以下はリベラ次席研究員による実験記録の簡略版です。完全版の文書は、要請に応じてサイト管理官█████████から入手することができます。
日付: 2017/04/04
概要: SCP-3450初期実験
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1匹の美いユニコーンが茂みの後ろから飛び出した! ハハハ、デデデは言った、貴様に我がナンバーワンの子分、魔法のユニコーンプリンセスのシュガーコートは倒せまい! ユニコーンはカービィにキャンディ魔法のビームを撃ったけどまだ少し体力が残ってて死ななかったからキャンディに変わらなかった。するといきなりカービィはシュガーコートに走っていって吸い込んでしまった! カービィは彼女を飲みこんでデデデにキャンディレーザーを撃ち始めた。うわあああ、デデデは言って逃げたけどレーザーが当たってグミデデデに変わってしまった。カービィはグミデデデを食べてすごくおいしいと思った。
備考欄:
SCP-3450でシュガーコートが発揮した能力は、私が覚えている限り、本来の文書で示された能力と一致しているように思われる。現時点ではこの小説の文芸作品としての質が先天的な物か、或いは私が — 幾つだろう、7歳? 8歳? とにかく、当時の私の文体を模倣しようとしているのかは不明確である。
私はこれから子供時代の恥 作品をもっと掘り返すのではなく、SCP-3450の異常性の限界をテストするための特別設計の下に、新たなキャラクターたちを執筆しようと考えている。今後はSCP-3450の各実験に先立って、前記キャラクターを主人公とする短編小説1編の構成を行う。
話は逸れるが、これは私が財団研究者として初めて公式に配属されたオブジェクトだ! 長い道のりの第一歩であることを願う。
日付: 2017/04/05
概要: SCP-3450の自己認識能力に関する実験
創作されたキャラクター: ジェニファー・ハーウェル、29歳の作家。極めてメタフィクション的な物語の主人公であり、自身が架空の存在であるという自覚を持っている。自身の存在を構成しているテキストとの直接交流によって現実を修正することが可能であると記述されている。
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1人の女が茂みの後ろから飛び出した! ハハハ、デデデは言った、貴様に我がナンバーワンの子分、ジェニファー・ハーウェルは倒せまい! ジェニファーは鉛筆を取り出してこのお話に「カービィは岩につまずいて怪我をした」と書いた。いきなりカービィは岩につまずいて怪我をした! ジェニファーは笑ったけれど、彼女が笑っている間にカービィは走っていって吸い込んでしまった! 彼女を飲みこんだ後、カービィは文字が自分の周りにいっぱいあることに気付いた! カービィは俺が岩につまずいて怪我をしたって言った所を消すて、「カービィはマキシムトマトを食べて元気になった」と書いた。そしてカービィは俺が2行目でデデデの話をしたすぐ後に「死んだ」と書いたからもうデデデは死んでいてカービィは勝った。
備考欄:
SCP-3450は明らかに創作物としての自らの性質を認識できている。加えて、文体はキャラクターの原資料とは独立しているようだ。
日付: 2017/04/06
概要: SCP-3450の知性に関する実験
創作されたキャラクター: サイード・カーン博士、62歳の物理学者。極めて経歴過多なコーネル大学の教授であり、粒子物理現象学を専門とするノーベル賞の受賞者。原資料においては、量子重力の現代的発展を大学院レベルに要約した38ページ分の独白を行っている。
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1人の男が茂みの後ろから飛び出した! ハハハ、デデデは言った、貴様に我がナンバーワンの子分、サイード・カーンは倒せまい! 男は黒板を取り出して方程式を書き始めた。とっても科学的なことがいっぱいで、いきなりカービィは頭が痛くなってきた! でもカービィは目を閉じてカーン博士を吸い込んだ。彼を飲みこんだ後、カービィはスーパースマートな科学的な脳を手に入れた! カービィは“プロトン”みたいな大きな物理学の言葉を言って粒子ビームを撃った! ビームはデデデに当たってボスを倒した。
備考欄:
どうして違う結果が出ると予想したのか自分でもよく分からない。
[不必要な実験を省略]
日付: 2017/04/20
概要: SCP-3450の更なる実験
創作されたキャラクター: サーモダイナミックマン、31歳のスーパーヒーロー。約350キロワットの力で近隣の物体に熱を加える/除去することが可能である。
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1人のマントを着た男が茂みの後ろから飛び出した! ハハハ、デデデは言った、貴様に我がナンバーワンの子分、サーモダイナミックマンは倒せまい! マント男が腕を伸ばすと、いきなりカービィの温度が上がり始めた! カービィは横にジャンプして男の射程から出ると、彼を吸い込んで胃袋に入れてしまった。そしてカービィは彼を飲みこむと、彼の熱パワーをデデデに使い始めたけれど、デデデは冷やすために川に飛び込んだ! だからカービィは水を凍るまで冷やしてから凍ったデデデをスーパーチャージ攻撃で倒してステージをクリアした。
備考欄:
更なる検査でも、私たちがまだ知らないことは何も得られなかった。戦って、食べられて、コピーされて、お終い。私たちが有意義な実験を使い果たしたか、或いは作家としての私がまずい行き詰まりに入ったかだ。これについて判断を下すのは、次回の実験で何を登場させるかを考えてからにしよう。
日付: 2017/04/21
概要: SCP-3450の更なる実験
創作されたキャラクター: コールグル、北方の荒れ地からやって来たオーク族の狂戦士。
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1体の大きな緑色のオークが茂みの後ろから飛び出した! ハハハ、デデデは言った、貴様に我がナンバーワンの子分、狂戦士コールグルは倒せまい! オークは重そうな斧をカービィに向かって振り回し、カービィは間一髪で攻撃をかわした。コールグルは何度も何度も振り回したけど、カービィは毎回ジャンプで避けた。いきなり、カービィは突破口を見つけた! カービィはオークを吸い込むと、飲みこんで彼の斧パワーを手に入れた。カービィは斧をデデデに向かって振り回し、デデデはカービィがやったように避けようとしたけど、余りにも遅かったし太り過ぎていた! デデデは大ダメージを受けて倒れて死んだ。
備考欄:
またしても不発。この物語は私を追い込み始めているようだ — 他の配属先でも、私は以前ほどには貢献できなくなっているらしい。まだ事実とデータをしっかり処理することはできるが、水平思考が難しくなっている。少しの間休憩して、心の元気を取り戻そう。きっと、この不愉快な二次創作のための有用な実験をもう一つ考え出すには十分な時間だろう。
日付: 2017/05/08
概要: SCP-3450の更なる実験
創作されたキャラクター: ラリー・プロッター、11歳の見習い魔法使い。
SCP-3450からの抜粋:
いきなり、1人の少年が茂みの後ろから飛び出した! 「ハハハ、」デデデは言った、「貴様に我がナンバーワンの子分、ラリー・プロッターは倒せまい!」男の子は呪文を叫んで、魔法のビームが杖から真っ直ぐカービィに発射された。魔法が当たると、いきなりカービィはすごくめまいがしてきた! カービィはラリーを吸い込もうとしたけど、間違えて代わりに岩を吸い込んでしまった。カービィは振り返って岩をラリーに吐き出し、ラリーがフラフラしている間にバランスを取り戻して魔法使いを吸い込んだ。飲みこんだ後、カービィはデデデに魔法をかけて無害なカエルに変えてしまった。
備考欄:
ラリー・プロッター。新しいキャラを考えるのに2週間費やして、思いついたのはラリーパクりプロッターだけだ。
私は一体どうしたんだ? もうこれが単なるスランプだとは思えない。むしろもっと… スランプの種が残っていないかのようだ。この物語が私の考え付くべきものを全て、何もかも残らなくなるまで吸い尽くしているように。私は書くことも、働くことも、考えることもできない。私のオリジナリティが滑り落ちていくのを見守ること以外には何もできない。
このクソ忌々しい物語にはもううんざりだ。このクソ忌々しいピンク玉野郎にも、このクソ忌々しいペンギンもどきにも、このクソ忌々しい一行ごとに出て来る“いきなり”にもうんざりだ。もう一回だけ頑張ってみよう、それでも結果が出なければ… どうしようか。
日付: 2017/05/09
概要: 実験の失敗
創作されたキャラクター: N/A
SCP-3450からの抜粋: N/A
備考欄:
できなかった。
徹夜して何か新しい物を作ろうとしたけれど、無駄だった。今日、仕事について、SCP-3450を開き、第一章の先にスクロールしていくと、そこで完結していた。何も無かった。まるで
まるで
畜生。もう比喩さえ思いつかなくなったのか。
私はこれからどうすればいいんだ。