アイテム番号: SCP-3531
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3531はサイト-38の飛行機格納庫に保管されます。実験はサイト管理官の裁量で実施されます。
説明: SCP-3531はボーイング737旅客機です。SCP-3531は外装、内装ともに大きな特徴は無く、飛行時以外では異常性はありません。しかし、飛行中にSCP-3531内で残された写真、ビデオ、および音声記録には、水生生物に基づく異常現象や、機内で客室乗務員として振る舞う数体の人型実体の姿が見られます。これにもかかわらず、乗客は異常現象を意識していないか、異常現象へのコメントを避け、主張を全て否定し、大抵の場合はビデオ証拠を信じようとしません。
補遺: 実験ログ
SCP-3531の回収から間もなく、一連の実験が実施されました。最後の実験は以下のログに起こされています。
ビデオログ
日付: 2017年9月7日
付記: 複数のDクラス職員をSCP-3531に待機させました。D-1442には当ビデオログを記録に残す目的で防水カメラが渡されました。当時はエージェント・クルカルニがSCP-3531を操縦していました。
<ログ開始>
0:00: D-1442が左端の窓側の席で記録を開始する。SCP-3531が離陸する。機内装置が起動し、メッセージが流れる。
どうも皆さん、キングフィッシャー航空のフライトにようこそ! 私がパイロットです。無事離陸しましたので、シートベルトをお外しください。こちらの仕事が少しばかり楽になるでしょう?
D-1442が促されるままシートベルトを外す。
2:23: D-1442が右にパンする。小さな水の波が床を伝い、通路中に海藻が堆積する。
3:03: カメラが激しく揺れる。D-1442が乱気流について不平をつぶやく。カメラが窓に素早くパンする。無限に上方に伸びた大量のワイヤーがSCP-3531の両翼に絡まっている。
9:52: 2人の客室乗務員が映像に映る。片方がD-1442にワームの缶詰を勧め、D-1442が受け取る。D-1442が口の中にワームを1匹ずつ入れて食べ始める。
10:03: 客室乗務員らが通路を歩いて引き返す。前述の海藻が蓄積し、通路を完全に覆っている。
12:01: 1人の客室乗務員が機内中で何人もの搭乗者をエスコートする姿が見られる。乗務員にはワイヤーが巻かれており、両手が釣り針に置き換わっている。D-1442が弁明として、前述の搭乗者とは血縁関係にあると虚偽の表明をする。
15:03: SCP-3531が激しく揺れる。D-1442が慌てて窓の方に向く。窓の外にはデンキウナギが多数存在し、雲の中を出たり入ったりしている。高速で移動する雲が水の波や雷の閃光を放出し、SCP-3531内で激しい揺れを引き起こす。D-1442がぎこちなく笑い、雷雨に関する冗談を言う。
15:14: D-1442がワームの缶詰を完食する。
16:01: 1匹のウナギがSCP-3531の窓を突き破り、D-1442の膝の上でもがく。D-1442はこれに気づいていないように見受けられる。ウナギがもがき続けていると、水の波がSCP-3531に衝突して内部が浸水する。水がカメラと同じ高さに達すると、D-1442が水を吸い込もうとしたためにカメラが激しく揺れ、窒息するようなノイズが聞こえる。D-1442は止まらず、代わりに水を吸い込み続け、間もなく気を失う。
16:35: カメラがD-1442の手を離れる。恐らくはD-1442が手放した後、カメラは浮上し、やがて搭乗者の腕に当たって向きが変わると、浮かんだD-1442の身体が見えるようになる。ほとんどの搭乗者の身体には前述の海藻が生えているように見受けられる。カメラは浮力を保ったまま天井にぶつかっている。
17:12: エージェント・クルカルニが映像に映る。この時のクルカルニは取り込める空気が存在しないことによる影響を受けていないように見受けられる。クルカルニが少しの間震えた後に卒倒すると、頭を上げて顎を外し、口から大きな釣り針を数本射出する。これらの釣り針はクルカルニから生じていると思われる釣り用ワイヤーに接続されている。釣り針がひとりでに動き、搭乗した全職員を突き刺す。釣り針の中には複数の職員を突き刺しているものもある。クルカルニが乗客を連れて映像外に引きずられる。
18:38: 機内装置が起動する。短い空電が割り込み、メッセージが流れる。
キングフィッシャーにご搭乗いただきありがとうございました!
<ログ終了>
着陸したSCP-3531にビデオ映像で映された損傷は存在しませんでした。SCP-3531の座席周辺には様々な種の魚が何匹も散らばっていました。SCP-3531に搭乗した職員は一人も発見されませんでした。カメラはD-1442の座席から回収されました。
回収: SCP-3531は機動部隊ラムダ-4 ("野鳥観察") によるブラックボックス記録の定期検査後に発見されました。記録では、認識災害効果を示す以下のメッセージが機内装置から流されていました。
オーケイ、そちらにちょっとした提案があります。
キングフィッシャーが最高のものしか望んでいないのは知っています。なので、最高のものを見つけたという私の言葉を信じるべきですよ。ある小さな宇宙の小さな星、その至る所で、私は美しいものを見つけました。名を人間と言います。そちらもきっと気にいることでしょう。その両手は美しく、指が4本ある — 向かい合わせにある親指を除いても4本あるのです。強靭で動きもしなやかな脚に、大変肉付きのよい胴体、私を信頼してください。全てを兼ね備えているのです。誰もが欲しがるでしょう。
問題があるだろうって? そうですね、彼らの倫理感が標準以下なのは確かです。ですがここだけの話、誰も気づかないと思いますよ。