SCP-3533-JP
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初めてSCP-3533-JPが確認された収容サイト-81US(毒物の貯蔵施設として偽装されています)

アイテム番号: SCP-3533-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 収容チームにより考案された対策手順が実行されています。影響下にある収容サイトの警戒態勢を維持してください。

説明: SCP-3533-JPは特定の条件を満たした収容サイトに所属する、すべての財団職員を対象に発生する異常現象です。SCP-3533-JPは常に1つのサイトに継続して発生し、同時に複数のサイトで発生した例は確認されていません。職員の死亡や、該当オブジェクトの性質変化・収容違反などで条件を満たさなくなった場合、別のランダムな収容サイトに影響範囲が移行します。条件は下記の通りです。

  • 所属する職員が20名以上。
  • 既知または潜在的な異常性の影響範囲が局地的であり、収容違反した場合でも一般大衆に対しての隠蔽が比較的容易かつ、活性化時に周囲の人間を殺傷する危険性、またはそれと同程度の影響を与える可能性を有したオブジェクトが1つ以上収容されている
  • 既知または潜在的な異常性の影響範囲が広範囲であり、収容違反し影響が拡散した場合の隠蔽が困難かつ、活性化時にほぼ即時に複数の人間に対して激しい影響をもたらす危険性を有しており、物理的な対処のみでは鎮圧が不可能なオブジェクトが収容されていない

SCP-3533-JPの影響下にある状態で、SCP-3533-JPによるものと考えられる異常現象を報告した財団職員はこれまでの全ての例で報告から24時間以内に死亡しています。遭遇しても報告を行わなかった場合は死亡しないと考えられていますが、現時点では断定できていません。死亡の理由の殆どが影響下にある収容サイトで発生した収容違反に起因していますが、SCP-3533-JPとの因果関係は不明です。


事案-3533-JP-1: 1980/08/11、収容サイト-81USに所属していた約90%の職員から、異常現象への遭遇報告が同日に行われました。以下は報告内容の一部抜粋です。

報告者 報告された異常現象
古澤 朋之 交際していた女性が作成した弁当箱の中身が、自身が購入を検討していた結婚指輪を装着した状態で切断されている自身の左手に置き換わっていた。確認から数秒後、左手は消失し元の中身が再出現した。
山口 しおり 所有している陶器製の皿、ガラス製のコップなどの食器などが一つ残らず突然割れた。

最初の報告が行われてから約8時間後、サイト-81USに収容されていたSCP-████-JP-Aが脱走し、バイオハザードが発生。SCP-3533-JPによる異常現象の報告を行った全ての職員が死亡しました。


事案-3533-JP-2: サイト-81USの事案で生存した職員が不自然な形で死亡しました。以下は報告された内容です。

報告者 報告された異常現象
三宅 鷹 自室に血まみれの黒猫の姿の生物実体が出現。確認から数秒後、実体は完全に消失。見間違いと認識し報告を行っていなかった。 報告から約1分後、頭部が突如破裂し死亡。解剖の結果からSCP-████-JP-Aの幼体が頭部で急速に成長し、体外へ出た場合の状況と酷似している事が報告された。捜索が行われたが、SCP-████-JP-Aの幼体は確認されなかった。
佐藤 瑞子 異常現象に遭遇していた事は示唆していたが、詳細は不明。目の前で三宅氏が死亡した状況から、SCP-3533-JPが存在する可能性を提唱。発言中、三宅氏と同様の状況で死亡。

この事案から、SCP-3533-JPに対しての詳細な調査および収容方法の検討、各支部との情報共有と長期的な警戒が行われる事になりました。


SCP-3533-JPと思われる事例が確認された際は、詳細な調査結果を追記してください。


(以下、事案3533-JP-3〜37の記録は省略されています。各事案の詳細はこちらを参照してください。)


補遺1: 事案-3533-JP-2の発生以降、世界中のサイトで定期的にSCP-3533-JPの存在が確認されています。継続的な調査の結果、下記の性質が判明しました。

  • 発生条件

現時点でSCP-3533-JPの影響下では収容違反が発生しているにも関わらず殆どのケースで早期の鎮圧に成功しており、死亡した職員も比較的補填が容易な範囲に収まっているであるため、致命的な問題が発生していませんでした。この事から、分析チームによって意図的な収容オブジェクトの変更や所属職員の変動テストが行われ、条件が判明しました。1なお、全支部を含める収容違反事案の発生数などはSCP-3533-JPの確認以降、不自然な増加も減少もしていない事が確認されています。また収容違反の原因も、異常性が関連しない複合的な要因が重なったために発生したものであり、SCP-3533-JPが収容違反を引き起こしているという仮説は証明されていません。


  • 情報拡散性と記憶処理への耐性

情報操作が行われている筈のDクラス職員も、SCP-3533-JPについての情報を有していた事から判明しました。この事から職員が無自覚に情報を拡散してしまう性質が確認され、記憶処理の影響を一部無効化している事が判明しました。複数のカバーストーリーを財団内部に流布する対応を行ったものの、Dクラス職員とセキュリティクリアランスが高い職員を中心に自身が死亡するのを恐れ、遭遇報告が遅れた例も確認されています。2


SCP-3533-JPの封じ込め手段は確立できておらず、収容違反事案の発生自体の抑止にも失敗しています。また、遭遇した異常現象が、SCP-3533-JPとは関連しない全く別の異常現象であったケースも多く、SCP-3533-JPの正確な性質を周知し報告を行わせないようにする対応はリスクが大きすぎると結論付けられています。


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自殺した████研究員と同じオブジェクトを担当していた、エージェント████の後頭部。生命活動があるため記録上、死亡済み扱いはされていない。

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別の変異例。急激な形状変化による破裂で臓器や脳が露出しているが、現在も問題なく生存し続けているため記録上、死亡済み扱いはされていない。


補遺2: SCP-3533-JPによる異常現象を報告後、収容違反したオブジェクトの影響を受けたものの、死亡せず肉体の形状変化や変異に留まっている例は以前から報告されていました。事案-3533-JP-33では、SCP-3533-JPによる異常現象に遭遇したものの、報告後の変異を恐れて████研究員が自殺する例が確認されました。

これ以降に報告された事案では、SCP-3533-JPによる異常現象を報告した場合でも死亡せず、奇跡的な状況で全員が生還しています。現在、分析チームにより性質変化の詳細な調査が行われています。十分な調査が完了するまでの間、暫定的に下記の特別収容プロトコルに更新されました。

特別収容プロトコル: SCP-3533-JPの発生条件を満たしている収容サイトに所属する全職員は、SCP-3533-JPに対する正確な情報を有している必要があります。定期的に情報共有を行いSCP-3533-JPの発生に備えてください。SCP-3533-JPの現象に遭遇したと思われる職員は、誰にも報告を行わずに指定の職員に休職の連絡を行った後、その場で待機し異常現象の発生を警戒してください。

連絡を受ける職員は、SCP-3533-JPの発生条件を満たしていない収容サイトに所属し、SCP-3533-JPについての情報を一切有していない事が必要になります。連絡を受けた場合、可能な限り不足した人員の補充に務めてください。


現時点までSCP-3533-JPが関与した事例で死亡者は出ておらず、上記プロトコルは一定の成果を得ていると評価されています。


    • _

    補遺3: 新たに確認された事案3533-JP-38において、知能や発話能力を持つ複数のオブジェクトから一斉に未知の異常現象に遭遇したとの報告がありました。以下は、報告された内容の一部抜粋です。

    報告された異常現象
    強力な現実改変能力と予知能力を持つ生物実体から、未来が急に見えなくなったとの報告があがる。
    水槽内にて収容されているオブジェクトから、水槽のガラスが何度交換してもすぐにヒビが入るとの報告があがる。
    周囲から不穏な曲調の音楽が流れ始める。

    この報告を受け、分析チームよりSCP-3533-JPは下記のような性質を持つ可能性が示されました。

    • 創作における、登場人物の生死を暗示する演出への類似性

    当初SCP-3533-JPは単に、影響者の死を暗示する現象だと考えられてきました。しかし、人類全体を脅かすようなオブジェクトに関与しない性質、遭遇報告が行われるまで影響者を死亡させない性質、情報拡散を引き起こす性質からSCP-3533-JPは認識され続ける事が目的であり、どのように認識されるかで影響者の生死に大きく作用する異常性があると考えられます。

    現在まで 『SCP-3533-JPについて報告すると死亡する』 という形で認識していましたが、事案-3533-JP-33での████研究員の自殺により、 『報告の有無に関係なくSCP-3533-JPに遭遇したせいで死亡した』 と多くの職員により強く認識されることになりました。その状況下では逆となる 『SCP-3533-JPについて報告すると生還できる』 といった性質に変化しました。

    また、今回は 『SCP-3533-JPは安全に封じ込めが出来ている』 と認識され始めたタイミングで再び性質変化が発生しました。これは、映画や小説などで登場人物が特定の行動・発言をしていたために死亡が暗示されるという「死亡フラグ」と呼ばれる概念に類似しています。「死亡フラグ」は観客がそれらの演出や描写を読み取った事を利用し、あえて裏切る事でより劇的に演出する事もあります。

    この事から、SCP-3533-JPも同様に何かの前兆や前触れであるような現象でありながらも、「常に予測不可能であろうとする」性質を持つ可能性が考えられます。

    遭遇報告があった収容サイト-81OMでは多数のオブジェクトが収容されています。最大限に警戒を行ってください。


      • _

      補遺4: 事案3533-JP-38が発生した収容サイト-81OMで、収容違反が発生しました。詳細は現在調査中ですが、SCP-3533-JPを報告した職員の内、死亡した職員は約10%に留まりました。SCP-3533-JPが影響した事例の中では最も正常に近い状況であると考えられます。

      これは、分析チームから提言された内容を受け、即日に収容チームが考案・実施した対策が効果を発揮した可能性があり、今後の特別収容プロトコルに導入が検討されています。

      • 収容チームから提出された文書抜粋

      SCP-3533-JPの性質が職員に対して発生する『死亡フラグ』であるならば、予測不可能であろうとする性質を有している事も含め完璧な制御は不可能であると考えられます。死亡フラグの陳腐化を防ぐために、一時的に『生存フラグ』に変化していたとしても、いずれ再び『死亡フラグ』に変化する事が予想されます。

      死亡者を単に出さないだけならば、報告しなければいいという意見もありましたが、いつ性質変化が起こるか分からないため得策とは言えません。また、発見したSCP-3533-JPという異常現象を見て見ぬふりすることになり、財団の理念に反する形になります。

      ただし、『死亡フラグ』であるならば、「誰が死亡するか予測不可能であろうとする性質」を維持したまま死亡者をなるべく少なく誘導する事が出来る可能性があります。


      対策1: 影響者全員に家族や交際している人物などに対しての遺書の作成と共に、未来の展望の話をしたり、何らかの後日の約束をするよう指示する。

      狙い: SCP-3533-JPは職員の意識によって性質が変化するため、性質変化が起こらないように死への恐怖を維持したまま、より強く死ぬわけにはいかないという意識を強める。また、報告しないで助かろうとする職員の抑止であると共に、『死亡フラグ』を複数立てる事で、逆に『生存フラグ』に転じる。


      対策2: 影響者全員に現時点で起こり得る収容違反事案の予測レポートを、違反発生後に自分がいかに生存したか、具体的にどのような手段で事態を収束させたか、新しくどのような特別収容プロトコルを実施するか、と言うような形で提出させる。対策手順を実行した場合の結果予測を、報告書内にも同様の表現で表示する。

      狙い: 発生しうる事象の予測と共有・対応力の強化と共に、『後日談』を語っているという創作における『生存が確定している状況』に近づける事で、死亡のリスクを抑制する。

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