アイテム番号: SCP-347-FR
脅威レベル: 黄 ●
オブジェクトクラス: Safe/Uncontained
特別収容プロトコル: 現在、SCP-347-FRの所在は不明なため、フィリーガン博士による監督の下オブジェクトの所在を特定するための調査が開始されました。機動部隊ファイ-16(”割れた甕”)はオブジェクトの回収作業に備え、随時カバーストーリーを作成してください。影響を受けた”A”ステッカーは、サイト-Kibianの南棟にある安全ロッカーに収容されます。SCP-347-FRに関する実験は、さらなる通知がなされるまで中断されています。
説明: SCP-347-FRは若年運転者のための”A”ステッカーです。SCP-347-FRを四輪車に貼り付けると、ヒト型実体(SCP-347-FR-1に指定される)が車両の助手席に出現します。Dクラス職員を対象とした後の調査により、この実体は、過去に自動車事故で死亡した、車両の所有者の知人の外見をとることが明らかになりました。車両の所有者がそのような状況で死亡した人物を全く知らなかった場合、SCP-347-FR-1は身元の識別が不可能なほど腐敗の進んだ死体のように見えます。SCP-347-FR-1は車両の外側からしか見えないことに注意してください。SCP-347-FR-1の姿を写真に収めることはできますが、車両の最新の所有者は写真やビデオ上ではアングルに関わらず実体を見ることができないようです。
助手席に座らせようとするあらゆる試みは失敗に終わり、被験者は開いたドアの前で立ち止まり動作にとりかかることができないと報告します。影響を受けた被験者は催眠に近い状態にあるようです。
SCP-347-FRが貼り付けられた車両を運転することは可能ですが、ドライバーが運転ミスや現地の交通規則に違反した場合、様々な機能不全が発生し、運転がより困難になります。ドライバーがさらに違反を犯した場合は、さらなる機能不全が発生します。約93%のケースで、これらの機能不全は事故を引き起こします。同乗者の中で犠牲者となるのは常に一人であり、彼らが生き残った場合は長期的な心的外傷を示し、自動車に乗ることを拒むようになります。例え心的な後遺症を残すことがなかったとしても、この効果は過去既に自動車事故に巻き込まれたことがある被験者らに対しては同様に現れます。100%のケースで、車両は損傷により使用できなくなります。
事故後、”A”ステッカーはもはや異常性を保持していません。SCP-347-FRの異常性はその後最も近いステッカーへと移されます。現在までに、SCP-347-FRの効果が同じステッカーに2回以上現れたことはありません。
SCP-347-FRの存在は、いくつかの自動車事故の間の関連性が明らかになった際に財団に認知されました。事故の目撃者には、事故前の車内にいた人物が実際に巻き込まれた人数より1人多かったと報告する者がいる一方で、車内に骸骨を見たと報告する者もいましたが、事故後の調査で発見されることはありませんでした。調査によって、車両の残骸のいくつかが財団に回収されましたが、それらのどれも異常性を示すことはありませんでした。
SCP-347-FRの影響を受けた車両を捜索していた際のSCP-347-FR-1
SCP-347-FRは、警察が█████メーカーの車両に死体を同伴させている運転手についての通報の電話を████████から受けた際に発見されました。事故による損傷のない車両が押収されました。異常の原因についての調査では、死体が車両の外側から見えなくなってから”A”ステッカーが剥がされるまでに3日を要しました。
実験目的でエージェント・████のサービスカーにステッカーを貼り付けたところ、2013年に玉突き事故で亡くなった叔母であると後に特定された女性が、実験中助手席にいた職員のもとに出現しました。エージェント・████は何も見えないと申告しました。この実験で、ステッカーがSCP-347-FR-1の出現の原因であることが確認できました。
文書 JE-347-FR :
以下は、関連性が特に高いと判断された実験レポートです。
実験レポート347-A
日付: 2020/7/13
被験者: D-3567
手順: SCP-347-FRを自動車に貼り付けます。D-3567を乗車させ、車両のGPSにプログラムされたルートを辿るように指示しました。D-3567は運転免許を所持していません。
結果: 被験者は車両の発進を何度か試みたものの、イグニッションキーを回すことができませんでした。エージェント・████もキーを回すことを試みましたが、D-3567が運転席に座っている限りキーを回すことはできませんでした。被験者が車両から降りるように指示され降りたところ、正常に始動しました。しかし被験者が再び運転席に座ると、イグニッションキーは自動的に回り、エンジンが切られました。
(注記:この結果は、運転免許を持たない他の全ての被験者でも得られました。)
実験レポート347-B
日付: 2020/7/14
被験者: D-9325
手順: SCP-347-FRを自動車に貼り付けます。D-9325を乗車させ、車両のGPSにプログラムされたルートを辿るように指示しました。被験者は、エージェント・クリフォードとエージェント・ドレイクによって、前後に最小10mの距離で護衛されます。被験者はハンズフリーキットを使用してモリーナ博士と通信します。
<記録開始>
モリーナ博士: 乗車し、イグニッションをオンにして、GPSで示されたルートを辿ってください。あなたは護衛の下で走行します。逃亡を試みるようなことがあれば、あなたは終了されます。
被験者は車両に近づき、突如静止する。
D-9325: おい、あんたの車に死体があるぞ!
モリーナ博士: 気にしないでください。乗車してください。
D-9325: こいつ誰だ?ずっとあそこにいんのか?いやマジで、絶対臭いだろあそこ。
モリーナ博士: 何もありません。それはただの幻にすぎません。車内に入ってください。
D-9325: かなりリアルに見えるが……ああ……大丈夫だ。(呼吸音)よし、入るよ。
被験者は運転席のドアを開ける。
D-9325: うお……本当に何もないのか?俺のメシになんか盛ったりでもしたのか?
モリーナ博士: 運転席の環境を整えるのに必要な設定をして、発進してください。
被験者は落ち着いてイグニッションをオンにし、約8分間走行してから車列に加わる。再び約1分間走行する。
D-9325: ああ……ちょっといいか。
モリーナ博士: どうしました?
D-9325: ワイパーを止められない。俺がオフにするたびまた動き始めるんだ。
モリーナ博士: どのくらい前からですか?
D-9325: ちょっと前からだ。1分前とか。
(D-9325は交差点を曲がる際ウインカーの点灯を怠る。)
モリーナ博士: ワイパーはそのままにして、走路に集中してください。
D-9325: ああ、わかっ……おい!
モリーナ博士: 問題でも?
D-9325: 速度が見えない、メーターがいかれてる!あんたがよこしたこの車は何なんだ?
(被験者は速度超過を犯しながら田舎道に入る。)
D-9325: お願いだ、路肩に止まらせてくれ。車をチェックしてコースを走り切ると約束する。
モリーナ博士: だめです。コースを走り切ってください。ただし、必要に応じて速度を落とすことは可能です。
D-9325: ああ、そうかい。恐ろしいことにな……待て!!ふざけんな!勘弁してくれクソ野郎!クソ、ブレーキが石みたく固え!
モリーナ博士: 落ち着いてください。
D-9325: (叫び始める)落ち着けだと?俺はもうブレーキもきかない車の中にいるんだぞ?(打撃音)固まってる、ハンドブレーキも!エンジンが火吹く前に、前走ってるお仲間に言っといてくれ! でなきゃ帰るぞ……畜生!
被験者はエージェント・クリフォードを左から追い越す
エージェント・クリフォード: 被験者が追い越していった。追跡にかかるか?
モリーナ博士: 考え直せ、さもないと……
D-9325: (悲鳴)あんたは俺を殺したいのか?ハ……ハンドルが!回せねぇ!嫌だ……助けてくれ!頼む!
<記録終了>
結果: 被験者は道路を200m走行し、その後約97㎞/hの速度で木に衝突しました。実験の担当チームの到着時には、SCP-347-FR-1は既に車中から見えなくなっていました。エージェント・クリフォードは事故の近くにあったすべての”A”ステッカーの調査を命じました。隣町の入り口付近で駐車中だった車両に貼られていたステッカーに移っていたSCP-347-FRが直ちに発見されました。車に乗る若年運転者のためにも、護衛は今後別の"A"ステッカーを輸送しなければなりません。
実験レポート347-C
D-3250の車両がD-3250の車両が道路から外れる直前、エージェント・クリフォードの車載カメラによって撮影された画像
日付: 2020/7/18
被験者: D-3250
手順: SCP-347-FRを自動車に貼り付けます。D-3250を乗車させ、車両のGPSにプログラムされたルートを辿るように指示しました。被験者は、エージェント・クリフォードとエージェント・ドレイクによって、前後に最小10mの距離で護衛されます。被験者はハンズフリーキットを使用してモリーナ博士と通信します。
結果: 前回の実験同様、事故という結果に終わりました。しかしながら、SCP-347-FR-1が実験中にハンドルを掴むのが観察されました。
実験レポート347-E
日付: 2020/7/30
被験者: D-4591
手順: SCP-347-FRを自動車に貼り付けます。D-4591(運転実験に何度も参加した経験がある)を乗車させ、車両のGPSにプログラムされたルートを辿るように指示しました。被験者は、エージェント・クリフォードとエージェント・ドレイクによって、前後に最小10mの距離で護衛されます。被験者はハンズフリーキットを使用してモリーナ博士と通信します。
結果: 実験開始から約13分後、被験者は軽微の速度超過を犯し、80㎞/hに制限された道路を82㎞/hで走行しました。にもかかわらず、D-4591は目的地に到着し、違反を犯した瞬間から続いたわずかなギアレバーの抵抗を報告しただけでした。
実験レポート347-G
日付: 2020/8/7
被験者: D-1113
手順: SCP-347-FRを自動車に取り付けます。D-1113を乗車させ、車両のGPSにプログラムされたルートを辿るように指示しました。被験者は、エージェント・クリフォードとエージェント・ドレイクによって、前後に最小10mの距離で護衛されます。SCP-347-FRの観察された効果を鑑みて、致死性の武器を装備することは不要であると判断されました。
結果: 約11分後、護衛は十字路を通過しました。被験者が交差点の真ん中にさしかかった際、逃亡を試みるようなことがあれば終了されるだろうと警告されていたにもかかわらず、予告なしに右折して加速しました。エージェント・クリフォードとエージェント・ドレイクは被験者の追跡に乗り出しました。D-1113の車両は、4分後に湖の中で破損しているのが発見されました。ステッカーをチェックしたところ、護衛によって運ばれたものはどれもSCP-347-FRに変化していなかったことが明らかになりました。”A”ステッカーが貼られた他の車両は半径2㎞圏内では発見されませんでした。事故の瞬間に、護衛よりもSCP-347-FRに近いところで運転していた車両のステッカーに回収されたとみられています。オブジェクトの所在は以来不明です。