SCP-3448初期テスト研究ノート
オーライ、研究ノートの最初のページだわ。公式なテストの間の私の考えをまとめて書いておく。だから、将来これを読む人(ええ、未来のエミリー、あなたのことよ)は、正式なレポートを代わりに読むべきね。
私達はこの物体はこれまでと同じように動作すると確信している。つまり、それぞれのパーツの動物テストはうまく行った。誰かをそこに放り込まずに得られるうちでは最大の確実性。
したがって、現在の計画はこれ — マイケルズを送って、彼に周りを見させる。彼に調査をさせて、この場所が何か、誰がそこにいるのかを見させる等々。そして、我々は死神に対する新しい知見を使って、どのようにそれを収容するかを立案する。究極的には私達は……私達は目的を果たす、となるんだと思う。結局の所、これはダマルング級モビーディックみたいなもの。それを殺せなかったところ以外はね。
マイケルズは数日前にSCP-3448を使う訓練を終えた。彼がどれくらい早く死んだ状態に慣れるか、つまり彼が私達と適切にコミュニケーションできるまでにどれくらいかかるかはかわからない。でも今が最高の機会。悪いことは起きるもので、私は彼を愛している、でも彼はもう死のうとしている。私達はただ彼を殺そうとしている。
D-クラスを使えなかったことは残念だけど、上層部は彼らが命令を聞かないだろうと判断している。終了を脅しとして使えるようなものじゃないから。
今日、部屋を引き払う準備をしているトニーに話をした。「そいつは俺を2度殺そうとしているようには見えないな」みたいなジョークを言っていたときに、どんな気分だったかを聞いた。その時彼は個人的な思い出の品の箱を私に渡した。財団のクリスマスギフト交換会のときに私が彼に渡したテディベアが入っていた。心の準備はどんなにしてもし足りないものだけど、彼は今までになく準備ができていたと思う。
テディベアは今私のオフィスに飾られている。
SCP-3448、1日目の映像化結果
<08:30 — 09:00> 強烈なフラッシュと瞬き。
<09:00 — 09:05> 荒れた海に似たイメージ。
<09:05 — 12:05> 強烈なフラッシュと瞬き。
<12:05 — 12:48> 前のイメージが3時間形成されたあと、数百の昆虫に囲まれた人型の姿が現れる。これは43分間続き、昆虫は散開する。相当に膨れた人の姿が地面に倒れる。
<12:48 — 18:48> 灰色の影。
<18:48 — 23:52> 08:30 — 09:00の映像から荒れた海に似た映像が現れる。しかし、水は12:05—12:48の映像の昆虫に置換されている。
SCP-3448、1日目の研究ノート
作動している。うまく行っていないようだけど、作動している。神よ、この仕事に志願したとき、トニーは何を考えていたのだろう?
私達は、死は進行するほどに悪くなるようだということを知っている。少なくとも、それを描写する記録によると。私達は、死体の保存は知覚の問題をいくらか減らすと考えたけど、私達が望んでいたようには働いていないと思う。でもまだ1日目だ。計画によると諦めて次の対象に移るまでに10日の猶予がある。
それに、ジャレドを別の部屋に連れて行く必要もあった。監視のシフト中に彼は床中に吐いた。彼を責める気は全く無いけれど、もっと早くトイレに行っていれば皆のためにもよかったのに。トニーがあんな映像を送ってくることはもうありませんように。
SCP-3448、2日目の映像化結果
<02:00 — 02:03> やせ衰えた男が砂漠に倒れている。背景の遠くにオアシスが見える。
<02:03 — 10:03> 空電。
<06:00 — 12:00> 胎児のようなポーズの男が固めた泥でできた部屋の隅に寝ている。様々な骨と根が壁から突き出ている。
<12:00 — 18:00> 昆虫の羽が壁から現れて羽ばたき始める。
SCP-3448、2日目の研究ノート
OK、彼は落ち着いたみたいね。完全には理性を取り戻していないけど、ある程度は。明日彼と話ができるか試してみる。話と言ったけど、実際には彼の脳波に何か意味のある方法で干渉できるかという程度ね。私はそれが動作するってわかっている。だけどそれが実際にはどんな風に感じられるかはわからない。実験ラットからのフィードバックから推測するのは難しい。
でももしテストがうまくいくなら、私達は何かを得ようとしている。多分私達は彼に探索をさせることになるのかしら?これが正しい言葉だとは思えないけど、あるいは正しいのかも。それがある場所なのか、精神のある状態なのか、他の何かなのかわからない。O5-4が私達に見せた記録では彼はまだここに、地球上にいるように見えた。ただあり得る中で最も恐ろしい方法で物事を体験している。この言い方でも、地獄の光景をより美的に描くようなものよ。
SCP-3448、3日目の映像化結果
<06:00 — 06:03> 1匹の芋虫が木の幹を登っている。
<08:03 — 08:13> 木の葉が風に吹かれている。風の向きは頻繁に変わり、木の葉は波打っているように見える。
<09:13 — 09:15> 06:00—06:03の映像の芋虫が08:03—08:13の映像の木の葉の一部を食べる。
<09:15 — 13:15> 様々な赤い影。
<13:15 — 13:15> やせ衰えた男が壁を殴る。
<15:15 — 15:29> 09:13—09:15の映像と同じシーンだが、芋虫が食べるのをやめ、木の葉がすべて同じサイズの手に置換されている。手は同様に風に吹かれて波打っている。風が止まるまで10分間同じ状態が続く、1つを残し全ての手がだらりと垂れ下がる。残った1つはOKをのサインをする。芋虫は自らを包み、蛹となり始める。
<19:29 — 21:03> 直前の映像の手は昆虫を追い払おうとして激しく動く。昆虫は既知の種とは似ていない。蜜蜂に似た針と、蜘蛛に似た足を持っている。芋虫は映像の続く間邪魔されず、完全に蛹になる。
SCP-3448、3日目の研究ノート
彼はついに意味が通るようになった。このことについては神に感謝する。意味が通る、という言葉は軽く使ったわ。つまり、彼は空間に浮かぶ意識が取りうる形態としてはこれまで最良と言っていい。彼は手を振り、「ハイ」と言った(感謝する)。だから、これはうまく行っている。
もう1つのニュースだけど、私はトニーの妹、ジョイスと話した。彼女はサイト-23の生物学分野で働いていたみたい。トニーの状態については勿論話さなかったけど、何とか昆虫の話に持っていくことはできた。トニーは一種の昆虫恐怖症があったみたいだけど、恐怖症と言ったら言い過ぎみたい。ちょっと驚く程度みたいな。
どっちにせよ、これでトニーの映像のある意味面白い解釈ができる。SCP-3448-1が虫だらけなのか、あるいは人が恐れる対象で満ちているのか、それともトニーがそれを解釈した結果なのか、私には判別できない。でも私は最後の可能性が高いと思う。どちらかと言えば信条からだけど。死とは、あなたがそうであると考えたものとなる、なんて詩的だわ。私の「詩」が正式なレポートに乗ることはないけど。
私だったら何を見るのかしら。
4日目、10:00-14:22の映像からの静止画像。人物や生垣はこの時点では見えない。
SCP-3448、4日目の映像化結果
<10:00 — 14:22> 男が庭を探索している。何を探しているのかは不明である。庭園は全方向へ無限に伸びており、男は広いヒナギクの生えた野原を探索している。行程の大部分で、男は両側に走る2つの生垣で区切られた道を歩いている。ある地点で男は立ち止まり、ヒナギクのひと塊を見つめ、そこへ向けて生垣を乗り越える。彼の足が地面に落ちる所で映像は終わる。
<14:22 — 17:22> 緑と紫色の様々な影。
<17:22 — 17:27> 10:00—14:22の映像の人物が地面の泥を避け、掘り出されたものを驚きと恐怖の表情で見つめる。男が見ているものはヒナギクで隠されて見えない。3分後、細い、皺だらけの手がフレームに入り、男の肩を叩く。
<17:27 — 18:27> 空電。
<18:27 — 18:39> 男は生垣の後ろ側に立っている。小さな少女が手で地面の一部を泥で覆っている。大量の昆虫の群れが少女の周囲にいる。彼女は満足してるように見え、昆虫に気づいているのかどうかはわからない。男の左手は刺されて膨らんでいるように見える。
<23:39 — 01:02> 男は庭園の中で、映像1で来た道を歩いて戻っている。左手は膨れたままだ。彼はチューリップを右手で運んでおり、歩きながらそれを見ている。他の人物は見えない。1時間8分後、男は突然肩越しに振り返り、肩をすくめて再び歩き出す。
SCP-3448、4日目の研究ノート:
今日探索が始まった。そして探索によりトニーはその場所が何なのかを私達にわからせる方法を積極的に探っているようだ。私は映像が実際の花や太陽の光だとは思わない。幸運にも、彼はこの時点でほぼ理性的に見える。しかしながら、彼のコミュニケーションは未だに私達が期待するよりも暗号的であると思える。彼が数日前にした行動の続きだと解釈したい。
私達にはあの少女が誰なのかわからない。彼女が何を象徴しているのかも。私達の多くは、彼女がこの「半死」状態に囚われた別の人物であると考えているが、確信はない。しかし私達が正しかった場合に備えて、上層部はいつもの連中(CI、SH、GOC等)に潜入し、彼らに先を越されないか確認する作戦を開始した。
トニーは私達の意図を十分よく理解していると思われるので、私達は彼にそのままその少女と接触し、報告させたいと思う。
SCP-3448、5日目の映像化結果:
<05:00 — 05:20> 空は灰色の雲で覆われている。雨は降っていない。
<05:20 — 10:20> 空電。
<10:20 — 10:30> テディベア、カラスのぬいぐるみ、少女が丸いテーブルについている。少女はテディベアとカラスに茶を薦めるが、両者とも反応しない。少女は構わず茶を注ぎ続ける。
<10:30 — 13:30> 黄色の暖かい影。
<13:30 — 14:16> 10:20—10:30の映像と同様だが、テディベアはティーカップをどのようにしてか保持しており、カラスはテディベアを向いている。少女は2体のぬいぐるみと会話しているように見えるが、反応はない。
<14:16 — 15:16> 明るい赤い影。
<15:16 — 15:38> 13:30—14:16の映像と同様だが、カラスは縫い目の所で分解し始めている。昆虫がひと縫いひと縫いの間を動き回っている。テディベアも少女も気づいた様子は見えない。
<15:38 — 16:38> 暗い赤と黒の間で点滅が見える。
<16:38 — 16:44> 1600時点で構成される。映像4と同様だが、テディベアの一部は昆虫に食べられている。少女は驚き狼狽したように見える。5分後、彼女はカラスのぬいぐるみを見るが、それは今や殆どが昆虫に覆われている。少女はティーカップをおいて去る。
<19:44 — 20:04> 男が部屋の隅で、胎児の姿に丸まっている。彼は前後に体を揺する。彼の身体は膨れており、小さな昆虫の噛み痕で覆われている。
SCP-3448、5日目の研究ノート:
グループの半数が不気味で不安な映像をどんどん不快に感じてきている。私はトニーがそれをどう感じているかを想像することしかできない。今日がどんなに大変だったかはわからないけど、私達は彼に回復するための休みを与えようとしている。明日は探索もインタビューもなし。
もう一つのニュースとして、今日あの少女について進展があった。彼女はトニーの妹のジョイスの8歳の頃の姿とほとんど同じ。問題は「ほとんど」というところ。トニーが当時のイメージを完全に正しく覚えていないということなのか、あるいはわずかに上がった頬骨と髪色に僅かに暗い茶色の影がある、トニーの妹に似ただけの別人なのか、私にはわからない。これがトニーの記憶にある妹なのか?ただとても似た子供が別にいるだけなのか?
率直に言うとこれらの詳細はすごく重要というわけでもない。明日の我々のトニーとの「会話」で、詳細は明らかになるだろう。
6日目の映像化結果:
<10:00 — 10:05> 男が泥の壁にもたれて座っている。植物の根と骨が壁や天井から突き出ている。彼は疲労しているように見え、汗をかいている。
<12:05 — 12:08> クエスチョンマークが1つ。
<13:08 — 13:14> 10:00—10:05の映像の男が小さな少女の人形と、カラスの人形を持っている。彼はそれらの人形を隣り合わせて設置する。少女の腕をカラスに、カラスの羽を少女に回す。
<14:14 — 14:14> 彼は肩をすくめる。
<23:00 — 23:13> 男は再び部屋の壁にもたれながら座っている。5分後、彼は頭部を突然カメラからそらす。彼は突然立ち上がり反対側から部屋を急いで出ていく。3分後、昆虫の群れが画面に入る。
<23:13 — 24:00> 白。
6日目の研究ノート:
クソ、 クソクソクソ。 彼はファックされた 畜生、トニー
ファック。
オーケー、オーケー、深呼吸よ。トニーは未来の私、ノートを気晴らしのために使うべきじゃない。幸いにしてこれは正式なレポートには含まれない。
とにかく、トニーは……ええ、彼は少女について何も調べられていない。少なくとも私達に伝えていない。彼女は虫達の仲間なのか?少なくともカラスとは仲間みたいね。あるいはまとめて同じ実体なのか?彼らが繋がっているのは確かだろう。
今、私達はトニーが帰ってくるのを待っている。幸いにして、ここにはコーヒーがある。
SCP-3448、7日目の映像化結果:
<16:00 — 16:43> 男がヒナギクの庭園を走っている。わずかに足が不自由に見え、一定の周期で肩越しに振り返る。
<16:43 — 19:07> 明るい赤と黒のフラッシュ。
SCP-3448、7日目の研究ノート:
そういうことだったのか。彼はただ……ただ走っている。
私達は彼を助ける方法を考えようとした。ジャレドは彼に虫除けスプレーを送ろうといい出した。冗談だというのはわかる。彼はストレスが掛かるといつもキツい冗談を言う。でももしかしたら意味があるかも。明日トニーに支援物資を送る方法を調べてみよう。
SCP-3448、8日目の映像化結果:
<02:00 — 02:43> 男が庭園を走り抜けている。30分後、何かを植えているように見える少女の所を通りかかる。男は彼女に呼びかける。少女は振り向く。彼女はもう1輪のヒナギクを植えている。男は少女のところへと走り、掴み上げる。少女は何かを言い始めるが、男が彼女を道へ引き戻し、走り始めたため言葉は止まる。新たに植えられたヒナギクにカメラは2分間合わせられ、ヒナギクは昆虫の群れに覆われる。
<02:43 — 10:56> 白。
SCP-3448、8日目の研究ノート:
OK、私達は何かがわかった。あそこについて少し。でもそれが私達のわかった全て。
トニーは半死状態にある、これはいいわよね?でもこれは通常の死後の世界ではない。これはもっと抽象的で、概念上の死の象徴にまつわって構築されている。だから、全ての「半死」状態のものがここに流れ着く、そうよね?ええ、死んだものもここへ流れ着く。でも私達はそれがどんな風に見えるかわからない。
でも、私には私がこれを書いていることすら信じられない。我々が物体を半分殺したととしたらどうかしら?OK、バカみたいな話に聞こえるわね。でも、トニーを助けるために何かを送りたいのよ。彼みたいにこの任務をやりたいと思ってるエージェントはもういないし、この場所の探索で全力を尽くせなかったら、私は自分を許せない。トニーに物体が届くか、あるいは動かない物体が向こうで本当に働くかはわからない。でも私達は藁を掴むしかない。
ジャレドが彼に何かを送るなら、何らかの身を守る道具を送るべきだと言った。残念だけど、私達は武器の類いは持っていない。だから私達は次善の物を送ることにした — ライターよ。虫は火が嫌いでしょう?あれは文字通りの虫じゃないかもしれないけど、火は一般的に物体に対して有効ってこと。どちらにせよテストとしては良い対象でしょう。
手順:
1. ライターを一部分解する。
2. ライターをSCP-3448に設置する。
3. SCP-3448を起動し、同時にライターの分解を完了する?(爆竹のようなものを使用する?あるいはマウストラップ?わからない、決めなくては)
神よ、ライターを殺す、なんて馬鹿みたいに聞こえる。でもクソ、やってみなくては。
9日目、17:31 - 17:54の映像からの静止画像。
SCP-3448、9日目の映像化結果:
<04:00 — 04:04> 0400時点で構成される。男がライターを片手に、もう片手で少女を引きながら庭園を走っている。走りながら、その道具を混乱して見る。4分後、彼はライターをポケットにしまう。
<10:04 — 10:29> 一般の人間サイズのテディベアが部屋のドアを背に座っている。壁は泥で作られており、骨と根が突き出ている。04:00 — 04:04の映像の少女が部屋の反対側で体育座りしている。少女は3分間体を前後に揺らしてから、テディベアへ歩み寄る。彼女はテディベアの脚を引きながら話し始める。少女は懇願するに従い急速に年をとっていく。テディベアは動かない。
<16:29 — 16:31> 男が庭園に立っている。彼は濃密な昆虫の群れに刺され/噛まれ続けている。少女は近くから彼に叫びかけている。昆虫の群れは少女を無視している。男は少女を見て、何かを叫び返し、ポケットに手を伸ばす。
<16:31 — 17:31> 赤い空電。
<17:31 — 17:54> 篝火。
<17:54 — 20:54> 灰色。
<20:54 — 23:54> 地面に倒れた男を、少女が尖らせた大腿骨で繰り返し刺突する。2人の周囲には焼けた昆虫の死体が散らばっている。
SCP-3448、9日目の研究ノート
ホーリーファック。
うまく行った。
そして彼は……ファック、私は実際何が起きたのかわからない。この1週間は誰かのアシッドのトリップを見せられているように感じられた。
OK、私達にはあの少女が何なのかいまだにわからないけど、トニーを刺しているということは彼女は敵ということ。つまりは私達は何かをしなくてはならない。私は要請してここへ拳銃を届けさせた。ライターと同じ手順を行う。
SCP-3448、10日目の映像化結果
<01:54 — 03:01> 老婆が地面に倒れた男を大腿骨で殴っている。2人の周囲には焼けた昆虫の死体が散らばっているが、一部は動いている。
<03:01 — 04:01> 小さな少女が男に跨がり、腕を宙にあげている。男は拳銃で彼女を狙っている、2人はテディベアに囲まれており、その全てが少女を見ている。
<04:01 — 04:03> すべての葉が手に置換された木の枝に繭がある。繭は割れ、蛾が出てくる。
<05:00 — 05:02> 03:01 — 04:01の映像と同様だが、テディベアは全員火のついたライターを握っており、庭園は全面炎に包まれている。弾丸が拳銃と少女の頭部の中間に見える。
<05:02 — 06:00> 明るい赤。
<06:00 — 06:00> 前の映像と同様だが、花は鎖に置換されており、それらも燃えている。少女は骸骨に置換されているが、髪の毛は残っている。男は更にやせ衰えており、こちらも骸骨に似ている。一本の鎖が男と少女の骸骨の周りで巻いていく。テディベアは闇から見ている。
<06:00 — 07:00> 暗い赤。
<07:00 — 07:02> 弾丸が少女の頭部を貫通する。
<07:02 — 13:02> 空電。
<13:02 — 13:16> 男が庭園の中に立っている。画面に映る全ての花は咲いている。昆虫の死骸が空から降っている。少女はもはや存在していない。ぬいぐるみのカラスがトニーの隣に倒れており、頭部には銃弾のサイズの穴が空いている。30分後、画面の下部に「ハイキングを楽しんでくれ、パパ。」という文字が表示される。
SCP-3448、10日目の研究ノート
ああ、ファック。
何という、全く、ただ
クソ。
2回連続でうまく行った実験で、こんなに苦しい気持ちになることがあるなんて、思ってもみなかった。
だけどまだ彼は — 彼は彼女を撃った。勿論そうするだろうと考えて、私達は彼に銃を送った。でも信じられない。こんな事が起きるなんて、私は本当には信じていなかったのだ。考えてみれば、他に何が起きたというのか?だけどこれはただ……ファック。
そして、5分後に電話が着信し始めた。最初はジョイスからで、彼女の父が死んでいないということだった。私は彼女に、家族に、トニーに関係あるかもしれない何かおかしなことが起こり始めたら連絡するように言ってあったのだ。だけどそれは落ち着いて、理解しやすいような電話じゃなかった。彼女はただとても興奮して、 パニックして、 夢中で、 恐れて、私にわかるわけがないわ。
その後でO5-4からの電話があった。この小さなプロジェクトについて知っている唯一のO5評議会メンバー。予算やあらゆるものにサインした。彼はチームの成功についておめでとうと言い、それから全てを燃やすように言った。多分そのときに、実感が湧いてきた。それは最初から明らかになっていたはずだった。それは私達の契約に書いてあった。それは最初の日に私達が語ったことだった。「このプロジェクトの目的はひとつ — 死として知られる、ダマルング級認識災害の収容。」
私達はそれを為したの?違う、私達は本当にはそれをしていない。ここ何年ものデータの理論化と分析、異常な埋葬サイトの徹底調査、MTFの作戦からの引用。そしてついに、私達は死神と対面した。そして私達は何をするのか?私達は彼を彼女を撃った。今私達にあるのは安らかに眠れ、と書いた墓標だけ。安らかに眠っている。
私達は台無しにした。
私達は死を収容したのではない。
私達はそれを無力化したのだ。