アイテム番号: SCP-3463-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在SCP-3463-JPの効果的な収容手順は確立されていません。日本国内に存在する仏教関連の寺院及び施設は継続的に監視されます。並行して日本国内に残存する僧侶職の人物に関する素行調査を行い、要注意と判断された人物については特に監視が強化されます。SCP-3463-JPが発生した場合、担当職員はただちに現場に急行し、目撃者及び関係者に適宜記憶処理及びカバーストーリーの流布等を実施してください。被害を受けた僧侶については、適切な治療やインタビュー等を行ったのちに記憶処理を適応してください。
説明: SCP-3463-JPは、日本国内において僧侶の職に就いている人物(以下、対象)に対して不定の確率で発生する異常現象です。現在SCP-3463-JPの対象には、以下の条件を満たす人物が選出される傾向にあることが判明しています。
- 仏教的な戒律を意識的に無視する行為、過度な贅沢等、僧侶として不適切な行為を日常的に行っている。
- 自身よりも下の階位の僧侶や仏教とは関係ない一般人に対して日常的に見下す態度を取っている。
- 犯罪、汚職、暴力行為等の法律に違反した行為に加担している。
- 権威または金銭に固執する傾向がある。
- 僧侶でありながら、仏教の教義または論説に不信感がある。
上記の条件に一つないし複数合致する対象には、SCP-3463-JPが発生する確率が高くなります。
SCP-3463-JPが発生した場合、対象の周囲50m以内に突如として巨大なハス(Nelumbo nucifera)の花(SCP-3463-JP-Aと指定)が出現します。SCP-3463-JP-Aの出現は、目撃した人物の証言によれば”その場から当然生えたような”と表現されます。SCP-3463-JP-Aの花弁上には、古典的な如来像に類似した人型実体(SCP-3463-JP-Bと指定)が鎮座した状態で出現します。SCP-3463-JP-BはSCP-3463-JP-Aから対象へと急速に接近し、直接的な暴行に及びます。対象への攻撃方法、攻撃部位、攻撃の度合い等は対象によって異なりますが、多くの場合、対象はSCP-3463-JP-Bに攻撃された箇所に出血や骨折等の重軽度のダメージを負います。なお、SCP-3463-JP発生中、対象及び周囲の人物は全身が硬直状態に陥り、行動不能になります。SCP-3463-JP発生中に行動できた人物については現時点まで確認されていません。
SCP-3463-JP-Bは対象に一定のダメージを与えると、瞬時にSCP-3463-JP-Aの花弁上へと転移し、SCP-3463-JP-Aとともに消失します。それと同時に対象及び周囲の人物は行動可能になり、SCP-3463-JPは終了します。
対象がSCP-3463-JP-Bより受けた負傷等は問題なく治癒しますが、負傷箇所には日本における漢字のように見える不自然な痣が残存し続けることが確認されています。この痣を除去する試みはいずれも成功していません。また、SCP-3463-JP発生後から対象は鬱病等の精神的疾患の兆候を示すようになります。対象によっては、仏像及び仏典に対して重軽度の忌避感や恐怖心が発生することが確認されています。それらの結果として、確認されているすべての対象は辞職または転職しています。これがSCP-3463-JPの精神影響によるものか、恐怖心に起因する対象の正常な心理反応であるかは不明です。
事例記録3463-JP: 以下は過去発生したSCP-3463-JPの記録の抜粋です。
1999/02/18
対象: ██氏(本名████氏)、浄土宗██寺の住職
素行: 周辺住民の証言から、高価な腕時計の着用や海外製のスポーツカーへの頻繁な乗車から贅沢をしている印象を持たれていたことが判明している。
状況: 自宅の駐車場にて発生。SCP-3463-JP-Bは対象の両手両足を激しく殴打した。結果として対象は両手両足の骨をそれぞれ骨折し、全治6ケ月の負傷を負った。
痣の形状: 右腕に”貪”、左腕に”利養”、右脚に”執着”、左脚に”自慢”と読める痣の形成が確認された。
2003/07/30
対象: ██氏(本名████氏)、天台宗███寺の修行僧
素行: 日常的に修行を怠る傾向にあり、学問等にも不真面目であったと評価されている。また、仏教の教義や他僧侶の説教について嘲るような言動を頻繁に行っていたことが確認されている。
状況: ███寺の裏手にて発生。SCP-3463-JP-Bは対象を押し倒して馬乗りになり、対象の両頬を交互に殴打した。終了後、対象は合計11本の歯を失った。
痣の形状: 右頬に”不信”及び”放逸”、左頬に”悪見”及び”邪見”等と読める複数の痣の形成が確認された。
2005/12/01
対象: ██氏(本名█████氏)、臨済宗██寺の住職、国立██大学の教員
素行: 対象は仏教学の権威として知られていたが、教員として在籍する大学内の学生が、対象の過去の論文における仏典の解釈を「誤りである」として論理的に反証した論文を提出したため、対象は当該学生に過剰な嫌がらせを行っていたと報告されている。
状況: 講義室内で発生。SCP-3463-JP-Bは対象の頭部に対して複数回の頭突きを行った。対象が昏倒した段階でSCP-3463-JPは終了。対象は脳内出血により重篤な状態に陥り、一命は取り留めたが後遺症として半身不随となった。
痣の形状: 頭部に”嫉”、”不正智”、”邪慢”、”悪口”、”見取見”等と読める複数の痣の形跡が確認された。
2007/10/25
対象: ██氏(本名███氏)、真言宗██寺の僧侶
素行: 当時██寺内では、対象は高僧として扱われていたが、対象の身近な人物の証言では、対象は同寺院内の尼僧等に対して頻繁に性的暴力行為に及んでいたことが報告されている。
状況: ██寺内にて発生。SCP-3463-JP-Bは対象を押し倒し、股間部を執拗に踏みつけた。大量の失血により対象が意識が混濁した段階で、SCP-3463-JPは終了。その後病院に運ばれた対象は一時重篤な状態に陥ったが、一命を取り留めた。
痣の形状: 男性器が損失した箇所に”害”、さらにSCP-3463-JP-Bから攻撃を受けていない箇所にも関わらず、右臀部に”驕”、左脇腹に”無慚”、左足裏に”掉挙”、右掌に”戒禁取見”、胸部中央に”邪淫”等と読める複数の痣の形成が確認された。
2010/04/04~2010/04/06
対象: 柳林幸雲氏(本名橋本太一郎氏)、宗教法人『導きの仏花』の創設者
素行: 対象は元々日蓮宗の僧侶だったが、修行に対する不真面目さ等の複数の理由により破門。その後、宗教法人『導きの仏花』を創設。信者家族や法律関係者等の複数の人物の殺害に関与した。2010/04/04、警察組織による捜査を受け、対象は逃亡。その最中にSCP-3463-JPが発生。当時対象は僧侶ではなかったが、なぜ例外的にSCP-3463-JPが発生したかは現在まで不明。
状況: ██地区の生活路にて発生。SCP-3463-JP-Bは対象の頭部の毛髪を掴み、SCP-3463-JP-Aへと引き摺っていき、花弁上に対象を乗らせると、それらとともにSCP-3463-JP-Bは消失した。
2010/04/06、対象は消失した現場から約1km離れた地点の山林にて発見された。重度の打撲と火傷を全身に負っており、”殺生”と読める痣が全身を覆うようにいくつも形成されていることが確認された。また、右腕部及び左脚部の欠損、失明等も確認された。対象は明らかに重体であったが、不明な原理により生命活動を維持していた。対象はただちに病院へと搬送されたが、自ら舌を噛み、その出血により死亡した。2010/04/04~2010/04/06の間、対象がどこに転移していたかは現在まで不明。
痣の形状: 上述。
補遺: 2013/11/27、サイト-81██に在籍する和光研究員から不審なイエイヌ(Canis lupus familiaris)個体の報告がなされました。和光研究員は元々自宅にて雌のボーダーコリーを飼育しており、そのボーダーコリーが出産し、複数のボーダーコリーの幼体が誕生しました。その中の1体に特異な点が多数みられたため、和光研究員は財団に報告しました。当該個体には以下の特徴がみられました。
- 右前脚及び左後脚の欠損。
- 失明。
- 燃やされたような縮れた体毛。
- 舌部にヒト(Homo sapiens)の歯型と一致する噛み跡のような傷。
- 全身の体毛下の皮膚部に形成された、いくつもの”殺生”と読める形状の痣。
これらの特徴が2010/04/06に死亡した橋本太一郎氏の死亡直前の状態と類似していることから、SCP-3463-JPとの関連が疑われています。母体や他のボーダーコリーの個体には特異な点は確認されていません。
また、和光研究員のデスク上に、以下の記述がなされた由来不明の紙片の出現が確認されました。
穢土内組織SCP財団への伝達
魂: 一〇〇八那由他五六七四阿僧祇一一二五恒河沙八九八九極〇九七二載七七七四正〇一八九澗二〇二八溝九九七六穣〇三二一杼六四五一垓二一二〇京六一二九兆五五二三億〇九九三万五〇六四番
悪業: 殺生、偸盗、妄語、綺語、両舌、貪欲、瞋恚、邪見、謗法
措置: 破門、因果の報い 悪業の清算: 不十分 残りの清算方法: 悪趣巡回
予定期間: 畜生八年 餓鬼六千万年 地獄九百兆七億年
補足: 悪業の清算が完了次第、当該魂を善趣に輪廻させるか否か検討。心配不要。浄土建立寺院 日本別院 輪廻管轄支院
この紙片の出現以降、特筆すべき現象は確認されていません。
当該個体はサイト-81██にて保護し、経過を観察する見込みです。









