アイテム番号: SCP-3575-JP
オブジェクトクラス: Keter Safe
特別収容プロトコル: SCP-3575-JPは既に死亡しており、死体には物理的に干渉不能かつ自己隠蔽状態であるため実体への収容作業は必要とされません。Wクラス記憶補強剤を14日以上継続服用する人員が常に1名サイト-81NEに配置され、BRACHYURAクリアランスを付与されて当エントリの管理維持を担当します。
説明: SCP-3575-JPはサイト-81NE医療棟側に存在する甲幅4.2m、全長22.3mの自己隠蔽性概念生体です。物理的な干渉は不能であり、質量を有しません。現在SCP-3575-JPは完全に死亡しており、外骨格を残して筋肉組織がすべて分解されているように観測されています。その外観を示す観念は存在しているものの、サイト-81NEでは自己隠蔽特性によって想起できないため、実質的に詳細な外観が説明不可能です。
自己隠蔽特性を有するため、SCP-3575-JPを観測するか関連情報を記憶するにはクラスW以上の記憶補強剤を14日以上継続服用した上でサイト-81NEに留まる必要があります。サイト-81NE外部においてはいかなる薬剤的手段を用いてもSCP-3575-JPに関連する情報は認識不可能となり、記憶は忘却されます。
特筆すべき事項として、サイト-81NEには既に複数の隠蔽されたエリアと人員が存在することが判明しています。調査では少なくとも旧医療棟2Fにおける20以上の病室と設備、5名以上の医師、1名以上の反ミーム存在に対抗する職務の職員、1名以上の患者が認知不能状態になっていると推測されています。
SCP-3575-JPは2020年1月、反ミーム部門職員がサイト-81NEへ再配置された際に当エントリと共に発見されました。以下の記録を除いた旧版エントリの大部分が情報侵食作用を受けていました。
補遺-1: SCP-3575-JPとの相互思索干渉記録
問: あなたは何であるか?
答: [拒否]
問: あなたが存在してどれほどの時間が経っているか?
答: [不明瞭]
問: あなたの現在の目的は何か?
答: 摂食、義務、試験
問: あなたの眼はどこを見るか?
答: 天
問: あなたの脚は何本か?
答: 八
問: あなたの腕は何本か?
答: 二
問: あなたが好むのは何か?
答: 知、多重なる
問: あなたが嫌うのは何か?
答: 解答
問: あなたはどこから来たか?
答: 煙
問: あなたが従う者は何であるか?
答: 光、星
補遺-2: 初期収容についての録音記録
えー……SCP-3575-JPについて引き継ぐことはほぼありませんが、標準プロトコルに従って記録を残します。一々書き込む時間も勿体ないですし、テキストよりは音声の方が侵食に耐えるでしょう。死んで間もないのでまだ多少の妨害を受けていますが、大きな問題ではないと思います。
収容までの被害は相応に大きいものでした。医療棟内で何人かの患者と医師が切除されていて、思考は頻繁に妨害を受け、思索によって汚染され続けました。窓の外に常に瞳があり、閉塞感と水音が耳の奥まで押し寄せます。まだ首元に粗く鋭い感触が残っています。滑った敵意も。溶けた星々を見ていたことも。足元にふれる顎、暗すぎる夢の次元、伸し掛かる磯の香り、脊髄の髭、つまりこういう妨害です。常に耽溺させられます、答えのない濁った肉の海について。当然、身を任せることは全くの無駄です。宇宙に耳を貸さないように。
私達もいくつかの観念を切除されていて、あの状況下でSCP-3575-JPの本質を捻り出すためには相当に苦労しました。全てが煙に溶けていく感覚です、無意味さと矛盾と星により。最終的には解答観念を保護するミームエージェントの作成と、条件付済概念生体による自身への観念の埋め込みに成功しました。この対応は対象の弱体化と殺害に十分有効な、再現性のある手法だと考えられます。非常に疲れますが。
今後の懸念は2つあります。あの大きさなので、これから相当な腐臭に悩まされること。また、あれ自身と解答の繋がりが執拗に切断されており、今後の回復が望めないことです。
それでも他の多くと違い、あれはもう全く重要でない死体です。特別な対応はほぼ必要ありません。サイト内外に有効な記録と管理用クリアランスを残しておいたので、十分だと思います。以上。
2019年2月3日、反認知部門、神保博士。
"反認知部門"は財団データベースにあらゆる正式な活動記録を残していますが、その閲覧・編集に必要なクリアランスは一部を除いて発見されていません。O5評議会の判断は保留中です。