SCP-3534
rating: +14+x
x2.gif

SCP-3534の異常効果を活性化させるのに必要な5種類の碑銘の1つ。

アイテム番号: SCP-3534

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-3534の関連情報を含む全ての文書は、解体された大日本帝国異常事例調査局の研究所から回収され、研究収容サイト-110の高優先度保管ロッカーに収容されています。

SCP-3534-1実例の作成はレベル-4承認によってのみ許可されます。全てのSCP-3534-1実例は研究収容サイト-110のドッキングベイに保管されます。

SCP-3534-2の探査は、研究収容サイト-110職員の裁量と監督の下に実施されます。機動部隊ガンマ-6(“大食らい”)がSCP-3534-2への全ての直接探査を担当します。これらの承認された探索以外でSCP-3534-1実例は作成されません。

SCP-3534を含む文書は未だに日本国内で製造されているため、機動部隊ガンマ-5(“燻製ニシンの虚偽”)隊員を日本の全ての主要都市に展開し、承認されていないSCP-3534文書製造を調査します1。SCP-3534の要素を文書化した全ての人物は財団の拘留下に置いて尋問します。対象の調査が終了した後、Cクラス(選択的逆行性健忘)記憶処理2が施されます。

基準となるベースライン現実世界へのSCP-3534-3個体の出現は、MH-クラス(“大規模侵略攻勢”)シナリオ3の前兆と見做されます。SCP-3534-3個体が研究収容サイト-110の付近に出現した場合、サイト-110のフェイルセーフ核装置が直ちに起動されます。その後、全SCP-3534-3個体の終了を確認するために、機動部隊イータ-5(“イェーガーボマー”)が次元サイト-172からサイト-110の跡地に展開されます。

SCP-3534-3個体がフェイルセーフ措置から生還するか、ベースライン現実とSCP-3534-2の間に空間重複が発生した場合、1992年ハイ・ブラジル国際安全保障協定4の第一章 第一条が即時行使されます。全ての財団資産はMH-クラスシナリオの発生に備えます。

説明: SCP-3534は大日本帝国異常事例調査局(IJAMEA)によって作られた一連の碑文です。SCP-3534を内部に彫り込まれた水上車両は、原寸大かつ機能性がある甲標的潜航艇5に改変されます(以下SCP-3534-1と指定)。SCP-3534の異常性の除去は、全5種の碑銘を通して単一の裂傷を付けることで達成可能です。

SCP-3534-1実例は識別標識と内装の観点において一貫しています。SCP-3534-1実例の外装部には“研究船舶”6という語句を添えたIJAMEAのロゴがあります。実例には1994年時点で開発されていたレーダー技術、潜水服、食料と水の供給が配備されています。

sub.jpg

承認された探査の準備を整えている、財団職員が操縦中のSCP-3534-1実例。

SCP-3534-1の異常性は水中に入ると発現します。不特定な潜水後の一時点で、SCP-3534-1実例はその周囲にある未知の原点に由来する、水の濁度の大幅な上昇によって覆い隠されます。不明瞭になった実例はSCP-3534-2と指定される異次元空間に転送されます。

SCP-3534-2はベースライン現実と著しく似通った並行世界です — 主な違いとして、SCP-3534-2の平均海水面は約500m上昇しています。これは1993年頃に始まった緩やかな変化のようです。この水量増加の原因は特定されていませんが、基礎的な奇跡論的解析では、SCP-3534-2内のSCP-3534-3生息数に関連している可能性が示唆されています。

SCP-3534-3は、SCP-3534-2内でMH-クラスシナリオと同様の事象を引き起こしたと考えられる大規模侵略者です。SCP-3534-3個体は(UAE-Brasil-78に酷似した)爬虫類および水棲頭足類の特徴を示し、身長は5m~300mです。SCP-3534-3個体はあらゆる生物に対して敵対的であり、直接的な理由なくお互いに交戦する様子が度々観察されています。全ての個体は、殆どの異次元実体を上回るレベルの第六生命エネルギーアキヴァ放射線を放出することが注目されています。

現在の推計では、50万匹以上のSCP-3534-3個体がSCP-3534-2に生息しています。SCP-3534-3の存在に加え、クジラ目(Cetacea)とヒトデ類(Asteroidea)の生息数も、ベースライン現実と比較して顕著に増加しています。この生息数増加の理由は不明です。

回収:SCP-3534は日本国内のIJAMEA下部組織の活動に活発化が確認された時に発見されました。機動部隊デルタ-5(“フロントランナー”)がかつてのIJAMEA作戦基地と研究所を調査するために派遣されました。

機動部隊デルタ-5が最大規模の作戦基地跡地に到着した際、問題の施設は未だ機能しており、複数のIJAMEA職員が駐留していたことが発覚しました。全てのIJAMEA職員は捕縛され、無期限の拘留下に置かれています。

拘留された中で最も特筆すべきは、IJAMEAにおいて非常に重要な役職に就いていると主張する人物、服部道真はっとり みちざねでした。道真は自らの身分や現時点におけるIJAMEAの目標に関わる情報の更なる開示を拒否しました。

以下は、基地内に設けられた服部道真のオフィスで回収された覚え書きです。

今此処には居ない石田いしだ

1995年10月31日

荒ぶる天使改め魔獣は、水満ちた携挙の世界から我々の世界に墜ちてきた。神秘の島ハイ・ブラジルは攻撃を受けた。

魔獣は理由があったからこそ暴れたのだが、それは唆されたわけではなく、理由自体もまた正当な根拠のない物だった。あの魔獣は我々を振り出しに戻す必要があると信じていた。星の輝く側に改宗するのに十分な時間が、我々には既に与えられたはずだと。彼を取り巻く他の天使たちはその主張を疑い、彼を携挙の世界から追放した。だから彼は我々の領域へ落ち延びたのだ。

我々の領域で、魔獣は孤独に計画を練った。この脆い領域に留まっている間も、己の追放を招いた考えを保ち続け、自分だけで裁きの日をもたらすつもりだった。それはあの島の破滅に繋がるはずだった。

だからこそハイ・ブラジルは攻撃された。何千人もの人々が荒ぶる天使改め魔獣の手で虐殺された。島民の少なからぬ割合を科学とオカルト知識の追究者たちが占めていた。荒ぶる天使改め魔獣は結局科学者たちの手で倒されたが、それまでに貴重な人命が多く失われた。

荒ぶる天使改め魔獣が我々の領域へどのように失墜したかを巡って、人類の好奇心は膨らんだ。魔獣の由来は絶えず変化する上辺に包み隠されていて、人類はその生まれ故郷の仮面をなかなか引き剥がすことができなかった。我々日本もまた好奇心に憑り付かれた。ただ幾らか無知ではなかったというだけの話だ。

こうして、彼らは地の底にある携挙への道を切り開いた。だが救済への道のりは己の手で掴み取らねばならなかった。盗んではならないものだった。

彼らは天使たちの怒りを買い、こうして天使たちは荒ぶる天使改め魔獣の意見に同調し始めた。彼らは我々の領域を、海の水と地に満ちる天使たちで溢れさせ、全てをやり直そうと脅かし始めた。なまじ荒ぶる天使改め魔獣を殺していたがために、人類は天使たちが示す強大な力を見ても尚、信じようとしなかった。

人類は天使たちの警告に聞く耳を持たなかった。彼らは約束通り、我々の世界に入り、惨事をもたらした。

私の弟よ… 大オカルト戦争では私と肩を並べて働いていた。我々も天使たちが何処から来たかを突き止めるための実験を開始したが、日本は他国ほどの成功を収めなかった。我々は天使たちが今再誕を行っている次元への入口を発見したが、こうして我々の好奇心にも破滅が降りかかった。

我々は天使たちが新しい世界を創り直し始めるのをただ見ていた。彼らは大地を雄大に泳ぎ、母なる海と共に、逆らう波の一つも立てず動いていた。弟と私は甲標的艦のガラス越しに、天使たちがまた別な存在の連鎖を創造するのを見守っていた。

正にその時、弟は私の腕の中から奪い去られたのだ。

彼を見つけるために戻らねばならない。我々が探索した世界は天国などではない。私の弟は断じて携挙の世界になど居ない。私には弟の助けを呼ぶ声が聞こえる。

恐れるな石田、今に行く。私は天使たちの移動手段の知識を広め、お前を故郷に連れ戻す。

日本に栄光あれ。

道真はこの文書に関する詳細の開示を拒絶しています。

探査3534-L4:

以下は、機動部隊ガンマ-6(“大食らい”)の隊員による、承認を受けたSCP-3534-2探査の転写です。

[記録開始]

司令部: ガンマ-6、こちら司令部。聞こえているか。

アングラー: 感度良好。

ベタ: 聞こえます。

カープ: 大丈夫だ。

司令部: ハッチを閉じて潜水の準備を。

ベタ: 了解。

隊員たちはSCP-3534-1上部のハッチを閉鎖する。彼らは潜水に必要とされる水深の場所まで前進する。

アングラー: 用意が整いました、司令部。

司令部: 了解。潜水まで3、2、1。

SCP-3534-1は完全に海面下に沈み、そのまま水深~20mまで潜航する。

カープ: およそ水深20mまで来た、司令部。“ -2 ”ダッシュ・トゥーへ移動する許可を求む。

司令部: 君たちさえ良ければいつでも、ガンマ-6。

短い沈黙の後、SCP-3534-1は水深30mまで潜航し、異常効果を活性化させる。通常通り、視界が曇った後、ガンマ-6はSCP-3534-2に転送される。

アングラー: 現在転送中です、司令部。

司令部: 了解。到着したら報告してくれ、ガンマ-6。

SCP-3534-1は完全にSCP-3534-2に入る。

アングラー: 司令部、ダッシュ・トゥーに到着しました。

司令部: 君たちの裁量で行動してくれ。ただしヘルメットカメラを起動したまま、60秒ごとに報告するように。

アングラー: 了解しました、司令部。

ベタ: 皆、注意を。すぐそこに1匹います。

1匹のSCP-3534-3個体がSCP-3534-1の窓から見える。個体は潜水艇から約50m離れている。

ベタ: どこかに行ってくれますかね?

カープ: 照明を消そう。

アングラー: ああ、そうしてくれ。

カープは全ての内部照明を消灯する。SCP-3534-3個体は一瞬だけ潜水艇の方向に目を向けたようだが、向きを変えて泳ぎ去る。

カープ: 司令部、ここに居るだけでも2秒でダッシュ・スリーから気付かれる。探索には予想より時間が掛かりそうだ。

司令部: 潜水艇には食料があり、また動力には制限が無いことを改めて伝えておく。

ベタ: 了解。

ガンマ-6は海底まで潜航し、水没した未特定の都市の廃墟へと入る。ガンマ-6は荒れ果てた通りの間を航行し始める。時折、SCP-3534-3個体が頭上を通り過ぎてゆく。

司令部: ガンマ-6、報告を。

アングラー: 今のところ、変わった事はありません。ワニイカと廃屋だけは沢山あります。

司令部: 了解。

ガンマ-6は海底を航行し続ける。ベタが異常な物に気付くまで、道中に特筆すべき点無し。

ベタ: ねぇ、A、あれ見ました?

アングラー: 何を見— おっと。ああ。ああ、見えるとも。

カープ: ありゃ一体何だ?

アングラー: 分からない。

司令部: ガンマ-6、何が見えている?

ベタ: 過剰反応だったかもしれません。気泡のように見えます。

アングラー: こんな深海に?

カープ: あれは… ただその場に漂ってる。もし気泡なら上昇するはずだ。

アングラー: じゃあ、あれは何だ?

カープ: 俺に聞かれたって困るね、A。

ベタ: 司令部、異常物調査のためにダッシュ・ワンから外部に出る許可を求めます。

司令部: 許可する。もう1人の隊員を同伴してくれ。

アングラー: 私がBと一緒に行こう。

カープ: よおぉーし、そうなると俺がここで留守番だな。

アングラー: 是非ともそうしてくれ。

アングラーとベタは約15分かけて、SCP-3534-1内の潜水服を着用し、水中探査の準備を整える。SCP-3534-2に通じる人口エアロックが開いているため、水の流入音が聞こえる。

アングラー: 司令部、これより退出する。

司令部: 了解した。

ベタ: クソ、冷たいな。

アングラー: クソ忌々しい火吹きクラーケンの棲み処にしては、特に低温だ。

ベタ: でもあいつら冷血動物ですよね?

アングラー: 知らん。そうなのか?

司令部: 任務に集中するように、ガンマ-6。異常物に向かってくれ。

アングラー: 了解。前進します。

アングラーとベタは何事もなく異常物に接近する。見える範囲にSCP-3534-3個体の姿は無い。

ベタ: 中に何か入ってます、A。

アングラー: えっ?

ベタ: これは… テープ? 水中に?

カープ: まぁ、気泡の中に入ってんだから、きっと…

アングラー: 司令部、ちょっと手に取ってみる。

ベタ: A、多分上手くいかないと—

アングラーは素早く異常物内部に手を伸ばし、記録装置を回収する。液体に浸かっているにも拘らず、装置は乾燥状態を保つ。

ベタ: …何でもないです。

アングラー: 対象を入手した、司令部。

司令部: 了解。ダッシュ・ワンに戻りたまえ。

アングラー: 帰還します。

アングラーとベタはSCP-3534-1への帰途を進み続ける。1匹のSCP-3534-3個体が約500m先から隊員2名に接近しているのが見える。

ベタ: クソッ! クソクソクソクソクソ—

アングラー: 潜れ!

SCP-3534-3個体は両隊員への攻撃を試みるが、最初の一撃を外す。アングラーとベタはSCP-3534-1に向かって逃げようとするが、ベタが突然全ての動きを止め、手足を広げる。

ベタ: 御使いの住まいは天空にあらず、深淵の底にこそ在り。

アングラー: B、何を言ってるんだ? おい、行くぞ!

ベタ: 海星の腕が私を抱擁している。

アングラー: 畜生—

SCP-3534-3は円を描きながら両隊員に向かって戻ってくる。アングラーはベタの位置まで後ろ向きに泳ぎ、片腕を腰に巻き付けてSCP-3534-1へ戻ろうとする。

カープ: 早く! さっさと戻ってこい!

アングラー: ふざけるな、こっちがどれだけ—

この時点で、先ほどは見えていなかった別のSCP-3534-3個体が、両隊員に接近してくる様子が捉えられる。アングラーの呼吸ペースが大幅に早まり、ベタから手が離れる。これにも拘らず、アングラーはSCP-3534-1に向かって泳ぎ続けている。

アングラー: 本当にすまない、デイヴィッド…

最初のSCP-3534-3個体がベタを丸呑みする。その後、2番目のSCP-3534-3個体が最初の個体を攻撃し、2匹は格闘する。

アングラー: 嗚呼なんてことだ、どうしてこんな—

カープ: 急げってんだよ、A!

アングラーはようやくSCP-3534-1に辿り着き、搭乗する。カープは即座に浮上を開始する。ガンマ-6はSCP-3534に裂傷を付け、SCP-3534-1に損害を及ぼすことなくSCP-3534-2から逆転送される。

カープ: [荒い呼吸] あー、司令部、こちらは… 何とかなった。脱出に成功。

司令部: 死傷者は?

アングラー: あぁ、出たよ、司令部。デイヴィッドだ。

司令部: …残念だ。ドッキングエリアに帰還してくれ。


事後報告: 何故、彼が… 止まったのかは分からない。彼はあの間ずっと私を見ていた。ただ動くのを拒み、そして… あれはデイヴィッドではなかった。そんな筈はない。 — コードネーム“アングラー”


以下は、探査3534-L4で回収されたテープの転写です。

[記録開始]

…そこでプロジェクトを開始した。来る日も来る日も、夜明けから日没まで機械と取っ組み合った。生物の死骸は、その起源をもっと学びたいという俺たちの野心を煽り立てた。好奇心は決してあって悪い物じゃない。振り返ってみると、ハイ・ブラジル時代の俺はあんな化け物が再び姿を見せるとは考えてなかったはずだ。だが、この仕事からは不可能なんて存在しないと教わってきた。

筆舌に尽くしがたい日だった。奴が何処から来たのか誰も知らなかった。怪物は動く物なら何であれ殺す意図を込めて、慈悲の欠片も見せずに暴れ回った。ハイ・ブラジルはほぼ確実に、異常な事物との接点があったからこそ狙われたんだろう。世界中の何処が襲われても不思議じゃなかった。アフリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、アメリカ — それこそあらゆる場所にその可能性はあった。なのに奴は、地球人口の1%未満しかその存在を知らない島1つを選んだ。

…しかし無論、俺たちはただ奴の由来を知りたがるだけじゃない。発見する。それが人類史上における俺たちの役割だ。科学的な知識と、多元世界を蝕むアノマリーへの理解で、世界を進歩させる。そうして、ヴィシニ博士が主導するプロジェクト・[不明瞭]は始まった。プロジェクトの“真の”目的が何かについては誰一人として意見が一致しなかったが、表面的な目標は明白だった。例の化け物が何処から来たかを突き止めることだ。

このプロジェクトのおかげで、博士たちは、えー、“救済”に辿り着いた。救済が空の上じゃなくて海の底にあるなんて知らなかったよ。そこに入った後、一行はあのトカゲ怪獣の群れに取り囲まれた… それまで俺たちは、ハイ・ブラジルを襲った個体をデカいと思っていた。あそこにいた奴らは、こちらが把握できないほど背が高かった。だがハイ・ブラジルの時と違って、そいつらは大人しかった。救済された世界は全く大した光景だったよ、大人しい水棲怪獣がいるんだから尚更だ。研究者たちは歩き続けて…

五角形のような形状の大きな礼拝堂を見つけた。建物の中にも外にも、星が至る所に描かれていた。勿論、無知と好奇心に任せて、博士たちは中に入った。人類最大の過ちだ。

中には沢山の人々が、いや、ヒトの群れがいて、火を囲んで座りながら歌っていた。俺の意見では、あの歌はなかなか — ケッ、畜生め。今さらこんな事言っても助からないんだ。そいつらの歌はスピリチュアルなもので、礼拝堂にある種のオーラを投げかけていた。心を落ち着かせるようなオーラだったが、ヴィシニは救済の住民たちに自分なりの意見を披露するのが適切だと思ったらしい。

「お前らの音楽は最低のクソだ」 ヴィシニはそう言った。最初のうち、住民たちは笑って座るように促すだけだった。ヴィシニを知ってれば分かるだろうが、奴はそれを断り、それが住民たちを思った以上に苛立たせた。「全く、吐き気がするようなゴミだぜ」 奴はそうも言った。その途端、イカトカゲの1匹が身を屈めて研究者の1人を呑み込んだ。あの音楽は、とりわけ怪獣どもにとっては、神聖なものだった。何故か? 俺には分からない。分かるのは、そうと気付いた時には既に手遅れだったという事実だけだ。

俺たちが悪事を成したと告げるためだけに、彼らは救済の世界から降りて — いや、浮かび上がってきた。勿論、彼らに警告だけで手を打つ気は無かった。そんな単純な話じゃない、ましてや俺たちは神に向かって唾を吐いたんだ。彼らは、俺たちの唯一の罪は無知であったと結論付け、それを正す時間を与えた。猶予は7日だった。今はもう2日しかない。

彼らは約束通りの行動を起こすだろうという強い予感がするんだ。宣言通りの神罰が下る予感はもっと強い — 人類はさっぱり気に掛けていないようだから。もしどういう訳かこれを聞いている人がいるなら、伝えたい事がある… 君があの“救済”に立ち入った時は、賢明な判断をしてくれ。それは君だけでなく、周囲のあらゆる人々の破滅を招くかもしれない。

1993年5月5日記録。アゴスティネリ博士より… おそらくこれが最後の記録になるだろう。

[記録終了]


注記: ベースライン現実において、ヴィシニ博士はネクサス-03に駐留していた財団の上級研究員であり、UAE-Brasil-78の起源を断定するための研究プロジェクトを提言した人物でした。このプロジェクトはO5評議会に却下されました。提言却下後の1990年、ヴィシニ博士はSCP-1982に再配属され、翌1991年に失踪が報告されました。

アゴスティネリ博士もまたネクサス-03に駐留していた次席研究員でしたが、事案-N03-78発生時に死亡しています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。