SCP-3515-JPのスクリーンショット
アイテム番号: SCP-3515-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3515-JPはサイト-81-109の電子物品収容セクターで保管されています。SCP-3515-JPを利用した実験は巷説部門の許可を受けたうえで、担当職員の監視下で行われる必要があります。SCP-3515-JPファイルを開き異常性に曝露した人物には記憶処理を行い、精神影響を除去してください。民間でのSCP-3515-JPの共有は財団ウェブクローラ("Farewell")により監視され、発見次第エージェントによる介入および回収が行われます。
説明: SCP-3515-JPは「穴.xlsx」と名付けられたExcelファイルです。容量は10 kBであり、通常の.xlsx形式ファイルと同様に使用可能です。SCP-3515-JPのうち確認されている入力範囲において、一切の文字等の入力は存在していません。SCP-3515-JPは通常の.xlsx形式ファイルの有する1048576行を大幅に超える縦方向の入力範囲を有しており、現在まで正確な全行数は判明していません。なお、横方向は通常と同様の16384列であることが確認されています。
SCP-3515-JPを展開した人物(以下"対象者"と表記)は急速に進行する精神汚染の影響に置かれます。この精神影響により、対象者は「SCP-3515-JPの縦方向の最下部を見たい」という強力な強迫的欲求に支配され、あらゆる生活的基本行動(食事や睡眠など)よりも「SCP-3515-JPの下方向への画面スクロール」の実施を優先するようになります。この精神影響は記憶処理により除去可能であり、かつ対象者以外の人物へ直接的な伝播はしません。
対象者がショートカットコマンド(Ctrl+↓)を実施しSCP-3515-JPの最下部を表示することを試みると、コマンド実行と同時にSCP-3515-JPは異常終了します。その後すぐさま対象者は恐慌状態となり、周囲に対し攻撃的かつコミュニケーションが困難になります。この精神影響と異常興奮は記憶処理では除去できません。
補遺3515-JP.1: 発見経緯
SCP-3515-JPはSNS「Twitter(現X)」において、「スパムアカウントから不明なExcelファイルが送られてくる」旨の投稿と「一般人が周囲の人物の呼びかけに応じず、SCP-3515-JPと思われるExcelファイルのスクロールを続ける動画」が拡散されていることを契機に、巷説部門1の調査で発見されました。巷説部門はTwitter上で複数のアカウントを作成し、その1つにスパムアカウントからファイル送信サービスサイトのURLを経由してSCP-3515-JPが送付されたことで実物の取得とアカウントの特定に成功しました。SCP-3515-JPを送付するアカウントは1つのみであることがその後の調査で判明したため、該当アカウントは迅速に財団により奪取されました。検査の結果、該当アカウントは異常が見られず、本来の運営者にも異常活動の形跡がないことが判明しました。現在まで該当アカウントがSCP-3515-JPを送付した原因は明らかになっていません。
SCP-3515-JPを送付された一般人の特定が巷説部門により行われました。結果として、対象の一般人らの多くはSCP-3515-JPをダウンロードせず、あるいはダウンロードしても展開していないことが確認されました。該当者らへは財団資産企業より、コンピュータが破壊される恐れがあるとしてSCP-3515-JPを展開しないようメール等で注意喚起がされ、その後エージェントらによる各地のSCP-3515-JPの回収と該当者らへの記憶処理が行われました。
SCP-3515-JPを展開したと思われる一般人のうち2名について、1名は室内のロフトから床へ繰り返し落下したことにより、もう1名は住居付近の車道で乗用車に轢かれ、どちらも死亡した状態で発見されました。両者のPC上でSCP-3515-JPが展開されていなかったことから、両者は死亡する前にSCP-3515-JPを展開し、Ctrl+↓コマンドを実行したと考えられています。
補遺3515-JP.2: 実験
以下は巷説部門の寺見研究員の監修で行われた、Dクラス職員の操作によるSCP-3515-JPの実験記録です。
注: 実験から得られた情報を巷説部門内で照らし合わせた結果、SCP-3515-JPはリンフォン類似物品2として取り扱うのが適切と判断された。リンフォン類似物品が電子媒体の形で補足されたのはこれが初めてになる。倫理的観点や未知の悪影響を考慮し、Ctrl+↓コマンド実行を伴う実験は現在禁止されている。──寺見
実験記録3515-JP.1
対象者: D-3515-1
内容: D-3515-1にSCP-3515-JPを使用させ、その行動を観察する。実験室内には便器および食品や寝具が設置されており、自由に利用できる。以降の実験においてもこれらの設備は共有される。実験時間は5日間だが、D-3515-1には4日間と伝え、最終日には実験室の入り口を開放し外部へ出られるようにする。
結果: D-3515-1はSCP-3515-JPを展開したのち、すぐさま縦方向下部へのスクロールを開始した。D-3515-1はスクロールしている間、過度に興奮している様子を示した。D-3515-1は5日の間で一度も食事をせず、排泄は便器を使用せず都度その場で失禁する形で終えた。また、睡眠は寝具を使用せずに気を失う形でその場で取り、覚醒後すぐさまスクロールを再開する様子が観察された。最終日には実験室の扉が解放され、実験終了が伝えられたにもかかわらず、D-3515-1はそれらを無視してスクロールを継続した。5日間が経過した時点でD-3515-1は拘束され、記憶処理を実施された。拘束の際、D-3515-1は職員らへの抵抗を試みた。記憶処理後の検査では致命的な健康状態の異常は確認されず、画面スクロールへの執着も確認されなかった。
後記: D-3515-1の行動から、SCP-3515-JPを展開すると縦方向下部へのスクロールを止められなくなると思われる。SCP-3515-JPの強制力は生理的欲求を上回っていると見られる。記憶処理によりSCP-3515-JPの異常性は除去可能である。──寺見
実験記録3515-JP.2
対象者: D-3515-2、D-3515-3、D-3515-4
内容: 実験対象者を変え、3名に対しそれぞれ実験記録3515-JP.1の再現実験を行う。
結果: イレギュラーなく再現に成功した。
後記: SCP-3515-JPによる影響は個人差がないと考えられる。──寺見
実験記録3515-JP.3
対象者: D-3515-1
内容: D-3515-1にSCP-3515-JPを使用させ、行動を観察する。1日経過した時点でCtrlキーと十字キーを組み合わせたコマンドにより各方向の最端へ移動できる旨を伝え、実行させる。
結果: Ctrl+(↑、←、→)コマンドの実行では異常は見られなかった。一方、Ctrl+↓コマンドを実行した直後にSCP-3515-JPは異常終了し、D-3515-1は恐慌状態に陥った。D-3515-1が室内で暴れ負傷したため職員による拘束が試みられ、その際D-3515-1は暴力的に職員らへ抵抗した。拘束後に記憶処理剤や鎮静剤の投与が行われたが、SCP-3515-JPによる異常興奮の除去および対話には成功しなかった。脳波測定や血液検査等の調査が実施されたが、有意な異常は検出されなかった。1週間の経過観察後、D-3515-1は回復の見込みが見られなかったため終了された。
後記: Ctrl+↓の実行によって操作者が発狂する理屈が不明なため、異なる方法での観察が必要と考えられる。拘束後のD-3515-1に明確な異常が検出されないことから、何かがあるのはCtrl+↓を行ったその瞬間だろう。──寺見
実験記録3515-JP.4
対象者: D-3515-2
内容: D-3515-2にSCP-3515-JP上でCtrl+↓コマンドを実行させる。その際に発生する異常を、ハイスピードカメラ、カント計数機(KC)、ハルトマン霊体撮影機(HEC)、脳内映像ビジュアライザ(BIV)などの複数の測定器を利用し検出を試みる。
結果: コマンド実行後、すぐさまD-3515-2は恐慌状態に陥った。実験室内の空間的な異常は検出されなかった。一方で、BIVのみコマンド実行と同時に異常終了し、その後の調査で脳波検出センサの破損が確認された。BIVに使用されていた1TBメモリも同様に破損しており、復元後に残り容量がなくなっていることが報告された。メモリ内の記録は連続した映像データであり、コマンドを実行した短時間とは一致しない長時間(約124日分)だった。記録上限を大幅に超えるデータが瞬時に保存されたためメモリが破損したと推測されている。
後記: Ctrl+↓を押した瞬間に対象者のみ、我々外部の観測者が認識できないほどの長い時間を感じているか、何かしらのメカニズムによって実際に経験しているのかもしれない。少なくとも、今回得られたBIV映像は視覚情報カットフィルタを使用していないため、D-3515-2が実際に見ていたものである。124日かそれ以上の時間を、D-3515-2は実時間として認識していたと推測される。
AI解析で判明したことだが、得られた映像には瞬きもなければ眼球の微動すらも一切ない。映像自体もぶつ切りで終了し、最下部と思われる画面への到達がなされないまま記録が途絶している。この事実は、コマンド実行者があるかもわからない「Excelの穴の底」に到達するまで、動くことも声を出すこともできず、異常な画面がゆっくりスクロールされ続ける様をただひたすら見せられている可能性を示している。──寺見
実験記録3515-JP.4におけるBIV出力映像(3515-JP_4.bivd)の画面部分のスクリーンショット(鮮明化処理済)



