SCP-3564-JP
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発見当時のSCP-3564-JP。

アイテム番号: SCP-3564-JP

オブジェクトクラス: Euclid Safe

特別収容プロトコル: SCP-3564-JPは、サイト-81██の小型生物収容房に収容し、標準的なコガネムシと同様の飼育がなされます。SCP-3564-JP-Aの形態とSCP-3564-JPの行動パターンに新しいものが現れた場合、逐次オブジェクト管理者に報告してください。 インシデント-3564により、SCP-3564-JPは生命活動を停止し、それに付随するSCP-3564-JP-Aも消失しました。当インシデントにより新たに発見されたSCP-3564-JP-A-1を秘匿するため、虹浦研究員は財団外で帽子を着用し、日毎に幻聴の内容を報告することが義務付けられています。

説明: SCP-3564-JPは、知性を持っていると推測される一匹のコガネムシ(Mimela splendens)実体です。SCP-3564-JPの身体構造が一般のコガネムシと比べて差異が見受けられないにもかかわらず、SCP-3564-JPは飛行することができません。

SCP-3564-JP-Aは、SCP-3564-JPの上空付近を浮遊している、人の右手を模したような形をとる実体です。成分分析の結果、複数のコガネムシのDNAが含まれていることがわかっています。一般的なコガネムシの視野角では認識できない位置にSCP-3564-JP-Aが存在するにもかかわらず、SCP-3564-JP-Aの形状とその後のSCP-3564-JPの移動にはある程度の相関が見られます。

SCP-3564-JP-Aの形状 その後のSCP-3564-JPの移動
どの指も出していない、「握り拳」のような形状 SCP-3564-JPは停止する。
人差し指に当たる部分を水平方向に指している SCP-3564-JPが人差し指の方向へと移動する。
人差し指に当たる部分を上方向に指している SCP-3564-JPの行動に変化は起きない。

収容されて以降、SCP-3564-JP-Aはほとんどの時間「握り拳」の形状ですが、稀に1「人差し指」を指す場合があります。


SCP-3564-JPは20██年██月██日、千葉県千葉市████海岸にて、「おびただしい量の甲虫の死骸が海岸に現れている」との投稿がなされ、回収隊が海岸に駆けつけたところ発見し、収容に至りました。また、通報以前に████海岸付近の海上で、複数のコガネムシが海上を飛行、遊泳する場面が撮影され、インターネットにアップロードされています2。特筆すべきこととして、通報や映像記録の内容にもかかわらず、回収隊が到着した際、████海岸付近においてはコガネムシ実体は生死を問わずSCP-3564-JPの一匹を除いて発見されませんでした。以下は、映像記録の文字起こしの一部です。

映像記録-3564-1:

<映像開始, [20██/██/██]>

<必要性の低い映像のため省略>

複数のコガネムシの群れ(以後、単に「群れ」と呼称)が海上を飛行している。全個体数は100〜150匹と予測される。

カメラが群れにズームする。群れは████海岸方向へと進行している。

<5分経過。群れは飛行を続けているが、全体の速度と高度は徐々に減衰している。>

群れが一斉に海面に着水し、固まって浮遊する。これらの行動と、昆虫が水上を浮遊する際に形成する「いかだ」との類似性が見られるが、現状いかだを形成する昆虫はヒアリ等の社会性を有する昆虫のみに見られる行動であり、非異常性のコガネムシはこういった行動を行わないことが指摘されている。

<4分経過。群れの形成した「いかだ」が、徐々に沈んでいく。いかだの下層を形成していたコガネムシが溺死したことによるものだと考えられる。>

溺死したと思われる個体を残し、群れが再び飛び立つ。この時点で、飛び立った個体は全個体の3分の2ほどである。

<3分経過。群れの速度、高度ともに減衰。>

群れが再び着水し、「いかだ」を形成。前回よりも早いスピードでいかだは沈んでいく。

<2分経過。>

群れが再び飛行。飛び立った個体は着水時の半数ほどである。その後も群れは飛行と着水を繰り返し、生存個体数は減少していく。

飛行していた3匹の群れが着水。その1分後に1匹のみが飛行。カメラの視界から外れる。

カメラがズームアウトする。海面には、コガネムシの死骸がまばらに浮かび、████海岸へと流されていく。

<映像終了, [20██/██/██]>

映像記録内で多数のコガネムシの死骸が████海岸へと流されていたことより、通報内容は虚偽のものではなく、死骸は通報から発見までに消失したものと考えられています。また、本来コガネムシは雑木林や住宅地に生息する昆虫であり、海岸部で発見されることは極めて稀であるため、この映像内で最後まで生き残っていた個体がSCP-3564-JPであることは確実視されています。映像内でSCP-3564-JP-Aのような実体は個体に付随していなかったこと、個体が問題なく飛行していたことから、SCP-3564-JPにSCP-3564-JP-Aが付随した時期と飛行能力の消失時期は共に海岸到着後だと推測されます。


実験記録3564-1 - 日付20██/██/██

対象: SCP-3564-JP

実施方法: SCP-3564-JPを高さ1.5mから落下させる。

結果: SCP-3564-JPは飛行を行わず、地面に衝突した。SCP-3564-JP-Aはその間常に上方向に人差し指を指していた。特筆すべきこととして、SCP-3564-JPは落下中数回にわたって鞘翅3を開きかけていたものの、飛行には至らなかった。

分析:まるで飛行するのを躊躇っているようだ。肉体的には問題がないことから考えるに、SCP-3564-JPが飛べないのは精神的な影響なのだろうか。再収容の際、SCP-3564-JPを落下させた私だけに選択的に噛み付いてきたことも踏まえると、SCP-3564-JPは高い知能を有する可能性を提言する。-虹浦研究員

実験記録3564-2 - 日付20██/██/██

対象: SCP-3564-JP

実施方法: SCP-3564-JPに対して迷路実験4を行う。

結果: SCP-3564-JP-Aは迷路内で常に正しい道の方向へ指を向けていたため、SCP-3564-JPは通常のコガネムシより短い時間で迷路を攻略した。また、SCP-3564-JP自体の学習による時間の短縮も通常のコガネムシより著しく表れ、最終的にはSCP-3564-JP-Aが道を提示するより先に正しい道を選ぶようになった。

分析:SCP-3564-JP自体の知能も高いが、SCP-3564-JP-Aはそれを超える知能を持っているようだ。どうやら、SCP-3564-JP-AはSCP-3564-JPの利益を招くよう「指さし」をしているらしい。-虹浦研究員

実験記録3564-3 - 日付20██/██/██

対象: SCP-3564-JP、SCP-3564-JP-A

実施方法: SCP-3564-JPを瞬時にSCP-3564-JP-Aの示す向きと異なる方向へと移動させる。

結果: SCP-3564-JPの移動は問題なく行われたが、SCP-3564-JP-Aは自身の示す向きに移動したため、結果的にSCP-3564-JPとSCP-3564-JP-Aが水平距離で10cmほど離れた。移動後SCP-3564-JPはSCP-3564-JP-Aの方向に触角を向け、SCP-3564-JP-Aは全ての指を開きかけるような手の形5を示し、SCP-3564-JPの上まで移動した。

分析:SCP-3564-JP-AはSCP-3564-JPの上に固定されているわけでもなければ、物理的な強制力も伴わないようだ。SCP-3564-JPが自発的にSCP-3564-JP-Aの指示に従っているのだろうか?-虹浦研究員


補遺1: 実験3564-3以降、SCP-3564-JP-Aの形状とSCP-3564-JPの行動パターンに変化が現れています。以下はそのパターンです。

SCP-3564-JP-Aの形状 SCP-3564-JPの移動
人差し指に当たる部分を上方向に指している SCP-3564-JPは鞘翅を開くが、飛行はしない。 実験3564-3以降の変化。
「人差し指」を下に向け動かしている SCP-3564-JPは後肢の2本を用いて立ち上がり、上を向き前肢と触角を盛んに動かす。実験3564-3においてSCP-3564-JPがSCP-3564-JP-Aのことを初めて認識したことにより、SCP-3564-JPがSCP-3564-JP-Aと交流しているものか?

補遺2: インシデント-3564-1

20██年██月██日、サイト-81██で震度█の地震が発生。このインシデントの中、SCP-3564-JPが短期間鞘翅を開き、滑空しました。以下は小型生物収容室の監視カメラの映像記録のうち、SCP-3564-JPに関連するものです。

映像記録-3564-2:サイト-81██、小型生物収容室内の監視カメラの記録

<[20██/██/██]>

<省略>

虹浦研究員(以下、研究員)が小型生物収容房内のSCP-3564-JPに定期採餌を行っている。

画面が大きく揺れる。音声放送が地震の発生を知らせる。

揺れにより、研究員が床に転倒。収容房の開口部が大きく開き、SCP-3564-JPが落下する。

SCP-3564-JP-Aが「人差し指」を上に向ける。SCP-3564-JPが体勢を立て直し、鞘翅と後翅を開いて滑空。収容室の床に着地する。

2回目の揺れが発生。固定されていなかった採餌用具等が収容房の棚からSCP-3564-JPの方向へ落下する。

研究員: 危ない!

研究員が咄嗟にSCP-3564-JPに覆い被さるように移動する。用具は研究員の背中に当たり、その後床に落下する。

研究員がSCP-3564-JPを持ち上げ、収容房へと収める。SCP-3564-JPに抵抗する様子は見られない。

研究員: とんだ災難だったな。…なんだ、今回は噛まないのか。

<省略>

このインシデントにおいて、実験3564-1と似た環境が再現されたにも関わらず、SCP-3564-JPは完全に鞘翅を開き滑空しました。これは実験3564-3以降SCP-3564-JPとSCP-3564-JP-Aが何らかの交流を行ったことで、SCP-3564-JPの精神状態が改善したためだと見積もられています。

またこのインシデント以降、SCP-3564-JP-Aの指が不定期に虹浦研究員の方向を向く場合があります。これはこれまで研究員がSCP-3564-JPの採餌等の世話を行ってきたことに加え、このインシデントにおいてSCP-3564-JPの脅威となりうる存在である落下物からSCP-3564-JPを守ったことで、研究員がSCP-3564-JPの利益を招く存在であるとSCP-3564-JP-Aが認識したためではないかと推測されています。


補遺3: インシデント-3564-2

20██年██月██日、サイト-81██でのSCP-████-JPの収容違反が発生。このインシデントの中、SCP-3564-JPが飛行し、収容房から脱出しました。以下は小型生物収容室とサイト-81██の第█廊下の監視カメラの映像記録のうち、SCP-3564-JPに関連するものです。

映像記録-3564-3:サイト-81██、小型生物収容室内の監視カメラの記録

<[20██/██/██]>

<省略>

SCP-████-JPが小型生物収容室へと侵入し、SCP-3564-JPを含め██体の生物系オブジェクトの収容房を破壊する。

SCP-████-JPが小型生物収容室の扉を破壊し脱出。SCP-3564-JPは破壊された収容房から抜け出す。

SCP-3564-JP-Aは補遺1で示されたように人差し指を下に向けたような形状をとる。SCP-3564-JPは後ろ脚で立ち上がり、上を向いて触覚を盛んに動かす。

SCP-3564-JP-Aが「人差し指」を上に向ける。SCP-3564-JPは立ち上がるのをやめその場に下を向いてうずくまるが、SCP-3564-JP-Aが人差し指を上に複数回指した後、SCP-3564-JPが首を上下に振り、鞘翅と後翅を開く。

SCP-3564-JPが飛翔。SCP-3564-JP-Aの指が収容室の換気扇の方向を指し、SCP-3564-JPが換気扇の中に侵入する。

<省略>

映像記録-3564-4:サイト-81██、第█廊下の監視カメラの記録

<[20██/██/██]>

<省略>

音声放送が繰り返し避難指示を出している。職員らが廊下を走って避難する。

虹浦研究員(以下、研究員)が廊下を移動し、足を引き摺りながら6避難所方面へ向かっている。

SCP-████-JPが第█廊下に侵入。研究員の方を向いて咆哮し直進。研究員は叫びながら転倒。

SCP-3564-JPが廊下の換気孔から飛び出し、研究員とSCP-████-JPの間を横切る。SCP-████-JPの視線がSCP-3564-JPに向かう。

SCP-████-JPがSCP-3564-JP、SCP-3564-JP-Aを壁面に叩きつける。画面が振動し、建材の破片が周囲に飛び散る。

SCP-3564-JPが叩きつけられた壁から、突如百匹を超えるコガネムシが噴出。SCP-████-JPは噴出の圧力で壁から跳ね除けられ、動揺を示している。

機動部隊が廊下に到着。SCP-████-JPとの交戦が開始されると同時に、研究員が搬送される。

<省略>

SCP-████-JPが再収容された後の現場調査では、廊下に噴出したコガネムシ実体はすべて死骸であり、個体群DNAのそれぞれ全てがSCP-3564-JP-AのDNAに含まれていたものと一致しました。しかし、SCP-3564-JPとDNAの一致する個体およびSCP-3564-JP-A実体は発見されませんでした。

このインシデントから約20分後、虹浦研究員の頭上にSCP-3564-JP-Aに類似した実体が出現しました(SCP-3564-JP-A-1と指定)。SCP-3564-JPに付随していたSCP-3564-JP-A実体とは異なり、SCP-3564-JPのDNAのみを含んでいます。インシデント以降、SCP-3564-JP-A-1の指す方向へと進むことを促す幻聴が虹浦研究員から指摘されており、これがSCP-3564-JP-A-1の特性であると考えられています。これをもって、SCP-3564-JPの特別収容プロトコルは更新され、オブジェクトクラスはSafeへ再指定されました。

また、映像記録-3564-1においてコガネムシの群れが飛来してきた方向上にある██島7で、「コガネムシを大切に育てると、自分の身代わりとなり、その後も幸福8を指し示す」といった民間伝承があったことがわかっています。この「幸福の黄金虫」伝承の元、██島ではコガネムシの積極的な保護が行われていたようです。この伝承に照らし合わせると、SCP-3564-JP-Aは映像記録3564-1でのコガネムシの死骸が、SCP-3564-JP-A-1はインシデントによって死亡したSCP-3564-JPが由来であると推測できます。これによって、██島のコガネムシが伝承のような異常性を持っている可能性が浮上したため、██島においてコガネムシの捜索が行われましたが、結果██島ではコガネムシの生体は発見されませんでした。

どこからともなく「こっち進むと、良いものありますよ」って声が聞こえてくるんだよ。まあ、行ってみた先にあるものは大体自販機だし、良いものってのは大体その下に落ちてる小金なんだがな。-虹浦研究員

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