見されず、創の終極からは弾丸と同程度の体積に丸められた紙片が回収されました。これをもって死体は異常性を持つものと判断され、SCP-3427-JPに指定されました。紙片には真桑氏のものと一致する筆跡で以下の文章が記されていました。
初めに、収容対象となってもおかしくないはずだった私をその一員として認めてくださった財団職員各位へ感謝を述べさせてください。
今日までその恩に報いるべく勤務して参りました。これまでに何体の”真桑友梨佳”が収容されようとも、私自身の自殺を考えたことは一度もありませんでした。自分が最後の真桑友梨佳になったとしても、自殺をすることだけは財団を裏切ることになると考えていました。
しかし先程、およそ15分以内に自殺を含むあらゆる方法で人類の根絶を達成することが最善であるとの結論に至りました。残された時間でこの結論について説明/説得する試みは無謀ゆえに無意味であると判断しました。
“真桑友梨佳の自殺”が運命ならばせめて財団や世界に殉じるべきだ。そう考えて行動しましたが、そうはなりませんでした。
時間が来ます。これから起こることに私は耐えられません。許しを乞うことはしません。
私は失敗しました。
SCiPNETに最初の文書が記録されてから13分後、死体発見の4分前にΩK-クラス("死の終焉")シナリオが発生しました。真桑氏の行動から、氏が何らかの方法でΩK事象の発生を察知して報告したものと結論づけられました。事象を察知した方法は不明であり、真桑氏に予知に類する何らかの異常性が発現/影響していたと推測されました。
SCP-3427-JPはあらゆる検査で非異常の死体との差異を認められませんでした。真桑氏が自殺を選択したことからもΩK事象についての有益な情報を得られる可能性は低いと判断されました。対照実験に使用できる死体の調達が困難となった段階で追加の実験は凍結されNeutralizedへのクラス変更が行われました。
補遺: 真桑友梨佳氏への懲戒処分の申請は却下されました。真桑氏の行動が職務放棄にあたるとの糾弾を否定するものではありませんが、これ以上の死者の出現が見込まれない現状では死亡済み職員への処分は無益であると判断されました。これ以上の検討は行われません。
なお、自殺した真桑友梨佳氏の死体の発見報告は本件を最後に終了したものとみなされました。