アイテム番号: SCP-350
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 実験を行っていない際は、SCP-350は施錠された保管ユニットに収容します。SCP-350の実験を行う職員以外は、いかなる条件が提示されたとしてもSCP-350に署名してはなりません。SCP-350に署名した人物はSCP-350の条項を達成することを許可されますが、条項が財団の利益に反するものとなった時点で当該人物は拘束され必要に応じて終了されます。なんらかの理由でレベル3以上の職員がSCP-350に署名した場合はただちに終了されます。
説明: SCP-350は1枚の契約書およびその下の49枚の白紙のシートという外見を取っています。そこに記されている契約の概要は、スイス・チューリッヒの██████銀行の無記名口座に振り込まれる少額の金銭と引き換えに利益やサービスを提供するという基本的な取引となっています。SCP-350の文言は署名していないすべての対象者によって異なるものとなり、また対象者は常に、要求された利益もしくはサービスを実現することについての非常に強い欲求を表明します。またこの文書は常に閲読者の母語で書かれており、その者が主要な居住地としている国家の法律に準拠する内容となっています。この段階にあるSCP-350の客観的映像をビデオもしくはカメラ撮影によって捉えようとする試みは、撮影者が変わるたびにその文章が変化し続けることから失敗しています。
SCP-350に署名がなされると、契約の言語が変化する性質は停止し、契約文を誰が閲読してもこの文書に署名した者の言語のままとなります。対象者はSCP-350の収容ユニットを出た直後に例外なく、直接的な監視が行われていない場所において、該当する物品、もしくはサービスが実行された証明を獲得しようとします。SCP-350の署名者が契約の条項を満たすと銀行口座に金銭が振り込まれ、SCP-350は新たな修正や条項を次のページに記し始め、そのほとんどは署名者になんらかの形でささいなサービスの実行を求めるものとなります。しかし、条項や要求の複雑さは修正条件が達成されるごとに増大していき、最終的には以下に一部を例示するような極端なものとなります: 職員の殺害、財団の収容下からのSCP-350の移転、あるいは[データ抹消]。
署名者がSCP-350のもともとの、もしくは新たな条項をなんらかの理由で一週間以上達成していない場合、署名者は現在の義務を果たそうとする顕著な衝動を感じるようになります。この衝動は重度の強迫性障害の患者が呈するような「チック」の症状に発展します。この時点で対象者が条項の実現を妨害されると、対象者は契約の要求を満たすために虚偽の言動や窃盗、殺人、あるいはその他の極端な行動を取るようになります。この時点における心理学的分析は対象者が他のすべてを捨て去って義務の履行に完全に執着しているため、意味の無いものとなります。対象者が拘束され義務の履行が不可能になると、対象者は継続的に逃走の試みを行うようになり、飲食あるいは睡眠を拒否します。点滴を行い化学的に誘導された昏睡状態へと強制的に陥らせない限り、対象者は死に至ります。この時点で、対象者の代謝および身体機能は継続的な増進を開始し、これはその者が心臓発作、もしくは点滴治療機器が代謝に追いつけなくなることによって死亡するまで続きます。