SCP-3565-JP
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Item #: SCP-3565-JP
Euclid

特別収容プロトコル

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平時における収容サイト-81██の第6講堂


SCP-3565-JP-2は毎年の5月23日までに、SCP-3565-JP-3を30名以上選定し、SCP-3565-JP活性化イベントへの招待状を手渡ししてください。SCP-3565-JP-2はSCP-3565-JP-3を選定する過程において、必要であれば匿名の心理カウンセラーからアドバイスを受けることが許可されています。SCP-3565-JP活性化イベント終了後、サイト管理官は失われたSCP-3565-JP-3と同人数のSCP-3565-JP-3候補者をDクラス職員から補充してください。補充されたSCP-3565-JP-3候補者は、クラスB記憶操作を施してからSCP-3565-JP-2のオフィスに配属されます。SCP-3565-JP-2は翌年のSCP-3565-JP活性化イベントまでに、SCP-3565-JP-3候補者と友好的な関係を築かなければなりません。関係構築に必要なリソースはサイト管理官の責任のもとに随時提供されます。SCP-3565-JP活性化イベントが執り行われる収容サイト-81██の第6講堂は、毎年の6月12日から15日の間、一般目的での利用を禁止します。なおSCP-3565-JP-2が活性化イベントに参加することは許可されません。

説明


SCP-3565-JPは財団の収容サイト-81██の第6講堂において、毎年の6月13日に発生する異常現象の総称です。SCP-3565-JPの構成要素として次の補助ナンバーが定義されています。


  • SCP-3565-JP-1 : おおむねヒト型をした霊的実体。
  • SCP-3565-JP-2 : 財団が雇用中の非異常性職員。
  • SCP-3565-JP-3 : SCP-3565-JPの活性化中に限定的な精神影響を受ける不特定の人物群
  • SCP-3565-JP-4 : SCP-3565-JP-3のうち活性化イベント後に死亡する1人以上の人物


SCP-3565-JP-1は、SCP-3565-JP活性化イベント中にのみ出現する極度に希薄な霊的存在です。SCP-3565-JP-1が他の物質的存在に直接影響を及ぼすことはなく、またSCP-3565-JP-1自身も物理的な干渉を受け付けません。その希薄性ゆえか、メトカーフ非実体反射力場発生装置を用いた幽体固定もほとんど効果を示しません。しかしSCP-3565-JP-1が第6講堂の外に出現あるいは移動した事例はなく、自律的な半収容状態を維持しています。SCP-3565-JP-1はウエディングドレスを着用したおおむねヒト型の存在であり、生前の財団の機動部隊員██ ██と同一であるか、同氏の外見的特徴を模倣した存在であると見られています。なお██機動部隊員は、インシデント3565-JP-2が発生する1年前に死亡しています。

SCP-3565-JP-2は財団の収容サイト-81██に勤務する[検閲済]氏です。SCP-3565-JP-2は非異常な存在であることが確認されており、現在も財団の職員として雇用されています。SCP-3565-JP-2は生前の機動部隊員██とプライベートにおいて親密な関係にあったという複数の証言から、SCP-3565-JP-2の存在あるいは行動がSCP-3565-JPの発生に意図せず関与していると考えられています。調査チームによりSCP-3565-JP-2に対するインタビューが実施されましたが、SCP-3565-JPの由来および発生の抑止方法を特定することはできませんでした。SCP-3565-JP-2のSCP-3565-JP活性化イベントへの参加については、影響に関する検討が不十分であるため無期限に禁止されています。SCP-3565-JP-2は活性化中のSCP-3565-JPによる直接的な精神影響を受けませんが、SCP-3565-JP活性化イベントの結果は異常性のない継続的な心理的負担をSCP-3565-JP-2に与え続けています。

SCP-3565-JPは、毎年の6月13日の未明から昼ごろの時間帯にのみ活性化します。SCP-3565-JPの活性化期間に発生する一連の異常現象を、SCP-3565-JP活性化イベントと呼称します。活性化イベントの進行中、活性化イベントに招待された人物およびSCP-3565-JP-2と親しい人物から20名程度が、異常な精神影響を受けます。この精神影響を受ける人物をSCP-3565-JP-3と呼称します。SCP-3565-JP-3となる人物を制限するために、SCP-3565-JP-2は事前に招待者を30名前後選定しておく必要があります。非活性状態のSCP-3565-JPの調査方法および活性化抑制の方法は判明していません。なお第6講堂の単純な封鎖はSCP-3565-JPの活性化を抑止する効果がないことが判明しています。SCP-3565-JP活性化イベントは、異常存在であるSCP-3565-JP-1の一時的出現と、SCP-3565-JP-3のうち数名の死亡という結果をもたらしますが、第6講堂外部にSCP-3565-JPの直接的な影響が及んだ事例は確認されていません。

活性化イベント概略


SCP-3565-JP活性化イベントは概ね以下のイベントフェーズに沿って進行します。

イベントフェーズ1

6月13日未明以降、SCP-3565-JP-3が異常な精神影響を受け始めます。SCP-3565-JP-3には、午前10時に収容サイト-81██の第6講堂に集合しなければならないという疑似記憶と好意的な義務感が植え付けられます。SCP-3565-JP-3は適時正装し、移動を開始します。この行動は妨害可能であり、その場合SCP-3565-JPの精神影響は他の行動可能な候補者に転移します。

イベントフェーズ2

6月13日午前9時30分ごろ、収容サイト-81██の第6講堂内に存在する椅子以外の全ての物品と生物は、講堂外へ瞬間的に転移します。この転移による異常な副次的影響が発生した事例はありません。SCP-3565-JP-3の数に対して講堂内の椅子が不足している場合、講堂内に由来不明の椅子が出現します。この椅子自体は出現方法以外の異常性を有しません。その後、第6講堂内に到着したSCP-3565-JP-3は、順次着席して次のフェーズまで待機します。

イベントフェーズ3

6月13日午前11時ごろ、SCP-3565-JP-1が講堂内前方に滲み出るようにして出現します。SCP-3565-JP-1は出現から消滅までの間、入り口付近を向いた直立姿勢のままほとんど動くことはありません。SCP-3565-JP-3はSCP-3565-JP-1の出現方法や外見の異常性を認識することはなく、むしろSCP-3565-JP-1を好意的に受け入れ、拍手をもってこれを迎えます。数秒間の拍手の後、SCP-3565-JP-3は次のフェーズまで待機します。

イベントフェーズ4

6月13日午前12時ごろまでに、SCP-3565-JP-3のうち1名~3名程度の人物(以下SCP-3565-JP-4)が自発的に講堂前方へ移動し、登壇します。SCP-3565-JP-4は、他のイベント参加者に対し「SCP-3565-JP-2は急遽参加ができなくなったため、イベントは日を改めて執り行う」旨を説明します。その後、SCP-3565-JP-4は「お詫び」として天井から発生した由来不明のロープで首を吊り、速やかに死亡します。この行動は一時的に妨害可能ですが、SCP-3565-JP-4はイベント終了と同時に心臓麻痺で即死するため、有意な効果はありません。SCP-3565-JP-4が首を吊るかそれが妨害されると、SCP-3565-JP-3は離席しはじめ、SCP-3565-JP-1、天井から発生したロープ、講堂内に出現した椅子は消失し、活性化イベントは終了します。生還したSCP-3565-JP-3は活性化イベントについての記憶を抽象化され、SCP-3565-JPの異常性を認識することなく通常の生活へ復帰します。

収容記録


インシデント3565-JP-1: インシデント3565-JP-1は、SCP-3565-JPの最初の発生事例です。SCP-3565-JPは20██年の6月13日に前兆なく発生しました。SCP-3565-JP-2の友人や同僚である財団のレベル3以上の職員19名は、およそ午前9時半頃に急遽全ての作業を中止し、収容サイト-81██の第6講堂に向けて移動を開始しました。再三の制止および法的脅迫が無視されたため、サイト管理官の指示により6名のレベル4職員が身柄を拘束され、その他の職員については収容スペシャリストによる経過の観測が開始されました。結果として最初のSCP-3565-JP活性化イベントが発生し、レベル3職員2名が犠牲となりました。6ヶ月におよぶ本インシデントの経過分析と聞き取り調査の結果、SCP-3565-JP-2が本イベントの中心であることが判明し、暫定措置として3名のDクラス職員がSCP-3565-JP-2のオフィスに配属されました。


インシデント3565-JP-2: 20██年の6月13日(インシデント3565-JP-1の発生から1年後の同日)、SCP-3565-JP活性化イベントが再発生しました。影響範囲はSCP-3565-JP-2の友人および同僚と、SCP-3565-JP-2のオフィスに配属されたDクラス職員であり、本インシデントの結果、Dクラス職員2名が自己終了しました。本インシデントの結果を受け、収容チームはSCP-3565-JP-2が職務およびプライベートで接触する人物をDクラス職員に限定する措置を提案しました。また活性化イベントの内容から鑑みて、事前に参加者を明確に招待するという試みが提案されました。両提案は承認されました。


収容記録補足3565-JP-3: 20██年の6月13日、収容チームの想定通り、3回目のSCP-3565-JP活性化イベントが発生しました。SCP-3565-JPの精神影響を受けた対象は、SCP-3565-JP-2が招待したDクラス職員20名と完全に一致しました。活性化イベントの結果、Dクラス職員1名が自己終了しました。これにより収容プロトコルの有効性が確認されたため、翌年以降も同様の方針が取られることが決定されました。


インタビュー記録3565-JP-█: 20██年に発生したSCP-3565-JP活性化イベントでSCP-3565-JP-3に指定され、同イベントから生還したD-███に対し、インタビューが行われました。

インタビュー対象: D-███
 
インタビュアー: [検閲済]
 
<記録開始>
 
インタビュアー: 本日参加したイベントについて、お話を聞かせてください。
 
D-███: ええ…でも、中止になったんですから、そんなにお話することはないのですが。
 
インタビュアー: 細かいことでもかまいません。気づいたこと、感じたことを、教えてください。
 
D-███: えーと、まず、中止になったのは残念でした。お嫁さん…? のほうは、とても綺麗なドレスで、準備されていたのに。最後まで笑顔だったから、きっとご本人としては理解というか、受け入れられているんだと思いますけど。せっかく準備してきた他の参加者も、残念だと思ったんじゃないでしょうか。
 
インタビュアー: イベント中の…その、お嫁さんの様子について伺えますか。
 
D-███: 幸せそうでしたよ。念願叶ったという感じで。
 
インタビュアー: 異常な点はありませんでしたか?
 
D-███: えーと…たとえば、どういった点で?
 
インタビュアー: …いえ、質問を変えます。最後に挨拶をした参加者について、どう思われましたか?
 
D-███: 意外と生真面目というか責任感のある人だったんだなあという印象です。普段から明るく振舞っていて、リーダーシップのある人だったんですが。ほら。特に今の部署に配属されてから、私たちの扱いが変わったでしょう。[検閲済(SCP-3565-JP-2)]さんのおかげだからって、少しでも役に立ちたいと頑張っていたみたいですよ。だから、すこし気負ってる部分もあったんだと思います。
 
インタビュアー: 彼女の行動について、今はどうお考えですか?
 
D-███: うーん、まあ、ちょっとやりすぎかなと。明日からのシフトも組みなおさなきゃいけないですし。
 
インタビュアー: そうですか…ちょっと検討するお時間をいただきたいので、明日にでも続きをお願いいたします。
 
D-███: わかりました。
 
<記録終了>


収容記録補足3565-JP-7: 5回目の活性化イベント以降、SCP-3565-JP-2は鬱症状を示しています。財団倫理委員会は、SCP-3565-JP-2が定期的な心理カウンセリングを受けるよう指導を行いました。なおカウンセラーとSCP-3565-JP-2が不適切な友好関係を持たないよう、カウンセリングは匿名かつ輪番制にて行われます。


インタビュー記録3565-JP-█: 20██年9月11日、SCP-3565-JP-2のカウンセリングを兼ねたインタビューが行われました。このインタビューはインタビュアーの素性をSCP-XXX-JP-1から秘匿するため、機械音声を用いた非対面形式で実施されました。

インタビュー対象: SCP-3565-JP-2
 
インタビュアー: [検閲済]
 
<記録開始>
 
インタビュアー: 調子はどうですか、[検閲済(SCP-3565-JP-2)]さん。
 
SCP-3565-JP-2: どうもこうも。最悪ですよ。知ってるでしょう。
 
インタビュアー: でも業務はうまくいっているらしいじゃないですか。
 
SCP-3565-JP-2: そりゃまあ、仕事は、本質的には以前と変わりませんし、むしろ楽な内容を割り当てられてもらってますから、順調ですよ。でもキャリア形成になるかという点では、ダメでしょうね。私のキャリアはもう終わりです。
 
インタビュアー: キャリアについてご心配なら、私から管理官に進言しておきますよ。
 
SCP-3565-JP-2: …ありがとうございます。お願いします。すみません。…でも本当は…わかってます。本当は、そんなことはどうでもいいんです。
 
インタビュアー: では、問題とはなんでしょう。
 
SCP-3565-JP-2: この状況です。もう何年も、私は、1年ごとに30人、友達を彼女に…失礼…アレ…アレに差し出さなければならない。そしてそのうち何人かは、帰ってこない。なんで…なんでこんな…。
 
[15秒間沈黙]
 
インタビュアー: すみません、私では、お答えしかねます。
 
SCP-3565-JP-2: ああ、いえ、今のは質問ではありません。愚痴です。すみません。
 
インタビュアー: かまいません。続けてください
 
SCP-3565-JP-2: なんでこんなことになったのか。わからないんです。私と彼女は…そりゃあ親しい関係ではありましたけど…別に結婚とか、というかお付き合いとか、そういう関係じゃなかったんです。なかったはずです。少なくとも私の認識では。でも、彼女は違ったのかもしれません。何か思い詰めていたのか…せめて、なにか話してくれていれば、こんな…こんな形で…。
 
[12秒間沈黙]
 
インタビュアー: なにか、責任を感じていらっしゃるのですか?
 
SCP-3565-JP-2: わかりません。ただ、こうなる前に、なにかできたんじゃないかって、考えてしまうだけです。毎晩。何年もの間、毎晩です。考えたところで、いまさらなんですけどね。フフ。
 
インタビュアー: カウンセリングは夜間も実施可能です。いつでもご連絡ください。
 
SCP-3565-JP-2: まあ…いまさらしゃあないけどなあ…なんでウチやねん…ほかにおるやろ…。
 
インタビュアー: 他に?
 
SCP-3565-JP-2: …すみません。愚痴です。誰かを意図しての発言ではありません。
 
インタビュアー: 承知しました。とりあえず休憩にしましょう。
 
<記録終了>


インシデント3565-JP-6: 20██年の5月█日、SCP-3565-JP-2は自己終了を試みました。この試みはSCP-3565-JP-2のオフィスに配属されていたD-1148の2時間におよぶ説得により中断されました。D-1148とSCP-3565-JP-2には特別休暇が与えられ、SCP-3565-JP-2の精神状態は一時的に回復しました。なおD-1148は活性化イベント3565-JP-8において自己終了しました。SCP-3565-JP-2の希望により、SCP-3565-JP-2にはクラスA記憶処理が施されました。


インシデント3565-JP-7: 20██年の6月1日現在、SCP-3565-JP-2はSCP-3565-JP-3の選定を終了していません。速やかに収容プロトコルを履行するよう、SCP-3565-JP-2に対し指導が行われています。

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