SCP-3494-JP
評価: +20+x
blank.png

アイテム番号: SCP-3494-JP

オブジェクトクラス: Safe Thaumiel

特別収容プロトコル: SCP-3494-JPはサイト-8181の機密収容ロッカーに保管して下さい。SCP-3494-JPを運搬する際には、その異常性の影響を受けない人間によって移動させて下さい。現在、選出された職員のみにSCP-3494-JPを用いた実験を行う許可が与えられています。SCP-3494-JPの実験によって出現した回収物は霊的業務部門による解析が済んだ後、低脅威度物品収容ロッカーに保管して下さい。

説明: SCP-3494-JPは縦205mm、横90mmの封筒です。SCP-3494-JPは外見的に一般的な封筒との差異は見られませんが、SCP-3494-JPは常に封が閉じられた状態を維持しており通常時にSCP-3494-JPを開封する試みは全て失敗しています。

SCP-3494-JPの異常性は特定の人間(以降対象と表記)の手でSCP-3494-JPを所持したときに発現します。SCP-3494-JPの異常性が発現する条件は現在に至るまで不明ですが、「成人している」「兄弟姉妹に当たる人物が存在しない、もしくは長男長女である」「社交的な能力が高い」などといった特徴のある人物が対象に多いという傾向が確認されています。対象が幼少期にイマジナリーフレンドを持っていた事であると推定されています。また、過去1度でも消失イベントを経験した対象が再びSCP-3494-JPを所持した場合には異常性は発現しません。

SCP-3494-JPを所持した対象は一時的に消失します。対象が消失した時点で対象の位置の特定は困難になり、携帯電話などを利用した通話も不可能になります。また、ボディーカメラなどを用いて映像記録を残す試みも今までのところ成功していません。また対象は消失している間の記憶を失いますが、クラスW記憶補強剤を服用する事で記憶の保持が一時的に可能になります。

対象の証言により、消失した対象は異常空間(以下、SCP-3494-JP-1と呼称)に転移しているとされています。SCP-3494-JP-1は対象の幼少期に居住していた建物を再現しており、扉・窓などのSCP-3494-JP-1の外部に繋がる部分の開閉はSCP-3494-JP-2によるものを除いて不可能であると推定されています。

SCP-3494-JP-2はSCP-3494-JP-1内部に存在する人型実体です。SCP-3494-JP-2は前述した対象の幼少期におけるイマジナリーフレンドの特徴に酷似しており、対象に友好的な振る舞いを見せます。また、消失イベントはSCP-3494-JP-2のSCP-3494-JP-1からの退出により終了します。対象によるSCP-3494-JP-2の退出の阻止は未知の力により妨害され、失敗します。SCP-3494-JP-2による退出が行われた後、約10秒後にSCP-3494-JP-1は崩壊し、対象はSCP-3494-JP-1から自動的に脱出します。現在までにSCP-3494-JP-2の行方の特定は成功していません。

対象は消失してから一定時間後に消失地点と同じ地点に再出現します。この時、対象はSCP-3494-JP-1から脱出する直前に所持していた物質(以下、回収物と呼称)を保持したまま再出現することが確認されています。現在、消失時間は最短で1時間12分、最長で10時間45分が記録されています。

消失イベントの終了後、SCP-3494-JPの封が開きSCP-3494-JPと同じ材質で作られているとみられる三つ折りのB5サイズの用紙(以降SCP-3494-JP-3と呼称)を排出します。その際SCP-3494-JP-3には不明な筆跡で文章が書かれており、「幼い子供が対象に向けて書いた手紙のような文章」と形容される文体で書かれています。SCP-3494-JP-3が排出されて約2分ほど経過した後SCP-3494-JP-3は消失し、それと同時にSCP-3494-JPの封がひとりでに閉じられます。

排出されたSCP-3494-JP-3にはそれぞれの手紙の差出人の名前もしくはその愛称と思われる文字が書かれていますが、差出人の名前は対象が供述するSCP-3494-JP-2の名前と一致しており、対象はSCP-3494-JP-2に対して「懐かしい」「物悲しい」などといった感情を抱く事が確認されています。

消失イベントの終了後、対象に重軽度の鬱、及びPTSDの症状が確認されています。この症状はAクラス記憶処理で無効化する事が可能ですが、対象にSCP-3494-JP-3の内容を完全に忘却させる試みは成功していません。

以下はSCP-3494-JPを用いた実験記録(抜粋)です。

実験記録3494-JP-23 - 日付20██/██/██

対象及び実施方法: D-19324にSCP-3494-JPを所持させる。事前に対象にはクラスW記憶補強剤を服用させた。

結果: 対象は10時間45分の間消失し、SCP-3494-JP-3には以下の文章が出現した。

内容: とってもたのしかったよ。ひみつきちのこと、おしえてくれてありがとう。 あかねより

回収物: ヘアゴム

追記: D-19324は実験後近くにあった備品で自己終了を試みたため、実験に関わっていた職員によって取り押さえられました。詳しくはインタビュー記録を参照して下さい。

インタビュー記録3494-JP-1: 以下はD-19324に対して行われたインタビュー記録です。D-19324には実験の後適切なカウンセリングを受けさせ、インタビューを行っています。

対象: D-19324

インタビュアー: ██研究員

<録音開始>

██研究員: それではインタビューを始めます。D-19324、調子はどうですか?

D-19324: ああ、問題ない。あの時は取り乱して済まなかった。

[重要度の低い会話が続くため省略]

██研究員: それでは質問しますが、SCP-3494-JPに触れた時、貴方の身に何が起こりましたか?

D-19324: ああ……たしかあの時、周りが急に暗くなって、何も見えなくなった。[沈黙]その後すぐに周りが見えるようになったんだが、俺は目を疑ったよ。なんてったって、子供の頃住んでたマンションにいたんだからな。あそこは確か10年ぐらい前に取り壊されてたはずだが、どういうわけか確かにそこにいたんだ。

██研究員: ふむ。……その空間で気になった所はありましたか?

D-19324: えっと、俺は怖くなって扉や窓を開けて外に出ようとしたんだが、扉も窓も全く開かなかった。鍵がびくともしないんだ。あ、後は……なんだか妙に静かだった。[軽く咳払いをする]俺の母親も、それどころか窓から外を見ても誰一人として見当たらなかった。ただ……

[D-19324は机に顔を伏せる]

██研究員: D-19324、大丈夫ですか?

D-19324: ああ、すまない、大丈夫だ。[1分間沈黙]……ただ、あそこには"あの子"がいた。

██研究員: あの子……それが貴方のイマジナリーフレンドだった、という事ですか?

D-19324: ああ、その通りだ。

██研究員: [相槌を打つ]その後、その場所では何があったんですか?

D-19324: ええと、最初、俺は直ぐにあの子だと気付き、とりあえず話しかけた。そして……

██研究員: 続けて下さい。

D-19324: そして、俺はあの子と昔のように遊んだ。押入れからブロックを取り出して遊んだり、居間に畳んであった布団を船に見立てて海賊ごっこをしたり……そういや、昔クローゼットを改造して作った秘密基地なんかもそこにあった。そこにはあの頃読んでた漫画が10冊ぐらい置いてあって、そこで冷蔵庫の中にあったラムネを取り出して、中であいつと乾杯して飲み干した。あいつはニコニコ笑いながら、俺の遊びに付き合ってくれた。あの頃、親が帰ってくるまでの時間、こうやって過ごしてた事を思い出したよ。……今思えば、どうしてあんな遊びに夢中になったんだろうな。

██研究員: ……分かりました。その場所で他にした事は何かありますか?

D-19324: ええと……ああ、そうだ。俺はその後、あの秘密基地であの子に対してここ最近…大体20年間ぐらいの事を話した。中学の頃に親が借金を残していなくなった事や、金を得るために詐欺や強盗をしてた事、捕まってこんな所で働いている事……あの子はただ黙って聞いていた。俺が話し終わると直ぐに、あの子は俺を抱きしめた。服から洗剤の良い匂いがしてた。そして俺に「辛かったね」「ずっと覚えてたよ」って言って。何だか安心したよ。……大体こんな感じだったかな?

██研究員: ……なるほど。それでは質問を変えます。何故あなたは、消失イベントの終了後自己終了しようとしたのですか?

D-19324: [無言で俯く]

██研究員: D-19324?

D-19324: ……ああ。俺とあの子はその後また一緒に遊び続けた。そうして……大体3、4時間ぐらい経ったぐらいかな。あの子は「それじゃあお別れの時間だね」と言った。そして……[沈黙]

██研究員: 続けて下さい。

D-19324: ……ああ。そして、……あの子は玄関に歩き出して、ドアノブに手をかけた。そして、俺に向かって一言だけ「さよなら」って言った。俺は焦った……というより何か取り返しのつかないような事をしてしまった様な気がしてた。……俺が狼狽えている間にもあの子は、扉を開けてた。

██研究員: 貴方はそれを止めなかったんですか?

D-19324: 止めたさ。止めようとしたさ。力ずくで止めようとしたが、どういうわけか一歩も動けなくなっていた。だから俺は、目の前のあの子に向かって、思いつく限りの言葉をかけた。だけど、あの子は……「あなたが私を忘れたとき、私はどこにもいなくなったんだよ。……それが本当は、正しい事なんだろうけどね。」って……

██研究員: どういうことですか?

D-19324: ……そのままの意味さ。あの子は俺に作られて、俺以外には誰にも覚えてもらえない。あの子は俺が忘れた時点で、どこにもいなくなっちまったんだ。

██研究員: その言葉とその子の行動とはどのような関係があるのですか?

D-19324: わからない。[2分間沈黙]その後、あの子は俺に一言「ありがとう」と言って外に出て、外から扉を閉めた。俺はあの子の後を追って外に出ようとしたが、扉は開かなかった。いつのまにかあの子のヘアゴムが玄関に落ちているのを見つけて、慌てて拾った。……その後のことはよく覚えていない。覚えてるのはいつのまにかおもちゃ箱や秘密基地が消えてた事ぐらいだ。しばらくしたら、目の前がまた暗くなった。……後はあんたたちの知ってる通りだ。

██研究員: なるほど。他に異常な点はありましたか?

D-19324: いや、他に特に変わった点は無かった。俺があの子を殺した。それだけだ。俺があの子を覚えていたら、あの子は消えなかった。俺は、俺はあの子を殺した。殺したんだ。

██研究員: D-19324? 殺したとはどの様な意味ですか?

D-19324: 俺があの子を、あの子と遊んだあの頃を覚えていたら、あの子は居なくならなかったんだ。あの子は、[強く咳き込む]あの子は……

██研究員: D-19324、落ち着いて下さい。

D-19324: あの子は、もう、俺はあの子の顔も、声も、姿も、何も思い出せない。あの子はもうどこにもいない。俺が殺したんだ。俺が、あの子を殺したんだ。

██研究員: D-19324、その子が居なくなったのはSCP-3494-JPの異常性によるものです。貴方のせいではありません。

D-19324: [嗚咽]違う、違うんだ。あの子を殺してしまったのは間違いなく俺なんだ。あの子は俺が望んで……あの子は、あの子は、あの子は……

<録音終了>

終了報告書: D-19324には数日間の経過観察の後、通常業務に復帰させました。

 

職員コード
パスワード
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。