アイテム番号: SCP-3590-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: 一般社会におけるSCP-3590-JP発生の痕跡は全て隠蔽されました。
SCP-3590-JP-1について、サンプルとして3体をヒト型実体収容セルに収容してください。また、吉田氏も同様にヒト型実体収容セルにて収容されます。その他のSCP-3590-JP-1は申請することでDクラス職員として利用することが可能です。
説明: SCP-3590-JPは吉田 ██の指名手配に伴う一連の異常現象の総称です。後の調査により、SCP-3590-JPに関連した全ての人間は異常が発生していることを知覚していなかったことが判明しています。
20██/5/3、吉田氏は殺人事件の被疑者として指名手配され、捜査特別報奨金制度の対象となりました。調査の結果として、吉田氏は実際に殺人を行っており、指名手配は非異常な手続きに基づいて行われたものであることが判明しています。
20██/5/6、高山 ██によって警察に情報提供が行われました。具体的には「近所の山の中に吉田 ██がいる」といった通報を行いました。通報を受けた警察により高山氏の自宅周辺の山に対しての捜索が行われました。捜索の結果として、2体の吉田氏に酷似した実体(以下、SCP-3590-JP-1)が発見、逮捕されました。2体の吉田氏の逮捕に貢献したとして、高山氏には警察によって200万円が授与されました。
調査の結果、SCP-3590-JP-1は指名手配時点の吉田氏と身体的/精神的に差異が存在しないことが判明しています。また、SCP-3590-JP-1自体に何らかのミーム効果や認識災害が存在していないことが判明しており、異常な性質は当報告書執筆時点で確認されていません。
高山氏の事例から約6ヶ月間で、複数の人物によって14件の通報が行われ、警察によって57体のSCP-3590-JP-1が逮捕されました。この間、報奨金として警察から総額5700万円が通報者に譲渡されたことによって、警察内部で予算の不足が見られるようになりました。警察内部で様々な議論が行われた結果、一部の備品に対しての規模縮小が行われたことが確認されています。しかしながら、議論の際に警察内部のいずれの人物も吉田氏の懸賞金を取り下げることについて言及しませんでした。
20██/11/16、警察は57体ものSCP-3590-JP-1を逮捕したことに対して不信感を抱き、吉田氏やその懸賞金に関しての調査を開始しました。その結果として、警察は吉田氏の懸賞金に関して、異常な事象が発生していることを解明しました。具体的には、高山氏を含めた一部の通報者は自宅にて養殖したSCP-3590-JP-1を近所に解放し、それを通報することによって懸賞金を得ていたことを解明しました。高山氏らは友人内でSCP-3590-JP-1の養殖方法を共有し、先述の方法で大量の金銭を入手していたものと見られます。
その後、警察は高山氏らの自宅に家宅捜索を行い、20体のSCP-3590-JP-1及びその飼育に使うと思われる備品を発見しました。家宅捜索時、一部のSCP-3590-JP-1は飢餓等により非常に衰弱していたことが判明しています。当事実及びSCP-3590-JP-1を道路上や山中等の危害が加わる可能性のある場所に意図的に解放したことから、高山氏らは動物愛護管理法違反により逮捕されました。また、発見された全てのSCP-3590-JP-1も逮捕されました。
警察の事情聴取により、高山氏らはSCP-3590-JP-1の繁殖方法を自供しました。以下はその要点です。
- オスとメスのSCP-3590-JP-1を暗い部屋に隔離する。SCP-3590-JP-1は交尾の際に非常に警戒心が高くなるので、絶対に部屋の中は見てはいけない。見てしまうと交尾を止めてしまう。
- 交尾から1週間ほど経った後、メスの近くにある机の裏なんかを覗いて見ると直径5cmくらいの卵がある。それをとって体温くらいの温度で暖める。暖めてから1週間経つとSCP-3590-JP-1が孵化する。
- 孵化したSCP-3590-JP-1はちゃんとした餌を与えつづければ、1ヶ月程度で大人になる。
現状、SCP-3590-JP-1に雌雄の区別、排卵器官等は確認されていません。また、財団によるSCP-3590-JP-1の繁殖の試みは全て失敗しています。SCP-3590-JPの影響から脱した高山氏による繁殖の試みも同様に失敗しています。しかしながら、高山氏らの自宅から押収された物品には孵化直後のSCP-3590-JP-1を撮影した写真や遺伝的にSCP-3590-JP-1を親に持つ卵の殻が含まれていました。
高山氏の逮捕以降、警察は違法なSCP-3590-JP養殖者に対する検挙を開始しました。警察はSCP-3590-JP-1の逮捕された地域における聞き込み捜査やチラシの配布を行い、7人のSCP-3590-JP-1養殖者を逮捕することに成功しました。その間、近隣住民の通報によって、警察は吉田氏を逮捕しました。罪状は、劣悪な環境下で複数のSCP-3590-JP-1を飼育し、一部を死亡させたことによる動物愛護管理法違反です。吉田氏は逃亡生活中の金銭の不足からSCP-3590-JP-1の養殖を試みたものと推測されます。しかしながら、SCP-3590-JP-1に対する給餌の量やSCP-3590-JP-1が交尾する際の環境などのSCP-3590-JP-1の生態に関する知識の不足から繁殖の試みは失敗したことが判明しています。
吉田氏が逮捕された際、SCP-3590-JPは終了し、SCP-3590-JPに関連していた全ての人物は異常を知覚しました。財団も異常を認識し、即座に介入が行われました。SCP-3590-JP関連事象が全国的に報道されることはなかった為、財団はSCP-3590-JP関連者に対する記憶処理、関連記録の改竄、野生化したSCP-3590-JP-1の回収、報奨金の回収等を行うのみでSCP-3590-JPの隠蔽が可能でした。財団は隠蔽の結果、SCP-3590-JP-1を86体確保しました。
財団によりSCP-3590-JPの起源についての調査が行われましたが、原因となったと見られる実体やオブジェクトは発見されませんでした。また、SCP-3590-JP-1の起源についての調査も同様に原因は判明せず、吉田氏やその親族が起源ではないことが判明しました。









