アイテム番号: SCP-348
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-348は保管サイト-19の標準ロッカーにて保管します。SCP-348を使用して実験を行う場合、レベル3以上の職員の許可、および被験者の詳細なリストを提出してください。
説明: SCP-348は、直径およそ20cm・高さ9cmの白い陶器製のボウルで淡い水色の花模様が描かれています。制作者を示す表示はありませんが、ボウルの側面には”あなたのことを思っています”を意味する漢字(想着你)が刻まれていることが認められます。
軽微な病気や怪我(軽い咳、鼻水、擦り傷など)が認められる被験者と対峙した場合、SCP-348は自身をスープで満たします。スープに含まれる具材は多彩ですが、若い被験者(4歳から18歳までの男女)による実験において被験者は一貫して次のように述べています。SCP-348のスープは好ましい食べ物であること。被験者の父母が作った料理を思い出させるということ。制止されないかぎり、被験者はSCP-348により生成されたスープを完食します。
SCP-348のスープを食べた未成年者は多くの場合満足感を示し、一人で食べているにもかかわらず孤独を感じないと述べています。
補遺 SCP-348-1: SCP-348は█████、█████████在住の児童についての噂をきっかけに回収されました。当該の児童は病気や怪我に対して著しい回復能力を示したため、財団の注意をひきました。調査により、当該児童が屋根裏部屋で最初にSCP-348を発見したこと、その後児童の両親から十分な関心を受けられなくなったためSCP-348に依存するようになったことが明らかになりました。児童の両親(父母ともにフルタイムの労働者)は子供との関係についてコメントすることを拒否しています。
そこで、新しく発売される食品の成功を占うテストに偽装して、公立学校に通う未成年者を対象に実験が行われました。
補遺 SCP-348-2: 本実験では、SCP-348によって生成されたスープが消費されると、しばしばボウルの内側にメッセージが出現することが観察されました。メッセージはボウルの模様と調和するデザインで表現され、陶器にプリントされているように見えます。メッセージはスープを消費した人物が最も慣れ親しんだ言語で表示されます。数時間ののち(またはSCP-348が次のスープを生成する時)、メッセージは消失します。
実験記録 SCP-348-1323-█
被験者:8歳女児、喉の痛みを感じる
家庭背景:両親と同居、家族関係は良好
結果:30分でスープを完食。食後、喉の痛みがなくなったと述べた被験者:10歳男児、軽い打撲傷が見られる(自転車に乗った際の怪我)
家庭背景:両親と同居、しばしば言い争いをする
結果:メッセージ。”ちゃんと毎日歯を磨くんだぞ”被験者:11歳男児、軽い風邪の症状が見られる
家庭背景:養父母と同居
結果:メッセージ。”あなたが幸せで嬉しい”被験者:9歳女児、軽い風邪の症状が見られる
家庭背景:両親と同居、両親はかんしゃく持ちの傾向があるとされた
結果:実験中および実験直後に変化は見られず。被験者はスープを特に好んでいる様子ではなかったが、食後おかわりを要求した。その後の継続調査では、被験者は風邪の症状から通常想定されるより早く回復している被験者:6歳男児、軽い擦り傷が見られる(友達と遊んだ際の怪我)
家庭背景:両親は離婚しており、現在は母親と同居
結果:メッセージ。”坊や、すまなかった”被験者:7歳女児、咳をしている
家庭背景:母親、祖母と同居、父親は交通事故により死亡している
結果:メッセージ。”君を愛しているよ”
補遺 SCP-348-3: 本実験では、18歳を超える被験者がSCP-348が生成したスープを食べる場合、被験者はスープを完食しない傾向にあることが明らかになりました。被験者の一部は「なんとなく物足りない」と訴え、多くの被験者は「何の変哲も無い」スープだったとだけ述べました。
18歳を超える被験者を対象とした追加の実験を行った結果、一部の被験者においてSCP-348はメッセージを表示しましたが、その内容は色あせた、疲れた印象をあたえるものでした(詳細は実験記録を参照してください)。
実験記録 SCP-348-2635-█
注記: 100人以上の被験者で実験、SCP-348のメッセージを受け取ったのは5名のみ。
被験者:30歳女性、頭痛を訴える
家庭背景:両親との関係は希薄。父親からの職業訓練に関する援助を拒否し、現在一人暮らし
結果:メッセージ。”どうして?”被験者:35歳男性、咳をしている
家庭背景:両親は離婚、父親と継母を月に1回訪問している。実母には会っておらず、これは彼女の要望である
結果:メッセージ。”これから良くなるさ”被験者:40歳女性、喉の痛みを訴える
家庭背景:独立後は父母のいずれとも疎遠になったが、仕送りを続け、両親の入居する高齢者住宅を手配した。父親は最近死去
結果:被験者は最初スープを苦いと訴えたが、完食した。メッセージ。”ありがとう”被験者:40歳男性、軽度の腰痛を患う
家庭背景:父親はおよそ1年前に殺害された
結果:被験者はスープを口にした直後食べるのをやめ、スープの味に付いて不満を述べた。その後被験者は軽度の腹痛を訴えている。SCP-348の内容物を廃棄。直後、SCP-348は塩水と見られる液体で満たされた。3時間後、内容物は消失被験者:45歳男性、関節炎による痛みを訴える
家庭背景:幸せな結婚。妻、子供と同居。週に一回、家族とともに父親を訪ねている。母親はすでに死去
結果:メッセージ。”お前を誇りに思っているよ”
実験で広範囲におよぶデータが収集されたにもかかわらず、SCP-348が表したメッセージが実際に被験者の父親から来ているのか、それともSCP-348自身の創作によるものなのかは明らかになっていません。
補遺 SCP-348-4: SCP-348を使用した実験は、末期の病気を患う60歳の男性に対しても行われました。被験者と彼の孫達は、SCP-348の生成するスープを「彼が食べたもののうち、最も素晴らしいもの」と評しました。実験の後、被験者は「満ち足りた気分」だと述べ、病気による苦痛がやわらいだとも述べました。実験の一週間後、被験者は死去しました。その最後は安らかでした。