アイテム番号: SCP-355
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-355のすべての標本はサイト-19に設置した小型テラリウム内の土壌にある5m×5mの小区画で保存されています。この区画は種子の偶然の拡散を妨ぐために空気の動きが最小限となる状態を保ち、標準的な大気組成物#14を供給します。収容室内は薄暗い赤色灯で照らします。収容室への接近はFieswell博士の許可が必要であり、実験は彼の監督下で実行します。すべての職員に対し、内部での作業中は厚底の環境スーツの着用が義務付けられます。収容室の出入口にはエアロックと換気システムが設置され、種子の偶然の拡散を防ぎます。
説明: SCP-355は通常の芝生と肉眼では見分けのつかない未知の種の植物です。最も遺伝的に近い既知の植物はマホガニー属です。セルロースとバックミンスターフラーレン1の作る空洞の芯が各々の葉身の中心を通ってその垂直構造を保ち、そして葉々の葉脈は同様の芯で覆われます。結果として異常に柔軟性に欠け、葉の縁が軽量の木材や一部のプラスチックを貫くほどに鋭い芝生が形成されます。葉は光合成を行い、通常通りに大気中の栄養分を吸収します。根の部分は短い植物でありながら異常に深く伸びますが、その他の点では通常通りです。
また、SCP-355は低エネルギー環境で進化してきたと見られ、標準的な大気条件下では光合成速度が並外れて高まり、同時に繁殖サイクルも加速し、迅速な種子の産出と散布を行います(各サイクルが2週間おきにおよそ1回起こる)。この仮説は受動的な肉食性に裏付けを得ており、モウセンゴケ2またはコブラ・リリー3。アメリカのカリフォルニアなどに自生する食虫植物)と類似しています(栄養が少ない環境に自生する点も類似している)。十分に足を防御していない生物がSCP-355を踏むと密集した葉々が足を貫通し、少量の液体酸が分泌され、その後空洞の芯を通して体液が流れ出します。植物は突然の圧力に反応して葉の縁から一斉に鋭い裂片を展開し、犠牲者の脱出を困難にします。脱出の試みは大抵葉を根からむしる結果となり、切断された茎を通して継続的に体液を流出します。また、引き抜いたとしても確実に足へ深刻な裂傷を負うことになります。収容房内で種を保存するために、照明は特殊な成長パターンを妨害するレベルまで明るさを落とし、そして大気は正常な発達のために必要な栄養分で適切に飽和させています。
SCP-355はアルバータ州█████████に存在する、一般的で閑静な地元住宅に偽装された"カオス・インサージェンシー"の保管施設への侵入の際、偶然に発見されました。戦闘後の調査中、原因不明の数人の死亡者が住宅の前庭の上で発見され、体液を流出させながらゆっくりと消化されていました。近くには木の看板が立ててあり、大きな字で「芝生に立ち入らないでください」と書かれていました。植物によって覆われたエリアでは撒き散らされた肉塊が発見され、土壌の一区画を運び出した後に残るエリアの植物は根絶されました。この施設とその後の"カオスの反乱"施設における衝突において、SCP-355は酸素中毒、高温の炎、反有機酸、またある時は徴発した様々な有蹄類の家畜による破壊に成功しています。SCP-355は腐敗した肉、除草剤の噴霧、または汚染された土壌などの[データ抹消]を含む毒素の影響をほとんど受けないと見られています。
メモ: SCP-355は"カオス・インサージェンシー"の分派の際に財団から盗まれたSCPではなく、したがって"カオス・インサージェンシー"がその後に確保したものです。その起源は不明ですが、[編集済]4の際に押収された文書においては、SCP-CI-1035から生成された幾つかのオブジェクトのうちの1つであるという可能性が示唆されています。