時刻: 地球 UTC 0427
日時: 2016年03月18日
全財団サイトへ警告 - コードレベル赤 - 最高優先度
確実なCKクラスシナリオが検出 - 蓋然性 99.99%
異次元サイト記録と財団サイト記録の間に67億3828万1472個の不一致が検出
予測されるCKクラスイベントの重大性は完全な現実不全
全財団サイトは即時の無期限封鎖をせよ
装置稼働状況:適切
時刻: 地球 UTC 0445
日時: 2016年03月18日
現在のサイト状況
サイト-01: 封鎖 - 安全
サイト-02: 封鎖 - 安全
サイト-03: 封鎖 - 安全
サイト-04: 反応無し - 喪失と推定
サイト-06: 封鎖 - 安全
サイト-07: 封鎖 - 安全
サイト-08: 部分的封鎖 - 安全でない
サイト-09: 封鎖 - 安全
サイト-10: 封鎖 - 安全
すべてのメッセージを開く
時刻: 地球 UTC 0511
日時: 2016年03月18日
全サイトへの通達 - O5-6による更新
黒き月は吠えている。今もそこにあると。
全体封鎖の終了を宣告する。
45分前に送られた警告は単なる誤報あるいは機械の故障であると判明した。現時点ではいかなるCKクラスシナリオの兆候も見当たらない。現実は安全である。通常通りに業務を継続し、今後の更新に備えよ。
- O5-6 承認された監督官アカウント
From: O5-6 To: O5評議会 件名: re:何が起きた? 日付: 2016年03月26日
皆、誤報の件をカバーストーリーだと思い込んでいるようだ。それは構わない。今まさに必要なのは何が起きたか理解することだ。
ヨーラスYolasの報告が終わった。検出されたCKクラスシナリオについての彼女の最初の文書、及び、彼女のEメールを君たちに送信済みだ。24時間以内に彼女が作成した特別収容プロトコルについて投票を行い、そのオブジェクトクラスを決める予定になっている。
展開された添付ファイル1 - 事前準備3557.scp
アイテム番号: SCP-3557
オブジェクトクラス: 未定1
特別収容プロトコル: どのようなSCP-3557の収容プロトコルでも、より信頼できる正確な基底現実測定装置の設計と製作に焦点を当てなくてはなりません。既にイベントが発生し完了しているため、SCP-3557自体についての直接収容は不可能です。今後の類似のイベントを阻止することは、標準的なCKクラス再構築シナリオプロトコルに該当します。
CKクラス再構築シナリオプロトコル要約2
CKクラス再構築シナリオに関する今までの証拠は、認識が容易な原因を欠いている場合、阻止が不可能かもしれないと示しています。このようなシナリオについての最良の行動は、そのようなイベントを検出可能な装置、並びに、比較の為の複数の予備のデータベースを、CKクラス再構築シナリオイベントの効果の理論的範囲外の所在地に設置することだと考えられます。CKクラスイベントの後、これらの所在地の職員は必ず、起こり得た改変を還元するメソドロジーを研究し、それに失敗した場合は新たな現実へと統合しなくてはなりません。
マークII-CKクラスシナリオ検出器CK-Class Scenario Detectors, CSDの設計と厳密な試験の為に、300万ドルが現実改変部門に割り当てられます。これらの新たな機器は、あらゆる潜在的な現実改変を検出する為に、より広範な種類の様々なメカニズムを活用すべきです。3 現実改変部門の職員は、小規模な局地的再構築イベントを発生させて、これらのマークII-CSDを試験しなければなりません。
すべてのマークII-CSDが製作され厳密に試験された後、それらは現実改変部門の現実錨設置ガイドラインに適う全位置に設置されます。4 マークII-CSD一つあたりの総コストによって、これは1000万ドルないし7500万ドルの費用を要すると見込まれます。
全サイトへ分配する為の適切なファイルを収容できるので、旧式のスクラントン箱技術の改良と開発の追加研究をしなければなりません。5
現在のSCP-3557の性質と起源に関する研究は無期限に続行されなくてはなりません。
説明: SCP-3557は、2016年3月18日UTC0427に発生した強度不明のCKクラス(現実再構築)シナリオと考えられているイベントです。
SCP-3557の発生の唯一の証拠は、各異次元サイトや錨設置財団サイトに設置された全CSDの同時起動です。6 2016年3月18日UTC0427に全財団サイトはCKクラスシナリオが発生したと示す自動メッセージを受信しました。7
財団が使用している全CSDが起動し、どれもが同様に、深刻な重大性のCKクラスシナリオが発生している可能性があると報告しました。以前からCKクラスシナリオの指標であると考えられていた改変が記録されていたものの、それに対応するCKクラスシナリオは観測されませんでした。8 検出器は、2016年3月18日UTC0427に、その瞬間にのみ改変があると報告したか、あるいは、その時点で同期が取れなくなりました。
CSD動作理論9
CKクラスシナリオ検出器は多種多様な方法を用いて、起こり得るCKクラスシナリオイベントを検出します。この装置は、様々な方法で改変を決定し、その例としては、基底現実の本質の現在と過去の記録の比較、基底現実と錨設置現実の二つの本質の記録の比較、基底現実の本質の改変の監視などが有ります。起こり得るCKクラスシナリオの重大性は、その時点における記録された改変の数によって決定されます。計画される検出方法として、以下のものが含まれますが、これに限りません:
- 基底現実と異次元に設置された、同期した疑似乱数生成機。同様の方式で乱数を生成するので、通常は同じ値が生成される
- 基底現実と異次元に設置された、カント計数機、並びに、ガイガー計数機。ただし、双方共に基底現実を監視する
- 同期した二つの原子時計
- 正規化データベースの交差参照。無作為に抽出した一部を相互に比較する
- 大規模改変が検出された際に通知する応用奇跡論的センサー
- 基底現実における背景電磁放射パターンの突発的変化を検出する電磁気学的センサー
異次元サイトに設置された全装置の同時起動にも関わらず、2016年3月18日UTC0427前後での基底現実の改変は一切記録されていません。異次元サイト記録と財団サイト記録の間の、不適切な更新によるものを除いた差異は一切記録されていません。10 異次元サイトや現実錨設置所在地に居た職員は、2016年3月18日UTC0427前後での差異や改変を一切記録していません。11
三頭政治、スイス情報セキュリティー法Swiss Information Security Act、 米国南部超常組織協力条約SUSEOCTなどの複数の財団・GoI間の条約の有効条項に基づいて、2016年3月18日UTC0427のイベントに関する情報が請求されました。これらの団体は、ある種の変動が記録されたものの、実際の改変は無かったことを裏付けました。複数の他の団体の財団工作員も似たような事情であると裏付けています。12
財団のCSD調査員は、全装置が目立った不具合も無く想定通りに機能したという結論を下しました。全機器の一様な故障は除外されています。
SCP-3557は、いずれのSCPの高レベル活動とも、CKクラスシナリオを引き起こす可能性のある既知の現象とも一致しませんでした。SCP-3557にふさわしい原因は発見されていません。
SCP-3557に関する複数の理論が提唱されました:
- SCP-3557は、外部に"波打つ"前に基底現実に作用し、そのすぐ後に異次元に作用したCKクラスシナリオである。この再構築は基底現実の過去と現在を改変し、他の現実をそれに適合するように変化させた。13
- SCP-3557は、CKクラスシナリオではなく、CKクラスシナリオと同じ原理でCSDを作動させる、以前には遭遇したことの無かった現象である。14
- SCP-3557は、現実を再構築し、偶然にも元と同一な現実を作り出したCKクラスシナリオである。CSDは変動の最中に現実改変を検出し、それと同時に警告メッセージを送信した。
- SCP-3557は、CKクラスシナリオではないが、財団が用いる全CSDが同一の結果を生成するという、原因不明の突発的な同時技術不全である。15
展開された添付ファイル2 - re:何が起きた?.eml
From: | 現実改変部門主任研究員Dr.レスリーLeslie・ヨーラス |
---|---|
To: | O5-6 |
件名: | re:何が起きた? |
日付: | 2016年3月25日 |
親愛なるO5-6へ
これよりも良い返答ができたら良かったのですが。
最初の質問に対する回答: SCP-3557を受けて、我々が所有する全てのCSDを確認しました。全監視システムが起動していましたが、 その原因は全く決定できませんでした。例えば、基底・現実錨設置・異次元サイト間のCSDの原子時計は同期していませんでしたが、それが発生した理由は見つかりませんでした(さらに: データベース交差チェッカーは、不一致の実際の正体ではなく、不一致の有無とそれが発生した場所のみを記録するように設計されているのです。実際に交差チェックした、というデータがあるということです)。
次の回答: いいえ、未だにSCP-3557にはオブジェクトクラスが付けられていません。議論は行われましたが、審査会は設けられていません。以下のクラスが提案されています:
- 超常イベント: SCP-3557は一回切りで、既に完了している ―― 収容するものは存在しない。
- Apollyon: SCP-3557は世界を既に終わらせているかもしれず、それに関して我々ができることは何もない。我々は以前のものと関係ない新たな現実に生きているかもしれない。
- Keter: SCP-3557が再び起こる可能性があり、我々はそれを阻止すべきである。収容するのは不可能に近いため、警戒すべきである。
- None: SCP-3557は技術的故障であり、アノマリーではない。それはオブジェクトクラスを与えるに値しない。
SCP-3557の問題に関する私の公式見解は、何か異常なことが発生したと考えられる以外、先週に実際に何があったかは全く分からないということです。説明を可能にすると思える理論は一つも無く、以下ではその理由に目を通します。当部門の大部分がこの意見に賛同しています:
第一の理論は、これが異次元・錨設置所在地に若干遅く作用したCKであり、メッセージはその遅れの間に送られたというものでした。が、この考えは気に入りません。まず、そのような場所に作用し得るCKというものが観測されたことは有りません。枝宇宙branchや関連する宇宙に作用するCKについては理論化されてきましたが、CKが完全に異なるハブ宇宙に作用できるとは一切考えられていません。異なるハブ世界から戻ってきた職員は、その世界ではCSDは起動せず、奇妙なことは何も起きなかった、と報告しています。それだけでなく、このようなCKは各現実錨を破断させると考えられ、そのため破断の時期を推定できるはずですが、我々はその痕跡を発見できていません。
第二の理論は、SCP-3557が、CKクラスシナリオ自体にはならず、単にCKクラス検出器を起動させただけのものであるということでした。一見有望そうに思えますが、CKクラスシナリオでないのに起動を引き起こすようなものは存在し得ません。例えば、当部門にはヒューム値の大量の変動を挙げる者が居ましたが、それに続いて改変がもたらされると予測されているので、我々は現在これをCKクラスシナリオだと考えています。
書簡では、これが能力試験や陽動として警報を起動させる為の、GoIによる意図的襲撃ではないかと懸念されていましたね。その考えには穴が有ります。その主なものは、CSDに関しては高レベルの情報セキュリティーが敷かれており(よって、外部の者がそれぞれのCSDに搭載された各メカニズムがどのように機能するかを知るのは困難です)、全てのメカニズムを同時に起動させるには天文学的な労力が必要になると考えられることです。
第三の理論は、SCP-3557が現実を再構築し、偶然にもそれがCKクラスシナリオ以前と全く同じように調節された、というものでした。これは理論上可能で、二種類の場合が有ります: 現実が驚くほど低い確率で、現状に巻き戻った場合、または、何かが実際には変わったが我々がそれを見過ごした場合です。どちらにしろ、それらの理論は現実変容を観測可能な短期間が存在したということを含意します。
前者のイベントは極めて起こり難いですが、全くもって可能です。我々のCKクラスイベントに関する知識には大きな穴と溝があります ―― 完全なCKクラス変容は一つしか観測されておらず、他のどれもその規模は小さいものでした。現実が元の状態に戻ろうとする傾向を持つ可能性は十分に有りますし、その場合、現実が破壊される前に戻ろうとする際に最も有りそうなのは、元の状態に戻ることでしょう。当部門の何名かは、我々が調整した現実基盤 ―― 基底についての情報を大量に含む ―― が現実を通常状態に"誘導"したと唱えています。これは、やや甘く、そして、過剰に希望的な考えです。
仮に小さな何かが改変されているとしても、それは、何故完全な現実不全が検出されたか、という問い掛けをはぐらかしています。まるで、一枚の壁だけを取り替える為に、家を丸ごと壊してから建て直すようなものです。本来掛かるよりも遥かに大きい労力が必要になるでしょう。一方で、何かが変化し、我々がそれを認識できていない、というのも確かに可能です。私が考えた可能性としては、異星人がCKを起こして彼らは大幅に改変されたのもの、我々がそれを知る術は無いというものが有ります。
最後に提案された可能性は、アノマリーが存在しない、というものでした。ですが、最低限でも我々の機器に異常な故障がある、ということだけは言わせて貰います。アノマリーが無かった、というのは馬鹿げていますし、その考えに時間を浪費したくはありません。
纏めると、我々はSCP-3557の正確で適切な説明を持ち合わせていません。どう前進するかの指針はありますが、最良の賭けは、運が良ければ再発を防げる包括的な収容プロトコルを用意することです。イベント自身が何かさっぱり分からないのですから。大きな問題は、Kクラスイベントに関する我々の知識が、イベントを確認するのに十分でも、それを真に理解するには十分ではないということです。稲妻を見て、何が起きたか客観的科学的観点から理解しようとした先人のようなものです ―― 理解には至っていません。
最後の質問は、SCP-3557が実際に憂慮すべき何かであるのか、でしたね。結局何も明白なことは起きていない、とお考えになっているのは分かっていますが、SCP-3557は驚くほどに恐ろしく、そして、心配なものです。阻止できないことについて悩まない、というやり方は知っていますが、それは私の信条ではありません。
こう警告する最大の理由は、何がSCP-3557を起こしたか分からないことです。それが何であろうと、まるで無から発生したようであり、存在する理由も無いように思えます。イベントの再発がいつ有ってもおかしくはなく、それを阻止する術も事前に知る術も我々には有りません。この瞬間にも危機一髪で弾丸を回避しているかもしれませんし、その幸運もずっと続くとは限りません。
第一の理論は、完全に収容不可能で、痕跡が全く見当たらないCKクラスを表しています。まあ、現在の現実は過去の現実を気に掛けませんが、次の現実も今の現実に対して同様に振る舞うということでもあります。第二と第四の理論は、両方共に、実際にCKが起きたかどうか区別する方法は無いかもしれないことを意味しており、その場合、CSDは無価値です。第三の理論では、次も現実が元の状態に戻る保証が無い、という問題が浮上します ―― 我々は幸運だったかもしれませんが、私が運に縋る類の人間であったことは一度も有りません。
O5評議会が、我々の提示した収容プロトコルを承認するのが不安なのは理解できますが、そうだとしても、当プロトコルが、他の様々なKクラスに対するプロトコルと同じように、どのようななCKクラスシナリオにでも有効である、と彼らに伝えてください。何としてでも、財団での我々のメソドロジーが最も慎重なものの一つであり続けなくてはなりません。
その他必要なことがあればお知らせ下さい。
尊敬を込めて、
Dr.レスリー・ヨーラスより
確保、収容、保護