アイテム番号: SCP-3503-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3503-JPは低危険度物品収容ロッカーに収容されます。SCP-3503-JPの異常性を発現させる場合は高耐久実験用ユニットを使用し、必ず中程度の武装を所持した機動部隊を即時対応可能な状態で近辺に配置してください。
説明: SCP-3503-JPは破壊耐性を持つ3枚のA4コピー用紙です。
SCP-3503-JP-Aの一例
SCP-3503-JPはその上に一定以上の体重を持つ生物(以下対象と呼称)が体重の80%以上の力をSCP-3503-JPにかけた場合に異常性が発現します。異常性が発現すると同時に対象はその場から消失します。同時にSCP-3503-JP上には一般的な塗料とほぼ同様の組成の物質で書かれた線(以下SCP-3503-JP-Aと呼称)が浮かび上がります。この線の形は対象を大きく抽象化させた姿であり、対象の平常時の姿勢をとることが確認されています。また、SCP-3503-JP-Aは時間経過に伴い徐々に希薄なものに変化し最終的に完全に消失します。
SCP-3503-JP-Aの交点上に一定以上の知性を持つ生物が接触した際、その箇所にSCP-3503-JP-Aと同様の物質で書かれた点であるSCP-3503-JP-Bが出現します。SCP-3503-JP-Bは力を加えることで通過前のSCP-3503-JP-A上でのみ動かすことが可能です。また、SCP-3503-JP-Bは通過したSCP-3503-JP-Aを発生初期の状態に戻し固定する性質を持っています。特筆すべき点として、SCP-3503-JP-Aが交差している場合において、その交点は何度でも通過可能です。全てのSCP-3503-JP-AをSCP-3503-JP-Bが通過した場合、対象はその場に出現し一連のイベントは終了します。
全てのSCP-3503-JP-Aを通過する前にSCP-3503-JP-Bが移動不可能になった場合、もしくはSCP-3503-JP-Aが消失した場合1、SCP-3503-JPは即座に巨大化、折り紙の要領で元の動物を2~3mほどのサイズで立体的に再現します。この状態へと変化したSCP-3503-JPは近くの生物に攻撃を開始します。この時、質量の大きさ、筋力の高さ、再生能力等からSCP-3503-JPは対策を行わない限り甚大な被害を周辺にもたらします。この状態は30~60分ほどで終了し平常時と同様の状態に戻ります。
補遺: 事案SCP-3503-JP
20██/██/██にSCP-3503-JPが収容されているサイト-81██でSCP-████-JPの収容違反が発生しました。その際SCP-3503-JP収容ユニットが破壊され、同じく破壊された檻から逃亡した実験動物のうち3匹がSCP-3503-JP収容ユニットに侵入しました。結果として実験動物が異常性に暴露、連鎖的にSCP-3503-JPの収容違反が発生しました。SCP-████-JPに対処後、当該事実が発覚したため、戦術求解部門2の相馬博士及び木村研究員が招集されました。以下は木村研究員が所持している小型カメラにより撮影されたSCP-3503-JP対処ログです。
<記録開始>
木村研究員: [息切れ]すみません!遅れてしまって…
[木村研究員が瓦礫を乗り越え、SCP-3503-JP収容ユニットに入室する。相馬博士は複数のエージェントと共に瓦礫の撤去作業を行っている。]
相馬博士: 大丈夫ですよ。私がこのサイトに偶然いただけです。それよりこちらの作業を手伝っていただけますか?
[相馬博士から木村研究員に軍手が手渡される。木村研究員はそれを着用してすぐに作業に取り掛かる。]
木村研究員: ところでこれ、何を探しているんでしたっけ。
相馬博士: SCP-3503-JPですよ。送った報告書は確認しましたか?
木村研究員: すみません…
相馬博士: 詳しい説明は後で、今は不自然に破れていないA4用紙を探してください。
[5分ほどの作業の後、エージェント・██がSCP-3503-JPを発見する。]
相馬博士: 良かった、まずは1枚ですね。
発見当初のSCP-3503-JPを簡易的な図にしたもの。
木村研究員: なんです?これ。…ネズミ?
相馬博士: これはいわゆる一筆書きの問題ですよ。
木村研究員: ああ!あの…「同じ線を通ってはいけない」という問題でしたっけ。
相馬博士: その通り。今回はこの点を動かすことになります。なお今回の問題は失敗できませんよ。
木村研究員: 失敗したらどうなるんです?
相馬博士: この紙に書いてある動物がひどく凶暴になって出現します。
木村研究員: なんだ、それくらいならまだ対処のしようが…
相馬博士: このサイトは収容違反後ですよ?物資も、それを使う隊員も何もかも不足しています。被害がサイト内で収まるかどうかすら…
木村研究員: 泣きっ面に蜂ってことですか…
相馬博士: そうですよ、ですから早く解いてしまいましょう。
木村研究員: そうですね…ですが一筆書きに解き方なんてあるんですか?虱潰しくらいしか思いつきませんが。
相馬博士: 実は解き方があるのですよ。
相馬博士: まず始めに、解けるかどうかの条件から説明しましょう。
木村研究員: それもわかるんですね。
相馬博士: ええ、交点につながっている線の数を数えて、奇数になっている交点がゼロ、もしくは2個の場合解くことが可能です。
木村研究員: へぇ。
相馬博士: 前者の場合スタート地点とゴール地点は一致することになります。後者の場合はそのどちらかがスタート地点となりもう片方がゴール地点となるわけですね。
木村研究員: つまり、今回の問題だと鼻の先か目の左端からスタートすればいいってことですね?
相馬博士: その通りです。
木村研究員: そこまで分かれば僕でも解けますよ。こうでしょう?
[木村研究員がSCP-3503-JP-Bを下図のように移動させ、全てのSCP-3503-JP-Aの上を通過させる。途端にSCP-3503-JP上に実験用ラットが出現する。]
解法SCP-3503-JP クリックで拡大可能
相馬博士: 正解です。さぁ、早く捕まえてください!
[数分の逃亡ののち、木村研究員がラットを捕まえる。そのラットはすぐにエージェントが用意したケージに入れられる。]
相馬博士: これで紛失したSCP-3503-JPはあと2枚ですね。
木村研究員: まだあるんですか…
相馬博士: 誰も引っかかってないことを願いましょう。
[二人が瓦礫の撤去作業に戻る。]
[19分後、木村研究員が2枚目のSCP-3503-JPを発見する。]
木村研究員: ありましたよ!これは…ネコちゃんかな?
相馬博士: ありがとうございます。では、その問題は任せました。
木村研究員: えっ!?
相馬博士: 時間が無いのですよ。思ったより破壊された壁が大きかったようで瓦礫が多い。少しでも人手が欲しいので私は捜索に回ります。
木村研究員: ぐぅ…わかりました…
[木村研究員がSCP-3503-JPを広げる。下図参照。]
2枚目のSCP-3503-JPの簡易的な図。
木村研究員: とりあえず首輪の左から…右に行って…
[木村研究員がSCP-3503-JPを移動させる。下図参照。]
移動経路
木村研究員: あとは一周するように…
[数分間、木村研究員がSCP-3503-JP-Bを移動させる。移動方法は下図参照。]
解法SCP-3503-JP クリックで拡大可能
木村研究員: よし解けた!…おっと!
[木村研究員が出現した猫をすぐに捕まえる。猫はしばらく暴れて木村研究員の頬を引っ掻くがすぐに急行したエージェントに受け渡される。]
木村研究員: できました…いてて…
相馬博士: してやられましたね。ですがありがとうございます。ではこちらを手伝っていただけますか?
木村研究員: はい!
[38分間作業を続けるが進展はない。]
相馬博士: [少し遠くから]おっと…よしよし、どうか落ち着いてください。
木村研究員: どうしましたか?
相馬博士: 子供の猿です。すみませんが対応してくれませんか?動物の扱いがどうも苦手で…
木村研究員: 相馬博士に苦手なものなんてあったんですね。すぐ行きます。
[木村研究員が子猿に近づく。瓦礫の隙間に手を入れて鳴いている。]
木村研究員: よしよし、落ち着いて…瓦礫から抜けないのか。
[木村研究員が子猿の手を瓦礫から抜く。その穴を確認した後に大声を上げる。]
木村研究員: あった!ありました!瓦礫の奥にあります!
相馬博士: 瓦礫の中ですか…少し応援を呼んできましょう。それまでその子の対処をお願いしますね。
木村研究員: わかりました!っと…落ち着けって!あいて!
[子猿が木村研究員の腕を噛む。途端に木村研究員が手を離し、子猿が瓦礫の隙間に手を入れ、その直後何かを掴んで引き寄せるような動きをする。木村研究員が再度捕まえた時、瓦礫から音を立てて崩れ始める。木村研究員は子猿を抱きしめつつ退避する。崩れた瓦礫が完全に道を塞ぎ、木村研究員は反対側の通路から隔離される。]
相馬博士: [大声]木村くん!大きな音が聞こえましたが大丈夫ですか!?
木村研究員: [大声]僕もこいつも大丈夫です!
相馬博士: [大声]ではすぐそちらに向かいます!少し待っていてください!
[子猿の鳴き声]
木村研究員: どうした…?こんな時に…
[木村研究員が子猿に近づく。子猿は足元の瓦礫を退かそうとしている。木村研究員がその瓦礫を退かすとその下からSCP-3503-JPが現れる。そのSCP-3503-JPには全体的に薄れている猿の形をしたSCP-3503-JP-Aが描かれている。木村研究員はそれを子猿の手の届かない高さまで持ち上げる。]
発見時のSCP-3503-JP
木村研究員: まずいな…だいぶ時間が無い…僕でやるしかないか。
[木村研究員がSCP-3503-JP-Aの詳細を確認する。その間も子猿は木村研究員の足元で鳴いている。]
木村研究員: よし、これなら解けそうだな。
[鳴き声]
木村研究員: ああ、ああ、わかったわかったから落ち着いてくれる?ちょっと考え事しなきゃだから。
[鳴き声]
[木村研究員がSCP-3503-JPを確認している途中で、子猿が瓦礫を上り木村研究員が持っているSCP-3503-JPに飛びつく。]
木村研究員: うぉっ!?この…返せ!
[鳴き声]
[木村研究員が子猿を振り払う。子猿は落下した後も繰り返し鳴き声を上げる。]
木村研究員: まったく…少しくらい落ち着いてくれよ…
[木村研究員がSCP-3503-JPを再確認し、驚いた声を上げる。SCP-3503-JPにはSCP-3503-JP-Bが出現しており少し進んでいた。]
SCP-3503-JP-Bが出現したSCP-3503-JP-A。簡略化のため通過した線を非表示にしている。
木村研究員: やばい!これじゃ解ききれないぞ!背中のTか顎から始めなきゃなのに…
[木村研究員が考え込む。その際子猿に取られないよう壁より距離を取る。]
木村研究員: 破壊耐性…あるよな…
[木村研究員がSCP-3503-JPを破壊しようと試みる。途端に子猿が大きな鳴き声を複数上げる。]
木村研究員: わかったよ!君のお母さんなんだろ!もうしないから![ため息]報告書もっかい読むか…
[木村研究員が片手でスマートフォンを取り出し報告書を確認する。]
木村研究員: どうすれば…せめて線を埋められれば…待てよ?ここに閉じ込められているのは君のお母さんなんだよね?
[鳴き声]
木村研究員: だよね?君はお母さんを救いたいってことだよね?ならこの上に乗ってくれる?
[木村研究員がSCP-3503-JPを床に設置する。子猿は即座にSCP-3503-JPの上に乗る。すぐに異常性が発現し子猿がSCP-3503-JPに飲み込まれ新規のSCP-3503-JP-Aが出現する。]
新規のSCP-3503-JP-A出現後のSCP-3503-JP-Aの簡易的な図
木村研究員: 上手く行っててくれ…よし!これなら解けるぞ!
[木村研究員がSCP-3503-JP-Bを下図のように移動させ、すべてのSCP-3503-JP-Aの上を通過させる。その直後、猿の親子がSCP-3503-JPの上に出現する。]
解法SCP-3503-JP クリックで拡大可能
木村研究員: そうだよな。君たちはそれが自然なんだもんな。
[子猿が母猿の上に乗る。]
<記録終了>









