SCP-3477-JP
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ようこそ。D-92202
あなたはSCP-3477-JPの第61回事象調査における
対象A-94に指名されました。

前日のブリーフィングで報告した通り、これより本端末に最新のSCP-3477-JP報告書がダウンロードされ、あなたには一時的に報告書の閲覧権限が与えられます。報告書のダウンロードと同時に事象調査を開始してください。

当調査からの逃亡はあなたや、あなたの実子である対象B-94の即時終了を意味します。ダウンロード完了までそのまま待機してください。

ダウンロードが完了しました。
報告書を表示します。


記録情報セキュリティ管理室
RAISA及び担当管理官より警告

当該報告書はSCP-3477-JP担当職員及びSCP-3477-JP事象の調査を行う対象Aにのみ閲覧権限が与えられます。不正なアクセス・ダウンロード、意図的なSCP-3477-JP事象への関与は認められず発覚した時点で終了処分の対象となります。

SCP-3477-JP-2に侵入する対象Aとなる職員は当該報告書の内容を事前に把握し、対象A・B両名での帰還を目指してください。

財団は未だその全容を把握していませんが、SCP-3477-JP-2内で発生する一切の事象は拐引イベントの引き金に成り得ます。報告書の記述に従わない場合、対象Bの生還は困難となる事を強く認識してください。

アイテム番号: SCP-3477-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3477-JPが発生する日畳公園には常に花火禁止の看板を設置し、異常性の発現を抑制します。異常性が発現する期間中は警察官に扮した財団エージェントが日畳公園内に在中し、カバーストーリー「警戒強化期間」の下で偶発的なイベントの発生を阻止します。

後述の異常性の抑制や実態調査の為、SCP-3477-JPが発生する時期に合わせてDクラス職員の中から条件に合致した親子を対象に設定し、意図的に異常性を発現させて実験を行います。SCP-3477-JP-2内では外部との通信が不可能であるため、対象Aに小型カメラを携帯させ、帰還後に記録された映像とインタビューから内部の異常を調査します。

補足(2009/11/23): 偶発的な発生を除き、SCP-3477-JPに関する実験は監督評議会及び倫理委員会の決定により年に1度のみとする事が決定されました。

対象Aとなる人員はDクラスより選定され、実験の目的は対象Bの生還を最優先事項とします。これはSCP-3477-JP-2で発生する異常の多様性に起因しており、財団は当該空間内で発生する異常の完全な把握を放棄しました。実験に参加する対象は報告書を熟読し、任務達成の為に最善を尽くしてください。なお対象Bが消失した場合、原因となる行動を特定した上で報告書を更新します。

説明: SCP-3477-JPは愛知県名古屋市北区日畳町の日畳公園及び周辺の住宅街において、限定的な状況下でのみ発生する事象の総称です。

SCP-3477-JPの発生する条件は以下の通りです。

  • 日本標準時における8月12日〜18日である事
  • 夜間(厳密には日没から日出の間)である事
  • 血縁関係にある親子(以下、対象。また個別表記として親を対象A、子を対象Bと呼称)が公園内に存在している事
  • 対象Bは5歳以上10歳以下の児童である事
  • 対象が花火を点火させている事

条件が一致した場合、公園外から人型実体(以下、SCP-3477-JP-1と呼称)が徒歩で公園内に侵入します。SCP-3477-JP-1の外見は6歳前後の日本人の男児で髪は短髪の黒色、緑色のTシャツにベージュのズボンを着用しています。外見相応の知能を有し日本語での会話が可能です。SCP-3477-JP-1が侵入する経路は公園の東・北・西にそれぞれ存在する公園の出入り口に限定されており、侵入前の行動や発生地点を特定する試みは失敗しています。またSCP-3477-JP-1の個人情報の特定1は現在まで失敗に終わっています。

侵入したSCP-3477-JP-1は、公園内にある滑り台で遊び始めます。この際、対象BはSCP-3477-JP-1に強く注意を引き、ほぼ全ての例において花火で遊ぶ事を提案します。これを対象Aが拒否する事は後述する“拐引イベント”がその場で発生するために推奨されません。

所持した花火を全て使用し終えた段階で、SCP-3477-JP-1は「帰りたいから家まで着いてきてほしい」と対象に要求します。

当段階に入った時点で対象はSCP-3477-JP-1へ送迎する意思を表明しなければなりません。提案は対象Bからの自主的なものが最も望ましいですが、対象Bが提案をする素振りが無い、またはSCP-3477-JP-1に対する忌避感を見せた場合は対象Aから提案を行ってください。

SCP-3477-JP-1は提案を快く受け入れ、公園南側に面した住宅街に酷似した空間(SCP-3477-JP-2と呼称)へ対象を誘導します。公園の敷地を出た瞬間、SCP-3477-JP-1及び対象は基底現実上から消失します。なお、送迎を断る事は拐引イベントのトリガーとなります。

過去の実験記録によると、SCP-3477-JP-2の地理的条件や建造物や道路等は同地点に本来存在する住宅街と完全に一致しています。しかしながら全ての住宅の照明が例外なく消灯されているといった基底現実上との変化点も見られます。

SCP-3477-JP-2内でSCP-3477-JP-1は特定の4箇所の十字路を左折し、対象による制止が行われない限り同一の経路を延々と周回します。この過程でSCP-3477-JP-1に家の場所を聞いても決まった経路の先を指し示すのみで明確な回答は得られません。この時点で対象の以下の行為は拐引イベントのトリガーとなります。

  • SCP-3477-JP-1の前に回り込む
  • SCP-3477-JP-1の進行方向と反対方向へ歩行する
  • 日畳公園に戻る
  • SCP-3477-JP-1を視界から外す
  • SCP-3477-JP-2内での破壊的行為

拐引イベントはSCP-3477-JP-1によって対象Bが連れ去られる一連の事象を指し、公園内での遊びの阻害やSCP-3477-JP-2での特定の行為などをトリガーとして発生します。トリガーとなる行為が行われた瞬間SCP-3477-JP-1は対象Bの腕を掴みます。この際SCP-3477-JP-1は対象Bの思考に干渉し、自身の言動に従うよう誘導させる一種の催眠のような異常性を発揮します。SCP-3477-JP-1が対象Bの腕を掴んだ直後、対象Aのみが基底現実の同地点上に移動し、直前まで対象Bの位置していた地点には1本の火の付いていない線香が200g程度の灰に刺さった状態で出現します。

また、SCP-3477-JP-2内では、以下のような異常がランダムで発生する場合があります。以下は過去に記録された異常の一部です。

  • 5〜50cm程度の小石で構成された石塔が道路内に敷き詰められる。
  • 対象の身近な人物の声が聴こえる。
  • 住宅街で本来聞こえるはずの無い異音が聴こえる。
  • 植物の全てが実のついたホオズキ2に置換される。
  • 電柱が鳥居に置換される。
  • 黒色の液体が上空から降り注ぐ。
  • SCP-3477-JP-1が2体以上に増殖する。
  • 全ての家屋の中から悲鳴が確認される。
  • 全ての家屋の照明が点灯しているが、全ての窓から対象を覗く人型実体が確認される。

これらの異常に対しての過度な反応や音についてSCP-3477-JP-1に問う行為なども拐引イベントのトリガーとなります。

対象がSCP-3477-JP-2から脱出する方法は、対象Bの拐引のみで、それ以外の方法は確立していません。SCP-3477-JP-2の周回は拐引イベントが発生するまで永続します。

SCP-3477-JP-2内ではSCP-3477-JP-1との距離を一定に保ちつつ、対象は互いを常に意識的・感覚的に認識し続けなければなりません。最も効果的な方法は手を繋ぐなど身体を接触させ続ける事です。

拐引イベントの発生を防ぐ方法は上記の事象にできる限り関与しない事です。対象が遭遇する凡ゆる事象は対象A・Bを引き離す事を目的としています。それらの現象について、財団は全てを認知できていません。例え背後から知人や親類の肉声が聞こえても、対象A・Bのいずれかが2名に増えても、それら全てを疑ってください。

本報告書にアップデートされた段階で、財団の実験回数及び対象Bの拐引人数は93名です。対象A・B両名の帰還は発見のきっかけとなった故・土宮博士を除いて現在のところ報告されていません。

上記の行為を行った拐引イベントの事例については記録-3477-JP-17を参照してください。

SCP-3477-JPが発生する期間中、日畳公園内で発生条件が満たされなかった場合、日畳公園の東に位置する近隣市街隣県のランダムな公園及び住宅街にSCP-3477-JPと同一の異常性が発現する事が判明しています。異常性の拡散阻止及び異常性解明の為、実験は継続されます。詳細は補遺1を参照してください。

補遺1: 2008年8月23日、山梨県甲府市丸の内の住宅街で「女性が大きな声を上げて暴れている」という通報を受け地元警察が出動しました。担当した警官が女性に事情聴取を行った所「たまたま公園で知り合った子どもを送り迎えしていたら、我が子が連れ去られてしまった」と、SCP-3477-JPに類似した特徴を有する証言が得られた事で財団の注意を引きました。財団は即座にエージェントを派遣し、捜査を引き継いで得られた情報を整理した結果、発生した事例のほぼ全てがSCP-3477-JPに酷似した内容である事が判明しました。

当時SCP-3477-JPに関する実験は、財団倫理委員会からの児童保護に関する提言により過去4年間実施されておらず、担当職員を中心とした捜査チームが関連性を調査した所、SCP-3477-JPの発生地点である名古屋市北区から山梨県甲府市までの地域の間に存在する計3つの地域で同様の事例が発生している事が確認されました。

特筆すべきはSCP-3477-JP発生地点以外の4箇所で、SCP-3477-JP-1は性別や人相、衣服などの要素がどれも一致しなかった点です。後の調査で、各地点で見られたSCP-3477-JP-1の特徴は、過去財団の行った実験で対象Bとして参加した人物の中に完全に一致する人物が存在していた事が判明しました。

この事から財団はSCP-3477-JPの発生条件を満たせない場合、日畳公園から東の方角に位置するランダムな公園に異常性が発現し、その地点にはSCP-3477-JP-1の連れ去った対象Bが新たなSCP-3477-JP-1として配置されると判断しました。翌年の2009年から監督評議会及び倫理委員会との協議の末に年に一度、Dクラスを動員して実験を実施する事が義務付けられました。

補遺2: 以下は財団がSCP-3477-JPを認識するきっかけとなった土宮博士の手稿の抜粋です。この手稿は土宮博士の自殺現場で発見されました。

きっかけは小学生3年生のお盆休み、この公園の近辺に住む母方の祖母の家に行った時の事でした。私は親戚が多く、全員が集まると祖母の家は大所帯になります。集まるとすごく賑やかになり、祖母や従姉妹たちにも可愛がってもらえていたので毎年心待ちにしていました。
墓参りをし、美味しい料理を食べ、兄弟や従姉妹と遊び、夜も更けてくると待ち望んだ花火の時間がやってきました。普段は祖母と従姉妹と私たち兄弟だけで楽しむのですが、その時は料理も片付けゆったりしていた母が気まぐれに参加したのです。私はそうして、あの男の子と出会いました。

改めて考えると奇妙な光景でした。私たちが花火を楽しんでいると、いつの間にか滑り台で嬉々として遊んでいるのです。21時を回った公園に、6歳前後の小さな子どもがです。今見たら、育て親の防犯意識の無さに憤慨したり、虐待を疑ったりするのでしょうが、私はまだそのような考えを持つに至っていませんでした。そうでなくとも、その子の身だしなみの自然さ。いや、この場合は不自然の無さというべきでしょう。何処をとってもその子に違和感を感じることが無かったんです。その辺りをランドセルなんか背負っていたら背景として記憶の片隅にすら残らないような少年に、私は一切疑問を持つことが出来なかったのです。
それは従姉妹や祖母、母も同じでした。家族は大丈夫かと声はかけたものの、それ以上気にするような素振りはこれっぽっちも見られませんでした。観察対象となった今となっては検討する意味もありませんが、それは異常の一つだったのかもしれません。
その後彼とは私たちの持ってきた花火で一頻り遊びました。線香花火がポトリと落ちた所で突然ぶっきらぼうに「帰る」と言い出したのです。そのままにもできない私たちは相談し、私と母で送り迎えをしてやる事にしたんです。
不自然な感じがしました。住宅街を歩く子どもの様子は最初こそ年相応に感じていましたが、それがやけに楽しそうなんです。先ほどまで気にも留めていなかった少年の笑い声が妙に乾いたものになり、虚に「こっち、こっち」と先導し続けました。ただ私にはその光景が圧倒的な違和感として脳裏に刻まれました。
確信に変わったのは、少年が同じ所をもう一度通ろうとした時の事でした。同じ所を二度も三度も周る。子どもの悪戯に思えなかったのは、振り返った少年の顔のせいでしょう。ニタニタと貼り付けたような気味の悪い笑みを浮かべ「こっち、こっち」と呟く。
そんな少年を母は突然叱りつけました。
「揶揄うんじゃない」
力強いその言葉で少年の笑みはすぐに消え、黙って母の言葉を聞き続けていたのです。
「1人で帰れるかい」
最後にそう聞くと彼は言葉無く頷き、無言で家にある方向へ歩き出しました。ほっとした私は母と共に、皆がいる公園へ歩いていきました。

歩き出して数秒。ふと振り返ると、そこに少年の姿はありませんでした。

一瞬で血の気が引きました。何せ、扉を開ける音や門を押す音は聞こえず、近くに曲がる道や体を隠せる障害物もありません。先ほどまで目の前で異様な雰囲気をまとっていた少年は、夜の薄暗い住宅街に忽然と消えたんです。

それが、私のかつて体験したSCP-3477-JPのイベントの全てです。

この記事に記された補遺の内容は全て事実です。脚色もなく、私の体験した全てを記しました。私はとても運が良かった。今現在私だけが無事あの不気味な子供の魔の手から逃れられたのですから。

これを見ている皆さんは、私のやった通りにすれば帰ってくるのは訳ないのではと思う事でしょう。でも、そんな事は初期収容時に既に実験しています。結論から言えば、実験した子供は行方不明のまま。

でも、誤解を恐れず言ってしまえば、それだけならまだ幸せだった。幸せだったんです。

あろう事か、彼ら彼女らは新たなSCP-3477-JP-1としてより多くの仲間作りをするための道具と化していたのです。奴に無理矢理連れ去られ、親と離れ離れにされた後、自由意志すらあるかどうかも分からない化け物に変えられてしまっていた。

私たちは子どもたちを確かに犠牲にしてきた。けれどそれは、これ以上の犠牲を出さないための施策でもありました。汚れ仕事でも意義のあるものだと信じていたかった。でも真実は奴に都合のいいように踊らされていたんですよ。

奴は狡猾です。中に入ったものの精神の擦り減らし方を私の時以上に身につけていた。今まで私の提唱したあらゆる試みが、奴の笑みの前に無数の子供と共に消えました。

もしかすると私は、最初から奴の思惑通りになるよう泳がされていたのかもしれません。私が後に財団の一員となり、幼少期に遭遇したこの出来事を上に報告すれば、より多くの子供があの場所にやってくる事までもしかすると見通していたのかもしれない。

例えそうでないとしても、私はあまりに多くの子供達を無闇に巻き込むきっかけになってしまった。そして本来起きるはずの無い被害を多く生み出してしまった。

私たちは拡大阻止の為、異常性解明の為、実験を継続するでしょう。それは大いなる我々の使命です。

ですが、私はもう耐えられない。
目を瞑ると、今まで犠牲になってきた子供達の幻聴が脳裏をゾワゾワと這い回るのです。

だからこれを見ている方にお願いです。

どうか、次の私を見つけてください。

あの少年の気持ち悪い笑みを止めてください。

最終警告

SCP-3477-JP-2への侵入は基底現実上からの離脱を意味します。その間、当端末は通信能力を喪失し、基底現実上に帰還するまで回復する事はありません。侵入後も報告書の内容に従い、対象A・B両名での帰還を目指してください。

健闘を祈ります。








































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